自賠責保険の慰謝料計算方法|120万円がポイント!?整骨院・過失割合の扱いは?

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自賠責保険の慰謝料計算方法|120万円がポイント!?整骨院・過失割合の扱いは?

交通事故に遭ったので、せめて慰謝料自賠責からたくさんもらいたい・・・」

「自賠責では慰謝料の計算式があるって聞いたけど、計算式を超える慰謝料は一切もらえないの?」

交通事故にあわれた被害者の方の中には、そんな不安やお悩みを抱いてらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

交通事故に巻き込まれるというのは、はじめての方が多いでしょうから慰謝料の自賠責の計算式なんて知らなくて当然かと思います。

被害者の方の中には、慰謝料さえしっかりもらえれば、自賠責基準なんてどうでもいいと思っている方もいるかもしれません。

でも、自賠責保険の基準を理解しておかないと最終的にもらえる慰謝料が少なくなってしまう場合があるんです!

このページでは、そんな方のために

  • 自賠責の慰謝料ってどうなっているの?
  • 慰謝料の自賠責基準計算式や金額ってどうなってるの?
  • なるべく得する方法はある?

といった疑問を解消すべく、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

交通事故の慰謝料自賠責基準は賠償の基礎となるものです。

慰謝料の自賠責基準の計算方法を理解しておけば、今後の賠償の見通しを立てることができます。

ここでは少しでも慰謝料の自賠責基準について理解を深めて頂き、今後に役立てていただければと思っています。

車に乗って、加入しているから自賠責の存在は知っているけど、詳しい内容までは知らないという方も実は多いのではないでしょうか?

また、慰謝料とは精神的苦痛を補うために支払われる金銭ですが、交通事故では様々な精神的苦痛が考えられます。

まずは自賠責についての基礎知識と慰謝料の種類を確認していきましょう!

交通事故の慰謝料の種類と自賠責限度額

交通事故の慰謝料の種類と自賠責限度額

自賠責保険とは?

自賠責保険とは、私たちが車やバイクを買うときに必ず入らなければいけない保険のことです。

交通事故の加害者が無資力の場合に被害者を救済できないことを避けるため、被害者を確実かつ迅速、公平に救済するため、法律上定められた制度です。

自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。

自賠責保険は、被害者が最低限の補償を受けられるよう国が加入を強制している保険です。

自賠責保険に入っていない自動車を運転すると1年以下の懲役又は50万円以下の罰金になってしまいますので、注意しましょう。

交通事故の慰謝料は自賠責上三種類ある

そして、自賠責保険の支払基準は以下のとおり定められています。

こちらの支払基準によると、交通事故による慰謝料は自賠責上

  • 傷害による慰謝料
  • 後遺障害による慰謝料
  • 死亡による慰謝料

の三種類が定められています。

それぞれの慰謝料は別個に請求できるので、混同しないよう注意しましょう。

傷害分は慰謝料・治療費など総額で120万円

自賠責保険は最低限の補償を受けられるようにするための保険なので、法令上自賠責限度額が定められています。

傷害分については、120万円と限度額が定められています。

責任保険の保険金額は、政令で定める。

法第13条第1項 の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、次のとおりとする。
(略)
イ 傷害による損害(ロからヘまでに掲げる損害を除く。)につき
百二十万円
(以下略)

注意すべきなのは、この限度額は慰謝料だけでなく、治療費や休業損害など傷害による全ての損害を合わせた金額であるということです。

特に、治療費を含むということが、自賠責からもらえる慰謝料の金額に影響をあたえる場合があることには注意しましょう。

後遺障害分は等級により限度額が異なる

後遺障害による損害は

  • 慰謝料
  • 逸失利益

に分けられ、限度額は認定された等級により異なります。

具体的な等級ごとの限度額は以下の表のとおりです。

なお、逸失利益の計算に必要となる労働能力喪失率も等級ごとに記載してありますので、併せて参照してみてください。

等級ごとの後遺障害の限度額と労働能力喪失率
等級 限度額 労働能力喪失率
第1級(別表第1) 4000万円 100%
第2級(別表第2) 3000万円
第1級(別表第2)
第2級(別表第2) 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円 92%
第5級 1574万円 79%
第6級 1296万円 67%
第7級 1051万円 56%
第8級 819万円 45%
第9級 616万円 35%
第10級 461万円 27%
第11級 331万円 20%
第12級 224万円 14%
第13級 139万円 9%
第14級 75万円 5%

