交通事故の後遺障害で年金がもらえる!?障害年金と併せて労災からも年金が!?

  • 後遺障害,年金

交通事故の後遺障害で年金がもらえる!?障害年金と併せて労災からも年金が!?

交通事故後遺障害年金もらえる場合があるって聞いたけれど本当なの?」

障害年金だけでなく労災からも後遺障害に関する年金がもらえる場合があるの?」

障害年金と労災年金は併給しても大丈夫なの?」

交通事故の後遺障害は、一生の問題ですから、定期的に一定額の給付を受けられる年金の存在は今後の生活において非常に重要となります。

このページでは、そんな交通事故で後遺障害が残ってしまった場合の年金の問題に関し、

  • 障害年金とはどういったものか
  • 労災から後遺障害に関する年金がもらえるのはどんな場合か
  • 障害年金と労災年金の関係

についてご紹介していきたいと思います!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

交通事故で後遺障害が残った場合、残念ながら加害者側から受け取れる賠償金だけでは、今後の一生分の生活を十分補償しきれない場合もあります。

後遺障害が残ってしまった方にとり、定期的に一定額の給付を受けられる年金は今後の生活において非常に重要ですが、その存在を知らない方もいます。

こちらで交通事故の後遺障害の年金の問題をしっかり理解して、後遺障害が残ってしまった場合にしっかり年金をを受けとれるようにしておきましょう。

年金といえば一番最初に思い浮かぶのは、原則65歳から受給できるいわゆる「老齢年金」かと思います。

また、 被保険者が亡くなった際に遺族(配偶者または子供)に支払われる「遺族年金」のこともご存知の方は多いかもしれません。

しかし、病気やケガで生活や仕事などが制限される場合に受け取ることができる「障害年金」の制度はあまり知られてないようです。

そして、この障害年金は、交通事故後遺障害が残ってしまった場合にも受け取ることができる場合があります。

そこで、交通事故で後遺障害が残ってしまった方のために、まずは障害年金とは何かについてできるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。

障害年金とは

障害年金とは

障害年金の種類

障害年金は、後遺障害が残ってしまった方の加入している年金によって、二種類の年金があります。

国民年金加入者

まず、国民年金に加入している方に後遺障害が残ってしまった場合に、受け取れる可能性のある障害年金は障害基礎年金になります。

厚生年金加入者

また、厚生年金に加入している方に後遺障害が残ってしまった場合に、受け取れる可能性のある障害年金は障害厚生年金になります。

厚生年金は国民年金の上乗せとなる年金ですので、障害厚生年金も障害基礎年金に上乗せして支給されることになります。

年金以外の一時金

また、後ほど申し上げる障害厚生年金の受給要件を満たさない場合でも、一定の後遺障害に支給される一時金として障害手当金があります。

障害年金の受給要件の等級は?

先ほどお伝えしたとおり、この障害年金は、交通事故後遺障害が残ってしまった方も受け取ることができます。

しかし、残念ながら、後遺障害が残ってしまった方すべてが受け取れるわけではなく、一定の等級以上の方しか受け取ることができません。

また、障害年金は、等級以外にもいくつかの受給要件があります。

続いては、障害年金の受給要件について、各種類ごとにお伝えしていきたいと思います!

障害基礎年金

①初診日要件

まず、初診日(障害の原因となった病気やケガにつき初めて医師の診療を受けた日)の時点で以下のいずれかに該当することが受給要件になります。

  • 国民年金に加入している期間
  • 20歳未満で日本国内に住んでいる期間
  • 60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる期間

ただし、60歳以上65歳未満の方で、老齢基礎年金を繰り上げ受給している方は除外されます。

現在、20歳以上の方は国民年金への加入が義務付けられているので、老齢基礎年金を受給していない日本国内在住者はほぼこの受給要件を満たします。

②障害認定日要件

次に、障害認定日に障害等級1級または2級の状態にあることが受給要件となります。

障害認定日は、初診日から1年6ヶ月経過した日が原則です。

ただし、20歳前に初診日がある場合は、その初診日と20歳になるまでの期間が1年6カ月以上あっても20歳になった日が初診日となります。

さらに、以下のような場合などでは、初診日から1年6ヶ月以内でも、障害認定日として認められます。

  • 人工透析療法を初めて受けた日から3ヶ月経過した日
  • 人工骨頭または人工関節をそう挿入置換した日
  • 心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、人工弁を装着した日
  • 人工肛門の造設、尿路変更術を施術し6ヶ月経過した日
  • 新膀胱を造設した日
  • 肢体を切断または離断した日
  • 喉頭全摘出手術を施した日
  • 在宅酸素治療(常時)を開始した日
③保険料納付要件

そして、初診日の前日に次のいずれかの保険料納付要件を満たしていることが受給要件となります。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。

昨今、年金の未納が大きな社会問題になっていますが、年金を納めていないと、交通事故で重い後遺障害が残っても障害年金を受け取れません。

上のツイートにもあるとおり、年金は老後の貯えとしてだけではなく、万が一の病気やケガに備える意味でも納付しておくことは重要といえます。

この保険料納付要件について、何か覚えておくべきポイントはあるのでしょうか?

