腰椎横突起骨折の後遺障害|治療費は誰が?慰謝料の相場は?アナタの疑問を解決!
ある日突然、交通事故で腰椎横突起骨折の後遺障害が残ってしまったとしたら…。
これからも長く続く治療やリハビリの生活では、
- 腰椎横突起骨折から回復するために支払う治療費
- 怪我をしたことや後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
- 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費
の問題を避けて通ることはできません。
さて、ここで問題です。
腰椎横突起骨折の後遺障害との関係で、
リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
※ 知っている人はみんな利用している方法です!
生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。
選択肢①:
腰椎横突起骨折との関係で、後遺障害認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
腰椎横突起骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
腰椎横突起骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
裁判、増額請求、再計算…。
正解は、この記事の後半で弁護士先生に詳しく解説してもらいましょう!
それでは、腰椎横突起骨折の後遺障害でお悩みの方へ。
腰椎横突起骨折による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。
ぜひご一読ください。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
また、腰椎横突起骨折の後遺障害が残ってしまった場合、日常生活への負担を感じてしまうことが多いはずです。
実際に、後遺障害でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。
今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
そもそも、腰椎横突起骨折(ようついおうとっきこっせつ)とは、あまり聞きなれない言葉ですよね。
しかし実は、2014年にブラジル代表のネイマール選手が受傷したものなんですね。
ネイマール、脊椎骨折 今大会の復帰は絶望的
7月4日に行われたサッカー・ワールドカップブラジル大会準々決勝のブラジル対コロンビア戦で、ブラジル代表の10番FWのネイマール選手が脊椎を骨折し、今大会の復帰が絶望的となった。
(略)
脊椎は上半身を支える柱となる骨で、頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙骨(せんこつ)からなる。朝日新聞デジタルは、ネイマール選手は「第3腰椎」の突起にひびが入っていると報じている。
出典:https://www.huffingtonpost.jp/2014/07/04/neymar_n_5559285.html
とはいえ、具体的な症状や治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。
まずは、腰椎横突起骨折についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。
腰椎横突起骨折の後遺障害|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント
腰椎横突起骨折の症状とは…
まず、腰椎とは、脊柱の下側にあるものです。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5b/Lumbar_vertebrae_posterior.png
その腰椎のうち、椎体を中心として左右に飛び出ている突起が横突起となります。
この部位は、下肢と体幹をつなぐ重要な大腰筋という筋が付着する部位でもあり、非常に重要な部位のようです。
腰椎横突起骨折とは、その部分が骨折してしまうことになります。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/96/Sobo_1909_9.png/454px-Sobo_1909_9.png
腰椎に生じる骨折では、腰椎圧迫骨折が多くなっています。
その圧迫骨折は、骨粗鬆症などにより自然に生じることもあるようですが、横突起骨折は軽い衝撃程度で生じるものではないそうです。
先ほど紹介したネイマール選手のようにスポーツ中の衝撃や、交通事故や転落で強い衝撃が腰に加わった際に生じるということです。
ただし、脊髄とは少し離れているため、痺れや麻痺といった神経症状などが現れることは少ないそうです。
では、腰椎横突起骨折を負った場合、どのような症状が現れるのでしょうか。
調べてみたところ、以下の通りということです。
腰椎横突起骨折の症状
- 非常に強い疼痛
- 押したとき痛む圧痛
- 動いたときに痛む運動時痛
特に、起き上がる動作などが非常に困難になるそうです。
https://twitter.com/yapipy/status/857058280752922626
レントゲン検査で、骨折の有無を確認することで容易に診断されるそうです。
周囲の腹部臓器の画像と重なって、はっきりと骨折線が確認できない場合などには、CT検査が行われることもあるそうです。
腰椎横突起骨折の治療法
では、腰椎横突起骨折に対する治療法はどのようになっているのでしょうか?
手術などが必要になることもあるのでしょうか?
腰椎横突起骨折
治療法は?安静にしとけ的な?
