外傷性散瞳の後遺障害等級は?正しい認定で適切な慰謝料を獲得するために…

  • 外傷性散瞳,後遺障害

外傷性散瞳の後遺障害等級は?正しい認定で適切な慰謝料を獲得するために…

ある日突然、交通事故で外傷性散瞳後遺障害が残ってしまったとしたら…。

これからも長く続く治療リハビリの生活では、

  • 外傷性散瞳から回復するために支払う治療費
  • 怪我をしたことや後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
  • 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費

の問題を避けて通ることはできません。

さて、ここで問題です。

外傷性散瞳の後遺障害との関係で、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

※ 知っている人はみんな利用している方法です!

生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。

選択肢①:

外傷性散瞳との関係で、後遺障害認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

外傷性散瞳によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

外傷性散瞳を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

裁判、増額請求、再計算…。

正解は、この記事の後半で弁護士先生に詳しく解説してもらいましょう!

それでは、外傷性散瞳の後遺障害でお悩みの方へ。

外傷性散瞳による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。

ぜひご一読ください。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、外傷性散瞳の後遺障害が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、ご本人やご家族への負担は非常に大きいものです。

実際に、後遺障害でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

まず、外傷性散瞳(さんどう)とは、なんとなくどのような状態のことなのかご存知の方もいらっしゃると思います。

鈍的な打撲により、瞳が小さくなったり、大きくなったりすることができず、瞳が大きく(外傷性散瞳)なったままの状態

しかし、具体的な症状治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。

まずは、外傷性散瞳についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。

外傷性散瞳の後遺障害|症状や回復に向けた治療法の大切なポイント

外傷性散瞳の後遺障害|症状や回復に向けた治療法の大切なポイント

外傷性散瞳の症状とは…

通常、瞳(瞳孔)は、光の量に応じてその径を変化させ、まぶしさの調整をしています。

散瞳とは、その瞳孔が過度に拡大してしまう状態のことで、外傷性散瞳とは、外傷が原因で散瞳になってしまうことです。

散瞳は、「瞳孔散大」とも呼ばれるそうです。

Mydriasis

球技や格闘技、交通事故などで、眼球や目のまわりが鈍的外傷を受けた場合に、外傷性散瞳となる恐れがあります。

目に強い力が加わることで、筋肉が損傷してしまうことと、急激に眼圧が上がることで筋肉内の血管障害が起こることが主な原因と言われています。

では、外傷性散瞳になると、どのような症状が現れるのでしょうか。

調べてみたところ、以下の通りということです。

外傷性散瞳の症状
  • 強い光の下でも瞳が小さくならないため、「眩しさ」や「ぼやけ」が現れる。
  • 散瞳が大きければ大きいほどその症状は強くなる。
  • 前房出血を伴うことが多く、瞳の部分に血液が溜まることによる急激な「視力低下」が起こる。

前房出血とは、鈍的外傷により眼球が陥没し、虹彩や毛様体が傷つき、前房中に出血してしまうことです。

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また、この散瞳により、外傷性の続発性緑内障が発症する可能性もあるということです。

逆に、瞳が小さくなってしまう外傷性縮瞳が発症する場合もあるそうです。

眼の外傷歴や、瞳の拡大の確認、眼科検査(視力や眼圧、眼底検査)により、外傷性散瞳が確定されます。

外傷性散瞳の治療法

では、外傷性散瞳に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??

完治することは可能なのでしょうか…。

残念ながら、麻痺してしまった瞳を手術的に小さくしたり、点眼薬によって治すことは不可能ということです。

しかし、時間が経過すると徐々に回復してくることがあるそうです。

調べてみたところ、通常、眩しさを軽減するために、虹彩付きコンタクトレンズを付けるという処置が行われるそうです。

早ければ、2週間前後で治癒するとのことでした。

【注目】外傷性散瞳に対する後遺障害等級認定基準について解説

以上、手術などによる根本的な治療法がないため、残念ながら後遺障害が残ってしまうケースもあるようです。

ここで、後遺障害の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。

残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。

外傷性散瞳の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?

外傷性散瞳は、瞳孔の対光反射(瞳に入る光の量の調節)に支障が生じ、羞明(まぶしさ)を感じるという後遺障害が残る可能性があります。

そして、対光反射の支障の程度、羞明の程度、労働への支障の程度、両眼か1眼かにより、11級~14級が認定される可能性があります。

具体的には以下の表のとおりです。

外傷性散瞳での後遺障害等級認定基準
傷害の状態 後遺障害等級
両眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明により労働に著しい支障 11級
1眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明により労働に著しい支障 12級
両眼の瞳孔の対光反射が不十分で、羞明により労働に支障
1眼の瞳孔の対光反射が不十分で、羞明により労働に支障 14級

知らないと損する①外傷性散瞳の治療に対する慰謝料や治療費は?

知らないと損する①外傷性散瞳の治療に対する慰謝料や治療費は?

外傷性散瞳の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。

しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

最初に、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

とお聞きしました。

ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。

治療費の支払いは誰が?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できる!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが難しい場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

入通院慰謝料の相場について解説

治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

知らないと損する②外傷性散瞳の後遺障害に対する慰謝料・示談金・保険金は?

