交通事故で起訴|起訴と不起訴の決め手は?略式裁判の流れや起訴猶予も解説!
交通事故を起こしてしまったとき、大きな肝心事の一つが、起訴されるかされないかですよね。
- 起訴されると裁判になるのは知っているけれど、詳しくは知らない
- 不起訴と無罪ってどう違うの?
等の疑問を持つ人も多いでしょう。
今回は、交通事故を起こしたときの起訴・不起訴について解説していきます。
起訴・不起訴とはよく聞く言葉である一方、詳しく調べてみるとわからないことがたくさんあるものです。
交通事故での起訴に関することについて、ここでしっかり理解していきましょう。
目次
交通事故での起訴か不起訴かの決め手は?告知書は送られてくる?
交通事故での起訴・不起訴とは?
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交通事故における起訴・不起訴とは、どういう意味なのでしょうか。
それを考えるにあたり、まずは交通事故の加害者に科される3つの責任を確認しましょう。
交通事故の加害者に科される3つの責任とは、
- 刑事責任
- 行政上の責任
- 民事上の責任です。
それぞれの責任について、簡単に確認しておきましょう。
刑事責任 | 行政上の責任 | 民事上の責任 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故により犯した罪に対する責任 | 道路交通の安全を乱したことに対する責任 | 交通事故により被害者が被った損害に対する責任 |
罰則 | 懲役、禁錮、罰金、科料 | 免許の点数の加算 | 賠償金の支払い |
対象となる事故 | 基本的に人身事故 | 基本的に人身事故のみ | 人身事故・物損事故 |
刑事責任に対して科される罰則のことを、刑事罰といいます。
では、刑事罰である
懲役、禁錮、罰金、科料
についても確認しておきましょう。
刑事罰の内容 | |
---|---|
懲役 | 刑事施設に拘置して刑務作業をする刑罰。 |
禁錮 | 刑事施設に拘置する刑罰。刑務作業はともなわない。 |
罰金 | 1万円以上の金銭を支払う刑罰。 |
科料 | 1円以上1万円未満の金銭を支払う刑罰。 |
ではここで、最初の「交通事故での起訴・不起訴とは?」という疑問に立ち返りましょう。
交通事故で起訴・不起訴が問題になるのは、交通事故の加害者が負う3つの責任の一つ、刑事責任を果たすときです。
交通事故における起訴・不起訴の意味
では、交通事故における起訴・不起訴とは、具体的にどのような意味を持つのでしょうか。
交通事故を起こして刑事責任を取るためには、刑事罰を受けなくてはなりません。
そのためには、
- そもそも本当に加害者が刑事責任を負う必要があるのか
- 刑事責任を負う場合、どんな刑事罰を受けるべきか
を判断しなくてはいけません。
そしてそれを判断するのが裁判です。
その判断を求めるために訴えを裁判所に起こすことを起訴、訴えを起こさないことを不起訴といいます。
ポイント
交通事故における起訴・不起訴
- 起訴→加害者が刑事罰を受ける必要があるか、どんな刑事罰を受けるかを検討するために裁判所に訴えを起こすこと
- 不起訴→裁判所に起訴しないこと
起訴されたらどうなる?
ここまで確認した通り、起訴とは
- 加害者が本当に刑事罰を受ける必要があるかを判断するため
- 加害者が受ける刑事罰を決めるため
以上の目的のために、裁判所に訴えを起こすこと
です。
しかし、起訴されたからと言って必ずしも刑事罰を受けることになるとは限りません。
裁判では、加害者が受ける刑事罰を決めますが、それ以前に、有罪か無罪かを判断します。
起訴されて裁判を受けても、そこで無罪とされれば刑事罰は科されません。
どのような刑事罰を受けるのかが決まるのは、裁判において有罪になった場合のみです。
ポイント
起訴されても、裁判で無罪になれば刑事罰は受けなくていい。
不起訴とは何を意味する?
