交通事故で難聴に…症状ごとの後遺症等級認定や慰謝料の金額|耳鳴り・聴力低下など
まさか自分や家族が交通事故に遭うなんて…。
と思っていたある日、事故の被害者になってしまった。
交通事故に遭って以来、耳鳴りが止まらない…。
何だか耳が聞こえなくなってしまったが、難聴だろうか…。
そんな症状が残っているのですが、交通事故により耳が聞こえなくなることはあるのでしょうか!?
答えはYESです。
最も多いのは、事故の衝撃で耳の「内耳」という部分に影響が出る内耳振盪症と呼ばれる症状。
耳が聞こえないとなれば、日常生活に影響が出るものなので、しっかりと補償してもらいたいですよね。
耳の傷害は、交通事故の後遺症として認定されるの?その場合の等級は?
普段の生活にも影響があるのに、
保険会社から提示された慰謝料は正しいのだろうか…慰謝料の相場とは!?
このページでは、そんな純粋な疑問やお悩みをお持ちの方と一緒に、耳の後遺症について勉強していければと思います。
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
実際に、耳の後遺症に関して、これまでに相談を受けてきました。
その経験に基づき、慰謝料などの具体例も含め、解説していきたいと思います。
目次
最初にも言いましたが、耳が聞こえなくなると日常生活にも支障がありますよね…。
その分、適正な補償を受け取りたいところです。
保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうその前に!!
正しい知識を身につけておきましょう。
後遺症の認定に向けて知っておきたい難聴・聴力障害の基礎知識
後遺症の認定や慰謝料請求の前に、耳の後遺症に関する知識があるに越したことはありません。
まずは、基礎知識から見ておきましょう。
難聴に聴力障害…交通事故による耳の障害の原因は?
交通事故による耳への障害としては、まず難聴や聴力障害が挙げられます。
その原因も様々考えられますが、ここでは代表的な3つについて紹介しておきたいと思います。
①内耳振盪症
人の耳の構造は下の図のようになっています。
耳の最も内側にある、図のムラサキの部分が内耳です。
内耳にはリンパ液と呼ばれる液体が流れています。
しかし、交通事故などの衝撃でこのリンパ液が振動することにより、難聴などの症状が発生することがあります。
それが内耳新盪症で、交通事故による難聴や聴力障害の最も一般的な原因と言えるようです。
②側頭骨の骨折
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/73/Sphenoparietal_suture.png
一方、交通事故によって耳周辺の頭蓋骨が骨折してしまうケースも考えられます。
骨折により、耳の各器官が障害を受けると、難聴や聴力障害が引き起こされてしまいます。
③外リンパ瘻(ろう)
外リンパ瘻…聞きなれない言葉かと思いますが。
これは、交通事故の衝撃で内耳の一部に穴があき、中のリンパ液が漏れ出してしまうことです。
難聴以外にも、外リンパ瘻特有の耳鳴りが生じ、手術が必要となるケースもあるそうです。
原因 | 症状 | |
---|---|---|
内耳振盪症 | 内耳のリンパ液の振動 | 難聴 聴力障害 |
側頭骨の骨折 | 頭蓋骨の骨折 | |
外リンパ瘻 | 内耳のリンパ液の漏出 | |
耳鳴り |
交通事故が原因の難聴や聴力障害。
日常生活にも影響が及ぶものなのですが、交通事故の後遺症として認定されるのでしょうか?
耳の障害は、交通事故の後遺症として認定されます。
後遺症の認定に向けて!聴力検査を実施する時期と検査方法
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fa/HearingExam.jpg
耳に残った障害は、後遺症として認定されることはわかりました。
その後遺症認定に際しては、検査が必要になるワケですが…。
その検査は、療養後、その症状が固定化された段階で行われます。
検査方法としては、
- 一定の音が聞こえるかを検査する純音聴力検査
- 言葉の聞き取りの能力を検査する語音聴力検査
という2つの方法があるということです。
平均純音聴力レベルとは…
また、難聴や聴力障害の後遺症認定の基準となる数値に平均純音聴力レベルというものがあります。
これは、純音聴力検査の2回目と3回目の数値の平均で算定されるもの。
一般的に、30dB(デシベル)以下の数値であれば、正常であると言われています。
平均純音聴力レベルが40dBを超えるような場合は、難聴や聴覚障害の後遺症認定がなされるでしょう。
◆注目ポイント◆難聴・聴力障害の後遺症認定基準をご紹介
ここで!