まず重要なのは、保険料納付要件は現在ではなく、初診日時点の保険料納付状況で判断されるということです。

なお、経済的事情により保険料を払えない場合でも、保険料免除申請の手続きをすると、支給要件における納付済み期間としてカウントされます。

また一部免除の場合は、減額された保険料を納付すると納付済み期間としてカウントされます。

保険料の納付が困難な状況であっても、万が一の病気やケガに備えて未納状態をそのまま放置せずに、免除や納付特例を申請しておいた方が賢明です。

実際、twitter上ではこんな声も聞かれます。

いつ交通事故にあってしまうかわからない以上、面倒に感じるかもしれませんが、免除申請などの手続きはしっかりと取っておきましょう!

障害厚生年金

①初診日要件

まず、初診日(障害の原因となった病気やケガにつき初めて医師の診療を受けた日)の時点で、厚生年金加入の期間にあることが受給要件になります。

初診日の後に、会社などに入社し、厚生年金に加入することになった場合には、この受給要件を満たさないことになるので注意しましょう。

②障害認定日要件

次に、障害認定日に障害等級1級2級または3級の状態にあることが受給要件となります。

障害認定日は、初診日から1年6ヶ月経過した日が原則です。

ただし、以下のような場合などでは、初診日から1年6ヶ月以内でも、障害認定日として認められます。

  • 人工透析療法を初めて受けた日から3ヶ月経過した日
  • 人工骨頭または人工関節をそう挿入置換した日
  • 心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、人工弁を装着した日
  • 人工肛門の造設、尿路変更術を施術し6ヶ月経過した日
  • 新膀胱を造設した日
  • 肢体を切断または離断した日
  • 喉頭全摘出手術を施した日
  • 在宅酸素治療(常時)を開始した日
③保険料納付要件

そして、初診日の前日に次のいずれかの保険料納付要件を満たしていることが受給要件となります。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

障害年金の受給要件
要件 障害基礎年金 障害厚生年金
初診日要件 初診日時点で国民年金に加入※ 初診日時点で厚生年金に加入
障害認定日要件 障害認定日に1級又は2 障害認定日に1級~3
保険料納付要件 ・初診日の前々月までの2/3以上の期間保険料納付
・初診日の前々月までの1年間保険料未納なし

※20歳未満又は60~64歳の国内在住者も対象になる

障害手当金

①初診日要件

まず、初診日(障害の原因となった病気やケガにつき初めて医師の診療を受けた日)の時点で、厚生年金加入の期間にあることが受給要件になります。

初診日の後に、会社などに入社し、厚生年金に加入することになった場合には、この受給要件を満たさないことになるので注意しましょう。

②障害要件

次に、初診日から起算して5年を経過する日までの間における症状固定日に、その傷病により一定の障害の状態にあることが受給要件となります。

一定の障害とは、具体的には厚生年金保険法施行令に定められている以下の表の障害の状態になります。

障害手当金の受給対象となる障害
番号 障害の状態
1 両眼の視力が0.6以下に減じたもの
2 1眼の視力が0.1以下に減じたもの
3 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
5 両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障害を残すもの
6 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
7 そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの
8 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
9 脊柱の機能に障害を残すもの
10 1上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
11 1下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
12 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13 長管状骨(上腕、前腕、大腿、下腿の管状の骨)に著しい転移変形を残すもの
14 1上肢の2指以上を失ったもの
15 1上肢のひとさし指を失ったもの
16 1上肢の3指以上の用を廃したもの
17 ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃したもの
18 1上肢のおや指の用を廃したもの
19 1下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの
20 1下肢の5趾の用を廃したもの
21 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
22 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

厚生年金保険法施行令第3条の9別表第二

③保険料納付要件

そして、初診日の前日に次のいずれかの保険料納付要件を満たしていることが受給要件となります。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

障害年金の金額はいくら位?

では、上記の障害年金受給要件を満たした場合、実際にもらえる金額いくら位になるのでしょうか?

こちらも各種類ごとにお伝えしたいと思います!