起訴が裁判所に訴えを起こすことであるのに対し、裁判所に訴えを起こさないことは不起訴といいます。
では、不起訴になったらどうなるのでしょうか。
不起訴とは、裁判所に訴えを起こさないこと、つまり裁判にならないということです。
裁判を受けなければ、刑事罰を言い渡されることもないので、何の刑事罰も受けません。
つまり、刑事罰の有無という点では、無罪と同じ扱いになるということです。
ポイント
不起訴になると、刑事罰は科されない。
起訴・不起訴の事例
ではここで、交通事故で起訴になった事例と不起訴になった事例を見てみましょう。
起訴になった事例
自転車で登校中の高校生2人が巻き込まれて死傷することになった乗用車の暴走事件について、検察は運転していた高齢の男を過失致死傷の罪で起訴した。鑑定によって認知症の症状は否定されたが、意識障害の症状が確認されたという。
出典:レスポンス(2018年4月27日)
不起訴になった事例
長崎県警の50代の男性警視が、走行中の車の前に急に入り込んで運転手にけがをさせたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで書類送検されていたことがわかった。県警によると、長崎地検は警視を不起訴処分にしたという。
出典:朝日新聞デジタル(2018年8月25日)
では、起訴と不起訴は、いったいどのように決められているのでしょうか。
交通事故の起訴不起訴が決まるまでの期間と決め方は?
起訴・不起訴は誰が決める?
交通事故の起訴とは、裁判所に訴えを起こすことです。
では、交通事故ではいったい誰が裁判所に対して訴えを起こすのでしょうか。
交通事故における起訴で加害者を裁判所に訴えるのは、検察官です。
被害者が加害者を訴えるというイメージがある人も多いでしょう。
交通事故で被害者が加害者を訴えるのは、加害者が払う賠償金額などの民事上の話し合いがまとまらないときです。
刑事罰を受ける必要性や刑事罰を決めるために加害者を訴える場合には、被害者ではなく検察官が訴えを起こします。
加害者のことを検察官が訴える場合と被害者が訴える場合が出てきました。
少しややこしくなってしまったので、ここで一度整理しましょう。
- 検察が加害者を訴える=刑事裁判
- 被害者が加害者を訴える=民事裁判
このことを踏まえて、下の表をご覧ください。
刑事裁判 | 民事裁判 | |
---|---|---|
訴えられる人 | 加害者 | 加害者 |
訴える人 | 国家機関(検察) | 被害者 |
訴えを起こすこと | 起訴 | 提訴 |
審理の内容 | ・公訴事実の存否 ・量刑 |
・損害賠償請求権の存否 ・賠償の範囲 |
被告とは訴えを起こされた人、原告とは訴えを起こした人のことをさす。
起訴・不起訴が決まるまでの流れは?
交通事故を起こしてしまうと、起訴になるのか不起訴になるのか決まるまで、気が気でないですよね。
起訴・不起訴が決まるまでにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
また、決定までの期間、どのような流れを踏むのでしょうか。
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交通事故の刑事責任に関する手続きを刑事手続きといいます。
交通事故での刑事手続きの流れは、上の図の通りです。
交通事故を起こしてしまった際、必ずしも逮捕されるとは限りません。
逮捕されずに、聞き取りの時などに警察署に出向く場合、これを在宅事件といいます。
逮捕されても、逃亡や証拠隠滅の可能性が低いなど条件を満たせば、在宅事件として扱われることもあります。
一方、逮捕され身柄を拘束された状態(勾留)で捜査が進められる場合、これを身柄事件といいます。
ではここで在宅事件と身柄事件をまとめておきましょう。
在宅事件 | 身柄事件 | |
---|---|---|
逮捕の有無 | 有*または無 | 有 |
条件 | 交通事故の被害が少ない 逃走のおそれが少ない |
交通事故が悪質 逃走のおそれがある |
事故発生後、身柄を拘束され、または警察に呼び出される形で捜査が進められます。
そして捜査を経て、起訴か不起訴かが決定されます。
では、起訴不起訴の決定前に行われる捜査について、もう少し詳しく見てみましょう。
捜査の流れ
①警察の捜査を受ける ②検察へ事件が送られ、検察から呼び出される ③検察によって起訴か不起訴かが決定される |
