後遺障害逸失利益は学生でも受け取れる!高学歴だと計算方法は変わる?

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後遺障害逸失利益は学生でも受け取れる!高学歴だと計算方法は変わる?

交通事故後遺障害が残ってしまったけど逸失利益は無収入の学生だと認められないの?」

「逸失利益が認められるとしたら学生の基礎収入はどう計算するの?」

「学生といっても立場はそれぞれのはずだけど全部同じ扱いをされてしまうの?」

交通事故にあわれて後遺障害まで残ってしまった方からすれば、せめてなるべく多くの損害賠償額を受け取りたいと思われるのではないでしょうか?

交通事故に巻き込まれるというのは、はじめての方が多いでしょうから後遺障害による逸失利益を学生でももらえるかなんて知らなくて当然かと思います。

しかし、後遺障害の逸失利益を理解しておかないと学生の方が最終的にもらえる賠償額が少なくなってしまう可能性があるんです!

このページでは、そんな方のために

  • 逸失利益は学生でも受け取れるのか
  • 学生の基礎収入の計算方法
  • 学生の立場によって基礎収入が異なるか

といった事柄について、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

後遺障害による逸失利益は交通事故の損害賠償の中で大きな割合を占める損害の項目です。

しかし、学生の方の逸失利益は増額の可能性があるにもかかわらず、案外見過ごされがちです。

ここで、後遺障害の逸失利益をしっかり理解して、学生の方も適正な賠償額を受け取れるようにしましょう。

交通事故後遺障害学生に残った場合、以下のツイートのような疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか?

このような疑問を持たれるのは、おそらく学生が無収入であるからだと思われます。

では、収入の有無と逸失利益とはどういう関係にあるのでしょうか?

まずは、逸失利益の定義などから確認していきたいと思います!

逸失利益は収入のない学生でも受け取れる!

逸失利益は収入のない学生でも受け取れる!

逸失利益は将来の収入の補填

後遺障害の逸失利益・基礎収入の定義

後遺障害逸失利益とは、

交通事故による後遺障害が残存しなければ被害者が得られたであろう経済的利益を失ったことによる損害

をいいます。

そして、その逸失利益の計算項目の一つである基礎収入とは

後遺障害が残らなければ、将来得られていたであろう収入

のことをいいます。

学生は将来収入が得られる可能性が高い

この定義からすれば、現在無収入でも、将来働き、収入が得られる可能性があったのであれば、逸失利益は認められることになります。

そして、学生は通常将来働き、収入が得られる可能性が高いので、逸失利益は学生にも認められることになります。

計算方法自体に違いはない

調査してみたところ、逸失利益計算方法自体は、有職者の方と同じようです。

具体的には、逸失利益を算出するための計算方法は以下のようになります。

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数)

労働能力喪失期間の始期に注意!

もっとも、学生は症状固定時には働いておらず、無収入であり、減収が発生しないため、労働能力喪失期間の始期の扱いが異なります。

学生の場合には、就労が開始されると推定される時期が労働能力喪失期間の始期になります。

具体的には

  • 高校生以下の場合には原則として18歳
  • 大学生以上の場合には大学等の卒業予定時

が始期となります。

労働能力喪失期間
場合 始期 終期
原則 症状固定日 67歳
高校生以下 18歳※
大学生等 卒業予定時

※大学進学の可能性が高ければ大学卒業時の場合も

学生の場合には、労働能力喪失期間が長くなることが多い結果、逸失利益の金額が高額になることが多いです。

しかし、任意保険会社は様々な理由をつけて、労働能力喪失期間を短期に制限してくることがあります。

学生の労働能力喪失期間が争われる場合には、増額の余地が大きいため、弁護士に相談してみることをおすすめします。

学生の基礎収入の計算方法は?

学生の基礎収入の計算方法は?

基本は賃金センサス

学生の逸失利益が認められるとしても、収入がないため、具体的に基礎収入をいくらにして計算すればいいのでしょうか?

結論から申し上げると、原則として賃金センサスの男女別全年齢平均賃金を基礎収入として計算するようです。

理論的には、将来得られるであろう収入が基礎になるところ、

学生が将来得られるであろう収入は予測が困難なため、平均賃金を採用する

という考えに基づくものです。

ただし、学生が大学生の場合には、将来大卒の平均賃金が得られる可能性が高いため、

賃金センサスの大卒の平均賃金

を基礎収入として計算することが多いようです。

進路が固まっていれば例外も

もっとも、高校生以下の学生であっても、大学への進学が確実視される場合には、賃金センサスの大卒の平均賃金を基礎収入にして計算します。

大学への進学が確実視される場合とは、

大学に合格していた

場合のみならず

  • 進学校に在学していて、成績も優秀
  • 大学の附属校に在学していて、本人も大学進学を希望している

場合などが考えられます。

また、既に就職内定が決まっていたような場合には、内定先の平均賃金を基礎収入として計算する場合があるようです。

ただし、賃金センサスの大卒の平均賃金で計算する場合、基礎収入は全年齢平均賃金よりも高額にはなりますが、

労働能力喪失期間の始期が大学卒業予定時となり、その分労働能力喪失期間が短縮される

結果、全年齢平均賃金で、労働能力喪失期間を18歳として算定した場合よりも逸失利益の額が少なくなる場合がある点には注意が必要です。

男女平等は基礎収入にも適用?

