高次脳機能障害で支払われる保険金|生命保険からの高度障害保険金は受け取れる!?
高次脳機能障害という言葉は、最近ではやっと認知されてきています。
高次脳機能障害とは、交通事故でくも膜下出血となった場合や、病気で脳梗塞となった場合のように脳に損傷が生じた場合に発症する可能性があるものです。
もしも高次脳機能障害を負えば、長い治療期間が必要となるかもしれませんし、仕事もできなくなってしまうかもしれません…。
そういった事態に備えて、様々な保険に加入されている方も多くいらっしゃるはずです。
保険金が支払われれば、治療費や生活費などの不安の軽減につながるかもしれません。
しかし、高次脳機能障害の場合、生命保険などからの高度障害保険金の支払いについて争いが生じることも多いようです。
そこで今回このページでは、高次脳機能障害を負った場合に支払われる保険金について、お悩みの皆さまと一緒に見ていきたいと思います。
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
脳損傷により高次脳機能障害の後遺症を負われ、ご本人様だけでなく、ご家族の皆さまも心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
また、仕事もできなくなり、治療費や今後の生活費の心配も尽きないはずです。
そのような場合、ご自身が加入されている保険から保険金を受け取れる可能性があります。
今回は、このページをお読みの方に少しでも安心いただけるよう、わかりやすく解説していきたいと思います。
目次
脳を損傷した場合に、後遺症として残ってしまう可能性がある高次脳機能障害。
障害が残ると、記憶障害や人格変化など様々な症状が現れます。
高次脳機能障害の詳しい症状などについては、こちらの記事をご覧になってみてください。
しかし、治療やリハビリを続けることになれば、治療費などもかかることになります。
また、仕事が続けられなくなれば、その後の生活費も心配なはずです。
では、高次脳機能障害の後遺症が残った場合、受け取れる保険金にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここから一緒に見ていきましょう。
高次脳機能障害となった場合に受け取れる保険金
高次脳機能障害となる原因としては、脳損傷ということでした。
脳損傷を負った場合、まず、病院に入院しての治療が必要となるはずです。
その場合、ご自身の加入している生命保険や傷害保険から、怪我の治療に対する保険金が支払われることになります。
①-1 怪我の治療に対する自分の生命保険からの保険金
生命保険とは、実は病気だけでなく、不慮の事故などの災害によって死亡した場合などにも保険金が支払われるものとなっています。
よって、脳梗塞などの病気による脳損傷であっても、事故の外傷による外傷性脳損傷などであっても、保険金が支払われることになります。
(死亡保険金) |
---|
被契約者が死亡もしくは高度の障害状態に陥った際に支払われる保険金。 |
医療保険金 |
入院時や手術時に支払われる保険金。 日本国民は基本的に健康保険に加入しているが、それではカバーされない差額ベッド代や、入院時の生活費、先進医療費などに備える保障。 |
生命保険であっても、死亡保険金だけでなく、治療に対する保険金も受け取れるんですね…!!
民間の医療保険の医療特約に加入している場合、手続きに必要な診断書を書いてもらうことで、まだ入院中であっても入院給付金や手術給付金が支給されることもあります。
この点についても、保険契約証書を確認してみたり、加入されている医療保険会社に確認してみてください。
また、医療特約以外にも特約を付加すれば、より手厚い保障内容にすることができます。
災害入院特約 |
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怪我で入院した場合に入院給付金が支給されるもの。 |
災害割増特約 |
交通事故などの突発的で偶然起きる事故による死亡の場合に、死亡保険金を上乗せできるもの。 |
傷害特約 |
交通事故などの突発的で偶然起きる外来的な事故による死亡のときに、死亡保険金を上乗せできるもの。 交通事故などの突発的で偶然起きる外来的な事故によって所定の障害状態になった場合は、その障害の程度に応じて給付金が支払われる。 |
上記の特約は、交通事故での確率をもとに作られているため、年齢も関係なく、保険料も安価となっているようです。
ただし、たとえば交通事故が原因の場合、特約を付けなくても、生命保険や自動車保険から怪我に対する補償を受け取ることは可能です。
特約に加入していれば、もちろん保険金を受け取ることはできますが、保険料の無駄が発生しているとも考えられます。
事故への保障に偏った保険となっていないか、検討してみるのも良いかもしれません。
もしもの場合に備えて、ご自身の加入されている生命保険の契約内容も確認しておいた方が良いかもしれませんね。
①-2 高次脳機能障害に対する保険金は支払われない!?
