交通事故で鎖骨骨折|鎖骨・胸骨・肩甲骨の腫れや痛み・治療方法、手術後について解説
目次
鎖骨・胸骨・肩甲骨の外傷
鎖骨
鎖骨とは、胸骨と肩甲骨の間にある棒状の骨で、左右に1本ずつ存在します。鎖骨は、肩関節や腕の動きを安定させる役割を有し、鎖骨がないと肩関節や腕を胸部から離れた位置で保持することが困難になります。
胸骨
胸骨とは、2本の肩甲骨の間から、いわゆるみぞおちの部分に存在する縦長の平たい骨です。上から胸骨柄・胸骨体・剣状突起の3部からなります。鎖骨とは胸鎖関節でつながっており、肩周りの動きを支えています。
肩甲骨
肩甲骨とは、背中側の両肩に位置し、後方から肋骨を覆っている三角形状をした大型の骨です。鎖骨とは、靭帯で連結しており肩鎖関節を形成し、他の関節と連動して肩や上腕を自由に動かすために機能しています。
鎖骨の骨折
鎖骨は、骨折することが多い骨として知られています。鎖骨は上に示したようにクランクのような形状をしており両端で骨の断面の形状が異なります。鎖骨骨折のうちほとんどはその形状が変化して強度が弱くなっている部分で起こると言われます。
骨折の原因
骨折するのは、鎖骨に直接的な衝撃が加わった場合の他、転倒して肩やひじを地面に着くといったの間接的な衝撃でも骨折することがあります。スポーツ中や交通事故によるものが多いです。
症状
症状としては、強い痛みと腫れ、さらに鎖骨部分の変形がみられることが多いです。そのため、腕や肩を動かすことが困難となります。
治療方法
鎖骨は、他の骨と検証して骨の形成能力が高いので、その再生も早いです。そのため、骨折部分を固定する保存療法が選択されることが多いです。
日常生活への復帰という意味でみれば、多くは2から3か月もあれば完全復帰可能です。
胸骨の骨折
胸部の骨折のなかでも、胸骨を骨折することは、比較的まれなケースといわれています。これは、胸部への外傷があった際には、まず周辺に存在する肋骨や鎖骨等の衝撃を受けやすい骨が折れることが多いことが原因といえます。
骨折の原因
交通事故で胸骨を骨折するケースとしては、衝突の際にハンドルに胸部を打ち付けた場合や、シートベルトの締付けによる場合というように、直接的・鈍的胸部外傷によることが多いようです。
症状
胸骨骨折の場合、骨折した部分に段差を生じることが多いです。
この場合の自覚症状としては、骨折部位に疼痛や圧痛があります。そして、骨折部位又はその周辺部を軽く押した場合に痛むというものが一般的です。
治療方法
胸骨は胸の中央部に位置しあまり動きのない骨です。胸骨骨折の多くは保存療法による治療で治りますが、骨折による骨のずれが大きく痛みが強い場合は、外科手術する場合もあります。
肩甲骨の骨折
肩甲骨を骨折するのは、比較的まれなケースといえます。
肩甲骨は、鎖骨と連結しているのみですが、僧帽筋等の背中の筋肉に覆われています。衝撃が加わった際にも、これらの筋肉に覆われているので、衝撃が伝わりづらいからといえます。
骨折の原因
肩甲骨骨折が起こる場合、肩外側からの衝撃により、肩甲骨の突起部分が折れてしまうケースがあります。場合によっては、直接背面側から衝撃が加わり、肋骨を覆っている面が折れてしまうこともあります。
具体的には、交通事故や高所からの落下により、背中に大きな力が加わったケースがほとんどです。そして、肋骨も同時に骨折することが多いといえます。
症状
肩甲骨骨折の症状としては、骨折部位の痛みや運動による痛み、腫れが生じ、上腕のスムーズな運動が困難になります。
治療方法
肩甲骨骨折の治療は、骨折部分を固定し保存療法によることが多いです。重度な場合は、手術になることもありますが、極めてまれといえそうです。
骨折の種類 | 特徴 |
---|---|