先ほど見たように、学生基礎収入男女別の全年齢平均賃金を原則としております。

これは、現状では男女間に賃金の格差が存在することを前提としています。

しかし、近年は、男女雇用機会均等法の改正などにより、将来的には男女間の賃金格差が無くなる可能性が高いと考えられています。

そこで、年少女子については、男女を合計した全労働者平均賃金を基礎収入として、逸失利益を計算するのが原則となっております。

何歳までを年少女子として扱うかについては争いがありますが、少なくとも義務教育修了前は年少女子として扱われるようです。

義務教育修了後であっても、その女子学生の

  • 在籍する学部
  • 学部生の就職状況

などから、男女間格差を考慮するのは相当ではないと判断できる場合には、全労働者平均を基礎収入とする場合があります。

女子学生の基礎収入に争いがある場合には、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

最後に、立場ごとの基礎収入を検証した表を作成してみましたので、ご参照下さい。

基礎収入検証
場合 原則 例外
就労者 実収入 賃金センサス
中学生以下 全労働者全年齢平均賃金 男女別全年齢平均賃金
高校生以下 男女別全年齢平均賃金 ・大卒平均賃金
・全労働者全年齢平均賃金(女子)
大学生等 男女別大卒平均賃金 ・内定先の平均賃金
・全労働者大卒平均賃金(女子)

※一般的な傾向

高学歴者の基礎収入は高額になる?

高学歴者の基礎収入は高額になる?

大学生の場合には、基礎収入として大卒の平均賃金が用いられることはわかりました。

しかし、一言に大学生といっても、その立場は様々です。

一般的には、高学歴の方のほうが将来高い収入を得られる可能性が大きいようにも思えます。

では、学歴によって用いられる基礎収入が変わることはあるのでしょうか?

以下、具体的な立場ごとに検討していきたいと思います!

医学部生

まず、医学部生は、ほぼ全員が医師国家試験を受けることになります。

そして、医師国家試験の合格率は高く、平成30年の合格率は90.1%となります。

そのため、医学部生であれば、将来、医師としての収入を得る可能性が高いとして、医師の平均賃金を基礎収入とすることがあるようです。

下記の裁判例も、賃金センサスの医師の平均賃金を基礎に逸失利益を算定しています。

Aは、(略)、本件事故当時22歳でE大学医学部三年に在籍し、医師になるため勉学していたことが認められる。

してみれば、わが国における医師国家試験の実態に照らして、Aは、平成10年3月に大学を卒業して医師国家試験に合格の上、26歳となる平成10年6月以降67歳に至るまで医師として稼働した蓋然性が極めて高いものということができる。

そこで、当裁判所において入手可能な直近の統計資料である平成8年度の賃金センサス第三巻、第四表の医師(男)・企業規模計の全年齢平均の給与額を基礎として(以下略)

法学部生

これに対し、法学部生のうち、司法試験を受けるものは一部の者に限られます。

また、司法試験は、医師国家試験に比べ合格率が低く、平成30年の合格率は29.11%となります。

法務省は11日、2018年の司法試験に前年より18人少ない1525人が合格したと発表した。(略)

合格率は3.25ポイント増の29.11%と2年連続で上昇。(以下略)。

そのため、法学部生は、将来、弁護士等になる可能性が高いとはいえないので、大卒の平均賃金以上の加算が認められる可能性は少ないようです。

名門大学の大学生

また、国公立大学や有名私大等の名門大学の学生でも、

どの会社に就職し、将来的にどれくらいの収入が得られるかは様々

なので、大学がどこかという点のみで、逸失利益を一律に加算することは少なく、賃金センサスの平均賃金で計算する例が多いようです。

高学歴者の基礎収入検証
立場 基礎収入※ 理由
医学部生 医師の平均賃金 医師になる可能性高い
法学部生 大卒の平均賃金 弁護士等になる可能性高いとはいえない
名門大学の大学生 将来の就職先は様々

※例外あり

平均賃金よりも高額な基礎収入が認められるかどうかは

将来的に平均賃金よりも高額な収入を得られる可能性が高いことを立証できるかどうか

がポイントとなります。

その立証ができれば逸失利益が大幅に増額する可能性もあるので、まずは弁護士に相談して、増額の余地があるかどうかを確認してみましょう。

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

冒頭でもお伝えしたとおり、後遺障害による逸失利益は交通事故の損害賠償の中で大きな割合を占める損害の項目です。

しかし、学生の方の逸失利益は増額の可能性があるのに、安易に示談をしてしまえば、大幅な増額の可能性を失うかもしれません。

後遺障害の逸失利益を学生の方がどれくらい受け取れるのか、少しでも疑問があれば、示談する前に必ず弁護士に相談しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 逸失利益は学生でも受け取れるが、労働能力喪失期間の始期の扱いが異なる
  • 学生の基礎収入の計算方法
  • 学生の立場によって基礎収入が異なるか

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故に遭って悩み事がある方は、是非、上のスマホで無料相談全国弁護士検索を使ってみてください。

下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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