傷害分同様、限度額は慰謝料だけでなく、逸失利益の損害を合わせた金額であることには注意しましょう。

死亡分は総額で3000万

死亡による損害は

  • 葬儀費
  • 慰謝料
  • 逸失利益

に分けられ、限度額は3000万となっております。

責任保険の保険金額は、政令で定める。

法第13条第1項 の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、次のとおりとする。
一  死亡した者
イ 死亡による損害(ロに掲げる損害を除く。)につき
三千万円
(以下略)

傷害分や後遺障害分同様、限度額は慰謝料だけでなく、葬儀費・逸失利益の損害を合わせた金額であることには注意しましょう。

最後に、各損害の項目と限度額について表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

まとめ
自賠責保険の損害項目及び限度額
損害の項目 限度額
傷害による損害 ・治療関係費
・文書料
・休業損害
・慰謝料
120万
後遺障害による損害 ・逸失利益
・慰謝料
4000万〜75万※
死亡による損害 ・葬儀費
・逸失利益
・慰謝料
3000万

※後遺障害の等級により異なる

なお、自賠責における後遺障害の認定期間の目安を知りたい方は「後遺障害の認定までの期間は?交通事故の後遺障害を申請から認定まで大解剖!」の記事をご覧ください。

交通事故の慰謝料の自賠責基準での計算式・金額

交通事故の慰謝料の自賠責基準での計算式・金額

自賠責基準の傷害慰謝料の計算式

それでは、交通事故の各慰謝料自賠責基準での計算式・金額を詳しく見ていきましょう。

まず、傷害分の慰謝料については次のように定められています。

3.慰謝料
(1) 慰謝料は、1日につき4,200円とする。
(2) 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。
(以下略)

日額が4,200円というのは明確ですが、対象となる日数は基準を読んだだけではよくわかりませんね・・・。

実は通院分の慰謝料

  • 入院日数と実際の通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

いずれか少ない方を対象日数として計算するといわれています。

このように、傷害分の慰謝料は入院や通院の日数・期間に応じて決められることから

入通院慰謝料

とも呼ばれています。

事故の怪我で精神的に苦しんでいても、入院や通院をしていなければ慰謝料はもらえないということです。

この自賠責基準による傷害慰謝料が全額払われるのは、傷害による損害の総額が限度額である120万円を超えない場合である点には注意しましょう。

自賠責基準の後遺障害慰謝料の金額

後遺障害による慰謝料は認定された等級により異なります。

具体的な等級ごとの限度額は以下の表のとおりです。

等級ごとの後遺障害の慰謝料
等級 慰謝料額
第1級(別表第1) 1600万
第2級(別表第2) 1163万
第1級(別表第2) 1100万
第2級(別表第2) 958万
第3級 829万
第4級 712万
第5級 599万
第6級 498万
第7級 409万
第8級 324万
第9級 245万
第10級 187万
第11級 135万
第12級 93万
第13級 57万
第14級 32万

高齢の場合や上位等級の場合には例外もありますが、

  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害による逸失利益

合計した金額は先程見た、後遺障害の等級ごとの限度額に達することが多いです。

自賠責基準の死亡慰謝料の金額

死亡本人の慰謝料

自賠責基準では、死亡慰謝料について

  • 死亡本人
  • 遺族

の二つに分けて基準を設けています。

死亡本人の慰謝料としては、以下のとおり、350万円と定められています。

「死亡本人の慰謝料は、350万円とする。」

遺族の慰謝料

また、遺族の慰謝料としては、以下のとおり定められています。

これを整理すると

請求権者は

被害者の父母、配偶者、子

であり、金額は

  • 1人の場合・・・550万円
  • 2人の場合・・・650万円
  • 3人の場合・・・750万円
  • 被害者に被扶養者(被害者に養われていた人)がいるとき・・・+200万円

となります。

自賠責基準では被害者の祖父母や兄弟姉妹には遺族の慰謝料の請求権が認められていないので注意しましょう。

ただし、裁判などでは、被害者の祖父母や兄弟姉妹にも慰謝料が認められる場合があります。

交通事故で慰謝料を多くもらうには?