障害基礎年金

金額

障害基礎年金としてもらえる金額は、平成30年度の分については以下の表のとおりです。

障害基礎年金の金額(H30.4月分~)
等級 計算式
1 779,300円×1.25+子の加算
2 779,300円+子の加算

「子の加算」の具体的な金額は

  • 第1子・第2子 各 224,300円
  • 第3子以降 各 74,800円

となります。

ここでいう「子」とは

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で障害等級1級または2級の障害者

に限られます。

なお、障害年金受給後に生まれた子についても加算の対象となります。

支給開始時期

障害基礎年金は障害認定日の翌月から支給が開始されます。

また、障害基礎年金は遡及請求して、請求前の期間の部分の年金ももらえます。

ただし、時効による消滅のため、遡及してもらえる年金の金額は5年分が限度になります。

所得制限

障害要件の受給要件には原則として所得制限はありません。

ただし、20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、本人が保険料を納付していないことから、例外的に所得制限が設けられています。

具体的な所得制限額と支給停止の範囲は以下の表のとおりです。

20歳前傷病による障害基礎年金にかかる所得制限
世帯人数 1 2人※
1/2支給停止 3,604,000円を超える場合 3,984,000円を超える場合
全額支給停止 4,621,000円を超える場合 5,001,000円を超える場合

※扶養親族1人増加につき所得制限額が38万円加算

※扶養親族が老人控除対象配偶者・老人扶養親族の場合、1人につき48万円加算

※扶養親族が特定扶養親族等であるときは1人につき63万円加算

障害厚生年金

金額

障害厚生年金としてもらえる金額は、平成30年度の分については以下の表のとおりです。

障害厚生年金の金額(H30.4月分~)
等級 計算式
1 (報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)※〕
2 (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)※〕
3 (報酬比例の年金額) 最低保障額 584,500

※対象者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合

報酬比例部分の年金額は、下記の式によって計算した額となります。

平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の被保険者期間の月数

上記計算式による額が平成6年の水準で標準報酬を再評価し年金額を計算した従前額保障を下回る場合、従前額保障が報酬比例部分の年金額になります。

また、上記表のとおり、3級の場合、計算式による額が最低保障額を下回る場合には、最低保障額が支給年金額になります。

なお、標準報酬額の算出の基礎となる報酬額には賞与も含まれます。

そして、被保険者期間が短い若年者でも一定額の年金が受けられるよう、被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。

ちなみに、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額計算の基礎とはされませんので、その点は注意しましょう。

障害厚生年金の受給要件を満たす場合、等級が1級又は2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金が両方もらえるということになります。

一方、等級が3級の場合は、障害厚生年金だけがもらえるということになります。

いずれの場合も漏れなく受給できるようにしましょう。

支給開始時期

障害厚生年金は障害認定日の翌月から支給が開始されます。

また、障害厚生年金は遡及請求して、請求前の期間の部分の年金ももらえます。

ただし、時効による消滅のため、遡及してもらえる年金の金額は5年分が限度になります。

障害手当金

障害手当金については、以下のいずれかの高い方の金額が一時金として受け取れます。

  • 報酬比例の年金額×2
  • 1,169,000円(最低保障額)

障害年金の申請の手続きは?

お伝えしてきた障害年金金額については、対象者が申請手続きを取らなければもらえないことになっています。

実際に、本来障害年金をもらえるはずの方が、申請をしていなかったため、障害年金をもらえないという事態も生じているようです。

そこで、実際に障害年金を受け取るための申請の手続きについてお伝えしたいと思います!

