交通事故|車をぶつけたのに警察呼ばなかったらどうなる?軽い接触事故でも警察に連絡すべき理由
交通事故を起こしてしまっても、軽い接触事故でお互い特にけがもなかったら、警察へ届け出るか迷いがちです。
また、交通事故の後日警察から呼び出されると、非常に緊張しますよね。
今回は、交通事故の加害者の方向けに、
- 交通事故を警察に届け出ないとどうなるのか
- 交通事故で警察から呼び出される理由は何か
- 交通事故を起こしてしまったらどう対応すべきか
について解説していきます。
交通事故の被害が小さいからと言って、自己判断で届け出をやめるのは危険です。
また、警察に届け出ずに示談で解決しようとするケースもありますが、それも危険をはらんでいます。
そうしたことについても解説していきますので、ぜひチェックしてください。
目次
自転車・物損・軽い接触事故…警察を呼ばないと後日問題に?
交通事故で警察を呼ばないとどうなる?
交通事故に遭ってしまっても、大きな事故でなければ警察へ通報しようか迷いがちですよね。
特に自転車同士の事故、人はけがをしていない物損事故、軽い接触事故などは、お互い謝って終わりにしがちです。
https://twitter.com/kxtxax/status/207407388398075904
https://twitter.com/yasuoman/status/16916700610
実際、小さな交通事故であれば、警察を呼ばなくてもいいのでしょうか。
警察を呼ばなかったことで、後日問題が起こることはあるのでしょうか。
どんなに小さな事故でも、必ず警察を呼びましょう。
警察を呼ぶことを怠ると、
- 法律違反になる
- ひき逃げ・当て逃げ扱いになる可能性がある
- 保険を使えない可能性がある
というリスクがあります。
警察を呼ばないということは、事故があったことをうやむやにするということです。
事故の存在を公的に証明することができなくなるため、保険の利用が認められるか、怪しくなります。
また、法律違反になるとか、ひき逃げ・当て逃げ扱いになるなどというのは、怖いですね。
一つ一つ、詳しく理解していきましょう。
交通事故を起こしたときに警察を呼ばなかった場合
- 法律違反になる
- ひき逃げ・当て逃げ扱いになる可能性がある
- 保険を使えない可能性がある
法律違反になる可能性がある
交通事故を起こしたときに警察に報告しないと、どのような法律に違反するのでしょうか。
交通事故を警察に報告しなかった場合、道路交通法違反になります。
道路交通法72条1項では、交通事故発生時の緊急措置義務について述べられています。
道路交通法では、交通事故の際の運転手及び乗務員の義務をいくつか定めています。
その中に、警察への報告義務も定められているのです。
では、実際に道路交通法に記載されている緊急措置義務の内容を確認してみましょう。
①車両の運転の停止 ②負傷者の救護 ③安全の確保を行う |
・警察官が現場にいるときはその警察官に ・いないときは直ちに最寄りの警察官に |
警察へ報告する際の内容は、以下の通りです。
・事故発生の日時場所 ・死傷者の数、負傷者のけがの程度 ・損壊物の損壊の程度、車両の積載物 ・交通事故に対して講じた措置 |
こうした義務が、車の運転手および乗務員に課されるのです。
なお、ここでいう運転手・乗務員とは、加害者側のことも被害者側のことも指します。
たとえ被害者が警察に言わなくていいといっても、義務である以上報告しなければなりません。
逆に言えば、事故を起こして被害者に警察に言わないでほしいと頼むのもだめだということです。
ただし、自宅の敷地内や駐車場等の私有地では通常この義務は発生しません。
したがって、私有地では通常道路交通法違反にはなりません。
警察への報告を怠ったことが発覚すれば、道路交通法違反となり、
- 3か月以下の懲役
- または5万円以上の罰金
が科せられる可能性があります。
ポイント
- 警察への交通事故報告は、道路交通法によって義務とされている
- これに違反すると、3か月以下の懲役または5万円以上の罰金刑になる可能性がある
懲役、罰金という言葉が出てきたので、ここで、懲役や罰金を含む刑事罰について確認しておきましょう。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/atom_h78.png
ひき逃げ・当て逃げ扱いになる
事故後、被害者に謝って、お互い大した事なさそうだったのでそのまま立ち去るということはありがちです。
しかし、後から被害者側でけがや物損が発覚し、警察に届けられることもあります。
そうした場合、ひき逃げ・当て逃げとして扱われてしまう可能性があるのです。
ではここで、ひき逃げと当て逃げとはどういうことなのか、改めて確認しておきましょう。
ひき逃げ | 当て逃げ | |
---|---|---|
事故分類* | 人身事故 | 物損事故 |
内容 | 事故を起こしたときに、道路交通法の定める緊急措置義務を怠って現場を離れること |
*人身事故=人の死傷があった事故、物損事故=人の死傷がなかった事故
ひき逃げ・当て逃げというと、