聴力検査の結果と後遺症等級との関係は、下の表のようになっているようです。
出典:https://xn--u9jt61koocn8bf7hnv9dr3h4wm.com/wp-content/uploads/12-3_2img.jpg
出典:https://xn--u9jt61koocn8bf7hnv9dr3h4wm.com/wp-content/uploads/12-3_3img.jpg
表を見てお分かりいただけると思いますが、後遺症等級の認定は、
- 純音聴力検査の結果である聴力(平均純音聴力)
- 語音聴力検査の結果である最高明瞭度の数値のバランス
によって決定されるのですね。
さらに、後遺症認定を受けるための最低数値は、
- 聴力については40dB以上
- 最高明瞭度については70%以下
の必要があるということもわかりました。
検査方法 | 認定のための最低数値 |
---|---|
純音聴力検査 | 平均純音聴力レベル40dB以上 |
語音聴力検査 | 最高明瞭度70%以下 |
難聴・聴力障害だけじゃない…耳鳴り・耳漏・耳の欠損の後遺症認定と認定等級についても解説!
繰り返しになりますが、難聴や聴力障害は後遺症として認定されることがわかりました。
では、それ以外に後遺症として認定される耳の障害はないのでしょうか?
なるほど、耳鳴りも後遺症として認定される可能性がありますが、交通事故と耳鳴りの因果関係の立証が必要なのですね…。
キーン…ゴー…止まらない耳鳴りの後遺症とは
とはいえ、耳鳴りも日常生活への影響は大きいですよね。
なんとか後遺症の認定を受けたいところですが…。
交通事故により耳鳴りが生じる原因としては主に、
- 外傷が原因である場合
- 心因的な側面が原因である場合
があるということです。
外傷による耳鳴り
外傷が原因である場合、最も多いのはむちうちに伴う耳鳴りでしょうか。
実は、交通事故でむちうちとなってしまった患者さんのうち、約10%の方が耳鳴りの症状を訴えているということです。
頚椎周辺を損傷したことで、交感神経の活動が異常化し、耳につながる血管が収縮・拡張してしまうためだと考えられています。
心因的な側面による耳鳴り
一方、心因的な原因である場合は、交通事故によるストレスが主な引き金になっているようです。
強いストレスを受けると、交感神経の活動が活発になり、血管が拡張することが原因と考えられています。
ケース | 認定等級 |
---|---|
耳鳴りにかかる検査により難聴による著しい耳鳴りが常時あると評価できる場合 | 12級 |
難聴による受持耳鳴りがあることを合理的に説明できる場合 | 14級 |
ちなみに、表の中に耳鳴りにかかる検査という言葉が出てきています。
これは、
- ピッチ・マッチ検査:耳鳴りの音の高さを検査
- ラウドネス・バランス検査:耳鳴りの音の大きさを検査
のことだそうです。
読み方は「じろう」!耳漏の後遺症とは
耳鳴り以外に、耳漏という後遺症も挙げられます。
耳漏とは、耳の中に溜まった液体が、鼓膜が破れることで外に出てきてしまう症状のことです。
交通事故で強い衝撃を受けることで、脳脊髄液という脳を包んでいる液体が漏れ出してしまい、生じることが多いとのこと。
耳漏についての後遺症等級認定基準は、以下の通りです。
ケース | 認定等級 |
---|---|
鼓膜の外傷性穿孔による耳漏が常にあり | 12級 |
鼓膜の外傷性穿孔による耳漏あり | 14級 |
耳漏を伴わない外傷による外耳道の高度の狭さく | 14級 |
片耳と両耳で違う?耳の欠損の後遺症とは
あとは、交通事故の衝撃で、耳の一部が失われてしまうケースも考えられます。
下の表を見てわかる通り、耳の半分以上を失ってしまった場合に限り、12級の後遺症等級認定がされるとのことです。
ケース | 認定等級 |
---|---|
耳の軟骨部の1/2以上を欠損 | 12級 |
忘れてはいけない「外観の醜状障害」
また、耳の欠損の場合は、外観に醜状を残すと認定されることもあるそうです。
その場合、耳の欠損による後遺症等級認定に加え、醜状障害の後遺症等級も認定されるケースがあるとのこと。
この場合、耳の欠損と醜状障害の後遺症等級のうち、どちらか上位の等級が認定されることになります。
もしも耳を1/2以上失ってしまった場合。
耳の欠損障害では12級の認定ですが、醜状障害では7級の認定となります。
よって、より等級が重い醜状障害の7級が認定されることになるんですね。
耳の欠損が1/2以下のため、耳の欠損障害では12級と認定されない場合でも、醜状障害として12級に認定されることもあります。
耳の欠損で後遺症が認定されないからといって、諦めてはいけないということですね!
