交通事故紛争処理センター|費用は無料?デメリットはないの?弁護士が解説!
「保険会社から提示された交通事故の示談金に納得がいかない・・・」
「でも、裁判までするのはお金も時間も掛かりそうだし何だかハードルが高い・・・」
交通事故にあわれた被害者の方の中には、そんな思いを抱いてらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
また、交通事故にあわれた被害者の方の中には、口コミなどで交通事故紛争処理センターの評判を聞いたことがある方もいるかもしれません。
交通事故紛争処理センターという名前からして、何となくのイメージはつくものの、詳しい内容までご存じの方は少ないのではないでしょうか?
このページでは、そんな方のために
- 交通事故紛争処理センターとはどういった機関なの?
- 費用が無料という噂を聞いたけど本当?他にどんなメリットがあるの?
- 何かデメリットがあるんじゃないの?
といった疑問を解消すべく、徹底的に調査してきました!
専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。
弁護士の岡野です。よろしくお願いします。
交通事故紛争処理センターの利用は、交通事故紛争を解決する上で、非常に有力な選択肢の一つです。
しかし、まだまだ交通事故紛争処理センターの存在や利用のメリット・デメリットをご存じない方も多いようです。
ここでは少しでも交通事故紛争処理センターについて理解を深めて頂くことができれば、と思っています。
目次
そもそも、交通事故紛争処理センターでの解決とは裁判所の裁判とは何が違うのでしょうか?
また、少し調べてみると似たような名前の機関がたくさんあって、頭が混乱してしまいます・・・。
ちなみに、紛争処理センターによく似た名前の機関から迷惑メールが送られているようです・・・。
まずは、交通事故紛争処理センターとはどういった機関なのか、基礎的な知識から学んでいきましょう!
交通事故紛争処理センターの基礎知識
紛争処理センターとはADRの一種
ADRとは
みなさんは、何か紛争が起こったときにどういった解決方法を考えますか?
まずは、当事者間で話し合うという方が多いのではないでしょうか。
交通事故の場合では、相手方との保険会社との話し合いがこれに当たります。
もっとも、当事者間の話し合いで解決できれば一番いいですが、お互いの主張が折り合わず、解決できないこともありますよね。
その場合のために、裁判所による裁判があるのですが、みなさんは日常、当事者間の話し合いで解決できないものすべて裁判にはしていませんよね。
おそらく、第三者に間に入ってもらって、紛争の解決点を探るということが多いのではないでしょうか。
この裁判以外の解決方法をADRといい、日本語で代替的紛争解決手続と呼ばれることもあります。
イニシャル | 英語 | 日本語 |
---|---|---|
A | Alternative | 代替的 |
D | Dispute | 紛争 |
R | Resolution | 解決 |
上の画像は裁判所の調停室ですが、裁判所で行われている調停も広い意味でのADRの一つです。
もっとも、裁判所以外の民間の機関が行っている裁判外紛争解決手続のみをADRと呼ぶこともあります。
ADRのメリット
ADRのメリットとしては、裁判に比べて
- 手続きが簡易
- 費用が低額
- 迅速な解決が期待できる
- 原則として非公開のためプライバシーや機密が保たれる
- 柔軟な解決が可能
- 法律以外の専門分野にも対応可能
などがあげられます。
ADRのデメリット
反面、ADRのデメリットとしては、
- 司法による紛争解決を阻害するおそれがある
- 手続きが不適正になるおそれがある
- 権利保護が不十分になるおそれがある
ことなどがあげられます。
裁判 | ADR | |
---|---|---|
手続 | 厳密 | 簡易 |
費用 | 高額 | 低額 |
期間 | 長期 | 短期 |
公開・非公開 | 公開 | 非公開 |
交通事故の分野における主なADR機関
そして、交通事故紛争処理センターは交通事故の分野における代表的なADR機関の一つです。
静岡相談室の利用が順調 交通事故紛争処理センター
2015年10月に静岡市葵区に開設された交通事故紛争処理センターの静岡相談室のサービスが順調に推移している。