人身事故や物損事故を起こしても全く見向きもしないで逃げる
というイメージが強いでしょう。
一度止まって現場の確認をしたのに、ひき逃げや当て逃げになることもあるのでしょうか。
道路交通法に定められている緊急措置義務には、警察への届け出やけが人の救護も含まれています。
したがって、ここをきちんと行っていなければ、条件としてはひき逃げ・当て逃げに該当することになります。
要注意なのが、被害者のけががかすり傷程度だったからといって特に何もせず、一言謝って立ち去ってしまうということです。
ありがちですが、これではひき逃げ・当て逃げとして扱われてしまう危険性があります。
車の窓から顔を出して、「大丈夫ですか?すいません」と謝り、大したことなさそうならそのまま立ち去ってしまいがちです。
しかし、これはひき逃げ・当て逃げになる可能性があるということです。
少し事例を見てみましょう。
金沢西署は13日、ひき逃げをしたとして、(略)を自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道交法違反(事故不申告)容疑で逮捕した。「相手の体が大丈夫だと思い、許してほしいとその場を離れた」と容疑を認めているという。
出典:毎日新聞(2018年10月14日)
また、被害者が警察に届け出ようとしているのに、警察への届け出をやめるよう無理に説得するケースもあります。
大したことないとか、ぶつかったのにぶつかっていないと言い張るなどです。
そうした場合にも、ひき逃げ・当て逃げとなる可能性があります。
では、ひき逃げ・当て逃げとして扱われると、どのような処罰を受けるのでしょうか。
ひき逃げ | 当て逃げ | |
---|---|---|
刑事上の処罰* | 10年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
行政上の処罰 | 35点 | 5点 |
民事上の処罰 | ・物損への賠償金 ・けがの治療関係費など を支払う |
物損への賠償金を払う |
*緊急措置義務の中でも被害者の救護義務を怠ったことに対する処罰
表に乗っている刑事上の処罰は、被害者の救護義務を怠ったことについてのものです。
実際には、被害者のけがの具合やひき逃げ・当て逃げ発生時の状況なども考慮して決定されます。
保険を使えない可能性がある
交通事故の後、よく見たら加害者側の車両にも傷ができていたり、体に異変が出たりすることがあります。
また、あとから被害者が車両の修理費やけがの治療費を請求してくる可能性があります。
そうした時に頼りになるのが加入している保険です。
しかし、警察への届け出をしていないと、保険を利用できない可能性があります。
保険を利用するときには、事故が起こった証拠を示さなくてはなりません。
この時の証明書として使われることが多いのは、交通事故証明書です。
交通事故証明書は、警察に事故を届け出て申請すると、都道府県の自動車安全センターから発行されます。
つまり、警察に交通事故を届け出ていないと、交通事故証明書を発行してもらえないということです。
保険利用の申請の際、保険会社はそれが詐欺ではないか確認する必要があります。
交通事故証明書がないと、詐欺ではないこと、本当に事故が起こったということを証明することができません。
そのため、保険を使えない可能性があるのです。
保険を使うためには、交通事故証明書が必要。
交通事故証明書は、警察に交通事故を届け出て、自動車安全センターに申請する必要がある。
警察を呼ばないで交通事故の示談をしてもいい?
交通事故が起こったときに警察に届け出なくても、あとから被害者に届け出られる可能性がある…。
それなら、示談を成立させてしまった方が安心、と思う人もいるでしょう。
では実際、警察に届け出ずに当事者同士で示談をまとめてしまうことはできるのでしょうか。
警察に届け出ずに示談交渉をするリスクとして
- 事故発生当時の状況を示す公的な証拠がない
- 恐喝まがいの示談交渉をされる可能性がある
ということがあります。
人身事故の場合、警察に届け出ることで実況見分調書を作成してもらえます。
これは、実際に現場を確認しながら事故発生当時の状況を記録したものです。
示談交渉で事実関係を証明する際には非常に大切になります。
これがなければ、事故発生当時の状況に関する主張が食い違った場合に、交渉が難航する可能性が高くなります。
基本的に、交通事故の加害者は被害者に対して負い目を負っています。
また、交通事故を届け出ることによるデメリットは加害者の方が大きいです。
そのため、
被害者は警察に届け出てもいいと思っているけれど加害者は警察に届け出てほしくない
ということが多く、こうなると被害者の立場が加害者よりもかなり強くなります。
そうした立場関係を踏まえて恐喝まがいの示談交渉をされる可能性もあります。
不当に高額な示談金を請求され、必要以上に示談金を支払う結果になりかねません。
たしかに、加害者にとっては警察に交通事故を届け出るデメリットがいくつかあります。
しかし、不当な示談金を泣く泣く飲み込むよりは、警察に届け出て、正当な処分を受けた方がいいでしょう。
交通事故の後日届け出は可能?期限はある?
