22歳大学生の交通事故慰謝料|2億4917万円の判例を弁護士が解説
このページでは、22歳女子大学生の判例についてご紹介します。
交通事故は、だれにでもある日突然起こりうるものです。
青信号を横断していたこちらの女子大生もその1人であり、彼女は交通事故によって生活が大きく一変してしまいました。
損害総額は2億4917万円を超えましたが、金額の算定においてどのような点がポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
大学生(女・22歳)損害額2億4917万8615円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成15年(ワ)第25094号 です。
この事故での主な怪我の内容は、右急性硬膜下血腫となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者は、青信号に従い自転車に乗って横断歩道を横断していたところ、加害車両に衝突された。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学生 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 22歳 |
事故の内容 | 被害者は、青信号に従い自転車に乗って横断歩道を横断していたところ、加害車両に衝突された。 |
傷害の内容 | 右急性硬膜下血腫、頭蓋骨骨折、脳挫傷など |
入院 | 約5年 |
この判例は、事故から約5年という非常に長い期間入院していた点が特徴的です。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2億4917万8615円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3906万円 |
うち休業損害 | 0円 |
うち逸失利益 | 7972万3948円 |
損害総額は2億4917万8615円でした。
ざっくりまとめると…
被害者は保険会社から総額2億4917万8615円の損害賠償金を受け取りました。
- 慰謝料としては、入院に対する慰謝料が306万円、後遺障害の慰謝料が3000万円、両親固有の慰謝料各300万円が認められました。
- また、逸失利益としては、女性の大卒全年齢平均年収額を基礎とし、労働能力を100パーセントとし、症状固定時の22歳から少なくとも45年間は就労可能であったとして7972万3948円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、この判例のポイントはどのような点になりますか?
大学生が被害者となる交通事故の場合、逸失利益の基礎収入をいくらと認定するのかが争点になることが多いです。
保守的に認定する裁判所であれば、女性の全年齢平均賃金を採用することもありますが、この判例では、被害者が大学卒業見込みであったことを重視して、女性大卒の平均賃金を採用して逸失利益を計算しています。
妥当な判断ではないかと思われます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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大学生の慰謝料計算の特徴は?
大学生の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
後遺症が残った場合の慰謝料は、原則として後遺障害の等級によって決められます。
しかし、大学生の被害者に生涯にわたって続く後遺症が残った場合、後遺症で苦労する期間が長いため、慰謝料について相場水準よりも20%ほど増額して請求すべきという考え方もあり、その点は裁判などで争う余地があります。
ポイントとしては、事故により生じた支障や就職状況等を具体的に主張していくことです。
事故の影響で、留年してしまったり、就職試験を受けられなかったことや内定を取り消されたこと等が証明できれば、賠償額が増額できる余地があります。
また、内定が決まっていたり、医大生のように将来就職する可能性が高い職種等を証明できれば、内定先の会社や将来就職する可能性が高い職種の平均賃金が逸失利益の計算の基礎となり、賠償額が増額する余地があります。
なお、内定などが決まっていなくても、大卒の平均賃金は、全体の平均賃金よりも高いため、大卒の平均賃金を基礎に計算することを主張する必要があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的なものであり、上で紹介した判例からお分かりの通り、事故に遭われた方の個別的な事情によっては妥当な慰謝料等は異なります。
したがって,まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。