申請に必要な書類の収集及び作成

受診状況等説明書の収集

まず、受給要件の判断に不可欠な初診日を証明する書類として、受診状況等説明書を初診時の医療機関から収集する手続きが必要です。

受診状況等説明書とは、以下のような様式の書類です。

ただし、転院していない場合には、診断書により初診日が確認できるため、収集は不要となります。

なお、受診状況等証明書はカルテを参考に作成されるところ、カルテの保存期間は法律上終診から5年間になっています。

そのため、5年以上経過している場合は医療機関にカルテがない場合があります。

この場合、受診状況等証明書を作成はしてもらうことはできますが、証明が不十分であるとして障害要件をもらえないリスクが高まります。

診断書の収集

続いて、現在受診している医療機関や認定日時点で受診していた医療機関から診断書を収集する手続きになります。

この診断書にも所定の様式が存在します。

診断書は障害認定日より3カ月以内のものが求められます。

また、障害認定日と年金請求日が1年以上離れている場合は、年金請求日前3ヵ月以内の直近の診断書も併せて必要となります。

さらに、呼吸器疾患の場合にはレントゲンフィルムの、循環器疾患の場合には心電図のコピーの添付も必要となります。

その他申請に必要な書類の収集

お伝えしてきた書類以外の申請に必ず必要な書類には

  • 年金手帳
  • 住民票や戸籍謄本といった生年月日について明らかにすることができる公的な書類

などがあります。

住民票や戸籍謄本は受給権発生日以降で提出日から6ヶ月以内に交付されたものが求められます。

さらに、交通事故の場合には

  • 第三者行為事故状況届
  • 交通事故証明書

といった書類の収集・作成の手続きも必要となります。

病歴・就労状況等申立書の作成

こちらは主に障害の自覚症状を記載する書類であり、障害年金の審査をするに当たり、非常に重要な書類になります。

具体的な様式は以下のようになっています。

年金請求書の作成

最後に、年金請求書という書類を作成する手続きになります。

障害基礎年金の年金請求書の様式は以下のようになっています。

一方、障害厚生年金の年金請求書の様式は以下のようになっています。

実際ご覧いただけるとわかりますが、こちらの年金請求書は、障害厚生年金だけでなく、障害基礎年金や障害手当金の請求も含んだ様式になっています。

書類等の提出先及びその後の流れ

書類などの提出先

上記のとおり、収集及び作成した書類を提出し、受付をしてもらうことにより、申請が完了します。

障害基礎年金の場合の書類の提出先は、原則として住所地の市区町村役場の窓口になります。

ただし、初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、お近くの年金事務所になります。

一方、障害厚生年金の場合の書類の提出先は、お近くの年金事務所になります。

その後の流れ

障害年金の申請がなされると、日本年金機構で、障害の状態の認定や障害年金の決定に関する審査が行われます。

審査には、平均して3~6ヶ月程度掛かるようです。

審査の結果、障害年金をもらえることになった場合には、日本年金機構から

  • 年金証書
  • 年金決定通知書
  • 必要な届出などが記載されたパンフレット

が送付されてきます。

一方、障害年金を受け取れない場合には、日本年金機構から不支給決定通知書が送付されてきます。

年金証書などが送付されてきてから約1~2カ月後に、実際に年金がもらえるようになります。

その後は、偶数月に2か月分が振り込まれるという流れになります。

障害年金を申請する手続きの流れ
順序 手続き 備考
申請書類の収集・作成 ・転院している場合は受診状況等説明書が必要
・交通事故の場合第三者行為事故状況届や事故証明書も必要
書類の提出(申請) ・基礎年金の場合原則住所地の市区町村役場
・厚生年金の場合年金事務所
審査 ・期間は平均36ヶ月
決定 ・日本年金機構から決定通知書送付
振込 ・決定通知から12か月後

事後重症による請求の申請手続き

先ほどお伝えしたとおり、障害年金を請求するには、障害認定日に一定の等級に該当する状態になっている必要が通常はあります。

しかし、障害認定日の後に症状が悪化し、受給要件を満たす障害の状態になった場合にも、請求により障害年金が受けられます。

このことを「事後重症による請求」といいます。

ただし、事後重症による請求の場合、年金がもらえるのは請求日の翌月からのため、請求が遅くなると、その分年金をもらえるのが遅くなります。

そして、この場合の請求の申請手続きは、65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。

障害年金をもらえるようにするためには、きちんと年金を納付していることが受給要件となっていますので、その点は注意しましょう。

そして、障害年金の申請には、初診時の治療期間に書類作成を依頼しなければならないなど煩雑な場合も多いです。

障害年金の受給要件や申請の手続きについてお悩みがある場合には、まず専門家に相談してみるのが確実であるといえます。

労災からの後遺障害の年金をもらえる場合

労災からの後遺障害の年金をもらえる場合

交通事故後遺障害が残ってしまった場合に障害年金もらえる場合があることについてはお分かりいただけたかと思います。

実は、障害年金だけではなく、労災からも後遺障害が残ってしまった場合に年金がもらえる場合があるんです!

続いては、労災から後遺障害が残ってしまったことによる年金をもらえる場合についてできるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います!

労災年金の種類

労災から後遺障害が残ってしまった場合にもらえる可能性のある年金には以下の二種類があります。

障害(補償)年金

こちらの障害(補償)年金は、後遺障害が残ってしまったことによる給与などの減少分を補償するための年金になります。

障害特別年金

一方、障特別年金は、後遺障害が残ってしまったことによるボーナスなどの減少分を補償するための年金になります。

こちらは、障害(補償)年金の受給要件を満たす方がもらえる年金になります。

つまり、障害(補償年金)をもらえる人は、障害特別年金も同時にもらえるということになります。

年金以外の一時金

また、後ほど申し上げる労災年金の受給要件を満たさない場合でも、後遺障害の等級が認定された場合には一時金がもらえることになります。

なお、労災年金をもらえる方も、別途障害特別支給金という一時金をもらえることになります。

労災年金の受給要件の等級は?