交通事故から数日たってから、やはり警察に届け出た方が…という気持ちになった場合、届け出は可能なのでしょうか。
交通事故の後日警察に届け出をすることは可能で、特に期限はありません。
しかし、届け出を直ちに行わなかった理由を聞かれますので、きちんと説明できるようにしておきましょう。
また、後日きちんと届け出たとはいえ、交通事故直後の警察への報告義務を怠ったことに変わりはありません。
報告義務を怠った場合の処罰を受けることになるので、やはり直後に届け出ておくことが大切です。
ではここでもう一度、警察への報告義務を怠った場合の処罰について確認しておきましょう。
警察への報告義務違反の処罰
✓3か月以下の懲役 または ✓5万円以下の罰金 |
交通事故で警察から呼び出し⁉その理由は調書の作成?
警察から電話!交通事故後の呼び出しの理由は?
警察からの呼び出しの理由
交通事故の後日、警察から呼び出されることがあります。
警察から呼び出しというと、ドキドキしてしまいます。
何のために警察に呼び出されるのでしょうか。
交通事故が届け出られると、警察はその事故の捜査を行い、その内容を記録した書類を作成します。
交通事故の後日に警察が加害者を呼び出すのは、この捜査・書類作成のためなのです。
また、交通事故が刑事事件として扱われた場合には、警察は
作成した資料を検察に送る
ということをしなければなりません。
そして刑事事件の手続きが行われていきます。
ではここで、刑事事件の手続きの流れを確認しましょう。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/atom_h2.png
交通事故後警察に報告し、一通りの対応を終えて自宅に戻っても、また捜査のため呼び出されるということです。
なお、
- 交通事故の被害が大きい
- 飲酒運転・ひき逃げなど悪質性が高い
- 証拠隠滅・逃亡の恐れがある
と判断されると、交通事故後、自宅に帰らず勾留施設で身柄を拘束された状態で捜査を受けることになります。
ではここで、刑事罰が科される可能性のある交通事故とは、具体的にどのような事故なのでしょうか。
刑事事件として扱われる事故として代表的なものには、
- 人の死傷が生じた交通事故(人身事故)
- 道路交通法に違反した交通事故
があります。
それぞれ代表的なものを見てみましょう。
人身事故
罪名 | 内容 | 刑事罰 |
---|---|---|
過失運転致死傷罪 | 自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた | ・7年以下の懲役もしくは禁錮 ・または100万円以下の罰金 |
危険運転致死罪 | 故意に基づく危険な運転により相手を死亡させた | 1年以上の有期懲役 |
危険運転致傷罪 | 故意に基づく危険な運転により相手をけがさせた | 15年以下の懲役 |
発覚免脱罪 | 飲酒運転又は薬物運転により人身事故を起こした者が、飲酒運転や薬物運転の隠ぺいを図った | 12年以下の懲役 |
道路交通法に違反した事故
罪名 | 内容 | 刑事罰 |
---|---|---|
緊急措置義務違反 | 負傷者の救護や警察への報告などの措置を怠った | ・3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金 (警察への報告義務を怠った場合) ・1年以下の懲役又は10万円以下の罰金 (物損事故において、安全確保を怠った場合) ・5年以下の懲役又は50万円以下の罰金 (人身事故において、けが人の救護や安全確保を怠った場合) ・10年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (運転者の運転に起因する人身事故において、けが人の救護や安全確保を怠った場合) など |
酒酔い運転 | 酒に酔った状態で運転した 呼気のアルコール濃度は関係ない |
・5年以下の懲役 ・または100万円以下の罰金 |
酒気帯び運転 | 酒を飲み、呼気のアルコール濃度が0.15㎎以上の状態で運転をした | ・3年以下の懲役 ・または50万円以下の罰金 |
無免許運転 | 無免許や免許の効力が切れた状態で運転をした | ・3年以下の懲役 ・または50万円以下の罰金 |
警察が行う捜査
交通事故の捜査のために警察に呼び出されるということが分かりました。
では、具体的にどのような捜査が行われるのでしょうか。
交通事故で警察が行う捜査には、
- 実況見分捜査
- 取り調べ捜査
がなどがあります。
実況見分捜査は基本的に事故直後に行われます。
当事者からの聞き取りについては、けがの治療がある程度終わってから行われることもあります。
人身事故では実況見分捜査と取り調べ捜査が行われます。
人の死傷がなかった物損事故では、道路交通法違反がなければ、実況見分捜査も取り調べ捜査も行われません。
それでは、実況見分捜査と取り調べ捜査について詳しく見ていきましょう。
実況見分捜査とは
✓実際の事故現場や事故車両などをみながら行う ✓事故発生当時の状況について捜査する ✓道路の状態や天気、見通しなどを確認する ✓事故発生時の当事者の状況について確認する |
よく交通事故の現場で、警察官と当事者と思われる人が話しているのを見かけますよね。
指をさして何かを説明したり現場の様子をチェックしていることが分かると思います。
実況見分捜査とは、そうした捜査のことを指します。
取り調べ捜査とは
✓警察署内で警察からの質問に答える ✓当事者の事故原因や事故状況に関する認識を聞き取る ✓事故前後の行動内容を確認する ✓加害者側の過去の交通違反や前科の内容を確認する |
実況見分捜査が実際に現場に赴いて行われるのに対し、取り調べ捜査は警察署にて行われます。
取り調べは、場合によっては複数回行われることもあります。
交通事故で警察が作成する調書とは?その内容は?