— C⋆͛☆ (@_shino0415_) June 7, 2015
調べてみたところ、基本的にはコルセットなどで固定し、安静状態を保つ保存療法となるそうです。
合わせて、疼痛を軽減するための薬を服用することもあるとのこと。
骨折した骨同士の間が開いていなければ、骨がくっつき、基本的には2~3ヶ月で元の生活に戻ることができるそうです。
ただし、筋肉に引っぱられるなどして、骨同士が離れてしまっている場合は、骨の癒合は期待しにくいようです。
骨が癒合していなくても、機能的には問題ないそうですが、慢性腰痛の原因となってしまうリスクはあるため、注意が必要です。
腰椎横突起骨折に対するリハビリ
また、治療の一環としてリハビリも行われます。
ただし、リハビリをすれば腰が良くなるというわけではなく、
- 腰部の安静時に体力や筋力の低下を防ぐこと
- 疼痛により防御的に筋収縮している筋の緊張をコントロールすること
が主な目的ということです。
一般的なリハビリ方法をご紹介
安静にし、疼痛が軽減してくれば、コルセットなどでの固定を継続しながら、運動療法を開始し、下肢の抗重力筋、体幹屈筋、伸筋の筋力強化が行われます。
また、腰に負担のかからない歩き方や立ち座りの方法など、日常の生活訓練も行われるそうです。
自身で行うことも可能ですが、最初は必ず専門家の指導を受けてください!
また、決して無理はせず、痛みを感じたらすぐに休むようにしてください。
【注目】腰椎横突起骨折に対する後遺障害等級の後遺症認定について解説
安静にしていれば、基本的には2~3ヶ月で元の生活に戻れることが多いということでしたが、場合によっては慢性腰痛が残ってしまうリスクもあるということでした。
腰椎横突起骨折を負った場合、他に残ってしまう後遺障害の症状は考えられるのでしょうか?
まず、骨折部位付近の末梢神経や神経根が圧迫されることにより生じる、腰、下腿~足趾にかけたしびれや痛みといった後遺障害が考えられます。
また、骨癒合不良に伴う腰部の痛みといった神経症状の後遺障害が残る可能性も考えられます。
ここで、後遺障害の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。
残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。
腰椎横突起骨折の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?
腰、下腿~足趾にかけたしびれ・痛みや骨癒合不良に伴う腰部の痛みについては、
局部の神経系統の障害である12級13号、または14級9号
の認定の可能性があります。
慢性腰痛も、腰椎横突起骨折が原因であるということを医学的に証明できれば、後遺障害が認定されるのですね。
下の表に、後遺症の認定基準をまとめてみましたので、良ければご覧になってみてください。
傷害の状態 | 後遺障害等級 |
---|---|
腰、下腿~足趾にかけたしびれ・痛みや骨癒合不良に伴う腰部の痛みなどの神経症状を残す場合 | 14級9号 |
局部に残存する神経症状が頑固なものと医学的に証明できる場合 | 12級13号 |
知らないと損する①腰椎横突起骨折の治療に対する慰謝料や治療費は?
腰椎横突起骨折の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。
しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。
最初に、
リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
とお聞きしました。
ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。
治療費の支払いは誰が?
まずは、入通院中の治療費についてです。
交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。
よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。
この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。
交通事故でも健康保険で通院できる!?
また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。
ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。
そうそう、交通事故で、
怪我しても、健康保険使えないから、100%
自腹か、自動車の、任意保険、
強制保険で、— Suzuki…hide (@try05255tyrgut) August 13, 2019
しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。
犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています
ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。
健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。
ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。
自由診療 | 健康保険診療 | |
---|---|---|
費用 | 高額 | 低額 |
治療方法 | 制限なし | 制限有り |
病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。
そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。
病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
支払いが困難な場合には…
しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。
そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?
被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。
また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。
仮渡金制度とは、
損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる
という仕組みのことです。
ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。
入通院慰謝料の相場について解説
治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。
この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。
以下に、入通院慰謝料の相場を示しましたので、ご覧になってみてください。
表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。
ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。
- 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
- 総治療期間
長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!
