日弁連交通事故相談センターの評判|費用は無料!?相談だけでなく示談あっせんも!
交通事故の被害者になってしまった場合…。
自分が受けた被害や精神的苦痛に対する補償を受け取るために、相手側の保険会社と示談交渉する必要があります。
その示談条件に納得できれば良いですが、納得できないケースも多いようです。
そんなときは、どうすれば良いのでしょうか!?
実はそんなとき、交通事故の「紛争処理機関(ADR)」なるものが存在しているようなのです。
その中でも特に有名なのが、「日弁連交通事故相談センター」と「交通事故紛争処理センター」の2つのようですね。
このページでは特に、「日弁連交通事故相談センター」にスポットを当てて見ていきたいと思っています。
- そもそも、日弁連交通事故相談センターとは!?
- 相談に費用がかからないってホント!?
- 相談だけでなく、示談あっせんもしてくれるってホント!?
- 交通事故紛争処理センターとの違いとは?
- 実際に利用した人からの評判は!?
など、日弁連交通事故相談センターの評判やメリット、デメリットを一緒に勉強して、少しでも交通事故の紛争解決の悩みを減らせたら嬉しいです!
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の被害に遭われ、さらに、相手方保険会社とのやり取りでストレスを感じていらっしゃる方も少なくありません。
そんなとき、交通事故紛争処理機関を利用することは、非常に有力な選択肢の一つです。
しかし、まだまだ知られていない部分も多いようです。
今回は、少しでも理解を深めていただけるよう、わかりやすく解説していきたいと思います。
「日弁連交通事故相談センター」に関する基礎知識
被害者の方と、相手側の保険会社で行われる示談交渉…。
営利企業である保険会社は、加入者を増やすために保険料を安く設定しています。
その分、被害者に支払う慰謝料も少ない金額で済ませたいはず…。
ということで、低い賠償額(任意保険基準)を提示してくることがほとんどのようです。
そんなとき、まず思いつくのは、弁護士に相談することかもしれません。
弁護士が交渉すると、保険会社は弁護士基準と言われる、保険会社の基準よりも高い賠償額まで増額してくれるそうです。
しかし、弁護士基準の満額ではなく、8~9割の金額を提示してくることが多いようです。
そこで示談してしまっても良いですが、どうしても納得がいかない場合には、裁判などをすることになります。
しかし、弁護士に依頼して、調停や裁判を行うことになれば、それなりに費用も発生してきます。
そこで、その前段階として、日弁連交通事故相談センターや交通事故紛争処理センターによる示談あっせんという手段もあるようなのです。
ではここから、特に「日弁連交通事故相談センター」について詳しく見ていきたいと思います!
日弁連交通事故相談センターとは
まず、そもそも「日弁連交通事故相談センター」とはどのようなものなのでしょうか?
日弁連交通事故相談センター
自動車事故に関する損害賠償問題の適正かつ迅速な処理を促進し、公共の福祉の増進に寄与することを目的として、日本弁護士連合会(日弁連)により昭和42年に設立された公益財団法人。
運営は弁護士が行っているようです。
また、運営費は、国庫補助金や弁護士などからの寄付金などでまかなわれているそうです。
相談した場合は、中立な立場の弁護士が担当してくれることになります。
費用は!?すべて無料ってホント!?
センターの運営費の大部分は寄付金でまかなわれているということでしたね。
また、交通事故の被害者救済を目的とした公益財団法人であるため、センターへの相談などには費用が発生しないということです。
つまり、無料で相談できるということですね!
それは非常にありがたいです。
センターへの相談についてご紹介
無料で相談ができるということはわかりましたが、どこでどのような相談ができるのでしょうか?