捜査が終わったら、警察は捜査結果を資料にまとめます。
こうした捜査結果をまとめた資料のことを、調書といいます。
人身事故の場合、これらの調書は完成後、検察に送られます。
これらの調書や追加の捜査から、加害者を起訴するか起訴しないかを判断します。
また、裁判になった際には証拠としても使われます。
実況見分調書は被害者との示談交渉の際、事故当時の状況を証明するために用いられることもあります。
実況見分調書 | 供述調書 | |
---|---|---|
内容 | ・実況見分捜査の内容 ・事故当時の様子を図面にして記録 |
・取り調べ調査の内容 |
役割 | ・検察にて起訴・不起訴の判断材料になる ・裁判での証拠になる ・示談交渉の際の証拠になる |
・検察にて起訴・不起訴の判断材料になる ・裁判での証拠になる |
警察署で交通事故の調書作成!所要時間は?
「実況見分捜査や取り調べ捜査が終わったら、調書作成は警察がしてくれるから、もう帰っていい」
ということなのでしょうか。
実況見分捜査や取り調べ捜査の所要時間はまちまちであり、一概にいうことはできません。
2~3時間で終わることもあれば、8時間など長時間に及ぶこともあります。
https://twitter.com/tyanta2358/status/170952420095041536
https://twitter.com/goom1221/status/240002037344002048
大抵は実況見分捜査や取り調べ捜査の後、そのまま調書の確認が行われます。
交通事故の届け出マニュアル|直後の対応を確認
交通事故直後の対応・届け出は?チェックリストで確認
続いて、交通事故を起こしてしまった場合の対応方法についてみていきましょう。
ここで確認しておけば、いざというときに必要な対応を見落とさずに済みます。
事故後対応リスト
- 警察への通報
- けが人の救護や救急への通報
- 事故現場の安全確保
- 事故の相手との情報交換
- 目撃者への捜査協力依頼
- 警察の取り調べに応じる
警察への通報、けが人の救護や救急への通報、事故現場の安全確保は道路交通法の義務です。
絶対に外すことのないようにしましょう。
事故の相手との情報交換は、義務ではありません。
しかしその後のやり取りや示談交渉のことを考えると、交換しておいた方がいいです。
加害者の立場だと、あまり自分の身分や連絡先を明かしたくないと感じるかもしれません。
ただ、示談や裁判になったときのことを考えると、素直に情報交換しておいた方が、心証の面でもいいでしょう。
届け出の際のポイントは?
