後遺障害7級の交通事故慰謝料|7382万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害7級の判例についてご紹介します。
7級という重い後遺障害が残ってしまうと、日常生活や仕事にかなり大きな負担がかかってしまいます。
身体的にも精神的にもつらい思いをしている被害者にとって、納得できる慰謝料金額とはいったいどのくらいなのでしょうか。
7級が認定された実際の裁判例では、どのようにして金額が算定されたのか弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級7級(男・症状固定時36歳)損害額7382万6090円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成17年(ワ)第16031号事件です。
この事故による主な怪我の内容は、左前腕骨骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「客を見つけて片側三車線の第二車線からウィンカーを出すことなく第一車線に減速しながら車線変更しようとした加害タクシーと、これに追従し、第一車線から追い抜こうとした被害自動二輪車が、第一第二の車線区分線上で衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 米販売店の配達員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時36歳 |
事故の内容 | 客を見つけて片側三車線の第二車線からウィンカーを出すことなく第一車線に減速しながら車線変更しようとした加害タクシーと、これに追従し、第一車線から追い抜こうとした被害自動二輪車が、第一第二の車線区分線上で衝突した。 |
傷害の内容 | 左前腕骨骨折、左尺骨脱臼、右肩甲骨骨折、右肘部打撲擦過傷、右膝部打撲擦過傷、右股関節打撲傷、腰椎捻挫、頚椎捻挫、歯冠破折など |
後遺障害等級 | 併合7級 |
入院 | 201日 |
被害者は、父親経営の米店で勤務していましたが、実質的には被害者自身が切り盛りしていたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 7382万6090円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1300万円 |
うち休業損害 | 2154万0291円 |
うち逸失利益 | 2969万0312円 |
損害総額は7382万6090円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額7382万6090円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が500万円、後遺障害の慰謝料が800万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入は318万5659円、休業日数は症状固定までの2468日間が認められました。
- 逸失利益としては労働能力喪失率は40%程度と認められ、労働能力喪失期間は67歳までの31年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は左手や左足に大きな後遺障害が残ってしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件で争点の一つになったのが、逸失利益(後遺障害により失われた将来の収入)の計算をする上で用いる基礎収入です。
事故当時、被害男性は父親経営の米店で勤務しておりましたが、実質上は被害男性が米店を切り盛りしていました。
そこで本判決では、低額に留まる被害男性の実際の収入ではなく、上記事情から米店経営者として見込まれる収入を基礎として逸失利益を計算した点がポイントとなります。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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思っていたよりも、慰謝料の金額って高くなりますよね。
保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
弁護士に無料相談してみてはどうでしょう?
こちらの弁護士事務所は、交通事故の無料電話相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
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電話相談・LINE相談には、夜間や土日も、弁護士が順次対応しているとのことです。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害7級の慰謝料計算の特徴は?
7級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に7級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、7級の場合、裁判基準では1,000万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、7級12号の外貌醜状や7級13号の睾丸喪失の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、7級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を56%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、7級4号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、7級4号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、こちらのポイントはあくまで一般論であり、事故に遭われた方のご事情によって妥当な金額が増減します。
慰謝料を妥当な金額に増額するために、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害7級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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