もし交通事故で警察を呼ばなかったら?警察との連絡の流れや対応すべきことをご紹介!
この記事のポイントをまとめると
- 交通事故にあった場合に警察を呼ばなかったら、交通事故届出義務違反に問われるだけでなく、保険金を受け取れなくなるリスクもある
- 交通事故にあった場合、まず警察に電話で連絡し、後日、診断書を警察署に提出する流れになる
- 交通事故で警察から調書作成のために呼び出しを受けた場合、加害者だけでなく被害者も適切に対応し、出頭する必要がある
交通事故で警察を呼ばなかった場合の不利益や連絡の流れ、呼び出しに対する対応などを知りたい方はぜひご一読下さい。
目次
交通事故が発生した場合、警察や救急車を呼ぶことになるというのは、何となくご存知かと思います。
交通事故なんで警察呼ぶ必要があるんですよねぇ。損害あるなしに関わらず。
— HKL (@HKL_inster) 2019年3月16日
一方で、こんな声も聴かれます。
帰り道、目の前で交通事故を見てしまった(TT)
大きな怪我はなかった模様!
けど、警察呼ばなかったぽい💦
巻き込み確認は大事です(´Д⊂ヽ— むーみん (@hamikina) October 20, 2017
一回交通事故で轢かれた後に警察呼ばなかったという馬鹿な行為をしたことがあったなあ
— 宇賀神穐丸@C104 二日目東カ49a (@Ugajin0041) June 25, 2011
どうやら、交通事故にあっても警察を呼ばなかったという方もいるようです。
しかし、交通事故で警察を呼ばなかった場合、さまざまな不利益がありますので、必ず警察に連絡をする必要があります。
そこで、まずは、交通事故で警察を呼ばなかった場合に生じる具体的な不利益の内容についてお伝えしたいと思います。
交通事故で警察を呼ばなかった際の不利益
交通事故届出義務違反となる
そもそも、交通事故があった場合の警察への報告は、道路交通法上の義務になっています。
交通事故があつたときは、(略)当該車両等の運転者(略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
出典:道路交通法第72条1項
上記の条文に記載されているとおり、交通事故があったときは、最寄りの警察署の警察官に
- 交通事故が発生した日時及び場所
- 死傷者の数及び負傷者の負傷の程度
- 損壊した物及びその損壊の程度
- 交通事故に係る車両等の積載物
- 交通事故について講じた措置
を報告する義務があります。
この報告を怠った交通事故届出義務違反者に対しては、以下の刑罰が科せられる可能性があります。
次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
(略)
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者
(以下略)
交通事故があったときは、たとえ怪我なしの場合でも、警察を呼ばなかったら、上記の刑罰を科せられる可能性があります。
警察から証拠書類が得られない
交通事故で警察を呼ばなかった場合の不利益は、上記の刑罰を受ける可能性があることだけにとどまりません。
交通事故で警察を呼ばないと、保険金などの請求の際に必要・有用な書類を警察から得られなくなるという不利益が生じます。
保険金などの請求に必要・有用な警察の書類には以下のものがあります。
交通事故証明書
交通事故証明書とは、以下のようなものになります。
交通事故証明書は、交通事故の事実を確認したことを証明するものです。
自動車安全運転センター法の定めるところにより、自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、交通事故の当事者が適正な補償を受けられるよう、その求めに応じて、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実を確認したことを証明する書面として交付するものです。
出典:https://www.jsdc.or.jp/certificate/tabid/112/Default.aspx
その名のとおり、交通事故の事実を確認したことを証明する書面になりますが、
「警察から提供された証明資料に基づき」
交付される書類のため、警察を呼ばなかった場合には交付を受けられないという不利益が生じます。