ところで生命保険では、非常に高度な障害が残ってしまった場合、被保険者の方が亡くなっていなくても、死亡保険金と同等の高度障害保険金を受け取ることが可能となっています。
例として、損保ジャパンの生命保険の約款を見てみました。
対象となる高度障害状態とは、つぎのいずれかの状態をいいます。
(1)両眼の視力を全く永久に失ったもの
(2)言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
(3)中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
(4)胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
(5)両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
(6)両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
(7)1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
(8)1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
出典:http://www.himawari-life.co.jp/~/media/himawari/files/yakkan/shushin_801142-2300-1.pdf
では、脳損傷により高次脳機能障害の後遺症が残った場合に、高度障害保険金を受け取れるのでしょうか?
見た限り、(3)に該当するように思えるのですが…。
実は、支払われないケースも多いようなのです。
一昨年主人が脳梗塞になり 左半身麻痺・構音障害・高次脳機能障害の後遺症が残りました
発症から半年後に住宅ローンの高度障害の診断書を提出しましたが右利きで食事が自分で口に運べることを理由に認められませんでした
(略)
主人の状態は日常動作の中の排便・排尿・衣服着脱・起居・歩行・入浴は高度介助が必要ですが 食物の摂取は目の前に置けば右手が使えますの自分で口に運ぶことができます
しかし高次脳機能障害があるため指示しなければ食べなかったり左に置いた物に対して気が付かないので実際は私が食べさせています
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1478901464
実際、生命保険や団体信用生命保険の高度障害保険金の支払いについては、裁判でも判決が分かれているようです。
水戸地土浦支判昭和57年9月28日文研判例集3巻253頁 |
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被保険者が破裂脳動脈瘤の手術を受け、生命は取り止めたものの、顔面を含む左片麻痺の症状が残った。 ただし、 ・食物の摂取は食器や食物を選定すれば自力で可能 ・特別の器具を使用すれば自力で排便、排尿が可能 ・ベッド上の起居、周辺歩行は辛じて可能 ・精神状態の障害は軽度 であることから、保険会社の約款所定の廃疾状態は限定的なものであり、廃疾状態と同等以上の高度の障害と解することは困難である。 |
大阪地判昭和58年9月28日文研判例集3巻386頁 |
被保険者が頸髄損傷を負い、痙性四肢麻痺の傷害が残った。 ただし、 ・起居動作、杖を使用しての100m程の歩行 ・スプーンを使用しての食物の摂取 ・おしめをつけずしての排尿、排便およびその後始末 のいずれも他人の介護なしに行えるため、廃疾保険金の支払基準を充足しないとされた。 |
前橋地太田支判平成14年3月27日生命保険判例集14巻138頁 |
被保険者が脳梗塞を発症し、身体障害1級と認定された。 ただし、 ・食物の摂取や衣服を着ることは独力でも可能 ・精神状態についても相当程度の理解力や応答力を有している ことにより、高度障害とはほど遠い状態であるとされた。 |
※ 保険事例研究会レポート第252号(公益財団法人生命保険文化センター)参照
東京高判平成19年5月30日判タ1254号287頁 |
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被保険者が頭蓋内出血(脳内出血)を発症し、上下肢の不全麻痺が残り、症状の改善も見られなくなった。 被保険者は、上下肢の不全麻痺のため、 ・排便、排尿、その後始末 ・衣服の着脱 ・起居、歩行、入浴 を自力で行うことができず、 ・食物や飲み物の摂取 についても、絶えず介護者が傍で見守っている必要があることから、普通保険約款の本文及び備考欄にいう「食物の摂取、排便、排尿、その後始末及び衣服着脱、起居、歩行、入浴のいずれもが自分ではできず」、「常に他人の介護を要する状態」にあると認められた。 |
※ 保険事例研究会レポート第252号(公益財団法人生命保険文化センター)参照
営利企業である保険会社としては、自社の利益のために支払う保険金の金額を少しでも少なくしたいと考えているのはわかります。
しかし、実際に重度の後遺症が残っているのに保険金の支払いが認められないというのは非常に辛いことですよね。
保険会社ごとにも支払い基準などが異なるため、ご自身だけで保険会社と戦うのは非常に厳しいものと思われます。
保険金の支払いについて保険会社と揉めた場合には、専門の弁護士に相談してみてください。
