後部座席の被害者が右前腕筋肉挫滅・欠損で機能全廃
認容額 | 4031万6461円 |
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性別 | 女性 |
職業 | 専業主婦 |
傷病名 | 右肘開放骨折・骨欠損、右肘部皮膚・関節・筋肉欠損、右尺骨神経損傷(一部欠損)、右上腕挫創(広範囲皮膚欠損を伴う)、右前腕デグロービング損傷、右前腕皮膚壊死(全域)、右前腕皮膚壊死部緑膿菌感染症等 |
障害名 | 右前腕筋肉挫滅・欠損のため機能全廃 |
後遺障害等級 | 7級 |
判決日 | 平成13年1月25日 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 |
交通事故の概要
平成9年6月1日午前6時00分ころ、兵庫県高砂市北浜町の路上において、加害者は、普通乗用自動車を運転して、最高速度が時速70キロメートルに制限された前記道路の第三車線を時速約120キロメートルで走行していた。加害者が運転する車両が、先行車に接近しすぎたため車線変更をしようとした際、急転把・急制動の措置を講じて、加害者の車両の走行の安定性を失わせ、横向きに逸走させてた。そして、第二車線を走行中の被害者の夫が運転し、被害者が同乗していた車両の左後部に、加害者の車両の左前部を激突させ、その衝撃で被害者の車両を横転させた。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、本件交通事故により、右肘開放骨折・骨欠損、右肘部皮膚・関節・筋肉欠損、右尺骨神経損傷(一部欠損)、右上腕挫創(広範囲皮膚欠損を伴う)、右前腕デグロービング損傷、右前腕皮膚壊死(全域)、右前腕皮膚壊死部緑膿菌感染症等の傷害を負った。
被害者は、上記傷病の治療のため、114日間入院した後、185日間通院した。
後遺障害の内容
被害者は、平成10年12月9日、上記K病院において、同日症状固定したものとして、下記内容の後遺障害診断を受けた。なお、被害者は、平成9年11月28日ころ、大阪市から、右上肢機能全廃として、身体障害者等級2級の認定を受けているが、自動車損害賠償責任保険による後遺障害等級認定は受けていない。
本件裁判において、被害者の後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令2条1項2号2を適用して、併合して後遺障害等級第7級に該当するものと判断された。
判決の概要
加害者の車両に衝突され横転した被害者の車両の後部左座席にシートベルトを着用せずに乗車していた被害者が、横転の際に腕が窓から車外に出て路面と車体との間に挟まれたため、上肢に重篤な傷害を負った。この場合において、道交法71条の3第3項は、助手席以外に同乗中の者に関しては、運転者に対し、シートベルトを装着させるよう努力すべき義務を課しているにすぎず、社会的に見ても、後部座席に同乗中の者がシートベルトを装着することは、未だ一般化しているとは言い難いなどとして、過失相殺すべきほどの落ち度があったとは評価しえないとした。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 7万5620円 |
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入院付添費 | 79万2000円 |
入院雑費 | 18万7200円 |
通院交通費 | 81万521円 |
休業損害 | 559万4121円 |
逸失利益 | 2403万9971円 |
慰謝料 | 1350万円 |
将来の治療費 | 36万円 |
ベッド代・寝装品代等 | 35万 3325円 |
衣服代 | 35万 2072円 |
家屋改造費用等 | 62万 9161円 |
被害者の配偶者固有の慰謝料等 | 33万円 |
損害のてん補 | - 970万 7500円 |
弁護士費用 | 300万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。