毎月20件前後の申し立て(人身・物損計)があり、16年度の示談成立率はセンターへの来訪回数3回までの人で89・2%だった。
嘱託弁護士8人が中立の立場から示談のあっせんに取り組んでいる。
(略)
センターが行うのは、交通事故が専門の裁判外紛争解決手続き(ADR)。
裁判所でも調停などの手続きはあるが、弁護士が必要になるケースが多く、印紙代もかかる。
多忙な裁判官の都合で、長引くケースも多い。
敷居の高さから、敬遠する人もいる。
1974年発足のセンターでは、静岡相談室開設前にも東京などで相談に応じていた。
開設前、県内からの相談は年間120件程度だったが、昨年度は232件に増えた。
同相談室の村瀬健一事務局長は「解決までの複数回の相談全てが同じ月に入るケースもあり、迅速な解決が期待できる」と強調した。出典:静岡新聞電子版 2017/5/21
上記のニュースのとおり、2015年10月に静岡相談室が開設され、下の表にまとめた全国11か所の拠点で活動しています。
平成28年度の和解成立件数(審査を含む)は6,506件であり、交通事故分野におけるADR機関の中でも最大と考えられています。
追記:2018年度の和解成立件数(審査を含む)は5,837件です。
まとめ
紛争処理センター11ヶ所
申込先※1 | 住所地または事故地 | |
---|---|---|
1 | 札幌支部 | 北海道 |
2 | 仙台支部 | 宮城県 青森県 岩手県 秋田県 山形県 福島県 |
3 | 東京本部 | 東京都 神奈川県 千葉県 山梨県 茨城県 |
4 | さいたま相談室 | 埼玉県 群馬県 栃木県 長野県 新潟県 |
5 | 名古屋支部 | 愛知県 岐阜県 三重県 |
6 | 静岡相談室 | 静岡県 |
7 | 金沢相談室 | 石川県 富山県 福井県 |
8 | 大阪支部 | 大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 和歌山県 |
9 | 広島支部 | 広島県 岡山県 山口県 鳥取県 島根県 |
10 | 高松支部 | 香川県 愛媛県 徳島県 高知県 |
11 | 福岡支部※2 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 |
※1 各支部名をクリックすると、各支部について詳しく書かれた記事を読むことができます。
※2 沖縄県にお住まいの方はこちらのページをご参照ください:紛争処理センター沖縄編
交通事故紛争処理センター以外にも、交通事故の分野におけるADR機関は複数存在します。
代表的なものとして日弁連交通事故相談センターという機関があります。
交通事故紛争処理センターと日弁連交通事故相談センターの違いとしては
- 電話相談の可否
- 相談所の数
- 審査会の判断についての相手方に対する拘束力
などがあります。
下の表に簡単にまとめましたので参考にしてみてください。
一般的には最終的な解決まで希望するのであれば、交通事故紛争処理センター、簡単な相談は日弁連交通事故相談センターが便利といえます。
交通事故紛争処理センター | 日弁連交通事故相談センター | |
---|---|---|
電話相談 | × | ○ |
相談所の数 | 11 | 159 |
設置 | 常設 | 非常設 |
審査会の判断の拘束力 | 強い | 限定的 |
※相談所の数は平成29年10月時点
また、その他の交通事故の分野における主なADR機関としては
- 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構
- そんぽADRセンター
- 各地の弁護士会の紛争解決センター(仲裁センター)
などがあります。
住宅に関するセンターとは別物
なお、紛争処理センターによく似た名前のADR機関に紛争処理支援センターというものがあります。
この機関は住宅リフォームなどの建築紛争の分野におけるADR機関ですので、混同しないよう注意しましょう。
ADRとは、いわば、当事者間による話し合いと裁判所による裁判との中間に位置する第三の紛争解決手段といえます。
交通事故紛争処理センターは交通事故の分野における代表的なADR機関ですが、その他にも交通事故分野のADR機関は複数存在します。
それぞれ、特色が異なりますので、ご自身のお悩みに適したADR機関を利用しましょう。
どのADR機関の利用が適しているかわからないという方は、まず弁護士に相談してみましょう。
費用は無料!紛争処理センターのメリットをご紹介!
