人身事故でないと自賠責保険からの補償を受けられない!?人身への切り替え方法とは…

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人身事故でないと自賠責保険からの補償を受けられない!?人身への切り替え方法とは…

交通事故には、怪我人が発生した場合の人身事故と、怪我人がいない場合の物損事故があります。

そして、どちらの場合も、被害者であれば、相手側に損害賠償請求を行う必要があります。

損害賠償を請求する先としては、相手側の自賠責保険任意保険が挙げられます。

しかし、いざ損害賠償請求を行うにあたっては、

人身事故と物損事故では、自賠責保険や任意保険からの補償にどのような違いがあるの?

そもそも自賠責保険と任意保険の違いとは?

など、わからないこともたくさんありますよね。

そこで今回このページでは、人身事故に対する自賠責保険、任意保険からの補償について、お悩みの皆さまと一緒に見ていきたいと思います。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ心身ともにお辛い思いをされていることとお察し致します。

しかし、そのような中でも、物損事故から人身事故への切り替えを行っていないと、適切な補償を受けられないというリスクがあります。

そのような事態を避けるためにも、物損事故と人身事故の違いや保険会社から受けられる補償について、わかりやすく解説していきたいと思います。

車やバイクを運転される方は必ず加入しているはずの自賠責保険

しかし、怪我人のいない物損事故の場合には、使えないってご存知でしたか?

そんなとき、相手側が任意保険にも加入している場合には物損事故に対しても補償はされますが、その金額は非常に低いものになります。

よって、少しでも怪我をしている場合には人身事故扱いにする必要があります。

そういった点について、ここから詳しく見ていきましょう。

自賠責保険からの補償は人身事故でしか受け取れない!?人身事故で受け取れる補償内容とは…

自賠責保険からの補償は人身事故でしか受け取れない!?人身事故で受け取れる補償内容とは…

交通事故により被害を受けた場合には、相手側の保険会社に損害賠償請求を行う必要があるという話でしたよね。

その場合の保険会社としては、自賠責保険任意保険というものが存在しています。

ではまず、「自賠責保険」とはなんなのでしょうか。

自賠責保険とは?

自賠責保険とは、自動車やバイクを運転される方は、皆さま必ず加入しているはずです。

というのも、自賠責保険は自動車損害賠償保障法により、自動車やバイクの所有者が加入することを義務付けられている保険だからです。

第五条 自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。

自賠責保険に加入していない場合、事故を起こさなくても未加入であることが発覚すれば1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