慰謝料が多くもらえるのは自賠責基準?任意保険基準?

交通事故の慰謝料は自賠責以外の相場がある

先ほどお伝えしたとおり、自賠責保険は最低限の補償を受けられるようにするための保険です。

ということは、交通事故の慰謝料には最低限の補償を超えた自賠責以外相場があるということになります。

具体的には、交通事故の慰謝料には自賠責基準以外に

という相場が存在します。

任意保険基準

任意保険基準とは、その名のとおり、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償を提示する際に用いる基準のことをいいます。

任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。

もっとも、かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。

その基準においては、自賠責基準よりも若干高い程度のものでした。

弁護士基準

弁護士基準とは、その名のとおり、弁護士が交渉する際に用いる基準のことをいいます。

弁護士基準は、過去の裁判例をもとに弁護士会がまとめたものであり、裁判の場でも用いられているため

裁判基準

とも呼ばれます。

弁護士基準は、三つの基準の中で最も高額な基準となっています。

具体的な弁護士基準は以下の画像のようになっております。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

弁護士に依頼して交渉した場合、任意保険会社も任意保険基準ではなく弁護士基準をベースとした慰謝料の支払いに応じることが多いです。

交通事故を弁護士に依頼するメリットは色々とありますが、この慰謝料の増額が一番大きいといえます。

最後に、慰謝料における三つの基準を簡単に表にまとめてみましたので、ご覧になってみてください。

慰謝料における三つの基準
いつ用いられるか 金額
自賠責基準 自賠責への請求 低い
任意保険基準 任意保険の提示 自賠責基準より高い
弁護士基準 ・弁護士の交渉
・裁判
最も高い

自賠責を超える部分を任意保険が負担する

先ほどお伝えしたとおり、自賠責保険は最低限の補償を受けられるようにするための保険です。

そのため、自賠責保険では、実際に裁判などで支払を命じられる賠償額をカバーしきれないことも多くなります。

そういった自賠責を超える部分の支払に備えて、多くの方が自賠責保険とは別に任意保険に加入します。

自賠責を超える部分を負担する保険であるため、先ほどお伝えしたとおり、任意保険で支払われる金額は自賠責保険よりも高くなります。

推定ではありますが、自賠責基準と任意保険基準の後遺障害慰謝料を表で検証してみましたので、参考にしてみてください。

自賠責基準と任意基準の後遺障害慰謝料の検証
等級 自賠責基準 任意基準(推定)
第1級 1100万円 1600万円
第2級 958万円 1300万円
第3級 829万円 1100万円
第4級 712万円 900万円
第5級 599万円 750万円
第6級 498万円 600万円
第7級 409万円 500万円
第8級 324万円 400万円
第9級 245万円 300万円
第10級 187万円 200万円
第11級 135万円 150万円
第12級 93万円 100万円
第13級 57万円 60万円
第14級 32万円 40万円

※自賠責基準は別表第2の後遺障害の場合

注意すべきなのは、任意保険から支払われるのは、自賠責基準の差額のみになります。

上の表を参考にすれば、14級が認定された場合、任意保険から支払われるのは、任意保険基準だと40万円-32万円=8万円のみです。

任意保険は、自賠責分もまとめて支払うことも多いですが、自賠責分は後に回収するので、任意保険が負担しているのは差額分のみです。

まれに、自賠責基準32万円とは別に任意基準40万円をもらえると誤解されている方がいらっしゃいますので、気をつけましょう。

慰謝料は過失割合次第では自賠責の方が高額!?