お伝えしたとおり、この労災からの年金は、業務中や通勤中の交通事故後遺障害が残ってしまった方ももらえることができます。

しかし、労災からの年金は、後遺障害の等級が認定された方すべてがもらえるわけではなく、一定の等級以上の方しかもらえることができません。

具体的には、7級以上の等級が認定された場合に、労災から後遺障害が残ってしまったことによる年金をもらえることになります。

8級以下の後遺障害の等級が認定された場合には、労災から年金の形式ではなく、すべて一時金の形式で支給されることになります。

労災から後遺障害が残った場合にもらえる金額の支払形式について、表にまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみて下さい。

労災の後遺障害の金額の支払形式
項目\等級 7級以上 8級以下
障害(補償)給付 年金※ 一時金
障害特別金 年金
障害特別支給金 一時金

※希望すれば一定額の前払一時金受領可能

労災年金の金額はいくら位?

では、労災後遺障害等級が認定された場合にもらえることになる年金などの金額いくら位になるのでしょうか?

もらえる金額の種類ごとにお伝えしたいと思います!

障害(補償)年金

そして、障害(補償)年金の金額を計算する基準は以下のとおりです。

給付基礎日額×等級ごとに定められた日数

給付基礎日額とは、原則として、労働基準法の平均賃金に相当する金額のことです。

平均賃金とは、直前3ヶ月間に支払われた賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を日数で割った1日当たりの賃金額のことです。

そして、給付基礎日額に掛けられる等級ごとの日数は以下の表のとおりです。

障害(補償)年金を計算する基準日数
障害等級 日数
1 313日分
2 277日分
3 245日分
4 213日分
5 184日分
6 156日分
7 131日分

障害特別年金

そして、障害特別年金の金額を計算する基準は以下のとおりです。

算定基礎日額×等級ごとに定められた日数

算定基礎日額とは、原則として、事故前1年間に労働者が事業主から受けた特別給与の総額(算定基礎年額)を365で割った金額のことです。

特別給与とは、給付基礎日額の算定から除外されているボーナスなど3か月を超える金額ごとに支払われる賃金をいい、臨時で支払われた賃金は含まれません。

もっとも、特別給与の総額が給付基礎年額(給付基礎日額の365倍に相当する額)を上回る場合には、給付基礎年額の20%に相当する金額が算定基礎年額になります。

ただし、150万円が限度額になります。

そして、算定基礎日額に掛けられる等級ごとの日数は以下の表のとおりであり、障害(補償)年金と同じになります。

障害特別年金を計算する基準日数
障害等級 日数
1 313日分
2 277日分
3 245日分
4 213日分
5 184日分
6 156日分
7 131日分

年金以外の一時金

障害(補償)一時金

先ほどもお伝えしたとおり、労災で8級以下の後遺障害の等級が認定された場合、障害(補償)給付は年金ではなく一時金の形式でもらえます。

障害(補償)一時金の金額を計算する基準は、障害(補償)年金の金額を計算する基準と同じです。

そして、給付基礎日額に掛けられる等級ごとの日数は以下の表のとおりです。

障害(補償)一時金の計算の基準となる日数
障害等級 日数
8 503日分
9 391日分
10 302日分
11 223日分
12 156日分
13 101日分
14 56日分
障害特別一時金

障害(補償)給付同様、労災で8級以下の後遺障害の等級が認定された場合、障害特別金も年金ではなく一時金の形式でもらえることになります。

障害特別一時金の金額を計算する基準は、障害特別年金の金額を計算する基準と同じです。

そして、給付基礎日額に掛けられる等級ごとの日数は以下の表のとおりであり、障害(補償)一時金と同じになります。

障害特別一時金の計算の基準となる日数
障害等級 日数
8 503日分
9 391日分
10 302日分
11 223日分
12 156日分
13 101日分
14 56日分
障害特別支給金

お伝えしたとおり、障害(補償)給付及び障害特別金は認定された等級に応じて、年金と一時金とで支払い形式が変わることになります。

障害特別支給金については、等級が何級であっても一時金の形でもらえることになります。

具体的にもらえる金額は等級ごとに以下の表のように決められています。

障害特別支給金の等級ごとの金額
障害等級 日数
1 342万円
2 320万円
3 300万円
4 264万円
5 225万円
6 192万円
7 159万円
8 65万円
9 50万円
10 39万円
11 29万円
12 20万円
13 14万円
14 8万円

労災年金の申請の手続きは?

労災からの後遺障害に関する年金などの金額は、対象者が申請手続きを取らなければもらえないことになっています。

そこで、ここからは、労災からの後遺障害に関する年金などの金額をもらうための申請の手続きについてお伝えしたいと思います!