まず、2019年8月時点では、全国157ヶ所で相談を受け付けているようです。
相談できる内容
また、日弁連交通事故相談センターに相談できる内容としては、以下のようなものがあるそうです。
内容 | 具体例 | |
---|---|---|
① | 損害賠償額の算定 | ・損害の種類 ・損害額算定の具体的方法 など |
② | ・賠償責任の有無 ・過失の割合 |
・損害を賠償する義務の有無 ・事故当事者の過失割合 など |
③ | 賠償責任者の認定 | ・会社所有車の事故、マイカーで会社の仕事中の事故など勤務中の事故 ・下請け会社の起こした事故に対する元請け会社の責任 ・車の貸借中の事故 ・無断転貸や子名義の車の事故に対する親の責任 ・駐車車両の責任 ・盗難車の事故 など |
④ | 損害の請求方法 | 誰にどのように請求すべきか など |
⑤ | 自賠責や任意保険関係の問題 | ひき逃げや無保険車による事故 など |
⑥ | その他交通事故の民事上の法律問題 | ・示談の仕方 ・時効 など |
相談の方法としては、電話相談と面談相談の2つから選べるとのことです。
電話相談
「電話相談」は文字通り、電話で相談担当の弁護士と話ができるようになっています。
弁護士への相談は無料ですが、通話料は別でかかるようです。
ただし、時間は約10分と決められているそうです。
具体的な事例についてじっくり相談に乗ってもらうというよりは、一般的な疑問や質問をしたい場合に適しているかもしれませんね。
また、無料ということで、電話がつながりにくい相談所もあるようです。
一応、その対策として、毎月10日は「拡大電話相談日」とし、
- 受付時間の延長
- 相談員の増員
という対応が行われているそうです。
面談相談
一方の「面接相談」は、こちらも文字通り、相談所へ出向いて、無料で直接弁護士と相談できるようになっています。
ただし、事前の予約が必要なようなので、忘れないようにしてください。
面談相談の時間は、約30分となっているそうです。
時間内で有意義な相談を進めるために、
- 交通事故証明書
- 医師による診断書
- 治療費の明細
- 事故前の給与明細
- 自動車保険の証券
などを、可能な範囲で準備しておくと良いでしょう。
複雑な事情などがある場合には、30分では足りない可能性があります。
事前に、話す内容や必要書類などをまとめておけたらベストですね。
相談できない内容
一方、刑事処分や行政処分についての相談は受け付けていないということです。
また、上で紹介した「相談できる内容」であっても、相談を拒否されるケースもあるようです。
たとえば、同じ内容の相談が3~5回を超えた場合には、相談自体が拒否されてしまうとのことです。
他には、事故の当事者以外からの申込みの場合も、一定の親族(例:同居の親族や四親等以内の親族など)を除いて、相談を受け付けてもらえないことがあるそうです。
できるのは相談だけじゃない!?「示談あっせん」も可能!
ここまでで、日弁連交通事故相談センターについてや、無料で電話相談ができることがわかってきました。
ところで、センターでは、相談だけでなく、示談あっせんも行ってくれるそうなのです。
そもそも「示談あっせん」とは
斡旋(あっせん)の意味は以下の通りです。
一般には、うまく進むように間に入って世話をし、とりもつこと。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
つまり、センターによる示談あっせんとは、
損害賠償に関する当事者同士の話し合い(示談交渉)がうまくいかない場合に、センターの弁護士が間に入って、示談がうまくまとまるようにとりもつこと
ですね。
「示談あっせん」も費用がかからないってホント!?
そして、この示談あっせんも、なんと無料で行ってくれるそうです。
もしも、センターではなく、裁判所での調停を行うことになった場合には費用が発生します。
そう考えると、無料で示談あっせんを行ってくれるのは非常に嬉しいところです。
ただし、示談あっせんについては157ヶ所全ての相談所で行われているわけではないようです。
示談あっせんを行っている相談所は、2019年6月時点で全国43ヶ所に限られるとのことでした。
センターのホームページ内にある「相談書一覧」の「取扱業務内容」の欄に、「示談あっせん」と書かれている相談所を探してみてください。
示談あっせんが可能な事案
無料で示談あっせんが行われているとはいえ、どんな事案であっても申し込めるというワケではないようです。
センターでの示談あっせんが可能な事案としては、
自賠責保険、または自賠責共済に加入することが義務付けられている車両による自動車事故
に限られるとのことです。
物損事故の場合
事故によるケガ人などがいない物損事故の場合には、損害賠償者が特定の任意保険または任意共済のいずれかに加入している場合のみ受け付けているそうです。
特定の任意保険もしくは任意共済として挙げられているのは以下の通りです。(2019年3月現在)
1. あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
2. アクサ損害保険株式会社
3. イーデザイン損害保険株式会社
4. AIG損害保険株式会社
5. SBI損害保険株式会社
6. 共栄火災海上保険株式会社
7. セコム損害保険株式会社
8. セゾン自動車火災保険株式会社
9. ソニー損害保険株式会社
10. 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
11. そんぽ24損害保険会社
12. 大同火災海上保険株式会社
13. 東京海上日動火災保険株式会社
14. 日新火災海上保険株式会社
15. 三井住友海上火災保険株式会社
16. 三井ダイレクト損害保険株式会社
17. 楽天損害保険株式会社
※50音順
人身事故の場合
事故による負傷者が発生した人身事故の場合には、自賠責保険もしくは自賠責共済に加入している自動車であれば、すべて可能ということです。
また、無保険の場合についても受け付けてくれるようです。
示談あっせんに適しているケースとは
その中でも、特に示談あっせんに適しているケースがあるようです。
実際のところ、すべてのケースが日弁連交通事故相談センターでの示談あっせんに適しているとは限りません。
以下の4つのポイントを全て満たしているような場合は、示談あっせんに適していると言えるでしょう。
- 治療が終了、もしくは症状固定済みのケース
- 後遺症の有無や等級認定に争いがないケース
- 過失割合に決定的な争いがないケース
- 既に相手側から示談金について具体的な提示があるようなケース
それ以外の場合については、まずは無料相談で確認してみた方が良さそうですね!