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①警察の捜査を受ける
警察の捜査には、実況見分捜査と取り調べ捜査があります。
実況見分捜査は、原則として人の死傷があった人身事故の場合のみ行われます。
実際に事故現場に立ち会ったり、事故車を見たりしながら、事故発生当時のことについて聞かれます。
ここで捜査したことをまとめて、実況見分調書というものが作られます。
取り調べ捜査とは、警察署にて警察官が、事故の当事者たちの言い分(供述)を聞き取る操作です。
取り調べ捜査の場合には、気を付けなければならないことがあるので、ご紹介しておきます。
取り調べの注意点
はっきりとした事実のみを述べる
→警察は、あいまいな記憶や憶測に基づく供述は記録しない
誘導尋問に乗らない
→誘導尋問的な聞き方をしてくるので注意
②検察からの呼び出し
警察での捜査、資料作成が終わると、事件が検察に送られます。(送致)
そして、検察から加害者が呼び出されます。
検察からの呼び出しで聞かれる内容は、以下のようなことです。
検察で聞かれること
警察の取り調べが適切であったか
もし警察での捜査で気にかかることがあったのなら、ここで伝えておきましょう。
③検察による起訴不起訴の決定
これらの捜査を経て、検察によって起訴にするか不起訴にするかが決められます。
起訴・不起訴決定までの期間は?
起訴不起訴が決まるまでの期間は、身柄事件になるか在宅事件になるかで変わります。
身柄事件の場合、無期限に加害者の身柄を拘束できるわけではありません。
そのため、身柄捜査の場合は、逮捕から送致までの期間、送致後勾留できる期間がきまっているのです。
以下の図を見ると、それぞれのフェーズで定められた期間がよくわかります。
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検察へ送致した後、10日間身柄を拘束した状態で捜査が可能です。
それでも起訴不起訴を決めるに至らなかった場合は、勾留を最大10日延ばして捜査を続けられます。
基本的にはそれで起訴か不起訴かが決まるのですが、それでもまだ起訴不起訴に至らないことがあります。
そうした場合には、もうそれ以上身柄を拘束し続けることはできないので、加害者を釈放して、捜査を続けます。
身柄事件の場合は、基本的には逮捕日から最大23日以内に起訴か不起訴かが決められる。
在宅事件の場合には、身柄捜査の時のようなタイムリミットはありません。
そのため、身柄事件の時よりも捜査のスピードが落ちることが多いです。
事故発生から起訴不起訴が決まるまで、3か月程度のこともあれば1年ほどかかることもあります。
在宅事件の場合は、身柄事件よりも起訴不起訴の決定に時間がかかる。
交通事故で不起訴処分になったら通知書が来る?前科や前歴は付く?
不起訴処分の通知は来ない
交通事故を起こして不起訴処分になったら、そのことをどうやって知るのでしょうか。
身柄を拘束されていた場合には、勾留中に不起訴処分になれば、釈放されますが…。
実は、交通事故の加害者に対して不起訴を知らせる通知が送られることはありません。
そのため、在宅事件や勾留期限を過ぎてから不起訴が決まった場合には、知らない間に不起訴になっているということです。
検察庁に問い合わせれば、不起訴になったことを確認できるので、通知を待つのではなく自分で確認するべきでしょう。
不起訴処分で前科や前歴は付く?
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交通事故を起こしてしまったら、前科や前歴は付くのか?という点も非常に気になるところです。
そもそも、前科と前歴の違いは何なのでしょうか。
前科 | 前歴 | |
---|---|---|
意味 | 起訴されて有罪判決を受けた記録のこと | 逮捕された記録のこと |
逮捕されずに捜査機関の捜査対象になっただけの場合でも前歴がつくこともある。
ここでは、前歴は逮捕された記録のこととする。
つまり、
- 交通事故を起こして逮捕された→前歴
- 交通事故を起こして起訴され、有罪判決を受けた→前科
というわけです。
交通事故を起こして逮捕され、起訴されたけれど無罪判決を受けた、という場合には、前科は付きません。
前歴だけが付くことになります。
前科・前歴の影響は?
