後遺障害2級の交通事故慰謝料|1億8733万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害2級の判例についてご紹介します。
2級は、労働能力は100%喪失されたものとされ、1人で生活することが非常に厳しい状態です。
もし後遺障害2級が認定された場合、慰謝料や逸失利益はどのくらい支払われるのでしょうか?
実際の裁判例ではどのようにして金額が算定されたのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級2級(男・36歳)損害額1億8733万9624円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成19年(ワ)第26615号・平成19年(ワ)第15893号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部外傷・右急性硬膜外血腫・脳挫傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「信号のない十字路交差点を北から西へ右折進行していた加害普通乗用車と西から東へ転回途中の被害自動二輪車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 個人事業主 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 36歳 |
事故の内容 | 信号のない十字路交差点を北から西へ右折進行していた加害普通乗用車と西から東へ転回途中の被害自動二輪車が衝突した。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、右急性硬膜外血腫、脳挫傷、右下腿骨開放骨折、皮膚欠損および左腓骨骨折 |
後遺障害等級 | 併合2級(高次脳機能障害:3級3号、右下肢機能障害:10級11号、右下腿皮膚欠損:12級相当、頭部開頭術後の醜状痕:14級11号) |
入院 | 67日 |
被害者は比較的入院日数は短かったものの、重篤な後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億8733万9624円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2620万円 |
うち休業損害 | 1563万0525円 |
うち逸失利益 | 1億1092万1612円 |
損害総額は1億8733万9624円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億8733万9624円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が250万円、後遺障害の慰謝料が2370万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入は711万3643円、休業日数は症状固定日までの802日間が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は休業損害と同じく711万3643円、労働能力喪失率は100%、労働能力喪失率は31年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は高次脳機能障害に加えて右足にも後遺障害が残ってしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
3級以上の障害では、その障害のみで基本的に労働能力は完全に失われたと判断されますので、その他に障害が残っても労働能力喪失率は100%で変化はありません。
本件での右足の後遺障害については、それが併合となりより上位の2級と認定されることで、慰謝料や将来介護費用の算定に影響することになります。
本件でも、足の障害を併合して2級と認めた判断にしたがって、2級基準での慰謝料の支払いが認められています。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害2級の慰謝料計算の特徴は?
2級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に2級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、2級の場合、裁判基準では2,370万円となっております。
また、2級の場合には、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
さらに、別表Ⅰ第2級1号の高次脳機能障害の場合には、将来介護費を請求できます。
もっとも、その金額には争いがあり、どこで誰がどのような看護をするか等の具体的看護の状況によって金額が変わってきますので、その点をしっかりと主張する必要があります。
ただし、これらのポイントは一般的・総論的なお話であり、事故に遭われた方々の事情によって変わることがあります。
それぞれの事情に合ったアドバイスを受けるためには、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみると良いでしょう。