後遺障害6級の慰謝料相場は?交通事故慰謝料の計算ガイド2020
後遺障害6級について気になっているあなたへ。
このページでは、弁護士が「後遺障害6級の慰謝料」について解説しています。
目次
6級の後遺障害に認定される症状って?
交通事故で後遺障害が残ってしまった場合は、適切な賠償を受けるために、原則として自賠責の後遺障害等級の認定を受けることが必要になります。
この後遺障害の認定がされる場合、最も重い1級から軽度の14級まで存在する等級のいずれかに該当するとの判断を受けることになります。同じ等級内でも、障害を負った部位によって基準が分けられており、認定される場合は、「第6級4号」という様に呼ばれることになります。
第6級の障害―8種類―
以下では、後遺障害6級に該当する障害の内容について簡単に説明いたします。
6級の後遺障害ですと、その存在について少し違った認定をされるだけで、等級に違いが出てくるものも含まれてくるといえ、判断が難しくなってくるといえます。
視力障害(第6級1号)
両眼の視力が0.1以下になってしまった場合に第6級1号として認定されます。なお、検査は裸眼ではなく矯正視力で行われます。
交通事故による障害といえることが前提ですので、以前から0.1以下だった場合は、もちろん認定の対象外となります。
咀嚼・言語機能障害(第6級2号)
咀嚼機能とは、物を噛んで飲み込むことをいい、言葉を話す能力を言語機能といいます。これらの機能のうち、いずれか一方に「著しい障害」を残す場合、第6級2号に認定されることになります。
なお、本号の咀嚼機能については、ほとんど噛む必要がないものしか飲み込めない状態になった場合というのが目安になります。具体的には、お粥や豆腐等の柔らかいものしか噛んで飲み込めなくなった場合ということになります。
他方、本号の言語機能については、発音の基本である4種類の発音方法(口唇音、歯舌音、口蓋音、頭音)の内、2種類の発音ができなくなった場合に認定されます。
聴力障害(第6級3・4号)
6級の聴力障害は、2つ分類が存在しており、以下の通りになります。なお、聴力についての検査は、聞くことのできる一番小さい音を計測する平均純音聴力検査と、言語を聞き分け、意味を理解する最高明瞭度を計る2種類が行われることになります。
・第6級3号とは、両耳の聴力について、音が全く聞こえないわけではないが、ほとんど聞こえなくなってしまった場合に認定されます。具体的には、直接耳を当てなければ、大声でも聞き取ることができないレベルになります。
3号の認定基準としては、両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上、または50dB以上80dB未満で、最高明瞭度が30%以下の場合とされています。
・第6級4号とは、片耳の聴力が完全に失われて、かつ、他方の耳の聴力が著しく低下した場合に認定されます。具体的には、片耳が全く聞こえない状態となり、かつ、聞こえる耳も40センチ以上離れると通常の話し声が聞こえない程度の聴力(平均純音聴力70dB以上)しかない場合です。
脊柱の変形障害(第6級5号)
脊柱(背骨)の圧迫骨折等により著しい変形が残り、その機能に著しい障害が残った場合に第6級5号に認定されることになります。通常は、骨折等により脊柱に変形を残すと、その運動機能にも支障がでてしまうことになります。
この場合の変形があるか否かの検査は、X線等の画像で背骨が湾曲・変形している部分につき、コブ法を用いてその角度を測定して、その角度によって等級認定を行うことになります。
この角度が50度以上になっている場合、背骨の可動域にも制限が加わることになります。障害のない方に比べて、その可動域が10%以下までに制限されている場合、第6級5号に該当することになります。
腕の機能障害(第6級6号)
片腕に存在する3大関節(肩、ひじ、手首)のうち、2つの関節が全く動かせなくなってしまった場合、第6級6号に該当します。
脚の機能障害(第6級7号)
第6級6号が片腕の機能障害でしたが、片脚の3大関節(股、膝、足首)のうち、2つの関節が全く動かせなくなった場合に、第6級7号に該当することになります。
手指の欠損障害(第6級8号)
第6級8号の欠損障害は、片手の指を全部なくした場合、または親指を含む4本の指をなくした場合に認定されることになります。ちなみに、本号の認定の際には、失った手が利き手か否かは関係ありません。
分類 | 障害の種類 | 障害の概要 |
---|---|---|
1号 | 視力障害 | 両眼の視力が0.1以下になったもの |
2号 | 咀嚼・言語機能障害 | 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの |
3号 | 聴力障害 | 両耳の聴力が、耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
4号 | 聴力障害 | 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離で声を解することができない程度になったもの |
5号 | 脊柱の変形障害 | 脊柱に著しい変形、または運動障害を残すもの |
6号 | 上肢の機能障害 | 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
7号 | 下肢の機能障害 | 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
8号 | 手指の欠損障害 | 1手の5の手指、または親指を含み4の手指を失ったもの |
6級の後遺障害の慰謝料相場は?