前科・前歴が付くと、
- 記録に残る
- 資格や就職に影響する
- 海外渡航の際に手続きが必要な場合がある
という影響があります。
記録に残る
前科の記録は、警察・検察・本籍地である都道府県に記録として残ります。
前歴の場合でも、警察・検察の記録に残ります。
しかし、外部の人が簡単に見れるものではありません。
興信所の探偵でも、確認することはできません。
前科・前歴を記録として残す目的を確認してみましょう。
警察・検察 | 本籍地の都道府県 | |
---|---|---|
目的 | ・再犯を起こしたときや類似した事件が起きた時に参考にする ・国家資格取得時などに参照する(前科のみ) |
犯罪者名簿に記載する(前科のみ) |
本籍地の都道府県による犯罪者名簿への記載は、刑の執行または免除から一定期間がたつと削除されることが多いようです。
この一定の期間とは、刑の法的効力が消滅するまでの期間のことを指します。
刑の免除 | 罰金・科料 | 懲役・禁錮 | |
---|---|---|---|
刑の法的効力消滅時期 (刑が執行・免除されてからの年数) |
2年 | 5年 | 10年 |
罰金以上の刑に処せられなかった場合
刑の法的効力が消滅すれば、都道府県の犯罪者名簿からは消えることが多いようです。
しかし、警察や検察が保管する記録には半永久的に残り続けます。
資格や就職に影響する
就職をする際に、履歴書に賞罰欄がある場合があります。
前科や前歴がある場合、そのことを書かなくてはなりません。
また、前科がつくと、特定の職業への就職に影響をきたしたり、国家資格をはく奪されたりします。
警備員 | 禁錮・懲役刑の場合、刑の終了後5年以上経過しないと警備員の仕事に就けない |
---|---|
金融関係 | 金融関係の仕事は、前科に対して非常にシビア |
国家資格のはく奪は、弁護士・弁理士・医師・教師などが該当します。
禁錮や懲役刑を受けると、資格をはく奪され、再び取得しなければならなくなります。
海外渡航
多くの国には、前科があっても通常の手続きで入国できますが、テロ対策の厳しい国ではそうでないこともあります。
特別なビザを発行してもらわなければ入国できない場合があるのです。
その一つが、アメリカです。
ということを注意しなければなりません。
交通事故での起訴猶予とは?不起訴との違いは何?
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起訴猶予とは?交通事故ではいつまでの期間猶予される?
起訴猶予とは聞きなれない言葉ですが、どのような意味なのでしょうか。
起訴猶予とは、不起訴処分の理由のひとつです。
実は不起訴処分になるには、3つの理由のうちどれかに当てはまることがほとんどです。
それが、
- 嫌疑なし
- 嫌疑不十分
- 起訴猶予
なのです。
嫌疑なし | 嫌疑不十分 | 起訴猶予 | |
---|---|---|---|
意味 | 犯罪を犯した疑いはなかった | 犯罪を犯した疑いが不十分だった (証拠不十分) |
犯罪を犯したことは明らかで証明もできるが、様々な根拠から、起訴を見送る |
罪を犯したことは明らかで、証明も可能なのに、なぜ起訴しないのでしょうか。
起訴猶予の根拠としては、以下のものがあげられます。
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起訴猶予は不起訴処分のことなので、猶予という言葉が付いていますが、期限があるわけではありません。
しかし、逮捕されていた場合には前歴が付きますし、再犯を犯したときには不利になるので注意が必要です。
起訴猶予と不起訴との違いは?
起訴猶予と不起訴の違いも調べちゃった。難しいねこういうのは
— あましょく (@amashoku) October 27, 2018
起訴猶予で不起訴になった場合と、嫌疑なし・嫌疑不十分で不起訴になった場合の大きな違いは、
犯罪を犯したことが明らかかどうか
です。
嫌疑なしや嫌疑不十分の場合、
犯罪を犯したとは認められない、または犯罪を犯したとは言い切れない
と判断されたということです。
それに対し、起訴猶予は、犯罪を犯したことは明らかで、証明もできる状態です。
この点で、起訴猶予による不起訴と嫌疑なし・嫌疑不十分での不起訴は大きく違います。
交通事故の起訴猶予で前科・前歴は付く?無罪扱い?
