7歳の子供の交通事故慰謝料|2億2939万円の判例を弁護士が解説
このページでは、7歳男児の事故の判例についてご紹介します。
もし交通事故で大怪我を負い、身体を自由に動かせなくなってしまったとしたら現実は簡単に受け入れられるものではありません。
1人で生活を送ることができなくなってしまった子供の将来はどうなってしまうのか、ご家族としても不安は尽きません。
この判例では、7歳の男の子は事故により寝たきり状態となってしまいましたが、どのような点が考慮され、慰謝料が算定されたのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
児童(男・7歳)損害額2億2939万1096円の判例
こちらは、岡山地方裁判所の判決、平成15年(ワ)第1115号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、外傷性クモ膜下出血となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「スピード違反の加害車両が道路から飛び出してきた被害者に衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 児童 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 7歳 |
事故の内容 | スピード違反の加害車両が道路から飛び出してきた被害者に衝突。 |
傷害の内容 | 外傷性クモ膜下出血、び慢性脳損傷、頭部外傷後広範囲脳梗塞、遷延性意識障害(除脳姿位)など |
後遺障害等級 | 1級3号 |
入院 | 342日 |
加害者は制限速度を20~25kmほど超過した速度で走行していたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2億2939万1096円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3700万円 |
うち将来介護費 | 5996万8006円 |
うち逸失利益 | 6011万5487円 |
損害総額は2億2939万1096円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額2億2939万1096円になりました。
- 慰謝料としては治療中の慰謝料が400万円、後遺障害の慰謝料が3000万円、父固有の慰謝料が300万円認められました。
- 将来介護費については、被害者は将来にわたり近親者による付添介護が必要であり、介護費用は1日当たり9000円とするのが相当とし、また、ケアセンターの居宅支援サービスとして1か月当たり3450円が認められました。
- 逸失利益は、基礎収入を男子の学歴計平均年収565万9100円、労働能力喪失期間を18歳から67歳までの49年間と算定し、6011万5487円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの7歳の男の子はスピード違反の車によって大怪我を負われたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、植物状態に陥った7歳の男児が、何歳まで生存可能かという点が大きな争点となりました。
7歳の男児の平均余命は、80歳以上とされています。
しかし、裁判所は、「植物状態」患者の場合、感染症等に罹患し、死亡する危険性が高いことなどを理由として、被害者の生存可能期間を事故から60年間である67歳までと認定しました。
この認定により、被害者の将来治療費や介護費用が減額される結果となりました。
重度後遺症の事案では、加害者側から「植物状態の被害者の生存可能期間が短い」という主張がなされることがあります。
事故を起こした加害者側からこのような主張を行うことが、倫理的に妥当かという議論がありえます。
現実的には植物状態のまま平均余命まで生存する可能性も否定できないため、裁判所としてどのように判断するか悩ましい事案であるといえそうです。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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子供の慰謝料計算の特徴は?
子供の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
子供が小学生以下の場合、保護者による通院時の付き添いが必要であるとして、保護者が通院に付き添った場合、慰謝料とは別に、別途通院付添費も請求することができます。
なお、付添のためにお仕事を休まなければいけなくなった場合には、当然保護者の休業損害を請求できる可能性もあります。
そして、子供の体は柔らかく、怪我をしにくい体ということで、医者が通院回数を大人より少なくすることがあります。
また、医者がそのように仰らなくても、子供は病院に行くのを嫌がったり面倒臭がったりして、実際の通院日数が通院期間に比べて極めて少ないこともあります。
慰謝料の金額には通院日数が影響するため、保護者の方は、お子様のお怪我の程度に見合った通院日数を確保する必要があります。
さらに、後遺障害が残った場合、将来の収入の減少をカバーする逸失利益は、将来どれくらいの収入が見込めるか不明確なため、計算にも工夫が必要となります。
例えば、女の子の場合、将来男の子の場合よりも見込める収入が低いと言われることがありますが、子供の場合、年齢が低いほど反論の余地が大きくなります。
なお、通常、示談後に治療の必要性があったとしても、その治療費相当額は請求できませんが、子供、特に年齢の低い子供の場合、体の成長と共に将来的な治療や手術が必要になる可能性が大人より大きいため、大人の場合に比べて、将来的な治療費を請求できる余地が大きいといえます。
ただし、今申し上げたポイントは一般論にとどまり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方ごとに事情は様々です。
よって、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのがいいといえるでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。