とはいえ、自分一人ではそこまで考えられませんよね。
このような場合に備えて、交通事故に強い弁護士さんに相談してみるのもアリかなと思います。
過去の裁判例から学ぶ!!耳の障害に関する慰謝料の相場とは?
耳の障害に対する慰謝料の相場を知りたい!
耳の障害の後遺症認定の基準についてもわかってきました。
では、耳の障害について、交通事故の相手方に慰謝料を請求をした場合の相場はどれくらいなのでしょうか?
実は、慰謝料の金額についてはケースごとに異なり、決まった相場というものはありません。
ここでは参考として、耳の障害に関する慰謝料請求についての裁判例をいくつかご紹介したいと思います。
耳の後遺症 | 後遺症認定等級 | 慰謝料 | |
---|---|---|---|
① | ・聴力障害 ・耳鳴り |
14級 | 150万円 |
② | ・難聴など | 12級 | 300万円 |
③ | ・聴力障害 | 11級 | 420万円 |
④ | ・難聴など | 9級 | 616万円 |
⑤ | ・片耳の聴力喪失 | 9級 | 700万円 |
同じ障害でも等級も異なりますし、金額も100万円程度のものから、重い障害では700万円まで請求できる場合もあるんですね。
状況によって大きく異なるということがわかりました。
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状況により大きく異なるとはいえ、自分の慰謝料はある程度把握しておきたいものですよね。
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弁護士に相談して獲得したい!逸失利益
難聴などの障害によって仕事に支障が出て、将来的に年収が下がる可能性があるケースも考えられます。
その場合には、慰謝料とは別に逸失利益というものも請求できるということです。
逸失利益とは、後遺症が原因で労働能力が失われた場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償のこと。
ケースによりますが、逸失利益のほうが金額的には慰謝料額よりも高額になることも多いです。
ただし、慰謝料や逸失利益の金額は、具体的な事情により大きく異なります。
被害に遭われたご本人だけで正確にその相場を見極めることは困難であると考えられます。
なるべく早い段階で弁護士に相談をし、具体的な慰謝料の目安などを確認してみてください。
交通事故の後遺症で、適正な慰謝料を獲得するためには、弁護士さんに頼ることも重要なポイントのようですね。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、耳の後遺症でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
まずは、医師の診断を受け、きちんと療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに耳に後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、日常生活に支障が出るような後遺症が残る場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは非常に難しいです。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
最後までお読みいただけた方には、
- 難聴など、耳の後遺症の症状や検査方法
- 耳の障害の後遺症認定のポイント
- 耳の障害の後遺症認定等級ごとの慰謝料の相場
について、理解を深めていただけたでしょうか。
耳の後遺症が残っている場合は、自分だけで対応するのではなく、弁護士に相談した方が良いと感じた方も多いのではないでしょうか?
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また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関する関連記事もその他多数掲載していますので参考にしてみてください<(_ _)>
交通事故が原因の難聴に関するQ&A
交通事故で難聴などの症状がでるのは何が原因?
交通事故による耳への障害として、難聴・聴力障害があげられます。原因としては内耳内のリンパ液が振動する内耳振盪症、耳周辺の頭蓋骨である側頭骨の骨折、内耳の一部に穴があいてリンパ液が漏れだす外リンパ瘻(ろう)などが考えられます。 交通事故による耳の障害の原因
耳鳴り・耳漏・耳の欠損の後遺症認定と等級は?
耳鳴りは後遺障害認定される可能性がありますが、交通事故と耳鳴りの因果関係の立証が必要です。認定等級は12級もしくは14級が該当します。耳漏は12級もしくは14級の後遺障害が該当するでしょう。耳の欠損は「耳の軟骨部の1/2以上を欠損」した場合は12級の後遺障害に認定されます。さらに耳の欠損は醜状障害として7級に等級認定されるケースがあります。 耳鳴り・耳漏・耳の欠損の後遺症認定と等級
耳の障害に関する慰謝料の相場とは?
慰謝料の金額には決まった相場はありません。耳の障害に関する後遺障害慰謝料が争われた裁判例を紹介します。後遺障害認定等級が14級の聴力障害・耳鳴りの後遺症に対する後遺障害慰謝料は150万円で、11級の聴力障害の後遺症に対する後遺障害慰謝料は420万円となります。耳の障害でも等級によって慰謝料金額は異なります。 耳の障害に関する慰謝料の相場はある?
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。