起訴猶予になった場合、前科や前歴は付くのでしょうか。
ここでもう一度、前科と前歴の違いを確認してみましょう。
- 前科→交通事故を起こして起訴され、有罪判決を受けた時につく
- 前歴→交通事故を起こして逮捕された場合につく
起訴猶予ではそもそも起訴されないので、有罪とも無罪ともなりません。
そのため、前科は付きませんが、逮捕されていた場合前歴はつきます。
https://twitter.com/atarashiikaze17/status/991213830343553024
https://twitter.com/1hEmyMUGOdzh1jM/status/991175662147846144
起訴猶予で前歴が付くかどうかは、逮捕の有無によるということです。
逮捕されたうえで起訴猶予となれば前歴が付きます。
起訴されて無罪になった場合も、逮捕されていた場合前歴が付きます。
そうした意味では、起訴猶予も無罪判決も同じです。
しかし、
- 起訴猶予→罪を犯したことは明らかだが事情を考慮して起訴しないこと
- 無罪→裁判の結果罪を犯したとは言いきれないと認められること
です。
罪を犯したのかどうかという判断においては、起訴猶予と無罪は全くの別物です。
起訴猶予 | 無罪 | |
---|---|---|
前科・前歴 | 前歴が付く(逮捕されていた場合) | |
罪を犯したか | 罪を犯したことが明らかで、証明もできる | 罪を犯したとは認められない |
交通事故での起訴は2種類|略式起訴との違いは?アメリカに入国できない⁉
交通事故で起訴されたらどうなる?
交通事故における起訴とは、加害者のことを検察が裁判所に訴えることです。
そのため、起訴されたら裁判を受けることになります。
裁判の流れを確認していきましょう。
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起訴されて通常の裁判を受けることになると、約40日後に1回目の公判が行われることが多いです。
その後何度か公判が行われたのち、判決を受けることになります。
裁判が終わると、有罪か無罪か、有罪なら何の刑にあたるのかなどの判決が下ります。
判決が下されると、その判決に従って刑事責任を果たさなくてはなりません。
交通事故での略式起訴の意味は?通常の起訴との違いは?
上でご紹介したのは、通常の裁判、つまり正式裁判です。
実は、裁判にも2種類あって、正式裁判の他に、略式裁判と呼ばれるものがあります。
正式裁判ではなく略式裁判の形で起訴することを、略式起訴といいます。
略式裁判とは、その名の通り正式裁判よりも簡単な流れで行う裁判のことです。
略式裁判は、
- 検察官が100万円以下の罰金刑や科料が妥当だと考えた時に
- 加害者の同意を得て手続きをします。
そうすると、書類審査を経て罰金刑または科料が言い渡されることとなります。
略式裁判が可能な条件について、もう少し詳しく見てみましょう。
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略式裁判になれば、書類で審査が行われるため、法廷に出廷する必要はありません。
略式裁判は、罰金刑もしくは科料を前提として行われます。
そのため、無罪か有罪かの判断は行われず、有罪として手続きが進みます。
したがって、略式裁判に進むと必ず前科がつきます。
無罪の主張をしたい場合には、正式裁判で争う必要があるので、略式裁判は拒否しましょう。
ではここで、正式裁判と略式裁判を比較しておきましょう。
正式裁判 | 略式裁判 | |
---|---|---|
取扱裁判所 | ・簡易裁判所 ・地方裁判所 |
簡易裁判所 |
審理内容 | ・有罪か無罪か ・有罪ならどんな刑事罰に処するか |
・罰金または科料の金額 |
本人の出廷 | 必要 | 不要 |
本人の同意 | 不要 | 必要 |
結果 | ・無罪→逮捕されていれば前歴のみつく ・有罪→前科がつく ・刑事罰が決まる |
・有罪→前科がつく ・罰金か科料が科せられる |
略式裁判は有罪を前提として行われるため、前科が付きます。
そのため、正式裁判で有罪判決を受けた場合と同じように、
✓前科の記録が残る ✓資格や就職に影響する ✓海外渡航の際に手続きが必要な場合がある |
という影響を受けることになります。
交通事故の略式起訴で科される罰金は?その納付方法は?