鎖骨骨折 | ・骨折することが多い ・回復が早い ・保存療法多い |
胸骨骨折 | ・骨折することは稀 ・痛みは強くないこと多い ・保存療法多い |
肩甲骨骨折 | ・骨折することは稀 ・肩固定して保存療法 ・痛みと腫脹 |
鎖骨・胸骨・肩甲骨の骨折による後遺障害と等級
肩関節の可動域制限
鎖骨と肩甲骨は連結しており、肩関節の運動に関与しているため、それらの骨折によって肩関節の可動域制限が残ってしまうことがあります。
鎖骨・肩甲骨骨折に伴う肩関節の可動域制限
鎖骨は肩甲骨を通じて肩の関節に繋がっているため、鎖骨や肩甲骨の骨折が完治しても肩関節の可動域が制限されることがあります。
この場合は、主に可動域制限の程や人工関節の有無により、異なる後遺障害等級認定がされることになります。具体的には、8級から12級の異なる等級認定がされることがあります。
例えば、肩関節が強直し動かなくなった場合には8級6号にあたります。また、肩関節の可動域が健康な方との比較で1/2以下であれば10級10号に、3/4以下であれば12級6号の障害にあたります。
ただし、特に8級の可動域制限(用廃)のような重度の機能障害の場合には、鎖骨や肩甲骨のみでなく、肩関節自体の骨にも異常があることが通常といえます。
鎖骨・胸骨・肩甲骨の変形障害
鎖骨の変形障害
鎖骨を骨折しその後のゆ合が上手くいかなかった場合には、鎖骨が変形したままになってしまうことがあります。この場合、鎖骨の変形障害として後遺障害等級認定がされることがあります。
胸骨の変形障害
胸骨の骨折の場合も、鎖骨と同様に、その後変形障害が残ることがあり、その場合も胸骨の変形障害として後遺障害等級認定がされることがあります。
肩甲骨の変形障害
肩甲骨を骨折した場合も、その後骨が変形したまま固定してしまうことがあります。この場合も肩甲骨の変形障害として後遺障害等級認定がされることがあります。
後遺障害の等級
鎖骨・胸骨・肩甲骨の変形障害の場合の後遺障害の認定は、その変形が「著しい変形」に該当する場合に認められます。「著しい変形」とは、裸体となったときに変形が明らかにわかる程度のものをいいます。この場合、12級の等級認定がされることになります。
また、鎖骨・胸骨・肩甲骨の2以上の骨に著しい変形を残す場合には、併合の方法により上位の準用等級が定められることになります。
鎖骨・胸骨・肩甲骨の神経障害
鎖骨の神経障害
鎖骨の骨折後、その部分がゆ合したにもかかわらず、鎖骨周辺に痛みや痺れが残ることがあります。この場合、神経障害として後遺障害等級認定されることがあります。
胸骨の神経障害
胸骨についてもその後、骨折部位周辺に痛みや痺れが残ることがあり、神経障害として後遺障害等級が認定されることがあります。
肩甲骨の神経障害
以上と同様、肩甲骨の骨折によっても痛みや痺れが残ることがあり、神経障害として後遺障害の認定がされることがあります。
後遺障害の等級
以上のように、肩関節付近に神経障害が残った場合、その症状が、鎖骨・胸骨・肩甲骨の骨折によるものと医学的に証明できるか否か、又は医学的に説明可能な(矛盾しない)程度にとどまるかにより、異なる等級が認定されます。
具体的には、上記の基準により、医学的に証明できる場合には「局部に頑固な神経症状を残す」として12級13号に、説明可能な程度にとどまる場合には「局部に神経症状を残す」として14級9号に認定されることになります。
鎖骨・胸骨・肩甲骨の後遺障害
障害の種類 | 障害の内容 |
---|---|
鎖骨・肩甲骨骨折による可動域制限 | 骨折部位ゆ合後も、肩関節の可動域が制限されてしまうこと。 可動域制限の程度や人工関の有無により異なる等級が認定される。 |