示談あっせんの流れ
示談あっせんに適しているようなケースで、実際に申し込んだ場合には、以下のような流れで進んでいくことになるようです。
被害者の方が、センターに示談あっせんの申し込みを行うと、第1回の示談あっせん期日に、被害者と加害者の双方が呼び出されるとのこと。
そこで、センターの示談あっせん担当の弁護士が、双方の話を聞くそうです。
その後、約1ヶ月おきに示談あっせん期日が開かれます。
そして、最大3回目までの期日の中で示談あっせん案が提示され、双方が同意すれば示談成立となるんですね。
示談が成立しなかった場合は…
ただし、「示談あっせん」を利用しても示談が成立しないケースも考えられます。
その場合、被害者はセンターに申し出ることで、事案をセンターの「審査」にかけることができるそうです。
そうなれば、相手側の保険会社はその審査の結果に従わなければならないという一定の強制力があります。
よって、示談が成立しない場合にも、裁判所などでの手続きを行わなくても、示談交渉が解決できる可能性が残されているということになります。
ただし、審査結果に強制力を持たせることができるのは、相手側の保険会社が特定の「共済」に加入していることが条件となります。
よって、損保の自動車保険への強制力はないという点には注意が必要です。
相手側の保険会社が損保だった場合、審査を申し出ても、結局納得のいく賠償を受けることはできず、裁判所での調停などに移行することになってしまいます。
そうなれば、それまでの時間がムダになってしまいますね…。
よって、審査を申し出る前に相手側の保険の状況を確認しておくことが非常に重要ということになります!
審査が可能な9共済
- 1. 全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)の「マイカー共済」
- 2. 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)の「自動車共済」
- 3. JA(農業協同組合)の「自動車共済」
- 4. 自治協会・町村生協(全国町村職員生活協同組合)の「自動車共済」
- 5. 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)の「自動車共済」
- 6. 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)の「自動車共済」
- 7. 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)の「自動車共済」
- 8. 交協連(全国トラック交通共済協同組合連合会)の「自動車共済」
- 9. 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)の「自動車共済」、全自共と日火連(全日本火災共済協同組合連合会)の「自動車総合共済MAP(共同元受)」
【注目】日弁連交通事故相談センターの評判は!?
ここまでで、日弁連交通事故相談センターについてだいぶ詳しくなってきましたね。
しかし、利用するにあたっては、実際に利用されたことがある方の評判や口コミを聞いてみたいところです。
そう思っている方もたくさんいらっしゃるはず…。
日弁連交通事故相談センターを利用された方(略)のご意見を伺いたいのですが?
無料相談という事ですが、弁護士の方の印象、親身になって相談にのって頂けるのか?相手保険会社と示談斡旋していただけるのでしょうか?
