圧迫骨折の後遺症認定|後遺障害等級と慰謝料は?腰椎圧迫骨折だとどうなる?
この記事の内容をまとめると以下の通りです
- 圧迫骨折とは、骨が押しつぶされるように変形してしまうことで、骨粗鬆症の方は特に負いやすい。
- 圧迫骨折を負った場合、「脊柱の変形障害」、「脊柱の運動障害」、「局部の神経系統の障害」、「麻痺」の後遺障害が残る可能性がある。
- 後遺障害は、1級~14級までの等級認定を受けられる可能性があり、その等級に応じて「慰謝料」と「逸失利益」を請求することができる。
交通事故で圧迫骨折を負い、後遺障害に悩まされている方は、ぜひご一読ください。
目次
圧迫骨折とは、骨がポキっと折れるのではなく、押しつぶされるように変形してしまった状態のことです。
出典:作者 BruceBlaus. When using this image in external sources it can be cited as:Blausen.com staff (2014). “Medical gallery of Blausen Medical 2014”. WikiJournal of Medicine 1 (2). DOI:10.15347/wjm/2014.010. ISSN 2002-4436. [CC BY 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/3.0)], ウィキメディア・コモンズより
特に、背骨(その中でも特に腰椎付近)で起こりやすくなっています。
背骨の圧迫骨折
腰椎圧迫骨折
ご高齢の方で骨粗鬆症を患っている方に起こりやすいですが、交通事故などで背中に強い衝撃があれば、若い方でも負ってしまう可能性があるものです。
では、交通事故が原因で圧迫骨折による後遺障害が残ってしまった場合、どのような補償をしてもらえるのか、ここから一緒に見ていきましょう。
圧迫骨折の基礎知識~症状や治療法とは?~
圧迫骨折の症状と治療法
骨が押しつぶされるように変形してしまう圧迫骨折では、以下のような症状が現れるそうです。
●主な症状
〇骨折直後の時期には強い痛みがある
〇背中、腰など骨折のある部位が痛む
〇起き上がったり歩くのが辛くなる
〇重症例では脊髄損傷を起こし、脚の麻痺やしびれが生じる場合がある
●時間が経ったあとの症状
〇骨折が複数箇所に生じると背中が丸くなり、身長が低くなる
出典:https://medley.life/diseases/54ec5ad89711e733261b62c4/
圧迫骨折の場合、基本的には、コルセットなどで固定しながら安静にし、骨が形成されるのを待つ保存療法がとられるそうです。
痛みがある間は、痛み止めを服用する薬物療法がとられることもあるそうです。
ただし、圧迫骨折の中でも、破裂骨折のような重症の場合には、神経を傷つける恐れもあり、緊急手術が行われるそうです。
その他、骨粗鬆症がひどい場合や、痛みが長期間消えない場合にも、手術が必要となるそうです。
具体的には、脊椎を金属のプレートで固定したり、つぶれた脊椎にセメントを入れて、もとの形に戻すという方法があるとのことです。
圧迫骨折の治療費について知りたい方はコチラをご覧ください。
一般的なリハビリ方法
治療と共に、リハビリも行う必要があります。
受傷後2週間程度は、可能な範囲での立位、歩行や、力学的に負荷の少ない起居動作方法の指導がメインとなるそうです。
その後、疼痛が軽減してくれば、コルセットなどでの固定を継続しながら、運動療法を開始し、下肢の抗重力筋、体幹屈筋、伸筋の筋力強化が行われます。
固定が外れた後は、全身の筋力強化や、脊柱の可動域の改善に向けた訓練が行われます。
他に、転倒防止に向けたバランス訓練も重要となってくるそうです。
自宅で行うことも可能ですが、最初は必ず専門家の指導を受けてください!