労災への後遺障害の申請の手続き

先ほどお伝えしたとおり、労災から後遺障害に関する年金をもらえるようにするには、7級以上の等級が認定される必要があります。

そして、労災の後遺障害の等級認定の申請は、障害(補償)給付を請求する手続きの流れの中で行われることになります。

具体的に障害(補償)給付を請求するには、所轄の労働基準監督署(長あて)障害(補償)給付支給請求書という申請書類を提出します。

その障害(補償)給付支給請求書とは、以下のような様式になります。


勤務中・仕事中業務災害の場合は障害補償給付支給請求書を、出勤途中・帰宅途中通勤災害の場合は障害給付支給請求書を用います。

障害(補償)給付支給請求書には以下のような事項を記載する必要があります。

  • 労働保険番号
  • 労働者の氏名・住所・生年月日や所属事業場の名称・所在地
  • 事故日
  • 治癒(症状固定)日
  • 災害の原因及び発生状況(業務災害の場合)
  • 平均賃金や特別給与の年額
  • 振込希望口座

そして、支給請求書に事業主からの証明をもらう必要があります。

なお、事業主が証明を出してくれないという場合も考えられます。

実務上は、このような場合でも労働基準監督署は申請を受理した上で、事業主に「証明拒否理由書」という書類の提出を求めるようです。

その上で、労働基準監督署が労災の認定をするかどうか判断するため、事業主が証明を出してくれない場合でも、労災認定がなされる可能性はあります。

また、通勤災害の場合には、別途下記の「通勤災害に関する事項という書類を提出する必要があります。

なお、障害特別支給金や障害特別金の支給申請も原則障害(補償)給付の請求と同時に行うことになっており、同一の様式で申請(請求)可能です。

そして、障害(補償)給付支給請求書には、所定の様式の医師からの診断書を必ず添付する必要があります。

また、必要に応じてレントゲンなどの添付書類・資料も同時に提出することになります。

労災の後遺障害診断書の様式とは

そして、労災の後遺障害の等級認定申請において提出する診断書は、自賠責のものとも障害年金の申請時のものとも様式が異なります。

なお、労災の申請に必要となる診断書の様式は自賠責の様式と比較して簡易な様式となっています。

具体的な書式やより詳しい労災の後遺障害の診断書の情報は、以下のページに詳しく記載されていますので、ぜひご覧下さい!

書類等の提出先及びその後の流れ

上記の書類などの必要書類を所轄の労働基準監督署(長宛)に提出し、受付をしてもらうことにより、申請が完了します。

申請が完了すると、労働基準監督署において後遺障害の等級の認定審査が行われる流れになります。

労災の場合、地方労災医員という医師が後遺障害の等級認定の判断にあたり、原則として被害者との面談が行われます。

請求受付から給付決定までの期間は、おおむね3か月ですが、場合によっては3か月以上を要することもあります。

と記載されており、事案の内容等にもよりますが、おおよそ3か月前後のことが多いようです。

労働基準監督署での後遺障害の審査が完了し、等級が認定された場合、原則として厚生労働省から支給決定通知が送付されます。

以前は支給決定通知と別に支払振込通知が送付されていましたが、現在では支給決定通知と支払振込通知が一体となったはがきが送付されています。

その通知の送付の前後に、支払振込通知記載の等級に応じた年金又は一時金の金額が振込指定先の口座に振り込まれる流れになります。

一方で、後遺障害の等級が認定されなかった場合には不支給決定通知が送付されるという流れになります。

7級以上の等級が認定され、年金の形で障害(補償)給付や障害特別金がもらえることになった場合、具体的には

  • 支給要件に該当することになった月の翌月分から
  • 毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の6期に
  • それぞれ前2か月分

が支払われることになります。

なお、労災から7級以上の後遺障害の等級が認定され、年金がもらえる場合、二重取りを防ぐため、自賠責からもらえる金額との支給調整が行われます。

もっとも、労災からもらえる年金のうち、支給調整がなされる項目や期間には制限があります。

そのため、労災にも後遺障害が申請できる交通事故の場合には、労災・自賠責双方に申請するのが望ましいと考えられます。

こちらの自賠責と労災の後遺障害認定による金額の調整の問題など、労災の後遺障害については、以下の記事により詳しく記載されています。

最後に、お伝えしてきた労災から後遺障害に関する年金がもらえるまでの流れを表にまとめてみましたので、こちらも参考にしてみて下さい。

労災から後遺障害につき年金がもらえるまでの流れ
順序 手続き 備考
申請書類の収集・作成 ・請求書には事業主の証明が必要
・診断書の様式は自賠責とも障害年金とも違う
書類の提出(申請) 提出先は提出先は所轄の労働基準監督署
審査 期間は平均3ヶ月前後
決定 ・労働基準監督署から決定通知書送付
・後遺障害等級7級以上の場合に年金
振込 2ヶ月ごとに前2ヶ月分が振込

障害年金と労災年金の関係

障害年金と労災年金の関係

交通事故の場合、障害年金だけではなく、労災からも後遺障害に関する年金もらえる場合があるのはお伝えしたとおりです。

もっとも、両者の関係性についてはまだよくわからない方が多いかと思います。

そこで、最後に障害年金と労災年金の関係についてお伝えしていきたいと思います!