そこで、センターに対する評判や口コミを調べてみました。
日弁連交通事故相談センターによるアンケート結果
平成30年12月から平成31年1月にセンター自身が実施したアンケート結果があるようです。
それによると、センターを利用してみた感想としては、
(1)大変役に立った 62%
(2)役に立った 29%
(3)参考程度にはなった 7%
(4)あまり役に立たなかった 1%
というアンケート結果だったらしく、90%以上の方が「役に立った」と感じたそうです。
その他、具体的な声も紹介されていました。
- わからないことばかりだったので、今後どうすればいいか分かってよかったです。(中国地方 Tさん)
- 調停に行く際に必要な書類を教えてくれて助かりました。(関東・甲信越 Sさん)
- 担当弁護士の話が分かりやすかったです。(九州 Eさん)
- わかりやすく親身になって相談にのってくれ、不安な気持ちが解消されました。(関東・甲信越 Aさん)
- 大変不安ななかで霧がはれたような気分です。大変ありがたいです。(関東・甲信越 Nさん)
- 慰謝料の具体的な金額が聞けて良かったです。(関東・甲信越 Mさん)
- 判例、今までの示談斡旋結果に基づいた判断をうかがうことができ、参考になりました。(関東・甲信越 Aさん)
保険会社との示談交渉なんて、初めての経験の方がほとんどのはずです。
そんなとき、今後の流れなどについて親身に話を聞いてくれて、過去の事例なども含めわかりやすく説明してくれれば、非常に心強いですよね!
Twitterやネット上での評判・口コミ
ここからは、ネット上で発見したセンターに関する評判や口コミを見てみましょう。
センターに相談したことで、実際に慰謝料が増額したという方もいらっしゃいました。
自分が交通事故ったとき(過失0)日弁連の交通事故相談センターに相談に行った。当時(20年近く前)は県内になくて隣県まで行った。今サイトみると県内にもあるね。入院慰謝料(実費とは別)が弁護士先生がこれは安すぎるから保険屋に言ったげる、と言って3倍弱になったぞ。
— かなさん (@chokotannochako) January 15, 2017
交通事故なら日弁連の交通事故相談センターに行けば無料で弁護士が相談に乗ってくれるよ
示談の交渉や適切な保険金の支払いとかやってくれる
相談回数に制限あるけど弁護士から連絡くればたいていの人間は一発で折れる
オレはこれでが当初の提示額の数倍の保険金を貰うことができた— ニト (@corvinus00) August 23, 2017
一方で、こんな意見もありました。
日弁連交通事故相談センターの利用について、1回の利用は30分の制限が付いています。
そのため、弁護士が事故の内容について充分に理解しないうちに、30分が経過してしまい、相談者が相談できないケースも多くあります。
最後まで、キチンと説明され、その結果、赤本の金額の慰謝料をもらえるケースは、珍しいと存じます。
たしかに、電話相談は10分以内、面談相談は30分以内の時間制限があるということでしたよね。
30分の中で、複雑な事情などをすべて説明するのはなかなか難しいようです…。
また、解決までの進行は早いけれど、「審査」が必要となった場合には、相手側の保険会社が共済保険でなければ意味がないという声もやはりありました。
日弁連交通事故相談センターは解決が早いですが共済系の自動車保険でない限り最終的な強制力が働きません。
日弁連交通事故相談センター
【メリット】
進行が速いです。うまくいけば、申し立てから3、4ヶ月で示談が成立します。相手が共済なら、強制力が働きます。
【デメリット】
損保が相手の場合は、強制力が働きません。三回までで示談が成立しなければ、決裂となります。
事故様相や後遺障害について、双方が対立し、歩み寄りが期待できない事案は受理されません。
日弁連交通事故相談センターの評判・口コミまとめ
ということで、センターに対する評判を以下にまとめてみました。
日弁連交通事故相談センターに相談すべきかの参考にしてみてください!
まとめ
日弁連交通事故相談センターの評判
担当弁護士 | ・話がわかりやすかった ・親身に相談にのってくれた ・判例やこれまでの示談あっせん結果に基づいた判断をしてくれた |
---|---|
進行 | ・解決までの時間が早い ・場合によっては3~4ヶ月で示談が成立する |
「審査」における強制力 | ・相手が共済なら働く=賠償額増額の可能性あり ・相手が損保なら働かない |
その他 | ・1回の相談時間が30分以内で事故の個別事情を十分理解してもらえない ・示談あっせん3回までで示談が成立しなければ決裂となる ・お互いの主張があまりにもかけ離れている場合には受理されない |
気になる!交通事故紛争処理センターとの違い
ところで、交通事故に関する相談を受ける団体としては、「交通事故紛争処理センター」というものもあるという話が出ていましたね。
交通事故紛争処理センターにいってきます。
— nɹɐsɐɯ ɐʞonʞoʇ (@t_macya) July 11, 2018
では、ここからは紛争処理センターとの違いについて見ていきましょう。
交通事故紛争処理センターとは
紛争処理センターも、日弁連交通事故相談センターと同じく、無料で交通事故相談や、紛争の解決に向けた和解斡旋が行われています。
中立な立場の弁護士が担当してくれるという点も同じです。
交通事故紛争処理センターについては、こちらの記事で詳しく解説されています。
良ければご覧になってみてください。
日弁連交通事故相談センターとの違い
では、名前や運営しているところが違うだけで、やっていることは同じではないか!?と思ってしまうところですが…。
同じなのであれば、いったいどちらに相談すれば良いのかわからなくなってしまいますよね。
㈶日弁連交通事故相談センターと㈶交通事故紛争処理センターについて教えてください。
相手保険会社との示談がなかなか思うように進まず、
㈶日弁連交通事故相談センターと㈶交通事故紛争処理センターのどちらかで
示談の斡旋をしてもらおうと思っております。
(略)
私の今回の事故は、100%相手が悪いので、個人(私) 対 相手の保険会社(JA保険)と今まで交渉を続けてきました。
こういった場合は『粉セン』と『日弁連』のどちらに示談の斡旋をお願いしたら良いのでしょうか??