交通事故紛争処理センターが交通事故分野のADR機関だということはよくわかりました。
でも、実際に交通事故紛争処理センターを利用することにどういったメリットがあるのでしょう?
ここからは、交通事故紛争処理センターを利用することによる主なメリットをご紹介していきます!
費用が無料で利用できる
みなさんが裁判の利用をためらう原因の一つに費用の問題があるかと思います。
裁判を提起する場合には、請求額に応じて一定の手数料が掛かります。
下の表は、裁判を提起する場合などの手数料額をまとめたものです。
死亡事故などの重い交通事故では、請求額が1億を超えることもありますが、裁判では、請求額が1億だと手数料だけで32万円もかかることになります。
なお、先ほど裁判所の調停も広い意味でのADRとお伝えしましたが、裁判所の調停も、裁判よりは安いですが手数料がかかることになります。
また、数千円程度の郵便切手代も負担する必要があります。
さらに、裁判の場合は通常弁護士に依頼することになりますが、その場合弁護士費用も支払う必要があります。
弁護士費用は、事案や法律事務所によって様々ですが、最低でも数十万円はかかることが通常です。
しかし、交通事故紛争処理センターでは費用が無料で申立をできるというのが大きなメリットの一つといえます。
弁護士基準ベースの賠償額となる
交通事故の被害者の方が、保険会社と直接交渉する場合、弁護士に依頼しない限り、任意保険基準での賠償額しか提示されません。
そして、任意保険基準での賠償額は、一般に弁護士基準(裁判基準)での賠償額よりも低額となります。
しかし、交通事故紛争処理センターでは弁護士基準をベースに賠償額を判断しているといわれています。
そのため、弁護士への依頼や裁判の提起なくして、弁護士基準をベースとした高額な賠償額が見込めるというのが大きなメリットの一つといえます。
そうなると、具体的に弁護士基準で計算した場合の賠償額(慰謝料)がどれくらいになるか知りたいですよね?
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なお、交通事故紛争処理センターは全国11か所にありますが、支部により用いられる賠償額の基準が若干異なる可能性があるので注意が必要です。
中立公正な専門家に判断してもらえる
交通事故紛争処理センターに申し立てをすると、同センターから委嘱された相談担当弁護士が法律相談・和解斡旋を担当します。
この相談担当弁護士は、所在地の弁護士会から推薦された弁護士で、全国に194名(平成28年9月)に存在します。
追記:2019年4月時点では、全国に187名に存在します。
また、和解斡旋がうまく行かなかった場合、審査会という機関が審査し、裁定(判断)を下すことになります。
この審査会の審査員には、
- 法律学者
- 裁判官経験者
- 経験豊富な弁護士
が選任されており、現在47名(2019年4月)の審査員が委嘱されています。
こういった専門家の方に、中立公正な立場から紛争解決の判断をしてもらえるというのも交通事故紛争処理センター利用のメリットの一つです。
裁判よりも短期間で解決できることが多い
みなさんが裁判の利用をためらう原因として、費用の他に、解決までに長い期間を要するのではないかという不安があるかと思います。
実際のところ、以下のページで詳しくまとめられていますが、交通事故の裁判は終わるまでに平均して1年近くかかるようです。
これに対し、交通事故紛争処理センターでは、5回までの来訪で90%以上が和解成立に至っています。
来訪は通常1か月に1回のペースで行われるため、交通事故紛争処理センターでの解決までには、平均して半年ほどかかることになります。
したがって、裁判よりも短期間で解決できることが多いのが、交通事故紛争処理センターを利用する利用のメリットの一つといえます。
保険会社が審査会の裁定に従う
当事者間の話し合いでは、保険会社が納得してくれない限り、示談することはできません。
裁判所による裁判は、上訴という手続きはあるものの、納得ができなくても当事者双方はその判断に従う必要があります。
これらに対し、交通事故紛争処理センターの審査会の裁定は
被害者(申立人)は裁定に納得できなければ、それを受け入れず、裁判ができる
のに対し、
保険会社は、裁定に納得できなくても、被害者(申立人)は裁定を受け入れれば、事実上それに従う
という特色があります。
申立人は、原則として裁定に拘束されませんが、センターとの協定等がある保険会社等は裁定を尊重することになっています。
出典:http://www.jcstad.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/03/riyoukitei.pdf
被害者の方にとっては、自分が納得できる内容の審査会の裁定であれば、保険会社の意思によらず、その内容で示談できる点がメリットといえます。
このことを法律的に、審査会の裁定には片面的拘束力があるといい、交通事故紛争処理センターの大きな特色の一つであるといえます。
交通事故紛争処理センターを利用するデメリットは?