②自分の傷害保険からの保険金
生命保険ではなく、傷害保険(損害保険)に加入されている方もいらっしゃるかもしれません。
傷害保険も、不慮の事故による死亡・傷害・怪我を保障するためのものであり、契約内容に応じて死亡保険金や障害保険金、入院保険金などが支払われます。
ただし生命保険とは違い、傷害保険の保障対象は「不慮の事故によって発生した損害」に限定されており、病気による死亡・障害については一切保障されません。
よって、交通事故などの事故が原因の外傷性脳損傷の場合には、保険金を受け取れることになります。
傷害保険から受け取れる保険金としては、以下のようなものが挙げられます。
(死亡保険金) |
---|
不慮の事故によって被契約者が死亡した場合に支払われる保険金。 |
後遺障害保険金 |
不慮の事故によって所定の後遺障害状態に陥った場合に支払われる保険金。 |
入院保険金 |
不慮の事故によって傷害を負った場合、入院日数に応じて支払われる保険金。 支給条件として、事故から入院までの経過日数に制限が設けられている。 |
通院保険金 |
不慮の事故によって傷害を負った場合、通院日数に応じて支払われる保険金。 支給条件として、事故から入院までの経過日数に制限が設けられている。 |
手術保険金 |
入院保険金が支払われる場合に、その怪我の治療のために所定の手術を受けた場合に支払われる保険金。 支給条件として、手術の種類や1事故あたりの保険金の支給回数に制限が設けられている。 |
外傷性脳損傷が原因で高次脳機能障害が残った場合には、治療に対する保険金だけでなく、後遺障害保険金が支払われることになります。
後遺障害保険金については、残った症状の程度により、支払い割合などが決められているそうです。
そして、高次脳機能障害の場合、以下の等級が認定される可能性があります。
等級 | 認定基準 |
---|---|
14級 | ・画像などで脳損傷が推測可能 ・4能力のうち1つ以上の能力が困難だが概ね可能 |
12級 | ・画像などで脳挫傷、脳出血などが確認可能 ・4能力のうち1つ以上の能力が困難はあるが概ね可能 |
9級 | ・一般就労は可能だが、作業効率や作業持続力などに問題あり |
7級 | ・一般就労は可能だが、一般人と同等の作業は不可能 |
5級 | ・就労の維持には、職場の理解と援助が必要不可欠 ・作業を限定すれば、一般就労も可能 |
3級 | ・一般就労が困難 ・日常の生活範囲は自宅に限定されていない ・周りの介助なしに日常の動作を行える |
2級 | ・著しい判断力の低下や情動の不安定 ・日常の生活範囲が自宅内に限定される ・周りの介助なしには日常の動作を行えない |
1級 | ・生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要する |
ちなみに4つの能力とは、
- 意思疎通能力=他者とのコミュニケーションに支障があるか否か
- 問題解決能力=理解や判断に困難があるか否か
- 作業負荷に対する持続力・持久力=一定時間支障なく働けるかどうか
- 社会行動能力=不適切な行動がみられるかどうか
です。
そして、例として損保ジャパンの場合を見てみると、等級に応じての支払い割合は以下のようになっています。
等級 | 保険金支払割合 |
---|---|
1級 | 100% |
2級 | 89% |
3級 | 78% |
4級 | 69% |
5級 | 59% |
6級 | 50% |
7級 | 42% |
8級 | 34% |
9級 | 26% |
10級 | 20% |
11級 | 15% |
12級 | 10% |
13級 | 7% |
14級 | 4% |
※ 損保ジャパン(傷害保険)の約款より抜粋
被保険者の方が不慮の事故により脳損傷を負い、その結果として、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合、
死亡保険金額×保険金支払割合
によって算出された額が後遺障害保険金として支払われることになります。
③-1 労働者災害補償保険からの保険金
ところで、業務中や通勤中に、交通事故や転落事故などで脳損傷を負った場合、労働者災害補償保険(労災)が適用されます。
雇用主が労災保険未加入の場合や、アルバイト、パートタイマーといった雇用形態の場合などに関係なく、仕事中の病気や怪我が原因であれば、労災保険は適用されます。
そして、労災保険から給付される保険金としては、以下のようなものが挙げられます。
療養(補償)給付 |
---|
業務災害または通勤災害による傷病により療養する際に受け取れる保険金。 |
休業(補償)給付 |
業務災害または通勤災害による傷病の療養のため労働することができず、賃金を受けられないときに受け取れる保険金。 |
障害(補償)給付 |
業務災害または通勤災害による傷病が治癒(症状固定)した後に障害等級第1級から第14級までに該当する障害が残った際に受け取れる保険金。 1級~7級の場合は年金として、8級~14級の場合は一時金として支払われる。 |
※ 療養のため通院したときは、通院費が支給される場合があります。
また、仕事中の脳損傷により高次脳機能障害が残った場合には、労災からも後遺症に対する保険金が支払われます。
後遺症に対する労災の保険金については、こちらの記事をご覧になってみてください。
③-2 病気が原因の場合は労災が認定されない?