お伝えしてきたとおり、自賠責保険は最低限の補償を受けられるようにするための保険であり、支払基準は三つの基準の中で最も低額です。

しかし、自賠責保険の基準の方が任意保険の基準よりも有利な部分があります。

それは、過失割合についての取扱いです。

具体的には

  • 過失が7割未満であれば過失相殺されない
  • 過失が7割以上ある場合でも、減額割合が過失割合に比べて低い

という点に特色があります。

これは、過失割合の大きい被害者であっても、損害が出ている以上、被害者として最低限は保障しようとする政策的判断に基づくものです。

詳しい減額割合は表にまとめてみましたので、ご参考下さい。

自賠責保険における過失減額の取扱
被害者の過失割合 減額割合
後遺障害又は死亡 傷害
7割未満 減額なし 減額なし
7割以上8割未満 2割減額 2割減額
8割以上9割未満 3割減額
9割以上10割未満 5割減額

このような過失割合の取扱いにより、自賠責保険に慰謝料を請求したほうが有利な場合が出てきます。

自賠責保険からもらえる慰謝料が高額なケース

岡野弁護士の解説のとおり、自賠責基準の過失割合の取扱いにより、もらえる慰謝料が自賠責基準の方が弁護士基準より高くなるケースが出てきます。

具体例として、過失割合が40%の骨折事故で

  • 治療費 60万円
  • 通院6か月(180日)
  • 通院日数90日

だった場合を想定してみましょう。

自賠責基準の場合

自賠責基準ですと、慰謝料は

4,200円×180日=756,000円

となります。

そうすると、総額は1,356,000円となりますが、過失割合は7割未満ですので、過失相殺はされません

もっとも、自賠責保険の傷害による損害の限度額は120万円ですので、自賠責の基準で受け取れる金額は1,200,000円となります。

そして、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は

1,200,000円−600,000円=600,000円

となります。

弁護士基準の場合

弁護士基準ですと、慰謝料は上の画像のとおり、通院6か月の事故として1,160,000円となります。

そうすると、総額は1,760,000円となりますが、過失割合が40%あるので、

1,760,000円×40%=704,000円 が過失相殺され、裁判基準で受け取れる金額は1,056,000円となります。

そして、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は

1,200,000円−600,000円=600,000円

となります。

このように、 過失割合次第では、本来三つの基準の中で最も低額な自賠責保険の基準で請求する方が受け取れる慰謝料が高額な場合があります。

自賠責保険からの方がもらえる慰謝料が高い場合
自賠責基準 裁判基準
治療費 600,000 600,000
慰謝料 6月分 756,000 1,160,000
総額 1,356,000 1,760,000
過失相殺 0 ▲704,000
限度額 1200,000
病院へ支払われる金額 ▲600,000 ▲600,000
受け取れる慰謝料 600,000 456,000