交通事故紛争処理センターを利用することによるメリットについてはよくわかりました。
ここまでの話を聞いていると、何だかいいことずくめのようですよね。
でも、当然、交通事故紛争処理センターを利用するデメリットも存在します。
ここからは、そんなデメリットについて解説していきたいと思います。
利用できる場合が限られる
交通事故の種類によっては利用できず
まず、交通事故紛争処理センターは、全ての交通事故紛争に利用できるわけではありません。
具体的には
- 自転車対歩行者の交通事故
- 自転車同士の交通事故
- 自身が契約している保険会社との保険金の支払いに関する紛争
などは、裁判と異なり利用することができません。
加入中の保険の内容によっては利用できず
また、
- 加害者が任意保険に加入していない場合
- 加害者が加入している任意保険(共済)の約款に被害者の直接請求権がない場合
- 加害者が契約している任意自動車共済が、JA共済連、全労済、交協連、全自共及び日火連以外である場合
も利用することができません。
ただし、加害者、保険会社又は共済組合の同意がある場合には利用できる可能性があります。
治療中や他の手続進行中は利用できず
さらに、和解斡旋を受けるためには、損害賠償額を確定できる状態になければいけないので
- 申立人が治療中
- 申立人が自賠責保険の後遺障害認定の申請中
- 申立人が自賠責保険の後遺障害認定の異議申し立て中
の場合にも交通事故紛争処理センターの和解斡旋は利用できません。
なお、
既に裁判や調停、他のADR機関での手続が行われている場合
にも利用することはできません。
遅延損害金を請求できない
裁判で判決が出された場合、事故発生時から賠償金支払い時まで年5%の遅延損害金の支払が命じられます。
これに対し、交通事故紛争処理センターで提示される解決内容には、遅延損害金の支払が含まれることはありません。
直接何回も出向く必要がある
交通事故紛争処理センターでの法律相談や斡旋は、原則として被害者自身が出席しなければいけません。
交通事故紛争処理センターは全国11か所しかないため、お住まいの場所や事故地によっては、お住まいからかなり遠方まで足を運ぶ必要が出てきます。
例えば、沖縄にお住まいの方の沖縄での交通事故の件は福岡まで出向く必要があります。
また、先ほどお伝えしたとおり、申立費用は無料ですが、交通事故紛争処理センターまでの交通費は本人の負担となります。
さらに、交通事故紛争処理センターでの法律相談や斡旋は、平日日中の面談となりますが、休業補償は受けられません。
つまり、紛争処理センターでの解決を希望する場合、平均して3回以上の紛争処理センターまでの交通費とその分の休業を覚悟しなければなりません。
後遺障害等級認定の問題を争えない
交通事故紛争処理センターは、後遺障害等級認定に関する紛争は取り扱っていません。
つまり、後遺障害等級14級9号が認定された被害者が、本来は12級であるとして争うことはできないということです。
なお、後遺障害等級の認定について争うことのできるADR機関としては、上でも名前だけ触れた
一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構
という機関があります。
メリット・デメリットまとめ
ここまで、交通事故紛争処理センターを利用するデメリットを解説してきました。
紛争処理センターを利用するメリット・デメリットは、話し合いの場合と裁判の場合と検証するとわかりやすいので、下にまとめました。
保険会社との紛争解決手続による違い
任意の話し合い | 紛争処理センター | 裁判 | |
---|---|---|---|
費用 | 無料 | 有料 | |
損害賠償基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
判断権者 | 当事者 | 中立の専門家 | 裁判官 |
期間 | 短期 | やや短期 | 長期 |
判断の拘束力 | なし | 保険会社のみあり | あり |
利用できる場合 | 限定なし | 限定あり | 限定なし |
遅延損害金 | 認められない | 認められる | |
出向く必要 | なし | あり | |
後遺障害等級 | 通常争えない | 争えない | 争える |
弁護士の必要性 | やや高い | 高い |
その他、実際に紛争処理センターを利用した方の口コミを紹介している記事もあります。
利用者の方の感想から見たメリット・デメリットがまとめられていますので、良ければご覧になってみてください。
弁護士からアドバイス
岡野弁護士、その他に紛争処理センターを利用する上で、注意すべきポイントはありますか?