ただし、事故による外傷性脳損傷ではなく、勤務中などに病気により脳梗塞を発症した場合などには、労災が認定されるか争いになることも多いようです。
病気による脳損傷の労災認定要件
以下の3つのように、業務による明らかな荷重負荷を受けたことにより発症した場合
- 異常なできごと
- 短期間の過重業務
- 長期間の過重業務
では、それぞれについて詳しく見ていきます。
異常なできごと
発症直前から前日までの間に、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常なできごとに遭遇した場合に認定されやすいそうです。
たとえば、
- 精神的負荷(業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与し、著しい精神的負担を受けた場合など)
- 身体的負荷(事故の発生に伴って、救助活動や事故処理に携わり、著しい身体的負荷を受けた場合など)
- 作業環境の変化(屋外作業中、極めて暑熱な作業環境下で水分補給が著しく阻害される状態や特に温度差のある場所への頻回な出入りなど)
といったできごとが挙げられます。
短時間の過重業務
発症前約1週間で、拘束時間の長い勤務や不規則な勤務、出張の多い業務、精神的緊張を伴う業務などを行った場合に認定されやすいそうです。
長期間の過重業務
発症前約6ヶ月で、
- 1ヶ月あたり約45時間を超える時間外労働が長期に続いていた場合
- 100時間を超える時間外労働が1ヶ月、80時間を超える時間外労働が2ヶ月続いた場合
に認定されやすいそうです。
詳しくは、厚生労働省の説明書をご覧ください。
交通事故が原因で高次脳機能障害となった場合に受け取れる保険金
以上、ご自身が加入されている生命保険や傷害保険などから受け取れる保険金について見てきました。
ところで、脳損傷は交通事故が原因で負うことも多くなっています。
交通事故が原因の場合、他にどのような保険金を受け取ることができるのでしょうか?
①-1 相手側の自動車保険からの保険金
まず、車を運転する人に加入が義務付けられている自賠責保険から、傷害、後遺障害、死亡に対する保険金を受け取ることになります。
その内訳や限度額については、こちらの記事をご覧ください。
ただし、自賠責保険は交通事故の被害者の方を最低限補償するためのものとなっています。
よって法令上、保険金に支払い限度額が定められています。
しかし、高次脳機能障害を負うような怪我をした場合、その限度額を超えてしまうことがほとんどのはずです。
そのような場合、加害者が任意保険にも加入していれば、自賠責の限度額を超える分の保険金も受け取れることになります。
任意保険であれば、怪我に対してだけでなく、壊れた車両に対する保険金も受け取れる可能性があります。
対人賠償保険金 |
---|
交通事故で相手側の車に乗っていた人や歩行者を怪我させたり、死亡させてしまった場合など、法律上の損害賠償責任を負担する場合に、自賠責保険の補償上限を超える損害賠償をカバーする保険金。 |
対物賠償保険 |
交通事故で他人の車や物などの財物に損害を与えてしまった場合に、支払われる保険金。 |
①-2 高次脳機能障害(後遺症)に対する保険金
ところで、高次脳機能障害は脳損傷による後遺症なので、後遺症に対する保険金が一番重要となってきます。
特に任意保険における後遺症慰謝料については、相場に3つの基準があり、基準によって大きく金額が異なっています。
後遺症等級 | 自賠責基準※2 | 任意保険基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 高次脳機能障害の等級は傷害保険のところで紹介した等級を参照。
※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※3 旧任意保険支払基準による。
表を見ておわかりいただけたかもしれませんが、後遺症慰謝料としては、弁護士基準での慰謝料を獲得すべきです。
しかし、被害者の方ご自身だけで保険会社と交渉しても、低い基準での保険金しか支払ってもらえないそうです。
一方、弁護士を付けて交渉すれば、弁護士基準での慰謝料を獲得できることがほとんどとなっています!
