69歳高齢者・老人の交通事故の死亡慰謝料|4353万円の判例を弁護士が解説
このページでは、69歳男性の死亡事故の判例についてご紹介します。
交通事故は予期せぬときに起こりうるものです。
特に被害者が亡くなってしまった場合、親族の方にとって苦痛は大きく、今後のことについても不安を抱かれるかと思います。
こちらの判例では、4353万円超の損害総額が認められたようですが、事故の内容を踏まえて、専門の先生に詳しい解説を聞いてみましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
無職(男・69歳)損害額4353万0928円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の判決、平成20年(ワ)第3424号事件です。
この事故で被害者の男性は、脳挫傷などのけがを負ったことにより死亡しています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「市街地のセンターラインのない見通しのよい直線道路を自転車で横断中の被害者に普通乗用車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 高齢者 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 69歳 |
事故の内容 | 市街地のセンターラインのない見通しのよい直線道路を自転車で横断中の被害者に普通乗用車が衝突した。 |
傷害の内容 | 脳挫傷、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫など |
入院 | 2日 |
被害者は、頭部に大きな傷害を負い、事故の翌日に亡くなったとのことです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 4353万0928円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2904万円 |
うち葬儀関係費 | 150万円 |
うち逸失利益 | 1178万7660円 |
損害総額は4353万0928円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額4353万0928円になりました。
- 慰謝料としては、入院に対する慰謝料が4万円、亡くなったことに対する本人への慰謝料が2200万円、妻固有の慰謝料が400万円、子3名の慰謝料各100万円認められました。
- 葬儀関係費は、150万円となりました。
- 逸失利益は、年額227万1300円の年金を受給しており、平均余命は15年、生活費控除は50%として、1178万7660円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの69歳の男性は事故の翌日に亡くなってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件は、道路を自転車で横断中の被害者に、道路を直進していた車が衝突した事故です。
被害者側に過失が認められるかが争点となりましたが、被害者にも道路を斜め横断したことや左右の安全確認が不十分であったという過失が認められました。
最終的には、被害者に10%の過失が認められる結果となりました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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といった人たちです。
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高齢者・老人の慰謝料計算の特徴は?
高齢者・老人の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
高齢者や老人と一口にいっても、それぞれのケースに応じて立場は異なります。
一人暮らしの高齢者の場合、裁判例の傾向としては2000万円~2200万円が慰謝料相場といえそうです。
一方、配偶者と一緒に暮らしていたり、他の家族の扶養や家事全般を担っていたりする場合には、相場水準は2500万円~2800万円という高い基準として判断されることになります。
結局、死亡慰謝料の金額は、被害者の年齢というよりは、家庭内で果たす役割によって慰謝料の計算方法は異なるということを理解しましょう。
また、逸失利益につき、年金を受給している場合には、受給している年金の内容によって、逸失利益として認められるかどうかが変わってくることも見落としやすいですが重要です。
さらに、被害者が亡くなられた場合の逸失利益を計算する場合には、その分かからなくなった将来の生活費が引かれますが、年金の場合は、通常より生活費として差し引かれる割合を高くされる例が多いことにも注意が必要です。
もっとも、今申し上げたポイントはあくまで一般論であり、生活費として使われていたであろう割合は被害者の収入や貯金の状況によっても異なる等、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。