まず、交通事故紛争処理センターの相談担当弁護士はあくまで中立的な第三者であり、被害者の味方というわけではないということです。
相談担当弁護士は、問題点の整理や必要書類の指摘するなどの助言はしてくれますが、必要書類の取り付けやその交渉などまではしてくれません。
なお、交通費などと同様、必要書類の取付費用は本人の負担となりますので、その点も注意が必要です。
また、被害者自身が選任した弁護士ではないため、不満があっても別の弁護士に変えてもらうこともできません。
さらに、メリットで触れたとおり、紛争処理センターでは弁護士基準をベースに賠償額を判断されますが、無条件に増額が見込めるわけではありません。
紛争処理センターを利用すれば、弁護士に頼まなくても弁護士基準の賠償金が受け取れるものと思っていましたが、そうとも限らないのですね・・・。
どのようなケースで、増額が認められないことがあるのでしょうか?
確かに、紛争処理センターは弁護士に依頼しなくとも弁護士基準での解決が見込めるため、弁護士を依頼する必要性がなさそうにも思えます。
しかし、保険会社と争いのある部分は、しっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があります。
弁護士に依頼をすれば、
- 保険会社と争いのある部分の主張立証ができて、増額が認められる可能性が高まる
- 仕事を休んで出向く手間や必要書類を取り付ける手間など、様々な面倒事から逃れられる
という点でメリットがあります。
無料相談を行っている弁護士も多いので、依頼しないとしても、ご自身だけで対応できそうか、相談してみることをおすすめします。
相談無料だったら、最終的に弁護士に頼む場合でも、頼まない場合でも、一度、相談しておいた方が得ですね。
岡野弁護士の事務所でも、交通事故専門の弁護士による無料相談を実施しているそうです。
電話、LINEという方法で相談ができるので、便利です!
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
夜でも土日でも相談できるので、会社、家事、リハビリなどで忙しい人でも利用しやすいですね。
斡旋案や審査会の裁定とは?紛争処理センター利用の際の解決の流れをご紹介!
交通事故紛争処理センターを利用することによるメリット・デメリットはよくわかりました。
それでは、実際に交通事故紛争処理センターを利用する場合、解決までどういった流れで進んでいくのでしょうか?詳しく解説していきます!