障害等級の認定基準が異なる

障害年金労災年金も一定以上の後遺障害等級が認定された場合にのみもらえるものである点は共通しています。

しかし、受給要件の等級については、障害年金と労災の年金とでは異なり、障害年金の種類によっても異なります。

具体的には、障害基礎年金は2級以上、障害厚生年金は3級以上、労災の年金は7級以上となっています。

さらに、実は障害年金と労災の年金とでは、同じ等級でも認定基準が異なる形になっています。

そこで、ここからは後遺障害について年金がもらえることになる等級の認定基準について、各年金の種類ごとにお伝えしたいと思います!

障害基礎年金

お伝えしてきたとおり、障害基礎年金は、障害等級が1級または2級の状態にあることが受給要件となります。

障害基礎年金の1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができない程度の障害のことをいいます。

日常生活ができない程度の障害とは、他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度の障害をいいます。

具体的には、国民年金法施行令に定められている以下の表の障害の状態になります。

国民年金法で等級が1級の障害
番号 障害の状態
1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4 両上肢のすべての指を欠くもの
5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7 両下肢を足関節以上で欠くもの
8 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

国民年金法施行令第4条の6別表

障害基礎年金の2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、 日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害のことをいいます。

日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度の障害をいいます。

具体的には、国民年金法施行令に定められている以下の表の障害の状態になります。

国民年金法で等級が2級の障害
番号 障害の状態
1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3 平衡機能に著しい障害を有するもの
4 そしゃくの機能を欠くもの
5 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
6 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
7 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
9 1上肢のすべての指を欠くもの
10 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11 両下肢のすべての指を欠くもの
12 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
13 1下肢を足関節以上で欠くもの
14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

国民年金法施行令第4条の6別表

障害厚生年金

お伝えしてきたとおり、障害厚生年金は、1級2級または3級の状態にあることが受給要件となります。

障害厚生年金の1級及び2級

障害厚生年金の1級及び2級は上記の障害基礎年金の1級及び2級と同一になります。

障害厚生年金の3級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害のことをいいます。

具体的には、厚生年金保険法施行令に定められている以下の表の障害の状態になります。

厚生年金保険法で等級が3級の障害
番号 障害の状態
1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
6 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
7 長管状骨(上腕、前腕、大腿、下腿の管状の骨)に疑関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失ったもの
9 おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの
10 1下肢をリスフラン関節(足趾の一番付け根、土踏まずの前方)以上で失ったもの
11 両下肢の十趾の用を廃したもの
12 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生大臣が定めるもの

厚生年金保険法施行令第3条の8別表第1

労災からの年金

お伝えしてきたとおり、労災で後遺障害に関し年金がもらえるためには、7級以上の等級が認定されることが受給要件になります。

具体的には、労働者災害補償保険法施行規則別表第一の障害等級表に定められている以下の障害の状態になります。

労災から年金がもらえる後遺障害
等級 障害の状態
1 1 両眼が失明したもの

2 そしやく及び言語の機能を廃したもの

3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

5 削除

6 両上肢をひじ関節以上で失つたもの

7 両上肢の用を全廃したもの

8 両下肢をひざ関節以上で失つたもの

9 両下肢の用を全廃したもの

2 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの
2 両眼の視力が0.02以下になつたもの
22 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
23 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3 両上肢を手関節以上で失つたもの
4 両下肢を足関節以上で失つたもの
3 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつたもの
2 そしやく又は言語の機能を廃したもの
3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5 両手の手指の全部を失つたもの
4 1 両眼の視力が0.06以下になつたもの
2 そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力を全く失つたもの
4 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
5 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
6 両手の手指の全部の用を廃したもの
7 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
5 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になつたもの

12 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

13 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

2 一上肢を手関節以上で失つたもの

3 一下肢を足関節以上で失つたもの

4 一上肢の用を全廃したもの

5 一下肢の用を全廃したもの

6 両足の足指の全部を失つたもの

6 1 両眼の視力が0.1以下になつたもの
2 そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
32 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
4 せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
5 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
6 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失つたもの
7 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたもの
2 両耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
22 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
3 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4 削除
5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失つたもの
7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの
8 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
9 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11 両足の足指の全部の用を廃したもの
12 外貌に著しい醜状を残すもの
13 両側のこう丸を失つたもの