後遺障害に関する慰謝料とは
交通事故に関連する慰謝料として、入通院(傷害)慰謝料、後遺障害慰謝料、そして死亡の場合の死亡慰謝料があります。
いずれも精神的苦痛に対する賠償金であり、客観的に金銭として評価することが困難であるものの、事故ごとの公平性を保ち迅速な解決を可能とするために、一定の基準が存在します。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害を負ってしまったことによる精神的苦痛に対する賠償金のことをいいます。交通事故での後遺障害の場合、認定された等級ごとに慰謝料額の目安となる相場が存在しています。
一方で、入通院慰謝料とは、交通事故で怪我を負ってしまったことに対する慰謝料のことをいい、原則、治療期間や実入通院日数を基礎とした金額の算定基準が存在しています。
なお、以上の2つの区別については、後遺障害が治療の甲斐なく残ってしまった障害のことを意味することからお分かりの通り、医師による症状固定の判断時期を基準とします。つまり、症状固定以前であれば入通院慰謝料の基礎として、それ以降からは後遺障害として扱われることになります。
この他に、被害者が死亡した場合の死亡慰謝料というものがあります。これも基準が存在しており、死亡した方の家計における役割によって異なる相場が存在しています。
分類 | 意味 | 相場を分ける基準 |
---|---|---|
入通院(傷害)慰謝料 | 交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対する賠償金 | 原則、治療に要した期間 |
後遺障害慰謝料 | 交通事故で後遺障害を負ったことによる精神的苦痛に対する賠償金 | 認定された後遺障害の等級 |
死亡慰謝料 | 死亡してしまったことによる精神的苦痛に対する賠償金 | 死亡したものの家計における役割 |
6級の後遺障害慰謝料相場
交通事故により後遺障害を負いその認定を受けた場合は、実務上その等級ごとに相場があります。
過去の裁判例を分析して作成された「赤い本」記載の相場によれば、後遺障害6級の認定を受けた場合、その後遺障害慰謝料の相場は1180万円です。この基準は、弁護士(裁判所)基準といわれており、実際に弁護士が交渉する段階や、裁判の際にも重視されています。
なお、実際の裁判においては、この基準額に、個別具体的な事案における慰謝料を増減額すべき事情を斟酌したうえで、最終的な慰謝料額が決定されることになります。
等級 | 弁護士基準 |
---|---|
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
判例からみる6級の慰謝料額の傾向
6級の後遺障害の場合、実際の裁判において認容された後遺障害慰謝料の額を以下にまとめてみました。ここからも、6級の弁護士基準である1180万円が認められることが多いことが窺えると思います。
しかし、例えば事故態様の悪質なケースやその後の加害者の対応に不誠実さが認められる場合、認定された等級で想定される程度を超える支障が生じている場合などでは、慰謝料額が増額されることもあります。反対に、後遺障害の程度が比較的軽度である場合、6級でも減額されることもあります。
判例年月日 | 怪我の部位・程度 | 後遺障害慰謝料 |
---|---|---|
千葉地判平成19.8.31 | 左膝関節機能障害など(併合6級) | 1180万円 |
東京地判平成19.11.7 | 神経障害2ヵ所(併合6級) | 1180万円 |
東京地判平成20.5.12 | 神経・精神障害、顔面部醜状障害など(併合6級) | 1300万円 |
東京地判平成20.6.17 | 高次脳機能障害など(併合6級) | 1180万円 |
大阪地判平成22.3.15 | 外貌醜状障害、神経障害など(併合6級) | 1300万円 |
名古屋地判平成25.1.24 | 顔面部醜状障害、歯牙欠損(併合6級) | 920万円 |
後遺障害6級の逸失利益とは?
