交通事故損害額算定基準|損害賠償算定基準によって慰謝料にどれだけの差が?
「交通事故には損害額算定基準があるって聞いたけれど、どうして損害額算定基準が必要になるの?」
「交通事故の損害額算定基準は一つだけなの?」
「交通事故の損害額はどの損害額算定基準で計算するかで金額が大きく変わるって本当?」
交通事故には一定の損害額算定基準が存在しますが、その必要性や種類・具体的内容についてはよくご存じでないという方も多いかと思います。
このページでは、そんな方のために、
- 交通事故において損害額算定基準が必要な理由
- 交通事故における損害額算定基準の種類
- 交通事故の損害額算定基準別の損害額の違い
についてご紹介していきたいと思います!
専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。
弁護士の岡野です。よろしくお願いします。
交通事故においては、一定の損害額算定基準が存在しますが、その基準を知らないと妥当な損害額を計算することはできません。
また、交通事故の損害額算定基準は複数あり、それぞれ用いられる場面が異なります。
さらに、どの交通事故の損害額算定基準を用いるかで、損害額の計算結果は大きく変わることになります。
こちらで交通事故の損害額算定基準についてしっかり理解し、適正な損害額を受け取れるようにしましょう。
目次
交通事故の被害者の方には、そもそも損害額算定基準というものが存在すること自体を知らない方もいらっしゃるかもしれません。
また、損害額算定基準の存在は知っていても、その必要性や種類・具体的内容まではよく知らないという方が多いかと思います。
そこで、まずは交通事故の損害額算定基準の基本的な知識から確認していきたいと思います。
交通事故の損害額算定基準の基本的な知識
損害額算定基準はなぜ必要か?
ひとくちに交通事故といっても、すべてがまったく同じ交通事故というものはこの世に存在しません。
そのため、交通事故により発生する損害額は、本来、個々の交通事故の事案ごとに個別に計算しなければいけないことになります。
しかし、日々多数発生している交通事故につき、個々の事案ごとにすべて一から損害額を計算するとなると、解決に非常に時間が掛かってしまいます。
また、似たような交通事故にもかかわらず、損害額を計算する人により、損害額が大きく変わってしまうと、公平性が保てないことになります。
そこで、大量の交通事故を迅速かつ公平に解決するために、一定の損害額算定基準が必要になるといえます。
ポイント
交通事故の損害額算定基準は、大量の交通事故を迅速かつ公平に解決するために必要
どんな損害額算定基準がある?
そして、交通事故において、損害額の計算が求められる場面は一つだけではありません。
そのため、損害額算定基準も一つだけではなく、その損害額の計算が求められる場面ごとに複数存在します。
そこで、ここからは、交通事故の損害額算定基準のうち代表的なものをご紹介したいと思います!
自賠責保険の損害額算定基準
交通事故では、加害者が無資力の場合に被害者を救済できない事態を避け、確実・迅速・公平に救済すべく、車両に自賠責保険の加入を義務付けています。
そして、自賠責保険では、被害者に公平かつ迅速に保険金などが支払われるよう、法律で一定の損害額算定基準を作成することを定めています。
1保険会社は、保険金等を支払うときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準(以下「支払基準」という。)に従つてこれを支払わなければならない。
2国土交通大臣及び内閣総理大臣は、前項の規定により支払基準を定める場合には、公平かつ迅速な支払の確保の必要性を勘案して、これを定めなければならない。これを変更する場合も、同様とする。
出典:自動車損害賠償保障法第16条の3
この法律に基づき、国土交通省及び金融庁が作成した自賠責の支払基準が以下のものとなります。
任意保険の損害額算定基準
自賠責保険は、被害者の損害を最低限度保障するためのものなので、自賠責保険だけでは被害者の損害額を填補しきれない場合も多いといえます。
そのため、車両の保有者は、自賠責保険では補填しきれない損害額の支払に備え、自賠責保険だけでなく任意保険にも別途加入することが多くなります。
そして、任意保険会社は、多数の交通事故案件を抱えているため、公平かつ迅速に損害額を計算するため、社内で一定の損害額算定基準を定めています。
以前は各任意保険会社共通で統一の損害額算定基準が用いられていましたが、現在は廃止され、各社ごとに損害額算定基準を定めています。
現在の各任意保険会社の損害額算定基準は非公表ですが、各社旧統一任意保険会社損害額算定基準に準じた損害額算定基準を定めているようです。
人身傷害保険の損害額算定基準
交通事故の被害者は、加害者が任意保険未加入だったり、過失割合が認められる場合、本来受け取れるべき損害額を受け取れない可能性があります。
そういった場合、交通事故の被害者が人身傷害保険に加入していた場合、損害額(の一部)が自身の保険会社から支払われる場合があります。
人身傷害保険