また、決して無理はせず、痛みを感じたらすぐに休むようにしてください。
圧迫骨折で残る後遺障害とは?その等級認定基準についても解説
圧迫骨折による後遺障害の症状
以上、圧迫骨折の症状や治療・リハビリ方法について見てきました。
適切な治療を受ければ、完治する可能性もありますが、残念ながら後遺障害が残ってしまうこともあるそうなのです…。
圧迫骨折の後遺障害としては、脊柱の変形障害が考えられます。
また、頸部や胸腰部の可動域が制限される脊柱の運動障害といった後遺障害が残る可能性も考えられます。
そして、骨折部位に痛みが残る神経症状の後遺障害も可能性として考えられます。
さらに、頸椎破裂骨折を負ったような場合には、脊髄が圧迫され、麻痺が残る可能性も考えられるそうです。
圧迫骨折の後遺障害の等級認定
上記のような後遺障害が残った場合、日常生活や仕事にも影響が出てしまうため、そのことに対する補償をしっかりと受け取るべきです!
圧迫骨折の後遺障害に対する損害賠償請求をするためには、まず後遺障害の等級認定を受ける必要があるということです。
等級認定の申請方法については、こちらの記事をご覧ください。
そして、圧迫骨折による後遺障害が残った場合には、どのような等級が認定される可能性があるのでしょうか。
調べてみたところ、等級認定基準は以下のようになっているようです。
脊柱の変形障害 | |
---|---|
・脊柱が後彎又は側彎 ・脊椎固定術の実施 ・椎弓形成術の実施 |
・6級5号 ・8級相当 ・11級7号 |
脊柱の運動障害 | |
最低でも健側の1/2以下に制限 | ・8級2号 |
局部の神経系統の障害 | |
骨折部位の痛み | ・12級13号 ・14級9号 |
麻痺 | |
最低でも四肢のいずれかに麻痺 | ・1級1号 ・2級1号 ・3級3号 ・5級2号 ・7級4号 ・9級10号 ・12級13号 |
後遺障害の等級は1級~14級まで定められており、残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当することになります。
そして、上記のような等級認定を受けることができた場合には、その等級に応じて、損害賠償請求ができるそうです。
圧迫骨折の後遺障害に対する損害賠償
では、圧迫骨折の後遺障害で等級の認定を受けた場合、どのような補償を受けることができるのでしょうか?
後遺障害に対する損害賠償の内訳
後遺障害に対する補償としては、後遺障害の程度に応じて「慰謝料」や「逸失利益」などの示談金が支払われます。
慰謝料 |
---|
後遺障害が残ったことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。 |
逸失利益 |
身体に残った障害による労働能力の減少で、将来発生するであろう収入減。 |
後遺障害慰謝料
ではまず、慰謝料ではどれほどの金額を受け取れるのか見ていきたいと思います。
その前に、慰謝料には3つの相場基準があるってご存知でしたでしょうか?
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士をつけて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 最も低い | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
そして、3つの基準ごとの相場の違いは以下の通りです。
後遺症等級 | 自賠責基準※1 | 任意保険基準※2 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※2 旧任意保険支払基準による。
見ておわかりの通り、後遺障害慰謝料としては、弁護士基準での金額を受け取るべきですよね。
ただし、被害者の方だけで保険会社と交渉した場合、任意保険基準(以下)での慰謝料しか支払われないことがほとんどなのだそうです…。
弁護士を付けて交渉すれば、弁護士基準での慰謝料を受け取れる確率が大幅にアップします!!