では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。
しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。
通院頻度と慰謝料の関係
- ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
- ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合
の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。
もう少し具体的に説明しますね。
たとえば、①のケースを考えてみます。
極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。
通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。
この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。
原則 | 例外 |
---|---|
通院期間により算定 | 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定 |
このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。
適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
知らないと損する②腰椎横突起骨折の後遺障害に対する慰謝料・示談金・保険金は?
治療中の費用の補償については、わかってきました。
ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!
選択肢①:
腰椎横突起骨折との関係で、後遺障害認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
腰椎横突起骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
腰椎横突起骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。
正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。
そうなのですね!?
では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。
選択肢①後遺障害の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する
すでにお伝えの通り、腰椎横突起骨折を負った場合、後遺障害が残ってしまう可能性もあるということでしたね。
腰椎横突起骨折に対する後遺障害の等級についてはすでにお伝えしました。
その等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額が決まっているそうなのです。
その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?
慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しているそうなのです。
自賠責基準
自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
では、それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。
後遺障害等級 | 自賠責基準※2 | 任意保険基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
12級 | 93 | 100 | 290 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 単位:万円
※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
※3 旧任意保険支払基準による。
一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
自分で慰謝料を計算してみたい
ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
このホームページでは、後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。
かんたん1分!慰謝料計算機
通院期間などを入れるだけでかんたんに慰謝料の相場がわかる人気サービス!あなたが保険会社から提示されている慰謝料は正しいですか?
入院日数や通院日数、後遺障害の等級など数項目を入れるだけで、弁護士基準の賠償金を計算できます。
自分やご家族の事故ではどれくらいの金額が請求できるのか…。
登録などは不要なので、ぜひ一度試してみてください!
選択肢②失った将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する
治療費や慰謝料以外にも、腰椎横突起骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。
主には、休業損害と逸失利益の主張をするということになるそうです。
治療中に失った収入「休業損害」
まずは、休業損害について見てみましょう。
休業損害
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。
では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。
自賠責保険での計算方法
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。
ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。
上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。
任意保険での計算方法
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。
1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。
日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。
「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
原則 | 5700円 | 1日あたりの基礎収入 |
上限 | 19000円 |
職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。
失った将来の収入「逸失利益」
次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。
逸失利益
後遺障害により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。
まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。
後遺障害認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。
また、腰椎横突起骨折による後遺障害が原因で、
- 会社の部署を異動させられた
- 職業選択の幅が狭くなった
- 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった
など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。
一方で、実際に後遺障害が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。
すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺障害に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。
そのような場合には、後遺障害の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。
ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。
この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!
選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす
ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。
しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。
実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。
弁護士基準の 賠償額との比較 |
|
---|---|
弁護士が保険会社と交渉 | 9~10割※1 |
弁護士をつけて裁判 | 10割 + 弁護士費用※2 |
※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。
※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。
また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。
つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、腰椎横突起骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。
実際の裁判例を見てみよう
ではここで、腰椎横突起骨折の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。
ケース① |
---|
職業:会社員(41歳女性) 傷害:右第2腰椎横突起骨折、右第3腰椎横突起骨折、右第4腰椎横突起骨折その他 後遺障害:腰痛・局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号) 《損害賠償》 傷害慰謝料:220万円 後遺障害慰謝料:180万円 逸失利益:355万4382円 |
ケース② |
職業:溶接工会社員(男性) 傷害:左第4腰椎横突起骨折その他 後遺障害:腰痛(14級9号) 《損害賠償》 傷害慰謝料:145万円 後遺障害慰謝料:75万円 休業損害:7万2320円 逸失利益:41万6991円 付添看護費:5万7440円 |
ケース③ |
職業:専門学校1年生(18歳女性) 傷害:第3腰椎横突起骨折その他 後遺障害:なし 《損害賠償》 慰謝料:50万円 付添費:5万4900円 |
もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。
また、付添看護費などが認められているケースもありますね。
個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。
逆に、後遺症が認定されなければ、後遺障害慰謝料に加え、逸失利益も受け取れないことになります。
腰椎横突起骨折で、後遺障害の認定を受けるために、何かポイントがあれば知っておきたいですね。
局部の神経症状について後遺障害が認定されるかどうかは、
- 事故直後から症状が一貫していて連続性があるかどうか
- 自覚症状が証明できるかどうか
などがポイントになります。
症状の一貫性・連続性は経過の診断書などで、自覚症状の証明はCT画像による骨癒合の状況などで立証していく必要があります。
診断書に記載してもらう内容が重要となってくるのですね。
診断書の内容について不安な点などがある場合には、弁護士に相談してみるとアドバイスがもらえるかもしれません。
しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こしたり診断書の内容を確認したりするのは困難が多いはずです。
最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。
また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。
弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。
賠償金や保険金について、何か困っていることがあれば、ぜひ弁護士に相談してください!