知らないと損する②外傷性散瞳の後遺障害に対する慰謝料・示談金・保険金は?

治療中の費用の補償については、わかってきました。

ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!

選択肢①:

外傷性散瞳との関係で、後遺障害認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

外傷性散瞳によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

外傷性散瞳を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。

正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。

そうなのですね!?

では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。

選択肢①後遺障害の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する

すでにお伝えの通り、外傷性散瞳では、後遺障害が残る可能性があります。

外傷性散瞳に対する後遺障害の等級についてはすでにお伝えしました。

その等級に応じて、後遺障害の慰謝料の金額が変わってくるそうなのです。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

外傷性散瞳の場合の後遺障害慰謝料※1
後遺障害等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
11級 135 150 420
12級 93 100 290
14級 32 40 110

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

このホームページでは、後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。

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自分やご家族の事故ではどれくらいの金額が請求できるのか…。

登録などは不要なので、ぜひ一度試してみてください!

選択肢②失った将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する

治療費や慰謝料以外にも、外傷性散瞳によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。

主には、休業損害逸失利益の主張をするということになるそうです。

治療中に失った収入「休業損害」

まずは、休業損害について見てみましょう。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700円 1日あたりの基礎収入
上限 19000円

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

失った将来の収入「逸失利益」

次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。

逸失利益

後遺障害により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺障害認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、外傷性散瞳による後遺障害が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺障害が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺障害に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺障害の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの検証
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 9~10割※1
弁護士をつけて裁判 10割

弁護士費用※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。

つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、外傷性散瞳を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。

交通事故の流れ

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、外傷性散瞳の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

外傷性散瞳の後遺障害に関する過去の裁判例
ケース①
職業:小学生(8歳男の子)
傷害:外傷性散瞳その他
後遺障害:散瞳による著名な羞明(12級相当)その他
《損害賠償》
入通院慰謝料:148万円
後遺障害慰謝料:1180万円
逸失利益:4318万8217円
付添看護費:53万5470円
ケース②
職業:会社員(29歳男性)
傷害:外傷性くも膜下出血その他
後遺障害:右眼外傷性散瞳による羞明(14級相当)その他併合8級相当
《損害賠償》
入通院慰謝料:325万円
後遺障害慰謝料:2000万円
休業損害:690万円
逸失利益:6529万5253円
ケース③
職業:中国人留学生(27歳男性)
傷害:びまん性脳挫傷、右眼外傷性散瞳その他
後遺障害:右眼外傷性散瞳(14級)その他併合1級
《損害賠償》
傷害慰謝料:313万円
後遺障害慰謝料:2300万円
休業損害:643万3457円
逸失利益:5827万5453円
付添看護費:83万4756円

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

また、付添看護費などが認められているケースもありますね。

個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。

しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、外傷性散瞳の後遺障害や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに外傷性散瞳の後遺障害が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺障害が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 外傷性散瞳症状治療法リハビリなどの基礎知識
  • 外傷性散瞳による後遺障害の等級や認定基準
  • 外傷性散瞳に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、外傷性散瞳の後遺障害について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

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また、このホームページでは、交通事故の後遺障害に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

外傷性散瞳の後遺障害に関するQ&A

外傷性散瞳(がいしょうせいさんどう)ってなに?

外傷性散瞳(さんどう)とは、瞳孔散大とも呼ばれ、鈍的な打撲により、瞳が大きさを変化させることができず、瞳が大きくなったままの状態を指します。外傷性散瞳の症状は、強い光の下でも瞳が小さくならないため、「眩しさ」や「ぼやけ」があらわれることや、急激な「視力低下」が起こります。時間の経過とともに、回復し、早ければ2週間前後で治癒します。 外傷性散瞳の症状や治療法について

外傷性散瞳の後遺障害の等級は?

外傷性散瞳は手術などの根本的治療法がないため、後遺障害が残る場合があります。後遺障害の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められています。外傷性散瞳は、対光反射の支障の程度、羞明の程度、労働への支障の程度、両眼か1眼かにより、11級~14級が認定される可能性があります。 外傷性散瞳の後遺障害の等級について

外傷性散瞳による治療費は誰が支払う?

原則的な治療費の支払い方法は、被害者の方が治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求します。ただし、加害者側が任意保険会社に加入していれば、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払う一括対応という手続きを利用できます。もし、加害者側が任意保険に加入しておらず、支払いが困難なときは、損害賠償金の確定前に、被害者が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる仮渡金制度を利用できます。 外傷性散瞳の治療費について

外傷性散瞳の後遺障害慰謝料の相場は?

後遺障害慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準が存在します。最も相場が高くなるのは弁護士基準で算定した時で、後遺障害11級:420万円、後遺障害12級:290万円、後遺障害14級:110万円が相場です。ほかにも、外傷性散瞳による休業損害と逸失利益を保険会社に求めることもできます。休業損害は、治療中に失った収入の損害です。逸失利益は、後遺障害によって失った将来の収益を指します。 外傷性散瞳に対する損害賠償について

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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