相手方の有無や過失割合によらず、被保険者が車の事故により死亡又は傷病を負った場合に、約款の損害額算定基準にしたがった保険金が支払われる保険
上記のとおり、人身傷害保険においては、保険金の支払いに際して一定の損害額算定基準が定められており、それにしたがって保険金が支払われます。
交通事故損害額算定基準(青本)
交通事故では、裁判の場においても、公平かつ迅速に損害額を計算するため、裁判所内部において、一定の損害額算定基準を定められているようです。
そして、日弁連交通事故相談センター本部は、全国の裁判例の傾向等を斟酌し、一定の損害額算定基準を書籍の形で公表しています。
その書籍を「交通事故損害額算定基準」といい、表面のカバー全体が青色であるため、通称「青本」と呼ばれています。
損害賠償額算定基準(赤本)
また、日弁連交通事故相談センター東京支部は、東京地裁の実務に基づき、一定の損害額算定基準を書籍の形で公表しています。
その書籍を「民事交通事故訴 訟損害賠償額算定基準」といい、表面のカバー全体が赤色であるため、通称「赤本」と呼ばれています。
なお、交通事故の赤本については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
損害額算定基準ごとの違いは?
このように、交通事故の損害額算定基準には様々なものがあります。
では、交通事故の損害額は、どの損害額算定基準で計算するかにより、どのような違いがあるのでしょうか?
ここからは、各損害額算定基準ごとの大まかな違いについてお伝えしていきたいと思います!
自賠責保険の損害額算定基準
自賠責保険は、被害者の損害を最低限度保障するためのものなので、損害額算定基準は他の損害額算定基準に比べて低額になっています。
ただし、過失割合や因果関係について、他の損害額算定基準より有利な部分もある結果、損害額を計算すると他の基準より高額になる場合もあります。
なお、交通事故の自賠責基準については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
任意保険の損害額算定基準
先ほどお伝えしたとおり、任意保険会社の損害額算定基準は、自賠責保険では補填しきれない損害額の支払に備えたものになります。
そのため、任意保険会社の損害額算定基準は、自賠責保険の基準よりは高額になっています。
もっとも、営利企業である任意保険会社は極力支払いを抑えたいため、裁判などで用いられる損害額算定基準よりはだいぶ低額になっています。
人身傷害保険の損害額算定基準
人身傷害保険の損害額算定基準は、各保険会社の約款により個別に定められています。
その一つである損保ジャパンの人身傷害保険の損害額算定基準は、以下のページに記載されています。
大まかには、自賠責保険や任意保険の損害額算定基準を基礎にしつつ、慰謝料については、自賠責保険や任意保険よりも高額な部分もあるようです。
交通事故損害額算定基準(青本)
青本の損害額算定基準は、裁判例の傾向等を斟酌して作成された損害額算定基準のため、他の損害額算定基準よりも高額になっています。
ただし、青本の損害額算定基準は、全国の裁判例の傾向等を斟酌しているところ、物価の違い等から地域によって金額に多少のばらつきがあります。
そのため、青本の損害額算定基準は、慰謝料などの金額に幅を持たせているのが特色といえます。
損害賠償額算定基準(赤本)
赤本の損害額算定基準は、東京地裁の実務に基づき作成された損害額算定基準のため、青本同様、他の損害額算定基準よりも高額になっています。
そして、赤本の損害額算定基準は、基本的に東京地裁の実務のみを斟酌しているため、損害額のばらつきが小さいといえます。
そのため、赤本の損害額算定基準は、青本とは異なり、基本的に金額が明確に記載されており、幅を持たせない形になっているのが特色といえます。
お伝えしたとおり、交通事故には一定の損害額算定基準があるため、基本的にはこの損害額算定基準に従って損害額を計算する必要があります。
そして、どの場面において損害額を計算するかにより、用いられる損害額算定基準が変わってくる点には注意が必要です。
交通事故の被害者の方で、どの損害額算定基準を用いることになるかわからないという方は、まず弁護士に相談してみるのがよいかと思います。
最後に、お伝えしてきた各損害額算定基準の金額の相場や特色について表にまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。
種類 | 金額の相場 | 特色 |
---|---|---|
自賠責保険 | 低い | 過失割合や因果関係では有利な取扱 |
任意保険 | やや低い | 各任意保険会社ごとに基準異なる |
人身傷害保険 | 低い | ・各任意保険会社ごとに基準異なる ・過失割合の影響受けない ・慰謝料はやや高い※ |
青本 | 高い | 金額に幅 |
赤本 | 高い | 金額が明確 |
※損保ジャパンの損害額算定基準の場合
自賠責保険の損害額算定基準での慰謝料
お伝えしたとおり、交通事故の損害額は、どの損害額算定基準を用いて計算するかにより変わってきます。
では、具体的には、どの損害額算定基準を用いるかにより、損害額にどれ位の違いが出てくるのでしょうか?