※過失割合が40%の骨折事故を想定

こういった場合に、先行して自賠責保険に請求せず、裁判を起こしてしまうと、もらえる慰謝料が減ってしまう可能性もあります。

慰謝料請求をする際、過失割合が認められる場合には、自賠責基準での計算もした上で、検証する必要があります。

慰謝料を多くもらうカギ①整骨院の有効利用

先ほどお伝えしたとおり、傷害慰謝料は入通院日数・期間に応じて決められます。

そのため、自賠責保険から傷害慰謝料を自賠責からなるべく多くもらうためには通院日数を確保する必要があります。

しかし、病院は

  • 最終診療時間が早い
  • 待ち時間が長い

ことなどから、特にお仕事をされている方などは定期的に病院に通院することが難しい方もいらっしゃるかと思います。

そういった場合に有効なのが

整骨院への通院

です。

自賠責保険の傷害慰謝料の計算の基礎となる通院日数には、整骨院への通院も含まれるからです。

整骨院通院のメリット

整骨院は病院に比べて

  • 夜遅くまでやっていることが多い
  • 予約をすれば待ち時間なしで施術が受けられる

ことから、お仕事をされている方でも定期的に通院しやすいことがメリットです。

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整骨院通院のデメリット

一方で、整骨院への通院にはこのような声もあります。

この方の言うように、整骨院での1回あたりの金額は病院での1回あたりの金額よりも高くなることが多いといえます。

お伝えしているとおり、傷害分の自賠責限度額は治療費も含めて120万円となっています。

そのため、通院期間を確保しても、整骨院での通院費がかさんでしまうと、自賠責保険から傷害慰謝料を多く受け取れないことになってしまいます。

慰謝料の自賠責基準での計算をする場合には、常に120万円の限度額を意識しておく必要があります。

また、交通事故の治療を整骨院で行うには医師の許可が原則として必要となりますので、注意しましょう。

慰謝料を多くもらうカギ②労災保険の有効利用

お伝えしてきたとおり、交通事故で慰謝料を自賠責から受け取れる金額は

  • 120万円の限度額
  • 治療費

が影響してくることになります。

そのため、自己負担分のない労災で治療できる場合、自賠責保険から受け取れる慰謝料が増える場合があります。

具体例として、

  • 治療費 60万円
  • 通院6か月(180日)
  • 通院日数90日

の交通事故を想定してみましょう。

労災保険使用の場合

労災保険使用の場合ですと、治療費は0円となります。

そして、慰謝料は

4,200円×180日=756,000円

となります。

差し引かれる治療費はありませんので、受け取れる慰謝料は756,000円となります。

労災保険不使用の場合

労災保険不使用の場合ですと、治療費は600,000円となります。

そして、慰謝料は

4,200円×180日=756,000円

となります。

そうすると、総額は1,356,000円となります。

もっとも、自賠責保険の傷害による損害の限度額は120万円ですので、自賠責の基準で受け取れる金額は1,200,000円となります。

そして、治療費が優先して支払われることになりますので、受け取れる慰謝料は

1,200,000円−600,000円=600,000円

となります。

このように、労災を使用することで受け取れる慰謝料が高くなる場合があります。

労災保険を使用した方が受け取れる慰謝料が高い場合
労災保険使用 労災保険不使用
治療費 0 600,000
慰謝料 6月分 756,000 756,000
総額 756,000 1,356,000
限度額 1,200,000
病院へ支払われる金額 0 ▲600,000
受け取れる慰謝料 756,000 600,000

上の事例は、自賠責保険に対して請求するケースです。

しかし、上でも触れたとおり、任意保険は自賠責を超える部分をカバーするためのもので、任意保険の負担分は自賠責を超える部分になります。

そのため、任意保険が対応している場合でも、自身の負担が生じる自賠責の基準の範囲を超えるかどうかで対応が変わってくることが多いです。

相手方の任意保険が対応している場合でも、自賠責限度額を有効に利用することは重要といえます。

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最後に一言アドバイス

では、岡野弁護士、最後にまとめの一言をお願いします。

冒頭で申し上げたとおり、交通事故の慰謝料自賠責基準は賠償の基礎となるものです。

誤った判断をしてしまうと受け取れる慰謝料が少なくなる可能性もあります。

判断が難しいところもありますので、お悩みがあれば、すぐに弁護士に相談して、適切な対応ができるようにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

このページを最後までご覧になってくださった方は

  • 自賠責の慰謝料は三種類あり、自賠責保険には限度額がある
  • 慰謝料の自賠責基準計算式や金額は明確に定められている
  • 慰謝料を多くもらうには過失割合や通院日数・治療費を考慮する必要がある

ことについて、理解が深まったのではないでしょうか。

このページだけではわからなかったことがあるという方は

も利用してみてください。

このページが、少しでも交通事故に遭われた方のお役に立てれば何よりです。

自賠責保険の慰謝料計算方法についてのQ&A

自賠責保険って何?

自賠責保険とは、車やバイクを買うときに必ず入らなければいけない保険のことです。事故があったときに、被害者が最低限の補償を受けられるよう国が加入を強制しています。自賠責保険に入っていない自動車を運転すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金になってしまうので、注意が必要です。 自賠責保険についての解説

自賠責を超えた部分は誰が補償する?

自賠責を超える部分の支払は、任意保険が負担してくれます。自賠責保険は最低限の補償を受けられるようにするための保険です。そのため、自賠責保険だけでは実際に裁判などで支払を命じられる賠償額をカバーしきれないことも多くなります。 自賠責を超える部分を任意保険が負担

自賠責基準のほうが慰謝料が高くなるケースって?

過失割合によっては自賠責保険に慰謝料を請求したほうが有利な場合があります。自賠責保険の基準が任意保険の基準よりも有利となるのは、①過失が7割未満であれば過失相殺されない②過失が7割以上あっても、減額割合が過失割合に比べて低い、といった場合です。 過失割合次第で自賠責の方が高額に?

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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