第八十六条の三 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第五条の規定に違反した者

二 第二十三条の九第一項の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用した者

三 第八十四条の二第二項又は第三項の規定に違反した者

また、無保険による運転は交通違反にもなり、違反点数6点免許停止処分となります。

よって、非常に重い違反ということですね。

自賠責保険の限度額と補償内容

以上のように加入が義務付けられた自賠責保険ですが、あくまでも事故被害者の方への最低限の補償を目的とした保険となっています。

支払われる保険金の種類としては、「傷害」、「死亡」、「後遺症」、「死亡に至るまでの傷害」があり、それぞれについて支払限度額が定められているそうです。

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

傷害に対する補償

傷害に対する補償としては、「治療費」や「休業損害」、「慰謝料」や「その他実費」などが支払われます。

限度額としては、被害者1名につき合計で120万円までとなっているそうです。

傷害に対する補償
治療費
診察代や手術代、投薬代や入院代の費用など。
【支払い基準】
治療のためにかかった必要かつ妥当な実費。
看護料
原則として12歳以下のお子様に近親者の方が付き添った場合や、医師が看護の必要性を認めた場合の、入院中の看護料や自宅看護料、通院看護料。
【支払い基準】
・入院の場合:4100円/日
・自宅看護もしくは通院の場合:2050円/日
・それ以上の収入減の立証で近親者の場合:19000
・それ以外:地域の家政婦料金が限度
諸雑費
入院中に要した雑費。
【支払い基準】
原則として1100円/日。
通院交通費
通院に要した交通費。
【支払い基準】
通院のためにかかった必要かつ妥当な実費。
義肢等の費用
義肢や義眼、めがね、補聴器、松葉杖などの費用。
【支払い基準】
必要かつ妥当な実費。
めがねの費用は50000円が限度。
診断書等の費用
診断書や診療報酬明細書などの発行手数料。
【支払い基準】
発行に要した、必要かつ妥当な実費。
文書料
交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料。
【支払い基準】
発行にかかった必要かつ妥当な実費。
休業損害
怪我の治療などで失われた収入(有給休暇の使用、家事従事者を含む)。
【支払い基準】
原則として5700円/日。
それ以上の収入減の立証で19000円を限度として、その実費。
慰謝料
事故で怪我をしたことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。
【支払い基準】
4200円/日。
対象日数は被害者の怪我の状態や実治療日数などを考慮して治療期間内で決められる。

後遺症に対する補償

治療を行ったにも関わらず、残念ながら怪我が完治せず、後遺症が残ってしまった場合…。

その後遺症に対する補償として、後遺症障害の程度に応じて「慰謝料」や「逸失利益」などが支払われます。

ちなみに後遺症としては、自動車損害賠償保障法施行令の別表第1もしくは別表第2に該当する場合が対象となります。

該当内容について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

そして、限度額は以下のようになっているそうです。

後遺症に対する補償
慰謝料
後遺症が残ったことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。
【支払い基準】
下記の表参照※
逸失利益
身体に残った障害による労働能力の減少で、将来発生するであろう収入減。
【支払い基準】
収入および障害の各等級に応じた労働能力喪失率で、喪失期間などによって算出。

具体的な等級ごとの限度額は以下の表のようになるそうです。

逸失利益の計算に必要となる労働能力喪失率も等級ごとに示してありますので、併せてご覧になってみてください。

※ 等級ごとの後遺症の限度額と労働能力喪失率
等級 限度額 労働能力喪失率
1
(別表第1
4000万円 100
2
(別表第2
3000万円
1
(別表第2
2
(別表第2
2590万円
3 2219万円
4 1889万円 92
5 1574万円 79
6 1296万円 67
7 1051万円 56
8 819万円 45
9 616万円 35
10 461万円 27
11 331万円 20
12 224万円 14
13 139万円 9
14 75万円 5

また、逸失利益の計算方法については、こちらの記事もご覧になってみてください。

死亡に対する補償

非常に残念なことですが、被害者の方が死亡してしまった場合には、死亡に対する補償として、「被害者および遺族への慰謝料」や「逸失利益」、「葬儀代」が支払われます。

限度額としては、被害者1名につき合計3000万円までとなっているそうです。

死亡に対する補償
葬儀費
通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用(墓地、香典返しなどは除く)。
【支払い基準】
60万円まで。
立証資料などにより60万円を明らかに超える場合は100万円までで妥当な金額。
逸失利益
被害者が死亡しなければ将来得られたはずの収入から、本人の生活費を控除したもの。
【支払い基準】
収入および就労可能期間、そして被扶養者の有無などを考慮のうえ算出。
慰謝料
事故で被害者の方を亡くしたことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。
【支払い基準】
下記の表参照※

死亡慰謝料については、亡くなられたご本人に対する350万円に加え、残されたご家族に対しても支払われることになるそうです。

※ 死亡慰謝料
被害者本人一律 遺族※ 被扶養者がいる場合
350万円+ 1 550万円 200万円
2 650万円
3人以上 750万円

※ 被害者の両親、配偶者、子のみ

なお、亡くなられるまでに入院などで治療を受けたことに対する補償は、「傷害に対する補償」の規定が準用されるそうです。

自賠責保険は「人身事故」のみが対象

以上ご覧いただいておわかりかもしれませんが、自賠責保険は基本的に人身事故に対して支払われる保険となっています。

よって、怪我人などが発生しない物損事故については対象となっていません。

つまり、もし事故でバイク、ぶつかった先の電柱や壁が壊れてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか…。

