女子学生の交通事故慰謝料|2億3341万円の判例を弁護士が解説
このページでは、女子学生の事故の判例についてご紹介します。
こちらの判例の女子学生は、突然の交通事故によって介護が必要な状態となってしまいました。
ご家族としても、今まで元気に過ごしていた娘がそのような状況になってしまった現実はなかなか受け入れられるものではありません。
この判例では看護費用を含め、2億円以上の損害賠償金が認められたようですが、どのような点がポイントとなったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
大学生(女・症状固定時21歳)損害額2億3341万0887円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部の判決、平成17年(ワ)第12431号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷や外傷性くも膜下出血となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者は自転車に乗車して道路を横断中、進行してきた加害車両に衝突され、自転車もろとも路上に転倒した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学2年生 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時21歳 |
事故の内容 | 被害者は自転車に乗車して道路を横断中、進行してきた加害車両に衝突され、自転車もろとも路上に転倒した。 |
傷害の内容 | 脳挫傷、外傷性くも膜下出血、外傷性頸髄損傷(第六頸椎脱臼骨折)、骨盤骨折、右大腿骨骨折、歯牙欠損など |
後遺障害等級 | 1級1号 |
入院 | 527日 |
被害者は頭部等に大きな傷害を負い、500日以上の長期の入院をしました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2億3341万0887円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3810万円 |
うち将来付添看護費 | 8461万8153円 |
うち逸失利益 | 7547万8921円 |
損害総額は2億3341万0887円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額2億3341万0887円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が410万円、後遺障害の慰謝料が2800万円、両親固有の慰謝料が各300万円認められました。
- 将来付添看護費は、被害者母が67歳に至るまでの21年間は近親者による付添介護、その後被害者が83歳に至るまでの41年間は職業付添人による付添介護が必要であるとして、近親者につき1日当たり9000円、職業付添人につき1日当たり1万8000円が相当として計算されました。
- 逸失利益としては、被害者は大学2年生に在学していたので、事故に遭わなければ、22歳で大学を卒業した後は、女性の大卒全年齢平均賃金年額445万8900円の収入を得られたとして、7547万8921円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女子大生は事故により全身に大怪我を負われ、後遺障害1級が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、被害者が22歳と若年である割には、将来介護費用が8000万円代にとどまっています。
これは、21年間にわたって家族による日額9000円の介護が相当とされた点が原因といえます。
家族以外の職業付添人による介護が開始するのは、20年以上先のことになるため、年5%の中間利息を控除すると賠償金の手取り額は少なくなってしまいます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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学生の慰謝料計算の特徴は?
学生の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
学生といっても、活動内容や将来的な就職分野は様々です。
ポイントとしては、活動内容や将来就職する可能性が高い分野等を具体的に主張していくことです。
事故の影響で、留年してしまったり、受験を受けられなかったこと等が証明できれば、賠償額が増額できる余地があります。
また、内定が決まっていたり、予備校生であっても大学に進学できる可能性が高いことを証明できれば、内定先の会社や大卒の平均賃金が将来の収入減をカバーする逸失利益の計算の基礎となり、賠償額が増額する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている判例のように、事故に遭われた方のご事情はさまざまです。
もし交通事故の慰謝料でお悩みならば、まずは一度弁護士等の専門家に直接相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。