よって、自動車保険会社との示談交渉にあたっては、ぜひ弁護士に相談してみてください。
②自分の自動車保険からの保険金
ところで、赤信号で停車中に後ろから追突された場合のように、相手側が100%悪いと明らかなケースを除いては、被害者の方にも過失割合が認められてしまうことがあります。
被害者側に過失がある場合には、その過失割合分は相手側に請求できる保険金から減額されてしまうことになります…。
被害者の方にも過失割合が認められるような場合には、被害者の方ご自身が加入されている任意の自動車保険から保険金を受け取れる可能性があります。
もちろん過失がない場合にも受け取ることは可能です。
ご自身の自動車保険から受け取れる保険金としては、以下のようなものが挙げられます。
人身傷害補償保険金 |
---|
過失割合に関わらず、保険会社の基準によって支払われる保険金(実損害額)。 同乗者の損害は、基本的に無条件に補償される。 |
搭乗者傷害保険金 |
自分の車に乗っている人(運転者・同乗者)が死亡、怪我をしてしまった場合に、自賠責保険や対人賠償保険などとは別に支払われる保険金。 |
無保険車傷害保険金 |
賠償能力が十分でない車の過失による事故に巻き込まれた場合に支払われる保険金。 |
自損事故保険金 |
運転手自身の責任で起こした事故により、運転手自身が死亡、怪我をしてしまった場合に支払われる保険金。 |
以上の保険に加入していれば、ご自身に過失がある場合や、相手が無保険だった場合、自動車運転中ではなかった場合にも、治療費の実費や休業損害などがカバーされる可能性があります。
一度、ご自身の自動車保険契約内容を確認してみるのも良いかもしれません。
ただし、ご自身の保険を利用すると次回からの保険料が上がってしまうこともあるので、その点は要注意ですね。
自動車保険から受け取れる保険金=示談金の内容や相場について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧になってみてください。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、高次脳機能障害の保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
交通事故の場合、相手側保険会社からの保険金以外に、自分の自動車保険や生命保険、医療保険などからも補償を受けられる可能性があります。
よって、どのような補償内容の保険に加入していて、どのような時に保険金が受け取れるのか、きちんと確認し、整理しておくことをお勧めいたします。
一方、自動車保険からの保険金に関しては、被害者の方だけで交渉しても、思ったよりも低い保険金しか受け取れない可能性もあります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
高次脳機能障害を負った場合に受け取れる保険金
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高次脳機能障害で支払われる保険金に関するQ&A
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高次脳機能障害に傷害保険って利用できる?
傷害保険に加入している場合、傷害保険を利用すれば、契約内容に応じて死亡保険金・障害保険金・入院保険金などが支払われます。高次脳機能障害が残った場合は治療に対する保険金以外に、後遺障害保険金が支払われることになります。後遺障害保険金は、後遺症の程度によって支払い割合が変わります。 高次脳機能障害への傷害保険の適用について
高次脳機能障害に労災は使える?
業務中や通勤中の交通事故や転落事故などで脳損傷を負った場合、労災(労働者災害補償保険)が適用されます。労災は、雇用形態や雇用主の労災保険の加入・未加入にかかわらず適用されます。労災からの保険金としては、療養給付・休業給付・障害給付があげられます。 労災の受け取りの条件
交通事故の高次脳機能障害で保険金はもらえる?
第一に、相手側の自動車保険から保険金を受け取ることになります。相手側の自賠責保険から最低限の補償を受け取ることができます。限度額を超えた補償は相手側の任意保険から支払われることになります。また、被害者側にも過失が認められる場合、被害者自身が加入する任意保険の利用も考えられます。ただし、ご自身の保険を利用すると次回からの保険金が上がることがあるので注意が必要です。 相手方の保険と自分の保険
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。