交通事故の示談は人身と物損事故では大違い!適切な示談金を受け取るためには…

  • 交通事故,示談,人身

この記事の内容をまとめると以下の通りです。
  • 交通事故の示談とは、「当事者間の話し合いにより一定額の金銭を支払い、紛争を解決すること」
  • 交通事故には人身事故と物損事故があるが、怪我をした場合は人身事故扱いにしないとしっかりとした補償を受け取れないリスクがある
  • 人身事故の示談を進める際のポイントは以下の5つ

・保険会社の言いなりにならない

・冷静な対応を心がける

・交渉の記録を残す

・裁判を恐れない

・弁護士に相談する

交通事故人身事故)の被害にあわれ、加害者側との示談についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。

author okano
岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

交通事故示談とは一般的に、

裁判によらず、当事者間話し合いにより、一定額の金銭を支払い、その後それ以上の損害賠償請求をしないと当事者間合意し、紛争を解決すること

と定義付けられています。

ただし、その合意内容については、人身の場合と物損の場合で大きく異なります。

そこで、まずは人身事故と物損事故の違いについて見ていきましょう。

人身事故と物損事故の違い

人身事故と物損事故の違い

まず、「人身事故」とは、交通事故で被害者の方が怪我をしたり死亡してしまった事故のことを言います。

車両が壊れている場合でも、死傷者の方がいらっしゃる場合には人身事故となります。

一方の「物損事故」とは、怪我人などがおらず、器物の損壊のみが生じた事故のことになります。

ちなみに器物とは、車両だけでなく、家屋や電柱、ガードレール、縁石、フェンスなども含まれます。

怪我をした被害者の方が人身事故にすべき理由

人身と物損事故では、損害賠償加害者の処分に関して、以下のような違いがあります。

物損事故と人身事故の違い
物損事故 人身事故
怪我の治療費 受け取れない
※負傷者ありの物損事故扱いケースは受け取れる場合あり
受け取れる
怪我や後遺症、死亡に対する慰謝料
仕事を休んだ場合の補償
逸失利益
警察作成書類 物件事故報告書 実況見分調書
過失割合 証拠が得られない 争いが生じた場合の証拠が得られる
加害者の行政処分 付加点数が加算されない※ 付加点数が加算される
加害者の刑事処分 ない 自動車運転危険致死傷罪や危険運転致死傷罪に該当する可能性

※ 道路交通法違反の場合は付加される。

物損事故は、本来怪我人などがいないはずなので、原則的には治療費や慰謝料などを受け取ることはできません。

もっとも、実際には怪我人が発生しているにも関わらず、物損事故扱いとなっているケースは少なくありません。

怪我を負ったのに物損事故扱いになってしまうと、怪我をしたことに対する示談金を十分に受け取れない可能性やリスクがあります。

また、加害者側の刑事処分や行政処分も人身の場合と比較して軽いものとなってしまいます。

そのため、加害者としては、物損事故にしたがる人も多いようです。

人身事故を物損にしてほしいと加害者がしつこくて困っています。

交差点を右折しようと停車中に後ろから追突されました。

事故後すぐ痛みがあったので警察には人身事故といい、翌日病院受診しすぐに診断書を提出、調書をとってもらいました。

その後警察から連絡があったのか加害者から連絡があり点数とられるから物損にしてほしいと言われました。

しかし、実際に怪我をしているのであれば、治療費などの示談金を十分に受け取るために、必ず人身事故扱いにする必要があります!!