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1019681980
しかし、明確な違いがあるようなので、ここから説明していきたいと思います。
違い①相談のタイミング
まずは、相談のタイミングです。
日弁連交通事故相談センターでは、ケガの治療中であったり、後遺症が残ってしまった場合の後遺症等級が確定する前の段階でも相談することが可能ということです。
しかし、紛争処理センターについては、
- 治療終了後
- 後遺症が残った場合には、その等級認定手続きが完了した後
でしか相談することができないそうです。
違い②相談所の数
また、相談所の数について、日弁連交通事故相談センターは、全国に157ヶ所あるということでした。
示談あっせんを受け付けている相談所は43ヶ所のみでしたが、紛争処理センターの相談所はもっと少なく、全国11ヶ所のみとなっています。
東京などの大都市圏で、どちらのセンターもある場合は良いですが、紛争処理センターが近くにない場合には、日弁連交通事故相談センターを利用するしかないかもしれませんね。
違い③電話相談の可否
日弁連交通事故相談センターでは、簡単な法律相談などに関しては電話相談を受け付けているとのことでしたね。
しかし、紛争処理センターでは、電話相談は受け付けておらず、来所相談のみということです。
紛争処理センターの電話では、来所相談の予約を受け付けているようです。
相談の気軽さでいうと、電話相談ができた方が良いかもしれませんね。
違い④解決までの時間
日弁連交通事故相談センターの示談あっせんの期日は、1ヶ月に1回程度で最大3回までということでした。
よって、進行が早く、早ければ示談あっせんの申し込みから3ヶ月ほどで示談が成立することになります。
一方の紛争処理センターでは、和解斡旋の期日は1ヶ月に1回程度で同程度のようです。
そして、3~5回で和解成立となることが多いということです。
ただし、そもそも処理件数の多い東京などでは、和解斡旋の予約から1回目の呼び出しまでに3ヶ月ほどかかることもあるようです。
よって、解決までにトータルで半年以上かかることもあるということになります。
違い⑤相手側の保険会社への強制力
ここまで見ると、日弁連交通事故相談センターの方が良いかな…と思ってしまいます。
ただし、日弁連交通事故相談センターでは、相手側の保険会社が損保だった場合、「審査」に回すことができず、強制力がないということでした。
よって、最大3回までの示談あっせんで示談が成立しなければ、訴訟などが必要になってしまいます。
一方、紛争処理センターでは、和解が不成立だった場合の「審査」の強制力が損害保険会社にも及びます。
この点は、相談者側からすると大きなメリットと言えそうですね。
違い⑥弁護士の紹介
他には、相談や示談あっせんの結果、裁判になる可能性が高い場合には、日弁連交通事故相談センターでは弁護士を紹介してくれるそうなのです。
一方、交通事故紛争処理センターでは、弁護士を紹介してくれることはありません。
まとめ
日弁連交通事故相談センターと交通事故紛争処理センターの違い
日弁連交通事故相談センター | 交通事故紛争処理センター | |
---|---|---|
費用 | 無料 | |
立場 | 中立 | |
相談所の数 | 157ヶ所※ | 11ヶ所 |
電話相談 | 〇 | × |
相談のタイミング | 治療中でも相談可能 | ・治療終了後 ・後遺障害認定手続き完了後 |
進行 | 早い ・示談あっせん期日:1ヶ月に1回程度 ・示談あっせんは最大3回まで ・早ければ3ヶ月で示談成立 |
遅い ・和解斡旋期日:1ヶ月に1回程度 ・多くが5回までで和解成立 ・トータルで半年以上かかるケースも |
審査における強制力 | 損保への強制力がない | 損保にも強制力が働く |
弁護士の紹介 | あり | なし |
※ 示談あっせんを受け付けているのは43ヶ所
以上、日弁連交通事故相談センターと交通事故紛争処理センターの違いについてまとめてみました。
どちらに申し立てるのが良いのか…それぞれにメリットとデメリットがあるということですね。
被害者の方と相手方保険会社の紛争度合いにもよりますが、
- 加害者の加入する保険が共済であれば、時間優先で日弁連交通事故相談センターに申し立てる
- 加害者の加入する保険が損保であれば、時間がかかっても交通事故紛争処理センターに申し立てる
などの判断が必要となってきます。
ちなみに、1つのADR機関を利用中の場合は、別のADR機関を利用することはできません。
それぞれのメリット・デメリットをよく理解したうえで、相談することが大切ですね!