逸失利益とは?
後遺障害の逸失利益とは、後遺障害を負ったことにより失った、将来得られたであろう収入等の利益のことをいいます。その計算方法はある程度決まっており、通常は以下の計算式を用います。
(まとめ表)逸失利益の計算方法
逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
専門的な用語が並んでおりますので、以下にて、用語の解説をさせていただきます。
基礎収入
基礎収入とは、逸失利益を算出するためにその基礎とする収入のことをいいます。原則として、事故以前に実際に得ていた収入が用いられることになります。ただ、収入がなかった方でも、年齢別の平均賃金を基礎収入として用いられることがあります。
労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、事故前と検証してどれだけ労働能力を失ったかの割合を示す数値のことをいいます。
後遺障害によって失われてしまった将来の収入等の利益を計算するためには、事故前に比べてどれくらい労働能力を失ったのかを数値化する必要があるのです。そして、この労働能力喪失率も、認定された後遺障害の等級ごとに基準が定められているのです。
労働能力喪失期間
これは、あとどれくらい働くことができたかを示す期間で、原則として67歳までの期間のことをいいます。高齢者の場合は、平均余命の1/2の年数が使用されることになります。
ライプニッツ係数
将来の収入は本来分割で得ていくはずだったといえますが、これを現時点で、一括で手にすることになる関係で、これを運用等することが可能になり、そのままでは、本来得られた利益以上の余分な利益を受け取ることになります。
そこで、この過剰な利益分を控除し、現在価値に換算するための係数として通常使用されるものがライプニッツ係数です。
6級の労働能力喪失率とは
上記の通り、認定された等級ごとに基準となる労働能力が定められており、後遺障害6級の場合、労働能力喪失率は67パーセントとされています。つまり、事故前の1/3未満に労働能力が制限されている状態ということです。
判例からみる6級の労働能力喪失率認定の傾向
以下では、後遺障害6級と認定された実際の裁判例で示された労働能力喪失率を数件まとめました。第6級の喪失率である67パーセントに沿った認定がされていることが多いということができます。
ただし、特に被害者の従事していた職業と被害者が負った後遺障害の部位や程度との関係や、被害者が事故後に実際に得ていた収入等の個別具体的な事情によっては、若干喪失率の認定が異なることがあります。
判例年月日 | 職業 | 怪我の部位・程度 | 労働能力喪失率 |
---|---|---|---|
岡山地判平成16.4.22 | 医師 | 神経障害など(併合6級) | 67% |
千葉地判平成19.8.31 | 会社員 | 左膝関節機能障害など(併合6級) | 67%(最初10年)その後逓減 |
東京地判平成19.11.7 | 主婦 | 神経傷害2ヵ所(併合6級) | 67% |
東京地判平成20.5.12 | 派遣社員 | 神経・精神障害、顔面部醜状障害など(併合6級) | 67% |
東京地判平成20.6.17 | アルバイト | 高次脳機能障害など(併合6級) | 56% |
神戸地判平成26.12.12 | 会社員 | 右膝関節機能障害など(併合6級) | 67% |
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