実況見分調書等
実況見分調書とは、以下のようなものになります。
実況見分調書とは
警察が、犯罪や事故が起きた場所における犯人、被害者、目撃者その他の位置関係や状況を明らかにするための現場検証の結果をまとめた書類
この実況見分調書は事故状況を証明する重要な書類となり、保険金などの請求の際、過失割合が争われた場合に有用な書類になります。
なお、交通事故の場合、警察は物損として届出されている場合、実況見分は行われず、人身事故として届出されている場合にのみ行われます。
物損として届出されている場合には、物件事故報告書という実況見分調書より簡易な書類しか作成されないことになります。
保険金を受け取れないリスク
そして、交通事故で警察を呼ばなかったことにより上記の書類を受け取れないことで、保険金を受け取れないリスクが生じます。
まず、交通事故証明書は、自賠責保険に対する保険金請求の必要書類のため、この書類がないと保険金は受け取れないことになります。
一方、実況見分調書は、保険金請求にあたって必要不可欠な書類とまではいえません。
しかし、実況見分調書がないと、過失割合についての証拠が不足する結果、不利な過失割合が認定され、十分な保険金を受け取れないリスクがあります。
お伝えしてきた、交通事故で警察を呼ばなかった場合の不利益を表にまとめると以下のようになります。
① | 刑罰を科される | 3月以下の懲役 又は 5万円以下の罰金 |
---|---|---|
② | 警察から書類が得られない | ・交通事故証明書 ・実況見分調書 |
③ | 保険金の受け取り | ・保険金自体を請求できない可能性 ・受領保険金が減額される可能性 |
このような、交通事故で警察を呼ばなかった場合の不利益を避けるために、絶対に連絡を忘れないようにしましょう!
交通事故にあった場合の警察への報告は、加害者側だけでなく被害者側にも課されている義務であるということは注意する必要があります。
むしろ、警察から書類を得られないことによる不利益は、被害者が受けることになることからすれば、被害者こそ警察への報告が重要といえます。
もし、加害者が警察への報告をしていないようであれば、被害者自ら速やかに警察に連絡するようにしましょう。
交通事故にあった際の警察との連絡の流れ
交通事故にあったときに警察を呼ばなかった場合の不利益についてはお分かりいただけたかと思います。
もっとも、警察に連絡すべきことはわかっていても、その流れを把握しておかないと実際に連絡しようとした場合にお困りになるかと思います。
そこで、ここからは、交通事故に遭った場合の警察との連絡の流れについてお伝えしたいと思います。
①電話で110番通報|事故直後
まず、交通事故発生直後にとるべき行動の大まかな流れは以下の図のようになります。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/jiko_kagaisya.png
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/jiko_higaisya.png
上記の図のとおり、交通事故で怪我をした人がいれば、警察の前にまず救急車を呼ぶために電話をする必要があります。
そのあとで、警察に電話で110番通報をするという流れになります。
警察に110番通報すると、交通事故の現場に管轄の警察署の警察官がやってきます。
交通事故現場や管轄の警察署の位置関係にもよりますが、110番通報をしてから警察官が現場に到着するまでの時間は平均7分程度のようです。
警察官が現場に到着すると現場検証が行われます。
その際に、交通事故の発生状況などについて、警察官から確認されることになります。
万が一、交通事故直後に警察を呼ばなかった場合には、翌日以降速やかに警察に連絡する必要があります。
②警察署に診断書を届出|後日
その後、交通事故で怪我をし、治療を受けた場合、警察に診断書を届出するのが後日の警察との連絡の流れです。
この診断書の警察への届出は、加害者であっても、交通事故により怪我をし、被害者に一定の過失割合が認められる場合には行うのが原則です。
具体的な警察への届出の方法としては、原則として診断書を管轄の警察署まで持参して提出する必要があります。