各損害額算定基準の中でも、一番基準ごとに違いの出る慰謝料を例にお伝えしたいと思います。
入通院慰謝料
まず、自賠責保険における入通院慰謝料の損害額算定基準は以下のように定められています。
3.慰謝料
(1) 慰謝料は、1日につき4,200円とする。
(2) 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。
(以下略)
出典:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
日額が4,200円というのは明確ですが、対象となる日数は基準を読んだだけではよくわかりませんね・・・。
実は入通院慰謝料は
- 入院日数と実際の通院日数の2倍の合計
- 総治療期間
のいずれか少ない方を対象日数として計算するといわれています。
なお、自賠責保険の損害額算定基準で計算した入通院慰謝料が全額払われるのは、傷害による損害の総額が限度額の120万円の範囲内に限られます。
後遺障害慰謝料
次に、自賠責保険における後遺障害慰謝料の損害額算定基準は等級に応じて、以下のように定められています。
後遺障害等級 | 金額※ |
---|---|
1級(別表第1) | 1600万 |
2級(別表第1) | 1163万 |
1級(別表第2) | 1100万 |
2級(別表第2) | 958万 |
3級 | 829万 |
4級 | 712万 |
5級 | 599万 |
6級 | 498万 |
7級 | 409万 |
8級 | 324万 |
9級 | 245万 |
10級 | 187万 |
11級 | 135万 |
12級 | 93万 |
13級 | 57万 |
14級 | 32万 |
死亡慰謝料
そして、自賠責保険における死亡慰謝料の損害額算定基準は死亡本人と遺族にわけてそれぞれ以下のように定められています。
被害者本人 | 遺族※ | ||
---|---|---|---|
人数 | 金額 | 被扶養者がいる場合 | |
350万円 | 1人 | 550万円 | +200万円 |
2人 | 650万円 | ||
3人以上 | 750万円 |
※ 被害者の両親、配偶者、子のみ
なお、自賠責保険の慰謝料の損害額算定基準については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
この自賠責保険の損害額算定基準は厳格なものであり、損害額算定基準以上の慰謝料が支払われることはありません。
このことは、弁護士が代理人として請求した場合も同様です。
ただし、弁護士が後遺障害認定の申請も兼ねた自賠責保険への請求をする場合、適切な後遺障害等級が認定される結果、損害額が増額することはあります。
任意保険の損害額算定基準での慰謝料
先ほどお伝えしたとおり、現在は廃止されていますが、ここでは旧統一任意保険会社損害額算定基準を前提にお伝えしたいと思います。
入通院慰謝料
まず、任意保険における入通院慰謝料の損害額算定基準は、入通院期間に応じ、以下のように定められています。
ただし、被害者の症状や実通院日数により、上記の表で算定された金額から増減額の修正がされる場合がある点には注意が必要です。
後遺障害慰謝料
次に、任意保険における後遺障害慰謝料の損害額算定基準は等級に応じて、以下のように定められています。
後遺障害等級 | 金額 |
---|---|
1級 | 1300万 |
2級 | 1120万 |
3級 | 950万 |
4級 | 800万 |
5級 | 700万 |
6級 | 600万 |
7級 | 500万 |
8級 | 400万 |
9級 | 300万 |
10級 | 200万 |
11級 | 150万 |
12級 | 100万 |
13級 | 60万 |
14級 | 40万 |
※旧統一任意保険損害額算定基準
先ほどの自賠責保険の損害額算定基準と比較するとわかりますが、任意保険の損害額算定基準は自賠責の基準に若干上乗せした程度になっています。
死亡慰謝料
そして、任意保険における死亡慰謝料の損害額算定基準は被害者の立場に応じ、以下のように定められています。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 1500万〜2000万 |
母親、配偶者 | 1200万〜1500万 |
その他 | 1300万〜1600万 |
※旧統一任意保険損害額算定基準
なお、任意保険の慰謝料の損害額算定基準については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
任意保険の損害額算定基準は、自賠責のものと異なり、絶対的なものではないですが、被害者からの請求では通常この基準以上の慰謝料は支払われません。
しかし、弁護士が代理人として請求した場合は、この任意保険の損害額算定基準で計算された損害額以上の金額を受け取れる可能性が高いといえます。