車やバイクの修理代、電柱や壁などの修理費などについては、自賠責保険に請求することができません。

そういった場合には、相手側の任意保険に請求することになります。

任意保険による補償

また、そもそも自賠責保険からの損害賠償は最低限のものであり、限度額が定められていました。

その自賠責からの限度額を超える分についても、物損に対する損害賠償と同じく、任意保険から支払われることになるのです。

任意の自動車保険と自賠責の関係

自賠責保険への損害賠償請求方法は?

以上より、人身事故に対する補償を受けるためには、まず自賠責保険、それで足りない分については任意保険に損害賠償請求を行うということになるんですね。

では、まず自賠責保険への請求はどうすれば良いのでしょうか。

調べてみたところ、方法としては、加害者請求被害者請求というものがあるようです。

加害者請求

加害者請求とは、加害者が被害者の方に対して支払った賠償金の額を限度に、加害者から自賠責保険会社へ領収書などの必要書類を提出して請求するものになります。

(保険金の請求)

第一五条 被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

被害者請求

しかし基本的に、自賠責保険は被害者救済を目的とした保険です。

よって、加害者側から十分な補償を受けられない場合には、被害者自ら自賠責保険に請求することもでき、それが被害者請求になります。

(保険会社に対する損害賠償額の請求)

第一六条 第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

一括対応と被害者請求

ところで、自賠責保険に損害賠償請求を行うわけですが、自賠責保険会社が示談交渉に登場することはほとんどないそうなのです。

その理由としては、任意保険会社の一括対応という制度があるからです。

一括対応

任意保険会社が自賠責保険の分も一括して対応して、まとめて支払いを行い、自賠責保険の負担分については後から任意保険会社が自賠責保険に請求する制度。

もし、自賠責保険と任意保険に対してそれぞれ別々に請求をしなければならないとすると、

自賠責保険の限度額までは自賠責保険会社に、それを超える部分については任意保険会社に対して

それぞれ手続きをしなければならないため、被害者の方はとても煩雑な手続きが必要となります。

一括対応という方法を取れば、被害者の方が対応すべき窓口も1つになって、手間が省けるというメリットがあることになります。

ただし、一括対応という制度を利用した場合、

任意保険会社との示談交渉が成立するまで損害賠償を受け取れない

後遺症の等級認定を受けにくい

治療費を打ち切られる可能性がある

といったデメリットもあります。

よって、後遺症が残るような怪我をされた場合には、任意保険会社任せにしない方が良いケースもあるんですね。

その場合にはやはり、被害者請求を選択することになります。

とはいえ、被害者の方ご本人やご家族だけで、相手側の保険会社に請求を行うのは厳しい面もありますよね…。

その場合、ぜひ弁護士相談してみることをお勧めします。

物損事故から人身事故への切り替え手続きや期間について解説

物損事故から人身事故への切り替え手続きや期間について解説

以上より、怪我をしていて、自賠責保険や任意保険から適正な補償を受けるためには、人身事故に切り替える必要がある」ということがわかってきました。

では、切り替えに際しては、どのような手続きが必要となってくるのでしょうか。

手続き①病院に行って診断書をもらう

怪我をするような事故に遭った場合、まず最初にやることは何でしょうか?

まずは、病院を受診し、担当医師に診断書を作成してもらってください。

怪我をしたら、もちろん病院に行くとは思いますが、そこで診断書を書いてもらう必要があるのですね!

診断書については、基本的には病院の担当医師に作成してもらう必要があるそうです。

一方、むちうちなどの怪我を負った場合、整骨院に通うケースもあるかもしれません。

しかし、診断は基本的に病院の医師が行うものであり、まずは病院(整形外科が多い)で診察を受け、医師に診断書を書いてもらいましょう。

診断書の内容としては、事故との因果関係についても必ず触れてもらうようにお願いしてください!