今日は交通事故の診断書を提出するために警察署ライドしてくる
— みやG (@solo_roady) March 31, 2018
ただし、遠方の場合には郵送による提出が認められる場合もあるようです。
事故った時に来た警察署に診断書を提出するはず。
遠い場合は郵送でも大丈夫だったし。
出典:http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=1141026
③警察から調書作成するために電話で呼び出し
その後、交通事故が刑事事件になる場合は、警察から調書作成のための呼び出しが電話で行われるという流れになります。
警察から呼び出しきた…交通事故の件で書類作るそうです
— brother/sho-ji (@shojiand40) July 28, 2014
交通事故で警察が作成する調書としては、主に
- 供述調書
- 実況見分調書
などが考えられます。
具体的には、加害者の場合、呼び出しは取り調べを行うために行われます。
一方、被害者の場合、警察は事情聴取という形で呼び出しを行います。
また、交通事故直後の現場検証だけでは実況見分調書の作成に不十分な場合にも、加害者・被害者は呼び出しを受けることがあります。
この場合、加害者・被害者が同じ時間に交通事故の現場への呼び出しを受けることが多いようです。
お伝えしてきた、交通事故にあった場合の警察との連絡の流れを表にまとめると以下のようになります。
番号 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
① | 電話で110番通報※ | ・怪我をしている場合はその前に救急車 ・警察官到着したら現場検証で確認求められる |
② | 警察署に診断書提出 | ・原則は管轄の警察署に持参 ・例外的に郵送の届出がOKな場合も |
③ | 警察から調書作成のための呼び出し | ・加害者・被害者の供述調書作成のため ・実況見分調書作成のための呼び出しも |
※交通事故直後が望ましいが、翌日以降の連絡も可
【参考】交通事故の警察と保険会社との連絡
なお、交通事故において警察は原則として保険会社には連絡しないことになっています。
いわゆる民事不介入と呼ばれるもので、警察は、保険金の支払いといった民事上の争いには立ち入らないからです。
そのため、交通事故の民事上の問題については、警察は相談に乗ってくれないので、その点は注意する必要があります。
また、保険会社の方も警察と直接連絡を取ることは原則としてはありません。
ただし、保険会社の調査会社が交通事故の状況や過失割合を調査する一環で、警察に連絡を入れる場合はあるようです。
交通事故にあった場合、警察へは事故直後以外にもさまざまな場面で連絡を取り合う必要があります。
そして、その場面ごとに適切な対応を取る必要があります。
どのような対応を取るべきかお困りの場合には、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。
警察への診断書の届出・呼び出しに対する出頭の対応方法
交通事故にあった場合の警察との連絡については、場面ごとに適切な対応を取らなければいけないというお話でした。
お話にあったとおり、弁護士に相談するのが一番確実ですが、相談する前にある程度どう対応すべきかを知りたいという方も多いかと思います。
そこで、最後に警察への診断書の届出や警察からの呼び出しに対する出頭についての適切な対応とその理由をお伝えしたいと思います。
警察は診断書届出がないと人身でも物損で処理
交通事故につき警察は、救急車で搬送されるなど怪我をしたことが明らかでない場合は、物損(物件)事故として処理します。
この場合、実際には怪我をしていても、診断書の届出なしのままにしていると、警察では物損事故扱いのままで処理が進む流れになります。
https://twitter.com/dora91osu/status/910442759747600384
そして、警察で物損事故扱いのままになっていると
- 自賠責保険からの支払いが受けられない可能性
- 実況見分調書という過失割合を争う上で重要な書類が得られない
という不利益が生じるため、診断書を警察に届出し、物損事故から人身への切り替え手続きをとるのが適切な対応といえます。
交通事故の診断書の警察への提出期限はある?
