「腰椎圧迫骨折の後遺障害が認定されない」場合の対策とは?

Q1.交通事故で腰椎圧迫骨折になる場合とは?

腰椎とは、脊椎(背骨)の一部です。
脊椎は頚椎・胸椎・腰椎に分かれており、合計24個の小さな骨から成り立っています。
そして、下から5つの骨を腰椎と呼ぶのです。
また、腰椎の最下部にある第5腰椎の先には仙骨と尾骨がつながっています。

圧迫骨折は、脊椎が上下からの圧力によってつぶされることで発生します。
事故の衝撃により身体が前のめりになって、背中や腰に強い力がかかることで、その部分の骨が押しつぶされてしまうのです。
脊椎の最下部にある腰椎には特に負担がかかるために、圧迫骨折が発生しやすくなります。

交通事故で腰椎圧迫骨折になる場合の例として追突事故があります。
赤信号で停車していたところを追突されて後ろから強い衝撃をかけられて、身体が前後に大きく揺さぶられることで、脊椎が圧迫されてしまうのです。
また、自転車やバイクを運転していたところに自動車と衝突して背中から転倒してしまった場合にも、腰椎圧迫骨折になることがあります。

特に高齢者は骨粗しょう症などによって骨が弱くなっています。
そのため、軽い衝撃でも圧迫骨折になってしまう場合があるのです。

Q2.腰椎圧迫骨折の症状や治療方法は?

骨が押しつぶされてしまう圧迫骨折では、患部に強い痛みが生じます。
また、腰椎にある脊柱管の内部では、重要な神経が保護されています。
この神経が損傷されることにより、脚などにしびれや麻痺が生じてしまう場合もあります。

圧迫骨折の治療では、基本的にはコルセットなどで患部を固定にしながら安静にして、骨が形成されるのを待つ保存療法が行われます。
しかし、破裂骨折などの重症の場合には神経が傷付いてしまう可能性が高くなるので、手術が行われます。
手術の方法は、脊椎を金属のプレートに入れる方法や、つぶされてしまった脊椎にセメントを入れて元の形に戻す方法などがあります。

手術や当面の治療が終わった後にも、リハビリを行う必要があります。
コルセットによる固定を継続しながら、徐々に運動を行う範囲を広げていきます。
固定が外れた後も、安静にしていた際に落ちてしまった筋力の強化や、転倒によって再発しないためのバランス訓練などを行う必要があります。
そのため、圧迫骨折では治療が順調に進んだ場合でも、症状固定までに通常は6ヶ月はかかってしまいます。

Q3.腰椎圧迫骨折で起こる後遺症は?

圧迫骨折では、治療が終了して症状固定となったとしても後遺症が残る場合が多いです。
特に、上下からの圧力でつぶされてしまった骨を元通りの形に戻すことは難しいため、変形障害が頻発します。

また、腰や背中を動かすことに支障が生じて可動域が狭くなるという運動障害が起こる可能性があります。
さらに、脊椎は身体を支える役割をしているため、腰椎の骨折によって身体全体の運動に障害が生じて、常に補装具を必要とする身体になってしまうこともあるのです。
このような障害は荷重機能障害と呼ばれます。

また、骨そのものはきれいに治っても、神経を損傷することで痛みや痺れを感じ続けてしまう場合があります。
このような症状は神経症状と呼ばれます。
さらに、圧迫骨折では脊柱管内の神経を損傷することにより、脚の麻痺が永続するという重大な後遺症が残るおそれもあるのです。

Q4.後遺障害の等級が認定される方法とは?

交通事故における損害賠償の項目は、傷害部分と後遺障害部分に分けられます。
傷害部分とは、事故による怪我が原因で発生した損害に対する賠償を指します。
傷害部分に含まれる具体的な項目は、治療費、休業損害、入通院慰謝料などになります。

後遺障害部分の損害賠償とは、事故による怪我が原因の後遺症による損害に対する賠償となります。
障害を負ったことにより生じた精神的苦痛に対する賠償金が、後遺障害慰謝料です。
また、障害のために失われる将来の収入に対する賠償金である逸失利益を請求することもできます。
逸失利益の金額は、被害者の年齢・職業・収入や、障害ごとの労働能力喪失率から算出されます。

後遺傷害部分の損害賠償を請求するためには、後遺障害等級の認定が必要となります。
等級を認定してもらうためには、損害保険料率算出機構に申請を行う必要があります。
申請方法は二種類あり、加害者側の任意保険会社が書類を提出する方法は事前認定と呼ばれます。
もう一つの申請方法である被害者請求では、被害者側が書類を提出して申請します。

Q5.腰椎圧迫骨折で起こる後遺障害の具体的な等級は?