項目 | 内容・備考 | |
---|---|---|
1 | 電話予約 | 相談日時を決める |
2 | 法律相談 | 問題点を整理する |
3 | 和解斡旋 | 3~5回で和解成立が多い |
4 | 審査会の裁定 | 斡旋不調の場合に行われる |
電話予約
予約前の確認ポイント
交通事故紛争処理センターに法律相談・和解斡旋(あっ旋)の申立をする場合、事前に電話予約をする必要があります。
交通事故紛争処理センターの管轄は申立人の住所地又は事故地によって決まり、管轄のセンターに連絡を入れることになります。
予約のための電話を入れると電話受付の方から、交通事故紛争処理センターを利用できる事案かを確認するために
- 事故類型
- 相手方保険会社の情報
- 治療が終了しているか
- 自賠責保険の後遺障害等級認定手続の有無
などを尋ねられますので、電話をする前に確認しておきましょう。
相談日時決定とその後
交通事故紛争処理センターを利用できる事案であることを確認できると、相談の日時が決められます。
この日時は1か月後くらいに入れられることが多いですが、申立件数が多いセンターや時期ですと2〜3か月後になることもあります。
交通事故紛争処理センターへの申立前に保険会社と交渉していた場合、保険会社の担当者に相談の申込みをしたことを連絡する必要があります。
なお、物損のみの場合は、早期解決のため、初回から相手方保険会社にも出席してもらい、和解斡旋に入るので、日時も連絡する必要があります。
その後、交通事故紛争処理センターから申立書や必要書類が記載された書式が送られてきます。
申立人は内容を確認した上で、初回期日に持参できるよう準備する必要があります。
法律相談
法律相談担当弁護士は、申立人の持参した資料や申立人の話を聴いた上で、問題点を整理したり、必要書類を指摘するなどの助言を行います。
そして、申立人が和解斡旋を法律相談担当弁護士に要請し、その弁護士も和解斡旋が必要であると判断すれば、和解斡旋手続きに入ります。
通常はセンターから相手方保険会社に連絡して期日調整をし、2回目以降に和解斡旋手続きに入ることになります。
ただし、物損のみで相手方保険会社が出席している場合は初回から和解斡旋手続きに入ることになります。
申立人は、法律相談担当弁護士から次回までに用意すべき追加の書類の指示があった場合には、次回期日に持参できるよう準備する必要があります。
和解斡旋(あっ旋)
相談担当弁護士は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で争点・賠償額など、和解のための斡旋案をまとめ、当事者双方に提示します。
和解斡旋手続は、1回に1時間を目途に行われ、資料が揃えば、人身事故の場合は、3~5回で和解が成立することが多いです。
また、物損事故の場合は、1~2回で和解が成立することが多いです。
和解斡旋(あっ旋)によって合意に至った場合は、相談担当弁護士の立会のもとで、示談書又は免責証書を作成します。
すぐ合意に至らない場合
他方、相談担当弁護士のまとめた斡旋案に当事者の双方又は一方が同意しない場合もあります。
斡旋案の修正等によっても、相談担当弁護士が和解成立の見込みがないと判断した場合、和解斡旋が不調となったとして、和解斡旋手続は終了となります。
また、高度な医学的判断が必要な事案などは、詳細に事実関係などを争うため、保険会社から訴訟移行の要請が出されることがあります。
その要請を交通事故紛争処理センターで検討し、その結果、訴訟による解決が適当として要請が承認されれば、和解斡旋手続は終了となります。
審査会の裁定
相談担当弁護士が、斡旋が不調と判断した場合、その決定について当事者双方に通知します。
申立人が、審査会による裁定(判断)を希望する場合には、通知を受けた後14日以内に審査希望の申立をします。
審査希望が受理された場合、審査開催日の連絡が入ります。
審査開催日までに、相談担当弁護士が関係書類と共に審査会に対して、争点、当事者双方の主張を説明します。
審査会の開催日には当事者双方が出席し、審査員が争点や事故の内容について当事者双方それぞれに説明を求め、双方の主張を聴きます。
その上で、審査会から結論を示す裁定が行われます。
裁定に不服がある場合
申立人は、裁定の告知を受けた日から14日以内に裁定に対し、同意又は不同意をセンタ-に回答しなければいけません。
保険会社は、審査会の裁定を尊重することになっているので、申立人が同意した場合は、裁定の内容に基づき、示談書又は免責証書が作成されます。
申立人が不同意の回答をした場合は、手続が終了し、訴訟提起などの他の手段による解決に委ねられることになります。
以上の手続の流れを図解したものが以下のサイトから見られますので、よろしければ参考にしてみてください。
- 事実関係についての当事者双方の認識の差が大きい事案
- 事故とけがとの因果関係に争いがあり、高度な医学的判断を要するような事案
などは、交通事故紛争処理センターの和解斡旋手続や審査になじみにくいこともあるようです。
そういった事案で、紛争処理センターに申立をしても、訴訟移行の要請が承認されてしまい、かえって解決までに時間が掛かってしまうおそれがあります。
交通事故紛争処理センターという機関での紛争解決手続を採用すべきかどうかは、まず弁護士に相談してみるとよいでしょう。
紛争処理センターQ&A
物損も紛争処理センターを利用できる?