腰椎横突起骨折の後遺障害や慰謝料について弁護士に無料相談したい方はコチラ!
以上、腰椎横突起骨折の症状や治療法、リハビリ中の生活費や治療費、慰謝料について理解を深めていただけたでしょうか。
しっかりとした補償を受け取るため、今すぐ弁護士に相談したい!と思われた方もいらっしゃるはずです。
しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。
今すぐスマホで相談したいなら
そんなときは、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます!
24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口が設置されているので、いつでも電話できるのは非常に便利ですね。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
スマホで無料相談をやっているのは交通事故や事件など、突然生じるトラブルの解決を専門とする弁護士事務所です。
きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。
地元の弁護士に直接相談したいなら
スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。
また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。
- ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
- ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている
弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。
何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。
最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、腰椎横突起骨折の後遺障害や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに腰椎横突起骨折の後遺障害が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺障害が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 腰椎横突起骨折の症状や治療法、リハビリなどの基礎知識
- 腰椎横突起骨折による後遺症の等級や認定基準
- 腰椎横突起骨折に対する治療費や慰謝料などの示談金
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、腰椎横突起骨折の後遺障害について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。
自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!
そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、交通事故の後遺障害に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
腰椎横突起骨折の後遺障害Q&A
腰椎横突起骨折とは?
腰椎横突起骨折は背中の下側の腰椎から伸びている横突起部分が、交通事故などによる衝撃によって折れてしまうことです。脊髄とは少し離れているので、麻痺なといった神経へのダメージは少ないです。しかし背中に強い痛みや、圧痛、動かした際の痛みなどの症状があり、起き上がる動作が困難になります。 腰椎横突起骨折の症状
腰椎横突起骨折の初期治療はどうするの?
腰椎横突起骨折となった場合は、腰をコルセットなどで固定して安静にします。動かしてしまうと骨折した骨が筋肉に引っぱられ、骨同士が離れることで骨がうまく付かなくなり慢性腰痛の原因となります。痛みを和らげるための薬も処方されることがあるので、痛みが軽くなるまで薬を飲みながら安静にします。 腰椎横突起骨折の初期治療
腰椎横突起骨折になると後遺症は残る?
安静にしていれば、2~3ヶ月で日常生活を送れるようになりますが、慢性的な腰痛が残ってしまうことがあります。さらに腰椎横突起骨折によって末梢神経などが圧迫されることがあり、下半身にかけてのしびれや痛み、また骨が上手く付かないことで腰に痛みが生じるといった神経系の後遺障害が残る場合もあります。 腰椎横突起骨折のリハビリ法と後遺症
腰椎横突起骨折でも健康保険は使える?
腰椎横突起骨折をはじめ、交通事故による怪我は健康保険証の使用が可能となっています。ただし使用するときは病院側に健康保険証を提示し、あわせて保険証を使用する意思をはっきりと伝えましょう。健康保険を使うと治療方法には制限があるものの、費用は低額に抑えることが出来ます。 腰椎横突起骨折に対する健康保険の使用
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。