日弁連交通事故相談センターのメリット・デメリット
では最後に、ここまでの総集編として、日弁連交通事故相談センターのメリットとデメリットをまとめてみましょう。
また、一番最初に話に挙がっていた、弁護士に依頼した場合との違いについても軽く触れておきたいと思います。
センター利用のメリット
メリット①費用が無料
なんといっても、メリットは相談や示談あっせん費用が0円なところですね。
センターでの示談あっせんにより紛争が解決すれば、費用がかからずに終われる点は非常にありがたいです。
弁護士費用特約
ただし、弁護士事務所に所属する弁護士に依頼する場合でも、最近では無料相談を受け付けている弁護士事務所も多いです。
また、被害者の方が加入されている自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、
- 300万円を上限として、保険会社が弁護士費用を支払ってくれる
- 相談が有料の事務所であっても、10万円を上限として相談料についても支払ってくれる
というメリットがあるとのことです。
まとめ
弁護士費用特約のメリット
弁護士費用特約 | ||
---|---|---|
あり | なし | |
相談料 | 10万円まで負担なし | 被害者負担 |
手数料・着手金・報酬 | 300万円まで負担なし※ | 被害者負担 |
※ 任意保険会社の運用によっては、300万円の範囲内であっても、弁護士費用が一部支給されないことがあります。
この特約をうまく活用すれば、弁護士に依頼したとしても、実質負担0円になるということですね!
見落としがちなのが、被害者のご家族の自動車保険もチェックすることです。
ご自身がつけていなくても、同居中のご家族や、別居中のご両親の自動車保険(単身の場合のみ)に弁護士費用特約がついていれば、特約を利用することが可能です。
自分の保険だけでなく、家族が弁護士費用特約をつけていれば利用することができるんですね。
その場合、センターでの相談を経るよりも、早い段階で弁護士に直接依頼をしてしまった方が良いケースもありそうです。
しかし、自身またはご家族の保険に特約がない場合には、弁護士費用はすべて被害者の方のご負担となってしまいます。
その場合にはやはり、まずは紛争処理機関(ADR)への相談が適しているのかもしれません。
メリット②交通事故の弁護に強い弁護士
もしも病気の手術をすることになった場合、どんな医者でも良いというワケではなく、腕の良いお医者さんに頼みたいですよね。
交通事故の弁護も同じです。
弁護士なら誰でも良いというワケではなく、「交通事故の弁護に強い弁護士」に依頼するべきです。
そこで、日弁連交通事故相談センターでは、「交通事故の弁護に強い弁護士」が相談を担当してくれるというところも心強いメリットになります。
というのも、センターは50年以上にわたって交通事故の被害者の方を救済するための事業を行ってきています。
2018年度には、35,721件の相談があり、示談あっせんでの示談成立率も82.83%にのぼったそうです。
交通事故に強い弁護士を自力で探すには
一方、センターには相談せず、全国に約4万人いる弁護士の中から、交通事故の弁護に強い弁護士を自分で探すとなると、なかなか厳しいものがあります。
しかし、ここで、「交通事故に強い弁護士」を簡単に探せるサービスを発見しました。
上記のサービスでは、
- ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
- ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている
弁護士を特選して、47都道府県別にまとめられています。
日弁連交通事故相談センターには相談できないような事例で、ご自身で弁護士を探すことになった場合には、ぜひ利用なさってみてください!