後から痛みが出た場合には…

ところで、交通事故に遭った場合、「後から痛みがやってくる」ということが結構あるようですね。

また、頭部などに非常に重大な怪我を負っている場合でも、遅れて症状が出てくることもあるようです。

そのような場合であっても、後日痛みが出た時点で構いませんので、必ず病院を受診するようにしましょう!

手続き②警察に人身事故の届出をする

病院で診断書を受け取った後は、どうすれば良いのでしょうか。

事故を管轄(担当)している警察署に、病院からもらった診断書を持っていき、人身事故への切り替え手続きを依頼する必要があります。

警察で人身切り替えの手続きをする際に、病院の診断書が必要なのですね。

これは、後から痛みが出た場合でも同じなのだそうです。

事故直後でも、後から怪我が発覚した場合であっても、まずは病院で診断書を受け取り、それを警察に提出するという手続きを行いましょう!

その際には、病院の診断書のほかに、事故車両(写真でも可)や運転免許証、印鑑などが必要となるそうです。

持ち物については、警察署ごとに異なる可能性もあるため、行く前に、警察に連絡をして確認した方が良いかもしれません。

まとめ

人身切り替えの手続き流れ

どこに 誰が
①病院で診断書をもらう 整骨院ではなく病院 怪我をした人
②警察に切り替えを依頼 事故を起こした現場を管轄する警察署 被害者と加害者および事故によって怪我をした全ての人

切り替えの期限や期間は?

ところで、後から怪我が発覚した場合でも、切り替えは可能ということでしたが…。

切り替え手続きに期限などはあるのでしょうか?

怪我したことはわかっていても、仕事の都合などでなかなか病院に行けず、診断書をもらうのが遅くなってしまったというケースも考えられますよね。

切り替え期限については、厳密に決められているものではありませんが、いつでも良いということでもありません。

というのも、事故から時間が経過すると、因果関係が明らかでなくなり、警察が積極的に応じてくれなくなることがあり得ます。

人身事故への切り替え手続きは、事故後なるべく速やかに行う必要があるということを覚えておいてください。

ということで、切り替え期限は長くても7日~10日が目安。

ベストとしては、事故後2日~3日以内には病院に行き、すぐに警察に診断書を提出することなのだそうです。

人身事故証明書入手不能理由書の提出

通常、2~3日以内には痛みが出てくるはずですが、それ以上経ってから痛みが出たり、病院に行くタイミングがなく警察への切り替え申請が遅くなってしまったら…。

警察には人身事故への切り替えが認めてもらえない可能性があります。

もしそうなった場合、適切な補償を受けられなくなってしまうのでしょうか…。

そのような場合には、相手側の保険会社にだけでも人身事故として扱ってもらう必要があります。

相手側の保険会社に人身事故扱いにしてもらえれば、人身事故を前提とした賠償金を請求することが可能です。

保険会社に人身事故へ切り替えてもらうためには、相手の保険会社に対し、「人身事故証明書入手不能理由書」を提出する必要があります。

警察には人身事故に切り替えてもらえなくても、保険会社には人身事故と認めてもらえることもあるのですね!

「人身事故証明書入手不能理由書」とは、「人身事故」と記載してある事故証明書を提出できないことを説明する書類です。

保険会社に書式があるそうなので、送ってもらって理由などを書き込み、提出しましょう。

これが受け付けられれば、怪我の治療に対する補償や、もしも後遺症が残ってしまった場合でも、後遺症に対する補償を受けられる可能性が出てくるんですね。

とはいえ、スムーズに手続きを進めるためには、やはり必ず早めに病院を受診するようにしてください!

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以上、人身事故自賠責保険から受け取れる補償や任意保険との違いについて理解を深めていただけたでしょうか。

損害賠償請求にあたっては、弁護士に相談した方が良いかも…と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

人身事故の場合に自賠責保険から受け取れる補償

自賠責保険と任意保険の違い

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

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