では、上記の交通事故にあった場合の診断書の警察への届出に期限(提出期限)はあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、診断書の警察への提出期限は特に定められていませんが、できるだけ早く届出をするのが適切な対応といえます。
警察は時間が空いてしまうと、物損から人身事故への切り替え手続きを嫌がる傾向にあるからです。
ただし、一度診断書を警察に届出をすると、人身事故への切り替え手続きが取られたことになり、その後の取下げはできない点には注意が必要です。
人身事故に切り替わると、加害者は免許の違反点数などの行政上の責任や刑事上の責任を負う可能性が出てきます。
そのため、加害者の要望で、保険で民事上の賠償は対応することを条件に、警察との関係では物損事故扱いにしておくことがあります。
しかし、警察に診断書を提出してしまうと、被害者の意思にかかわらず、人身事故に切り替わり、以下のように加害者側の怒りをかう場合があります。
https://twitter.com/irmakori/status/15301016257822720
調書作成の呼び出しへの加害者・被害者の対応
そして、交通事故で警察から調書作成のため呼び出しを受けた場合の適切な対応とその理由は以下のとおりです。
①加害者の対応
まず、警察から取り調べの調書(供述調書)作成のために加害者が呼び出しを受けた場合は、すぐに出頭すべきといえます。
警察からの取り調べのための呼び出しに応じないと、逃亡・罪証隠滅のおそれがあるとして逮捕されてしまう可能性があるからです。
ただし、供述調書は刑事裁判になった場合、重要な証拠になるので、内容をよく確認した上で署名押印するのが適切な対応といえます。
②被害者の対応
一方、警察から調書作成のために被害者が呼び出しを受けた場合、実況見分調書作成のための場合、特に適切な対応の必要性が高いといえます。
先ほどお伝えしたとおり、実況見分調書は相手方保険会社などと過失割合が争いになった場合に重要な証拠になります。
その実況見分調書作成にあたって適切に対応がなされず、被害者の主張が十分反映されていないと、過失割合で不利に扱われるおそれがあるからです。
交通事故で適切な補償を受けるためには、まず警察に診断書を提出し、人身事故への切り替え手続きを取るという対応をすることが重要といえます。
その上で、実況見分調書作成のために呼び出しを受けた場合には、しっかりとご自身の認識を調書に残してもらうことが重要になります。
警察への診断書の提出や警察からの呼び出しに対し疑問がある方は、実際に対応をされる前に弁護士に相談されることをおすすめします。
最後に、お伝えしてきた診断書の警察への届出や警察の呼び出しに対する出頭についての適切な対応方法についてまとめたのが以下の表になります。
問題点 | 対応策 | 理由 |
---|---|---|
診断書の提出 | 提出すべき | ・提出しないと物損扱いのまま ・物損扱いだと保険金受け取れないおそれ |
診断書の提出期限 | できるだけ速やかに | ・期限が決まっているわけではない ・時間が経つと警察が人身切り替えを嫌がる |
調書作成のための呼び出し | 加害者・被害者双方応じるべき | ・加害者は応じないと逮捕されるおそれ ・被害者は応じないと不利な実況見分調書作成のおそれ |
また、警察への対応を含む交通事故直後の流れや対応については、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい。
交通事故直後の流れや対応の詳しい情報はコチラ!
交通事故の警察への対応につき弁護士に相談したい方へ
ここまで、交通事故における警察への対応をお伝えしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいらっしゃるのではないかと思います。
スマホで無料相談したい方へ!
人身事故にあわれた方は、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます。
24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口で受付しているので、いつでも電話できるのは非常に便利ですね。
また、夜間・土日も、電話やLINEで弁護士が無料相談に順次対応しています。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
また、交通事故によるケガが重症で、弁護士事務所に訪問できない方を対象に、無料出張相談も行っているそうです。
まずは、電話してみることから始まります。
きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。
地元の弁護士に直接相談をしたい方はコチラ
スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。
また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。
- ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
- ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている
弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。
何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。
最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、交通事故における警察への対応についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
交通事故にあった際、警察を呼ばないと、交通事故届出義務違反に問われるだけでなく、保険金が受け取れないおそれもあるので必ず連絡しましょう。
そして、具体的には、まず警察に電話で連絡し、後日、診断書を警察署に提出するという流れになる事は覚えておくとよいでしょう。
警察への診断書の提出や警察からの呼び出しに対しては、被害者も適切に対応する必要があるため、ご不安があれば弁護士に相談してみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
交通事故で警察を呼ばなかった場合の不利益や連絡の流れ、呼び出しに対する対応など
について理解を深めていただけたのではないかと思います。
これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。
自宅から弁護士と相談したい場合には、スマホで無料相談の機能を利用してみて下さい。
そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。