メリット③気軽に相談しやすい
また、紛争処理センターなどと検証した場合ですが、相談所が全国に多数あるので、相談しやすいというメリットがありましたね。
先ほども紹介しましたが、全国159ヶ所の相談所はコチラです。
一般的な質問をしたいだけならば電話相談で良いですし、電話だけで解決できないようであれば、面接相談に移ることができます。
治療中でも相談を受けてもらえるのも、被害者の方にとっては心強いはずです。
もちろん、ご自身で弁護士に相談する場合でも、治療中の段階から相談することは可能です。
メリット④進行が早い
示談あっせん期日が1ヶ月に1回程度開催されるため、早ければ3ヶ月で示談が成立するという話も出ていましたね。
紛争処理センターでは、半年ほどの時間がかかるということでした。
弁護士に依頼した場合、示談交渉だけで済めば早期の解決が見込めますが、裁判となれは、終わるまでに平均して1年近くかかるようです。
紛争が早期に解決できれば、精神的負担からも早期に解放されることになるはずです。
まとめ
日弁連交通事故相談センターのメリットと弁護士依頼との違い
日弁連交通事故相談センター | 弁護士事務所の弁護士 | |
---|---|---|
費用 | ・相談も示談あっせんも無料 | ・弁護士費用が発生する ・弁護士費用特約があれば実質0円 |
弁護士 | ・交通事故専門の弁護士が対応 | ・交通事故に強い弁護士を探す必要あり |
相談のしやすさ | ・全国に相談所があり出向きやすい ・電話相談も可能 |
・最近は無料電話相談を行っている事務所も多い |
解決までの期間 | ・短期(最短3ヶ月) | ・長期(裁判になれば1年程度)※ |
※ 示談だけであれば、ケースバイケース。センターよりも早期に解決できる可能性もある。
センター利用のデメリット
デメリット①電話がつながりにくい
ただし、無料で気軽に相談できるとあって、電話が繋がりにくいところもあるようです。
日弁連交通事故相談センターさんよ、頼むから電話に出てくれ
— YOSUKE (@yo_sukeeeeei) September 6, 2013
それだけ多くの人に頼られているとも言えますが、すぐに電話がつながらない場面もあることは、あらかじめ留意しておきましょう。
デメリット②相手側の保険会社に対する強制力
また、被害者の方と相手側の保険会社の主張額にかなりの差がある場合には、センターの示談あっせんを利用しても示談が成立しない可能性があります。
その場合は、センターに「審査」を申し出ることになります。
しかし、加害者が加入している保険が損保であった場合、その審査結果に強制力はないということでしたね…。
そこから裁判所での調停などへ移行するのであれば、最初から弁護士事務所に依頼しておいた方が良いかもしれません。
保険会社との主張に大きな差があっても、交渉してもらうことができて、望む結果がいち早く得られる可能性が高まります。
デメリット③あくまで中立な立場
最後に、センターはあくまでも「中立」な立場であり、被害者の方の最大限の利益のために動くわけではないということです。
また、相談担当弁護士は、問題点の整理や必要書類の指摘などの助言は行ってくれるものの、必要書類の取り付けやその交渉などまでは行ってくれません。
一方、弁護士事務所の弁護士は基本的に、「依頼者の最大限の利益」のために動いてくれます。
適切な賠償額の獲得に向け、裁判で適切かつ十分な主張をしてくれるはずです。
また、仕事を休んで出向く手間や必要書類を取り付ける手間など、様々な面倒事のサポートも行ってくれるでしょう。
まとめ
日弁連交通事故相談センターのデメリットと弁護士依頼との違い
日弁連交通事故相談センター | 弁護士事務所の弁護士 | |
---|---|---|
連絡の取りやすさ | 電話がつながりにくい相談所もある | LINEや電話相談を受け付けている事務所もある |
相手側の保険会社への影響力 | 損保に対してはない | 争いのある部分についてしっかりと主張立証し増額が認められる |
立場 | あくまでも中立 | 100%依頼者の味方 |
ここまで、日弁連交通事故相談センターを利用する際のメリットとデメリットをまとめてきました。
弁護士事務所に所属する弁護士に依頼した場合との違いについても理解を深めていただけましたでしょうか。
日弁連交通事故相談センターに相談すれば無料で示談斡旋による解決が見込まれるため、費用をかけて弁護士を依頼する必要が無さそうです。
しかし、保険会社と争いのある部分は、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるということでした。
具体的に受け取れる賠償額がいくらになるか、という点はケースバイケースですが、一般論としては以下のようになります。
賠償額の大小
弁護士つけて裁判 > 弁護士つけて交渉 > 示談斡旋
交通事故の示談交渉に争いが生じた場合には、自身の置かれた状況を冷静に見極め、適切な機関に相談・依頼できるのがベストです。
お伝えの通り、無料相談を行っている弁護士も多いので、依頼しないとしても、ご自身だけで対応できそうか、ぜひ相談してみてください。
交通事故の示談交渉に関する争いは弁護士にも相談できます!