人身事故に関する過去の判例

ではここで、人身事故に関する過去の判例を見てみましょう。

平成26年1月30日/横浜地方裁判所/判決/平成25年(ワ)1408号
怪我の内容
頭部・顔面打撲、顔面挫創、頚椎捻挫、左肩挫傷、右上腕挫傷、左前腕挫傷、顔面部末梢神経障害、左上肢末梢神経障害、左腰部挫傷、右腸骨部挫傷、左膝左足関節打撲挫傷、右大腿挫傷の傷害(実通院日数120日)
後遺症
外貌に醜状を残すもの(1214号)
局部に神経症状を残すもの(149号)
→併合12
示談金
治療関係費:209220
通院交通費:68450
休業損害:98149
逸失利益:4669179
慰謝料:通院慰謝料(120万円)+後遺障害慰謝料(290万円)
物損:671480

この場合、もしも人身事故の届け出をしていないと、物損の67万1480円しか受け取れなかった可能性があります。

また、後遺症の等級認定を受けていなければ、後遺障害慰謝料(290万円)+逸失利益(466万9179円)も受け取ることが基本的にできません。

よって、まずは人身事故の届け出をし、怪我の治療、それでも治らなければ後遺症の等級認定を受けることが非常に重要となるんですね。

後遺症の等級認定の申請方法や、受け取れる示談金については、こちらの記事をご覧ください。

そして、ここからは人身事故への切り替え方法について見ていきましょう。

物損事故から人身への切り替え方法

物損事故から人身への切り替え方法

手続き①病院に行って診断書をもらう

怪我をするような人身事故に遭った場合、まず最初にやることは何でしょうか?

まずは、病院を受診し、担当医師に診断書を作成してもらってください。

怪我をしたら、もちろん病院に行くとは思いますが、そこで診断書を書いてもらう必要があるのですね!

診断書については、基本的には病院の担当医師に作成してもらう必要があるそうです。

診断書の内容としては、事故との因果関係についても必ず触れてもらうようにお願いしてください!

手続き②警察に人身事故の届出をする

病院で診断書を受け取った後は、どうすれば良いのでしょうか。

事故を管轄(担当)している警察署に、病院からもらった診断書を持っていき、人身事故への切り替え手続きを依頼する必要があります。

警察で人身切り替えの手続きをする際に、病院の診断書が必要なのですね。

事故直後でも、後から怪我が発覚した場合であっても、まずは病院で診断書を受け取り、それを警察に提出するという手続きを忘れないようにしましょう!

まとめ

人身切り替えの手続き流れ

どこに 誰が
①病院で診断書をもらう 整骨院ではなく病院 怪我をした人
②警察に切り替えを依頼 事故を起こした現場を管轄する警察署 被害者と加害者および事故によって怪我をした全ての人

人身への切り替えの期限は?

ところで、後から怪我が発覚した場合でも、切り替えは可能ということでしたが…。

切り替え手続きに期限などはあるのでしょうか?

怪我したことはわかっていても、仕事の都合などでなかなか病院に行けず、診断書をもらうのが遅くなってしまったというケースも考えられますよね。

切り替え期限は、法的に言えばありません。

しかし、期限がないからいつでも良いということでもありません。

というのも、事故から時間が経過すると、因果関係が明らかでなくなり、警察が積極的に応じてくれなくなることがあり得ます。

人身事故への切り替え手続きは、事故後なるべく速やかに行う必要があるということを覚えておいてください。

ということで、切り替え期限は長くても7日~10日が目安。

ベストとしては、事故後2日~3日以内には病院に行き、すぐに警察に診断書を提出することなのだそうです。

人身事故の示談の流れやポイントについて解説

人身事故の示談の流れやポイントについて解説

事故発生~示談交渉開始まで

人身事故の場合、もし怪我の程度が軽く、後遺症が残らないような場合には、怪我の治療が終了し、治療に要した日数や治療費の総額などが確定した段階で示談交渉を開始することになります。

治療に要する日数は、怪我の程度や治療の経過によって様々なので一概には言えません。

打撲などの軽症の場合には、1週間程度で示談交渉を開始することもできるでしょう。

怪我が重症なほど示談開始までの期間は長くなります。

一方、後遺症が残るような場合には、後遺症に対する損害賠償を受け取るため、まず後遺症の等級認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定の流れ