腰椎圧迫骨折では様々な後遺症が起こる可能性もあり、その程度も比較的軽いものから、かなり重症なものまでにわたります。
変形障害の場合は、程度によって6級・8級相当・11級のいずれかが認定される可能性があります。
変形の程度の軽重は、折れ曲がっている角度などによって判断されることになります。

運動障害の等級も、可動域が制限されている程度によって変わります。
腰などがほとんど動かせなくなる状態は強直といい、この状態になった場合は後遺障害等級は6級とされます。
また、可動域の制限が2分の1以下に留まった場合の後遺障害等級は8級となる可能性があります。

荷重機能障害の場合、通常は8級となります。
ただし、腰椎と同時に頚椎も損傷して、頚部と腰部の両方の保持に困難が生じた場合、後遺障害等級は6級とされます。

脚の麻痺は、麻痺した脚の本数や麻痺の程度によって、等級が細かく分かれます。
麻痺の程度が軽い場合には12級や9級となりますが、程度が重ければ7級や5級、3級となる可能性があり、両方の脚が完全に動かなくなるなどの非常な重症の場合には1級が認定される可能性があります。

神経症状としては、12級または14級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
ただし、神経症状で12級が認められるためには客観的な医学的所見が特に重要となります。
神経症状は外見からはわからないため審査機関も等級の認定には慎重になり、提出書類に不備がある場合には等級自体が認定されない可能性も生じます。
自覚症状を細かく医師に伝え続けて、症状の経過を後遺障害等級診断表に細かく記載してもらうことが大切です。

Q6.後遺障害が認定されない場合とは?

後遺障害等級の認定を申請しても、申請が却下され、腰椎圧迫骨折の後遺障害が認定されないことがあります。
後遺障害等級が認定されない場合、事前認定によって書類を出していることが原因であることが大半です。

後遺障害等級が認定されると、被害者が示談金で請求できる項目が増えます。
保険会社の側からすれば、支払う示談金の金額がはね上がることになります。
そのため、事前認定では最低限の書類しか提出してもらえず、等級が認定されるための工夫をしてもらえない場合が多いのです。

後遺障害等級の認定の成否は、医師によって作成される診断書や後遺障害診断書に左右されます。
特に神経症状の場合は、外見から判別することは困難です。
そのような障害の等級認定を申請するうえでは、精密検査の結果や、MRI画像・レントゲン写真などの客観的な医学的所見の有無が大きな影響を与えます。
被害者請求を行う場合であれば、医師に相談して、等級が認定されやすくなるような適切な診断書を作成してもらえるように頼むことができるのです。

後遺障害等級認定の申請の結果に不服であれば、異議申し立てを行うことはできます。
しかし、いちど申請の結果が出てしまうと、異議申し立てを行っても結果が変わらない可能性は高いです。
そのため、最初に申請を行うタイミングで、適切な書類を準備しておくことが重要となります。

後遺障害等級の認定の申請の方法や、提出する書類の内容については、弁護士に相談することができます。
さらに、示談交渉も弁護士に担当させれば、慰謝料も高額な弁護士基準で請求することが可能になります。
最終的に請求できる金額は大幅に増額することが多いため、弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害の認定を相談するならこちら

交通事故の被害にあい腰椎圧迫骨折になってしまったら、弁護士に相談しましょう。
交通事故案件の経験豊富な弁護士に依頼すれば、適切な損害賠償を加害者に請求できます。

アトム法律事務所では電話やLINEによる無料相談を受け付けております。
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示談交渉や後遺障害等級の認定が不安な方は、まずは弁護士にご相談ください。

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交通事故による腰椎圧迫骨折でお悩みの方は、ぜひ、ご相談ください。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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