交通事故で警察に届け出るときのポイントには、どのようなものがあるのでしょうか。
まず初めの大きなポイントとして、物損事故か人身事故かがあります。
物損事故とは、人の死傷がなかった事故のことです。
一方、人身事故とは人の死傷があった事故のことを指します。
人身事故は刑事事件として扱われますが、物損事故は基本的に民事事件として扱われます。
ただし例外もあります。
故意に物損事故を起こした場合や、道路交通法で定められている緊急措置義務を怠った場合です。
物損事故で届け出るか人身事故で届け出るかによって、刑事事件になるかどうかがかわるということです。
- 物損事故→基本的に民事事件として扱われる
- 人身事故→刑事事件として扱われる
では、人身事故として扱われる場合と物損事故として扱われる場合とでは、どのような違いがあるのでしょうか。
人身事故 | 物損事故※ | |
---|---|---|
生じる責任 | ・刑事責任 ・民事上の責任 ・行政上の責任 |
民事上の責任 |
処罰 | ・刑事罰 ・被害者への賠償金支払い ・免許点数の加算 |
被害者への賠償金支払い |
取り調べ | ・実況見分捜査 ・取り調べ捜査 |
なし |
※道路交通法違反などがない場合
刑事事件の方が、生じる責任も処罰も取り調べも多いことが分かります。
人の死傷が生じたのですから、刑事事件である人身事故の方が責任も罰も重いのは納得できるかと思います。
また、被害者に対する賠償金も、人身事故か物損事故かで大きく変わります。
では、被害者に対する賠償金の内訳も比較してみましょう。
物損事故 | 人身事故 | |
---|---|---|
物損に関わる損害 | 〇 | 〇 |
けがの治療・入院関係費 | ✖ | |
慰謝料 | ||
休業損害 |
物損事故なら、被害者はけがをしていないので、治療費を払う必要がありません。
また、けがによって休業することもないので休業中の収入を補償する必要もありません。
また、慰謝料は物損に対しては基本的に支払われないので、慰謝料も発生しません。
加害者感情からすると、被害者のけががごく軽度なものなら物損事故として届け出たいと思いがちです。
しかし、被害者がけがをしてしまい、人身事故として届け出たいと考えているなら、それを受け入れた方が誠実です。
交通事故の被害者が後日診断書を提出…提出期限とその影響は?
被害者のけがもなく、物損事故として届け出ることができて安心…。
そう思っていたのに、後から被害者のけがが発覚して、物損事故が一転、人身事故になることもあります。
ありがとうございます。
今は物損事故になってて
警察の方も痛くなったら病院に行って診断書もらったら人身事故にします。って言ってました。
また相談させて貰うと思います。
よろしくお願いします。🙇— MouT09 (@MouT09) 2018年11月1日
うわわ。大変なことに!
次の日に首に痛みが出たりするので用心されて下さいませ。
私も物損から人身に切り替えたことがあります。— Coolin△なごやTK816 (@Coolin) October 30, 2018
実際、事故直後は何ともなかったのに、時間がたつにつれて痛みが出てくることはあります。
その場合、被害者による診断書提出を受けて、物損事故が人身事故に切り替えられる可能性があります。
人身事故への切り替えの期限は特に定められていません。
しかし、事故後あまりに時間がたっていると、事故とけがとの関係性が不明確になります。
そのため、遅くても事故後10日以内には提出されることが多いです。
物損事故から人身事故への切り替えやその後の対応はどのように行われるのでしょうか。
加害者側で何かすることが増えるのでしょうか。
簡単に確認してみましょう。
人身事故への切り替え
- ① 被害者が病院で診断を受け、診断書を受け取る
- ② 被害者が診断書を警察に提出し、人身事故に切り替わる
- ③ 被害者・加害者が呼ばれ、捜査が行われる
人身事故に切り替えられると、加害者も警察に呼び出され、実況見分捜査が行われます。
物損事故では、道路交通法違反がない場合は捜査は実況見分捜査も取り調べ捜査もありません。
しかし、人身事故に切り替えとなると、これらの捜査が必要になるため、協力しなければなりません。
交通事故で警察の呼び出しを受けたら、弁護士に相談
警察からの呼び出し、調書作成の際に弁護士がいるメリット
交通事故で警察に呼び出されると、緊張してしまいます。
そんな時、弁護士がいれば
✓今後どのような流れになるのかを事前に聞ける ✓取り調べの際の注意点を教えてもらえる ✓取り調べについて困ったことがあれば相談できる ✓弁護士がいるという安心感がある ✓先を見通したアドバイスをもらえる |
というメリットがあります。
弁護士から、交通事故の内容を踏まえて、取り調べの際の注意点が聞けるのは非常に有意義です。
また、今後予想される処罰を知っておくことができれば、それに備えた準備もできます。
人身事故の場合には、初期段階から、起訴されて裁判になった場合のことを見通したサポートをしてもらえます。
交通事故を起こしてしまっただけでも焦りや不安を非常に感じやすくなっています。
そのうえ警察から呼び出されて捜査されると、精神的にも大変です。
そんな時に弁護士がそばにいて、今後の見通しや目の前のことへの対処法を教えてくれると、かなり楽になりますね。
弁護士への相談手順は?
交通事故で警察に呼び出される可能性があるなら
- ① 今後どのような処罰を受ける可能性があるのか
- ② 取り調べを受ける際の注意点
について、弁護士に相談するのがベストです。
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。