適正な等級認定を受けることも含め、後遺障害に関しては、ぜひ弁護士に相談してみてください。
逸失利益
そして、後遺障害が残った場合、慰謝料だけでなく、逸失利益も受け取れるということでした。
逸失利益の計算方法は以下のようになっています。
後遺障害逸失利益
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数
それぞれの項目の意味は以下の通りです。
項目 | 意味 |
---|---|
基礎収入 | 後遺障害が残らなければ、得られていたであろう収入 |
労働能力喪失率 | 後遺障害が残ったことによる減収の割合 |
労働能力喪失期間 | 後遺障害によって減収が発生する期間 |
中間利息控除係数 | 逸失利益を症状固定時の金額にするための係数 |
労働能力喪失率については、等級に応じて以下のように定められています。
後遺症等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1級 | 100% |
2級 | |
3級 | |
5級 | 79% |
6級 | 67% |
7級 | 56% |
8級 | 45% |
9級 | 35% |
11級 | 20% |
12級 | 14% |
14級 | 5% |
労働能力喪失期間については、原則として就労可能な年齢を67歳として終期を一律に定めています。
また、中間利息控除係数については、基本的にライプニッツ係数が用いられています。
逸失利益の計算方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。
そして、逸失利益についても保険会社は何かと理由を付け、喪失期間を短くしたりすることで、低い金額を提示してくることが多いそうです。
保険会社からの提示額が妥当なものなのかどうか、不安がある場合には、弁護士に相談だけでもしてみてくださいね。
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以上、圧迫骨折の後遺障害の等級認定基準や損害賠償に関して理解を深めていただけたでしょうか。
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それでも残念ながら圧迫骨折の後遺障害が残ってしまった場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、普段の生活に支障をきたすような後遺障害が残る場合は、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、改めて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 圧迫骨折の後遺障害の等級認定基準
- 圧迫骨折の後遺障害に対する損害賠償(慰謝料や逸失利益)
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
しっかりとした損害賠償を受け取るためには、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
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そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、圧迫骨折の後遺障害に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
圧迫骨折後の後遺症認定についてのQ&A
圧迫骨折の症状と治療法は?
主な症状としては骨折した部分の強い痛みがあり、重症の場合には脊髄損傷を起こし脚の麻痺やしびれが生じる場合もありますす。治療法は基本的にコルセットなどで固定しながら安静にし、骨が形成されるのを待つ保存療法がとられます。また痛みがある間は、痛み止めを服用する薬物療法と併用します。ただし、圧迫骨折の中でも破裂骨折のように重症の場合には、神経を傷つける恐れもあるため、緊急手術が行われるそうです。 圧迫骨折の症状と治療法
圧迫骨折による後遺障害の症状は?
後遺障害としてまず脊柱の変形障害が考えられます。また頸部や胸腰部の可動域が制限される脊柱の運動障害といった後遺障害が残る可能性も考えられます。そして、骨折部位に痛みが残る神経症状も可能性として考えられます。さらに、頸椎破裂骨折を負ったような場合には、脊髄が圧迫され、麻痺が残る可能性も考えられるそうです。 圧迫骨折による後遺障害の症状
圧迫骨折の後遺障害等級は?
圧迫骨折で後遺障害が残った場合、脊柱の変形障害であれば6~11級、脊柱の運動障害であれば8級、局部の神経系統の障害であれば12・14級、そして麻痺であれば1~2級が認定される可能性があります。後遺障害の等級は1級~14級まで定められており、残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当することになります。等級認定を受けることができた場合には、その等級に応じて損害賠償請求が可能となります。 圧迫骨折の後遺障害の等級認定
圧迫骨折の後遺症で高額な慰謝料を受け取るには?
圧迫骨折の後遺症でより高額な慰謝料を得るためには、弁護士基準の慰謝料獲得を目指し、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要になります。慰謝料には3つの金額基準があり、より高額な順から、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準となってます。よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士基準の金額を得ることが必要なのです。 慰謝料金額の3つの基準
逸失利益の計算方法は?
逸失利益は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数」で計算します。労働能力喪失率は、後遺障害が残ったことによる減収の割合で等級に応じて変動します。また労働能力喪失期間については、原則として就労可能な年齢を67歳として終期を一律に定めています。加えて、中間利息控除係数についてはライプニッツ係数が用いられています。 逸失利益の計算方法の詳細
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。