略式裁判は、100万円以下の罰金刑もしくは科料に相当するときに行われます。
したがって、略式裁判で科される罰金の金額は、最高100万円です。
罰金・科料の刑を受けたら、その金額を支払います。
検察庁に対して、検察庁で直接支払うか、金融機関で支払うことになります。
支払われたお金は国庫に保管され、国の予算として使われます。
ここで重要なのは、基本的に一括払いで払わないといけないということです。
一括で命じられた金額を払う余裕がない場合もあります。
しかし、原則として分割払いは認められません。
一括で支払うことが不可能であれば、労役場というところに収容されます。
そして、命じられた金額分の労働をしなければなりません。
罰金の支払い
- 略式裁判で科されるのは、100万円以下の罰金または科料
- 罰金は検察庁または金融機関にて支払いをする
- 支払った罰金は、国庫に入り国の予算となる
交通事故で起訴されそうなときは
交通事故で起訴されて有罪判決を受けると、
- 前科が付いてその後の生活に影響が出る
- 刑事罰を受けなくてはならない
ことが分かりました。
交通事故を起こしてしまって起訴されそうなときは、どうしたらいいのでしょうか。
交通事故で起訴されそうなとき、弁護士にできること
交通事故で起訴される可能性がある場合には、速やかに弁護士に相談することがお勧めです。
交通事故を起こして罪に問われることが明らかでも、あきらめないでください。
起訴猶予に持ち込むことができれば、不起訴になり前科は付きません。
起訴が決まる前に、被害者に対する賠償や示談成立ができていれば、起訴猶予の可能性は高くなります。
起訴猶予の決定において重要な示談や賠償ですが、当事者同士で交渉をするのは簡単ではありません。
慣れない者同士での交渉になりますし、感情的になりやすいからです。
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上の図が示すように、示談では、
- 加害者側は被害者に対して謝罪と賠償を行い、
- 被害者側に受け入れてもらわなくてはなりません。
加害者と被害者という関係上、それは簡単ではありません。
話し合いを穏便に、早くまとめようとすると、
被害者側が求める金額をそのまま受け入れてしまう
ということが起こりがちです。
しかし、言われるがままに支払うのではなく、きちんと法的根拠に則った金額を支払うべきです。
そうしたことを踏まえながら起訴が決まる前に示談をまとめるには、弁護士に力が必要です。
交通事故で起訴される可能性がある場合は、
弁護士に相談して示談交渉をしてもらう
ことが大切。
起訴されたときに弁護士がいるメリット
実際に交通事故で起訴されてしまった場合には、少しでも刑を軽くしたいものです。
そんなときも、弁護士がいた方が安心です。
弁護士がいれば、裁判の際に加害者側の主張を訴えたり、刑の軽減に影響する主張をしたりできます。
また、略式裁判を進められた際には、
- 略式裁判にするべきか
- 法廷で無実を主張すべきか
のアドバイスを行うこともできます。
交通事故の起訴について、気軽に弁護士相談
交通事故で起訴される可能性があるなら、
- ① 起訴された場合自分はどんな刑罰を受ける可能性があるのか
- ② 不起訴になるためにはどうすべきなのか
について、弁護士に相談するのがベストです。
アトム法律事務所では、LINEで無料相談を行っています。
また、事務所での無料相談予約は電話でも可能です。
ぜひ気軽に相談してみてください。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
また、お近くの弁護士に直接会って相談したい場合には、当サイトの姉妹サイトの全国弁護士検索をご利用ください。
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また、弁護士事務所を特選して、47都道府県別にまとめています。
弁護士費用も明確に記載しているので、ぜひ参考にしてください。