結論からいうと、交通事故紛争処理センターは物損事故も利用できます。
ただし、デメリットのところでも触れましたが、
- 自転車対歩行者の交通事故
- 自転車同士の交通事故
には利用できません。
また、メリットのところで触れたとおり、通常、申立人は裁定に拘束されませんが
車両相互の衝突等によって、双方に物損が発生し、かつ双方に過失が認められる場合
審査会が審査、裁定を行う条件として、あらかじめ裁定に同意することが求められることがあり、その場合には例外的に申立人も裁定に拘束されます。
過失割合も紛争処理センターで争える?
結論からいうと、交通事故紛争処理センターでは過失割合も争うことができます。
実際、統計によると物損事故での和解斡旋は過失割合に関するものが多いようです。
ただし、事実関係に関する当事者双方の認識の差が大きく、その結果、過失割合の判定に差が出てくる事案は注意が必要です。
そういった事案は、紛争処理センターでの解決になじみにくく、訴訟移行が保険会社から要請され、承認されてしまうおそれがあるからです。
申立書はどうやって手に入れる?
交通事故紛争処理センターの申立書は、電話で法律相談の予約をし、日時が決まった段階で紛争処理センターから送られてきます。
代理の出席は可能?委任状以外に必要なものは?
被害者本人が出席するのが原則ですが、やむを得ない場合には、相談担当弁護士の判断により、配偶者、親や子等の方が代理で出席できることがあります。
また、弁護士に依頼して代理人として出席してもらうことは当然可能です。
代理人が出席する場合、代理関係を確認するため、委任状だけでなく印鑑証明書の提出も必要になります。
なお、被害者本人が死亡している場合には、被害者の相続人が出席することになります。
その際、相続人の代表者が出席する場合は、他の相続人全員の委任状および印鑑証明書の提出が必要となります。
紛争処理センターに関する疑問は弁護士に無料相談を!
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ここまで、交通事故紛争処理センターに関する様々な疑問を解消すべく、調査結果を報告してまいりました。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
交通事故紛争処理センターへの申立や出席の前に疑問点が出てきたため、すぐに相談されたいという方も多いと思います。
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最後に一言アドバイス
では、岡野先生、最後にまとめの一言をお願いします。
交通事故紛争処理センターの利用は、交通事故紛争を解決する上で、非常に有力な選択肢の一つです。
しかし、事案によっては裁判や他のADR機関を利用した方が適切な場合もあります。
もっとも、様々な紛争解決手続の中からどの手続を採用するのが最も適切か、お一人で見極めるのは難しいと思います。
まずは、弁護士に相談をしてどの手続を採用するのが最も適切かを一緒に検討してもらうのがいいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
このページを最後までご覧になってくださった方は
- 交通事故紛争処理センターとは交通事故の分野における代表的なADR機関の一つである
- 費用が無料で裁判よりも短期間に弁護士基準での解決が見込めるなどのメリットがある
- 利用できる場合や争える内容に制限があり、出席の手間がかかるなどのデメリットもある
ことなどがおわかりいただけたのではないかと思います。
このページだけではわからなかったことがある方は上で紹介したスマホで無料相談や全国弁護士検索を利用してみてください。
また、下の関連記事も参考にしてみてください。
このページが、少しでも交通事故に遭われた方のお役に立てれば何よりです。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。