労働者災害補償保険法施行規則別表第一障害等級表

比較していただくとわかりますが、同じ障害の状態でも、障害年金と労災からの年金とでは認定される等級が違う場合があります。

例えば、交通事故により両眼の視力が0.02になった場合、障害年金では1級となりますが、労災では2級となります。

また、同じ障害の状態でも、どちらか一方の年金しかもらえない場合もあります。

例えば、1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になった場合、障害年金の3級までには該当しないですが、労災では7級となります。

その結果、障害年金はもらえないものの、労災からは年金がもらえるということになります。

ただし、障害手当金の1号に該当するため、障害手当金はもらえるということになります。

また、例えば、両手の親指及び人差し指の用を廃した場合、障害年金だと2級7号に該当しますが、労災では併合8級にとどまります。

その結果、障害年金はもらえるものの、労災からは年金がもらえないということになります。

ただし、労災からも障害(補償)一時金や障害特別一時金はもらえるということになります。

このように、障害年金と労災の年金とは後遺障害の等級の基準が違うため、必ずしも両方の年金の受給要件を満たすわけではないという関係にあります。

障害年金と労災年金は併給可

とはいえ、障害年金労災からの年金受給要件をどちらも満たす場合も当然あります。

そのような場合、障害年金も労災からの年金も併せてもらえる、つまり併給できるようになっています。

つまり、障害年金と労災からの年金は併給可能であり、どちらか一方しか受給できないという択一的な関係ではありません。

併給した場合支給調整される

お伝えしたとおり、障害年金労災からの年金併給できますが、両方から全額受給できるわけではない点には注意が必要です。

具体的には、障害年金は全額受け取れますが、労災からの年金は支給調整されて減額した金額しか受給できません。

これは、両制度からの年金が未調整のまま全額支給されると、受給年金額の合計が、被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまうからです。

また、保険料負担につき、厚生年金保険は半額、労災保険は全額事業主が負担しているため、事業主の二重負担の問題が生じてしまうためです。

支給調整される割合(調整率)は、併給される障害年金の種類によって異なり、具体的には下記の表のとおりになります。

障害年金を併給する場合の労災年金の調整率
併給される障害年金の種類 調整率
障害厚生年金及び障害基礎年金 0.73
障害厚生年金 0.83
障害基礎年金 0.88

障害年金と労災からの年金は併給できるが、労災からの年金は支給調整されるということになります。

もっとも、支給調整が行われたとしても、もらえる合計金額が調整前の労災年金より少なくなることはないので、そこはご安心下さい。

後遺障害の年金に関し弁護士に相談したい方はコチラ!

後遺障害の年金に関し弁護士に相談したい方はコチラ!

ここまで後遺障害の年金に関する事柄についてお伝えしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?

スマホで無料相談したい方へ!

人身事故にあわれた方は、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます

24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口で受付しているので、いつでも電話できるのは非常に便利ですね。

また、夜間土日も、電話やLINEで弁護士が無料相談に順次対応しています!

弁護士に無料相談はこちら

※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。

また、交通事故によるケガが重症で、弁護士事務所に訪問できない方を対象に、無料出張相談も行っているそうです。

まずは、電話してみることから始まります。

きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

地元の弁護士に直接相談をしたい方はコチラ

スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。

また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。

サーチアイコン弁護士を探す5秒で完了
都道府県から弁護士を探す
北海道
東北
北陸
甲信越
関東
東海
関西
中国
四国
九州
沖縄

都道府県をお選びください

都道府県をお選びください

都道府県をお選びください

都道府県をお選びください

  1. ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
  2. ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている

弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。

何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。

最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故で重い後遺障害が残ってしまった方にとり、定期的に一定額の給付を受けられる年金は今後の生活において非常に重要になってきます。

しかし、交通事故の後遺障害の年金につき正しい知識を有していないと、本来もらえるはずであった後遺障害の年金がもらえなくなる可能性もあります。

そういった事態が生じることのないよう、後遺障害の年金について、お悩みやお困りのことがある方は、すぐに弁護士に相談してみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 障害年金の種類・受給要件金額・申請の手続き
  • 労災から後遺障害が残ってしまったことによりもらえる年金の種類・受給要件金額・申請の手続き
  • 障害年金と労災年金は併給可能だが、労災保険が支給調整される

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

自宅から弁護士と相談したい場合には、スマホで無料相談の機能を利用してみて下さい!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

後遺障害の関連記事