そのため、交通事故の被害者の方が任意保険に対して損害賠償請求する際には、弁護士に依頼するメリットが大きいといえます。
人身傷害保険の損害額算定基準での慰謝料
人身傷害保険の損害額算定基準は各任意保険会社により異なりますが、ここでは損保ジャパンの基準を前提にお伝えしたいと思います。
入通院慰謝料
まず、人身傷害保険における入通院慰謝料の損害額算定基準は、損保ジャパンでは、入通院期間に応じ、以下のように定められています。
月数 | 入院慰謝料 | 通院慰謝料 |
---|---|---|
1 | 25.2万 | 12.6万 |
2 | 50.4万 | 25.2万 |
3 | 75.6万 | 37.8万 |
4 | 95.8万 | 47.9万 |
5 | 113.4万 | 56.7万 |
6 | 128.5万 | 64.3万 |
7 | 141.1万 | 70.6万 |
8 | 152.5万 | 76.9万 |
9 | 162.5万 | 81.9万 |
10 | 170.1万 | 86.9万 |
11 | 177.7万 | 90.7万 |
12 | 184万 | 93.3万 |
13 | 189万 | 95.9万 |
14 | 192.8万 | 98.4万 |
15以降 | 毎月3.8万加算 | 毎月2.5万加算 |
※損保ジャパンのもの
先ほどの任意保険の損害額算定基準と比較するとわかりますが、人身傷害保険の入通院慰謝料の損害額算定基準は任意保険の基準に近いといえます。
また、被害者の症状や実通院日数により、上記の表で算定された金額から増減額の修正がされる場合がある点は任意保険の基準と同様です。
さらに、損保ジャパンの損害額算定基準では、妊婦が胎児を死産又は流産した場合は、以下の表に従い慰謝料を加算しています。
妊娠月数 | 金額 |
---|---|
3か月(12週)以内 | 30万 |
4か月(13週)以上6か月(24週)以内 | 50万 |
7か月(25週)以上 | 80万 |
※損保ジャパンの人身傷害保険
後遺障害慰謝料
次に、人身傷害保険における後遺障害慰謝料の損害額算定基準は等級に応じて、以下のように定められています。
後遺障害等級 | 金額 |
---|---|
1級 | 1400万(2200万※2) |
2級 | 1200万(1900万※2) |
3級 | 1000万(1500万※2) |
4級 | 950万 |
5級 | 750万 |
6級 | 650万 |
7級 | 550万 |
8級 | 450万 |
9級 | 350万 |
10級 | 250万 |
11級 | 180万 |
12級 | 130万 |
13級 | 90万 |
14級 | 50万 |
※ 損保ジャパンのもの
※2 父母・配偶者・子のいずれかがいる場合
先ほどの任意保険の損害額算定基準と比較すると、人身傷害保険の後遺障害慰謝料の基準は任意保険の基準に若干上乗せした程度になっています。
死亡慰謝料
そして、人身傷害保険における死亡慰謝料の損害額算定基準は被害者の立場に応じ、以下のように定められています。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2200万 |
18歳未満(有職者除く) | 1600万 |
65歳以上 | 1500万 |
上記以外 | 1600万 |
※ 損保ジャパンのもの
先ほどの任意保険の損害額算定基準と比較すると、人身傷害保険の死亡慰謝料の基準は任意保険の基準に若干上乗せした程度になっています。
また、任意保険の損害額算定基準と異なり、被害者の立場のうち、被害者の年齢に応じて算定基準を変えているのが特色といえます。
このように、人身傷害保険の慰謝料の損害額算定基準は、任意保険の損害額算定基準よりもやや高めな傾向にあるといえます。
この人身傷害保険の損害額算定基準は契約内容になっているため、損害額算定基準以上の慰謝料が支払われることはありません。
このことは、弁護士が代理人として請求した場合も同様です。
ただし、弁護士が人身傷害保険への請求をする場合、逸失利益の損害額算定基準に入れる数値自体を争うことで、損害額が増額する可能性はあります。
裁判における損害額算定基準での慰謝料
裁判における損害額算定基準は複数存在しますが、ここではもっとも実務で用いられている赤本の基準を前提にお伝えしたいと思います。
入通院慰謝料
まず、裁判における入通院慰謝料の損害額算定基準は、交通事故のケガの症状により、用いられる損害額算定基準が変わってきます。
具体的には、むち打ち・打撲等で他覚所見のない場合の入通院慰謝料の損害額算定基準は、入通院期間に応じ、以下のように定められています。
そして、先ほどの場合以外の通常の場合の入通院慰謝料の損害額算定基準は、入通院期間に応じ、以下のように定められています。
ただし、通院が長期にわたる場合には、実通院日数の3〜3.5倍を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある点には注意が必要です。