変形障害 | 骨折部位のゆ号後もその部位に変形が残ってしまうこと。 裸体になった場合に変形が明らかにわかる程度であれば等級が認定される。 |
神経障害 | 骨折部位のゆ合後も痛みや痺れが残ってしまうこと。 骨折との関係を医学的に証明できるか、又は医学的に説明可能かにより異なる等級が認定される。 |
弁護士相談のメリット
鎖骨・胸骨・肩甲骨の後遺障害慰謝料の相場
鎖骨・雇用骨・肩甲骨の後遺障害慰謝料額の相場は、これらの骨の変形障害(12級)や神経障害(12級又は14級)のみにとどまる場合には、おおむね300万円以下にとどまります。
ただ、このような場合でも弁護士に依頼しないと相場の半額以下で示談してしまう危険が高いといえます。
また、特に鎖骨や肩甲骨の骨折の場合には、肩関節も損傷することもありこれにより機能障害が残るケース、又は複数の他の障害が併合されるケースでは、その等級によって慰謝料の相場もかなり高額になり得ます。
上記で説明したとおり、鎖骨や肩甲骨の外傷と関連して、肩関節の用廃で8級6号と認定された場合、裁判での相場は、慰謝料だけでも830万円となります。
このような場合は、特に弁護士に依頼して相場での解決を図る必要性は高いといえるでしょう。
障害の分類ごとの後遺障害慰謝料相場
障害の分類 | 裁判における相場水準 |
---|---|
鎖骨・肩甲骨骨折による可動域制限 | 290~830万円 |
鎖骨・胸骨・肩甲骨の変形障害 | 290万円 |
鎖骨・胸骨・肩甲骨の神経障害 | 110~290万円 |
弁護士相談のメリット
交通事故で鎖骨・胸骨・肩甲骨の外傷に起因する後遺障害が残ってしまった場合、肩の動きが制限されたり、外見上骨の変形が目立ってしまったりして精神的苦痛を感じることも多いでしょう。
そこで、せめて少しでも多く慰謝料を受け取りたいと思うのは当然です。
しかし、保険会社の提示額は、上に示した裁判での相場の半分以下であることが多いです。また、被害者の方やそのご家族が直接保険会社と交渉してもなかなかまともに相手にしてもらえないことが多いです。
弁護士に依頼すれば、まず適切な後遺障害等級認定に際してのアドバイスを受けることが可能です。そして、弁護士が保険会社と交渉するとそれだけで、慰謝料の増額も望めます。
その上、裁判になった場合にも、あるべき等級認定の他、被害者の方の日常生活での支障や精神的苦痛を具体的かつ適切に主張・立証することができます。
例えば、鎖骨や肩甲骨の外傷に起因する肩関節の可動域制限の場合には、その可動域について少し違った認定をされるだけで、認められる慰謝料額が大きく異なることもありえます。
このように、保険会社との交渉、場合によっては裁判を通して交通事故での鎖骨・胸骨・肩甲骨の後遺障害慰謝料を適正な額に増額するには、交通事故に強い弁護士に依頼することが重要といえます。
弁護士に 依頼する メリット |
・適正な等級認定をサポート ・裁判での基準により保険会社提示額をはるかに上回る水準での慰謝料を期待できる ・等級以外にも、裁判で被害者の精神的苦痛を具体的に主張・立証することで、適正な慰謝料額に増額する活動が可能(交通事故に強い弁護士) ・被害者の不安が和らぐ |
---|---|
慰謝料額に影響する 要素の例 |
・後遺障害等級 ・労働能力への影響 ・日常生活上の不利益 ・精神的苦痛の程度 |
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いかがでしたか?
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
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