後遺障害12級の交通事故慰謝料|3043万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害12級の判例についてご紹介します。
後遺障害12級は、部位や症状によって1~14号の14種類に分けられますが、特に12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」が多く認定されています。
12級13号が認定されるには、画像所見などによって明らかに異常が認められなければならないようです。
こちらの判例は、事故により12級13号が認定され、損害総額として3043万円が認められたようですが、金額算定のポイントはどのような点だったのでしょうか?
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級12級(男・51歳、症状固定時58歳)損害額3043万2892円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部の判決、平成23年(ワ)5104号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左鎖骨骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者が道路を直進中、対向車線から路外施設に右折しようとした加害車と衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 解体業 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 51歳(症状固定時58歳) |
事故の内容 | 被害者が道路を直進中、対向車線から路外施設に右折しようとした加害車と衝突した。 |
傷害の内容 | 左鎖骨骨折、左第7・8・9肋骨骨折など |
後遺障害等級 | 12級13号 |
入院 | 52日 |
被害者は、事故の7年後に症状固定となったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 3043万2892円 |
---|---|
うち慰謝料 | 741万円 |
うち休業損害 | 1423万1418円 |
うち逸失利益 | 533万3720円 |
損害総額は3043万2892円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額3043万2892円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が341万円、後遺障害の慰謝料が400万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入を430万円として1423万1418円が認められました。
- 逸失利益は、就労年限までの全期間について平均14%を労働能力喪失率とし、基礎収入は430万円、労働能力喪失期間は12年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は事故による障害で後遺障害12級が認められたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
12級13号は、痛みなどの神経症状について、レントゲン画像などにより他覚的所見がある場合に認められます。
本件の男性は、鎖骨骨折に伴い左肩の感覚異常が強いため、その点について12級が認定されました。
一般的に、神経症状による12級については、10年程度で症状が緩和または消失するとの見解のもと、労働能力喪失期間を10年間に限定する運用がみられます。
しかし、本判決は被害男性の痛みの程度が強い点を重視して、67歳まで一貫して労働能力の喪失を認めました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害12級の慰謝料計算の特徴は?
12級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に12級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、12級の場合、裁判基準では290万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、12級13号の神経症状の場合には、一生症状が残るものではないとして、計算の基礎となる労働能力喪失期間が制限されることが多いです。
むち打ち症の場合、裁判では、10年程度とされることが多いですが、保険会社からはより短い期間を主張されることも多いので、安易に示談には応じないほうがいいでしょう。
また、12級13号の神経症状であっても、その症状が骨折等の器質的損傷に基づくものである場合には、むち打ち症の場合よりも労働能力喪失期間を長く考える傾向にある点にも注意が必要です。
さらに、12級3号の歯科補綴、12級5号及び8号の変形障害や12級14号の外貌醜状の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらのポイントはあくまで一般論であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方の事情によって妥当な金額も異なってきます。
慰謝料に関する詳しい金額をお知りになりたい場合、まずは専門家である弁護士へ相談してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。