後遺障害慰謝料
次に、裁判における後遺障害慰謝料の損害額算定基準は等級に応じて、以下のように定められています。
死亡慰謝料
そして、裁判における死亡慰謝料の損害額算定基準は被害者の立場に応じ、以下のように定められています。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万 |
母親、配偶者 | 2500万 |
その他 | 2000万〜2500万 |
なお、裁判の慰謝料の損害額算定基準については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
お伝えした交通事故の損害額算定基準がわかったとしても、実際にその損害額算定基準を使って損害額を計算するのは非常に手間が掛かるかと思います。
交通事故の損害額を計算してたらこんな時間に。仕事山積みだ!
— nacnajoen (@acnajoen) March 4, 2011
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そして、裁判の場において、被害者の個別事情を適切に主張・立証したい方にとっては、専門家である弁護士に依頼する必要性が高いと考えられます。
また、弁護士に依頼した場合、任意保険会社から示談交渉においても、裁判における損害額算定基準で計算した損害額を受け取れる可能性が高いです。
そのため、任意保険会社から示談交渉で、裁判での損害額算定基準で計算した損害額を受け取りたい方は、弁護士への依頼が不可欠といえます。
上記に該当する方は、まず弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。
最後に、どの損害額算定基準を用いるかで、同じ状況でも慰謝料の損害額にどれだけの違いが出てくるかを表にまとめてみました。
損害額算定基準 | 入通院慰謝料※1 | 後遺障害慰謝料※2 | 死亡慰謝料※3 |
---|---|---|---|
自賠責保険 | 75.6万 | 409万 | 1200万 |
任意保険※4 | 102.1万 | 500万 | 1500万〜2000万 |
人身傷害保険※5 | 113.4万 | 550万 | 2200万 |
裁判※6 | 188万 | 1000万 | 2800万 |
※1 通常のケガで、入院3か月、通院3か月(実通院45日)を想定
※2 後遺障害等級7級の場合を想定
※3 一家の支柱で、専業主婦の妻と未成年の子が相続人の場合を想定
※4 旧統一任意保険損害額算定基準
※5 損保ジャパンの損害額算定基準
※6 赤本の基準
どの損害額算定基準を用いるかで、同じ状況でも慰謝料の損害額はこんなに違いが出てくるんですね…。
特に裁判における損害額算定基準は他の損害額算定基準と比較してもかなり高額であることがよくわかるかと思います。
つまり、なるべく多くの損害額を受け取りたい方は、裁判における損害額算定基準を用いて損害額を計算し、損害賠償請求をする必要があるといえます。
もっとも、裁判における損害額算定基準を用いた損害額の計算が認められるのは、裁判の場に限られるのが原則になります。
ただし、先ほどもお伝えしたとおり、弁護士であれば、任意保険会社との示談交渉でも裁判での損害額算定基準を用いた損害額の計算が認められます。
つまり、自分で裁判まではしたくないけれど、なるべく多くの損害額を受け取りたいという方は、弁護士への依頼を検討する必要があるといえます。
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それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
交通事故においては、どの損害額算定基準を用いて損害額を計算するかで、受け取れる損害額が大きく変わる可能性があります。
そして、弁護士に依頼することにより、用いられる損害額算定基準が変わり、受け取れる損害額が増える場合もあります。
用いられる損害額算定基準が妥当かや弁護士に依頼することで用いられる損害額算定基準が変わるか等お悩みならばまず弁護士に相談してみて下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 交通事故の損害額算定基準は、大量の交通事故を迅速かつ公平に解決するために必要となる
- 交通事故における損害額算定基準は、損害額の計算が求められる場面ごとに複数存在する
- 交通事故では、どの損害額算定基準を用いて損害額を計算するかで金額が大きく変わる
点について理解を深めていただけたのではないかと思います。
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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。