ちなみに症状固定とは、これ以上治療を続けても効果が見込まれないと判断された段階のことになります。

症状固定

医学上、一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態

そして、これ以上治療の効果が期待できないような症状が後遺症として認定されることになります。

一般的には、事故後6ヶ月程度で症状固定に至ることが多いとされているようです。

後遺症の等級認定にかかる期間

そして、多くの場合、6ヶ月程度で症状固定をした後に、後遺症の認定申請をすることになります。

申請から認定結果が出るまでの審査期間は、多くは1ヶ月程度、場合によっては3ヶ月以上かかることもあるようです。

つまり、この後遺症の申請から認定までにかかる期間に、怪我から症状固定に至るまでの治療期間や申請までにかかる準備期間を合わせると、数ヶ月から長くて1年以上かかることもあるのですね。

また、もしも認定結果に納得がいかない場合には、異議申立て裁判が必要になることもあり、さらに時間がかかってしまうでしょう。

後遺障害の認定結果通知後の流れ

示談交渉開始~成立まで

後遺症が残らなかった場合には治療終了後、後遺症が残った場合には等級認定の結果に納得した後から示談交渉が開始となるわけですが、ここでも過失割合について争いになることがあるそうです。

物損事故と同じように、過失割合についてどちらかが納得しない場合には示談交渉自体が難航し、解決までに長時間がかかることになるでしょう。

どうしても話がまとまらない場合には、やはり裁判が必要となり、何ヶ月もかかるケースも考えられます。

交通事故の裁判の流れ

最高裁判所の統計データによると、交通事故の民事裁判の第一審の訴えを提起してから終局するまでの平均審理期間は12.3ヶ月のようです。

そして、半年から1年以内に終局する事案が60%程度で、2年を超える長期事案は全体の6%程度となっています。

よって、通常のケースであれば、半年~1年半程度で裁判が終了すると言えそうです。

つまり、人身事故の場合、早く解決できれば1ヶ月程度で示談がまとまることもありますが、半年以上かかることも珍しくはないと言えそうです。

人身事故の示談交渉にかかる期間
事故発生~示談交渉開始まで 1週間~1年以上
後遺症の等級認定まで 1ヶ月~3ヶ月以上
示談交渉開始~成立まで 1ヶ月~半年以上
合計 2ヶ月~1年半程度

※ 裁判となった場合はさらに長引くことがあります。

人身事故の示談交渉のポイント

そして、示談交渉を行ううえでは、以下のポイントに気を付ける必要があります。

人身事故の示談にあたっての心構え
保険会社の言いなりにならない
冷静な対応を心がける
交渉の記録を残す
裁判を恐れない

詳しくは、こちらの記事もご覧になってみてください。

とはいえ、交通事故に何度もあったことがあって、示談交渉に慣れているという方はほとんどいらっしゃらないはずです。

適切な示談を進めるためにも、不安・不明な点がある場合には、弁護士相談だけでもしてみてください。

スムーズに示談を進められるだけでなく、他にも様々なメリットが得られるはずです。

まとめ

弁護士に依頼した場合のメリット

弁護士に依頼した場合 弁護士に依頼しない場合
怪我の治療 継続できる 打ち切られる可能性
後遺症の認定 適正な等級が認定される 適正な等級認定を受けられない可能性
示談金 大幅に増額できる 非常に低い
過失割合 有利になる可能性 不利な過失割合でも覆せない
交渉の手間 保険会社との煩雑なやりとりから解放 保険会社とのやりとりが煩雑でストレスもかかる

交通事故(人身事故)の示談について弁護士に無料相談したい方はコチラ!

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以上、交通事故人身事故)の示談に関して理解を深めていただけたでしょうか。

ストレスなく示談を進め、適正な損害賠償を受け取るために、示談を弁護士に任せたい!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 人身事故物損事故の違い
  • 物損から人身への切り替え方法
  • 交通事故人身事故)の示談の流れやスケジュール

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

ストレスなく、スムーズな示談を行うためには、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです。

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、人身事故の示談に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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