後遺障害6級の交通事故慰謝料|5996万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害6級の判例についてご紹介します。
交通事故によって6級の後遺障害が認定されると、弁護士が交渉をおこなうと後遺障害に対する慰謝料として1180万円支払われることになります。
しかし、その金額は後遺障害の種類や症状によって変動することがあるようです。
この判例では、総額で5996万円の損害賠償金が認められましたが、算定においてどのような点がポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級6級(女・症状固定時29歳)損害額5996万0304円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の判決、平成18年(ワ)第5486号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部外傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者は加害者運転の加害車に同乗していたところ、右折した加害車と直進してきた相手車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | ホステス |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時29歳 |
事故の内容 | 被害者は加害者運転の加害車に同乗していたところ、右折した加害車と直進してきた相手車が衝突した。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、外傷性くも膜下出血、顔面・口唇裂傷、左耳介の欠損、左閉瞼障害、左橈・尺骨骨幹部骨折、右示指・中指屈筋腱損傷 |
後遺障害等級 | 併合6級(頭部外傷後の症状:9級10号、左顔面瘢痕:7級12号、そしゃく障害・閉口障害:12級、味覚障害:14級、流涙障害:14級) |
入院 | 38日 |
加害者は飲酒しており、被害者は加害者が飲酒していることを認識して同乗していたとして、15%の好意同乗減額がなされました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 5996万0304円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1230万円 |
うち休業損害 | 742万1266円 |
うち逸失利益 | 3593万4382円 |
損害総額は5996万0304円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額5996万0304円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が180万円、後遺障害の慰謝料が1050万円認められました。
- 休業損害としては、27歳女性の平均賃金である342万5200円を基礎収入とし、26日休業したとして算定されました。
- 逸失利益としては、労働能力喪失率は10年間は67%、その後は56%と認め、基礎収入は学歴計・年齢計女性平均年収349万0300円として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらのホステスは顔に大きな傷が残ってしまったようですね。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
被害者に生じた顔面の瘢痕の逸失利益における労働能力喪失率が争点の一つになっています。
本判決は、10年のみ6級相当の喪失率(67%)を認めましたが、顔面の傷がそれ以降も労働能力を失わせるとは考えられないとしてそれ以降は減少させて認定しております。
本件では、被害者が女性でありかつ接客業ということを考慮しておりますが、一般的には醜状障害のみでは労働能力に与える影響は小さいとの判断がされやすいといえます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
弁護士に無料相談してみてはどうでしょう?
こちらの弁護士事務所は、交通事故の無料電話相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害6級の慰謝料計算の特徴は?
6級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に6級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、6級の場合、裁判基準では1,180万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、6級3号の咀嚼障害の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、6級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を67%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらポイントは一般論であり、上記の裁判例のように、事故に遭われた方の事情によって金額が異なってきます。
まずは弁護士等の専門家に相談して妥当な金額をお聞きになるのがいいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害6級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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