以上、日弁連交通事故相談センターについての理解を深めていただけましたでしょうか。
最後に、実は日弁連交通事故相談センターの東京支部では、赤い本と呼ばれる書籍の発行も行っているんです。
「赤い本」掲載の損害賠償額算定基準の賠償額を獲得したいなら…
正式名称は、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準。
この「赤い本」には、交通事故の損害項目ごとに、金額の相場が掲載されていて、過去の裁判例も多く紹介されているそうです。
よって、東京地裁をはじめとする全国の裁判所における判決の基準として位置づけられており、実務上、非常に重要な書籍なのだそうです。
「赤い本」に掲載されている賠償金を確実に受け取りたいのであれば、やはり弁護士相談もオススメです!
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もしも弁護士に相談したいと思ったなら…。
先ほどもご紹介しましたが、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます!
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
はじめて事故に遭われた直後で流れが何もわからず、すぐに相談されたいという方も多いと思います。
そんなとき、仕事や家事の合間でも利用できるこちらのサービスをぜひご活用いただければと思います。
また、交通事故によるケガが重症で、弁護士事務所に訪問できない方を対象に、無料出張相談も行っているそうです。
まずは電話することから始まりますので、お気軽に電話相談してみてください。
地元の弁護士に直接相談したいなら
スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。
また、既に弁護士への依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスが良いということでしたね。
こちらのサービスなら、交通事故に強い弁護士が簡単に探せますので、検索してぜひ直接相談しに行ってみてください。
最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、交通事故後の対応や保険会社との示談交渉に関してお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
日弁連交通事故相談センターの利用は、交通事故紛争を解決するうえで、非常に有力な選択肢の一つです。
しかし、事案によっては裁判や他のADR機関を利用した方が適切な場合もあります。
もっとも、様々な紛争解決手段の中からどれを選択すれば良いのか、お一人で見極めるのは難しいと思います。
そんなときは、ぜひ弁護士に相談をして、どの手段を採用するのが最も適切かを一緒に検討してみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
このページを最後までご覧になってくださった方は、
- 日弁連交通事故相談センターに関する基礎知識
- センターでの相談や示談あっせんの流れ
- 交通事故紛争処理センターとの違い
- 実際に利用した人からの評判や口コミ
- 日弁連交通事故相談センターのメリットとデメリット
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
センターへの相談以外に、弁護士への依頼に興味を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!
そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
このページが、少しでも交通事故に遭われた方のお役に立てれば幸いです。
日弁連交通事故相談センターについてのQ&A
日弁連交通事故相談センターとは?
自動車事故に関する損害賠償問題の適正かつ迅速な処理を促進し、公共の福祉の増進に寄与することを目的として設立された公益財団法人です。運営は弁護士が行っており、運営費は、国庫補助金や弁護士などからの寄付金などでまかなわれています。相談した場合は中立な立場の弁護士が担当してくれることになります。 日弁連交通事故相談センターとは
交通事故の相談に費用がかからないのはホント?
相談は無料で受けることができます。センターの運営費の大部分は寄付金でまかなわれています。交通事故の被害者救済を目的とした公益財団法人であるため、センターへの相談は無料で行われています。弁護士費用でご不安な方は、まずこのセンターで話を聞いてもらうとよいかもしれません。 交通事故の相談費用が無料?
交通事故紛争処理センターとの違いは?
交通事故紛争処理センターとの違いは①相談のタイミング、②全国に設置された相談所の数、③電話相談の可否、④解決までの時間、などの点で違いがあり、どちらを利用するかは個々人の状況によってもメリットが変わってくるといえます。 日弁連交通事故相談センターの特徴
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。