知らないと損!交通事故の被害者と弁護士特約の関係とは?
皆さん、「弁護士特約」って聞いたことありますか?
加入している保険に弁護士特約が付いている場合、保険会社が弁護士費用を肩代わりしてくれるそうですが、どのような場合に適用されるのでしょうか?
今回は弁護士特約についての疑問を一つ一つ解消していきましょう。
目次
弁護士特約についての基礎知識
- ・弁護士特約ってなに?
- ・みんな弁護士特約に加入しているものなの?
- ・私って、弁護士特約に加入しているのかな…?
このようなことでお悩みの方はとても多いです。弁護士特約はとても便利な制度ではありますが、まだまだ利用率は高いとは言えません。また、保険に加入したのがかなり前である場合、弁護士特約の存在すら知らなかったことも多いです。以下では、弁護士特約の基本的事項について紹介します。
弁護士特約とは
弁護士特約とは、保険会社との保険契約に付帯して結ばれる特約で、一定の場合に保険会社が弁護士費用を肩代わりする合意をいいます。
交通事故の被害者となってしまった場合には、加害者側への損害賠償請求の手続きを弁護士に依頼した場合の弁護士費用が保険会社から支払われることになります。
弁護士特約の加入率・利用率
弁護士特約の加入率は、その認知度に比べて高いものと言えます。自動車保険大手のセゾン自動車火災保険が公表しているデータによると、2018年3月末時点で68.7%の方が弁護士特約に加入しているようです。
しかし、その利用率は1%を下回るといわれており、加入率は高いが、認知度が低いため利用率が低い、というのが現状といえます。
弁護士特約の適用範囲
弁護士特約が適用される事件とは、基本的には人身事故及び物損事故になります。
また、裁判で損害賠償請求をする場合でも、当事者間で示談をする場合でも、交通事故被害者の弁護活動であれば特約が適用され、弁護士費用が保険会社から支払われます。
弁護士特約の有無の調べ方
弁護士特約の有無は、保険に加入した際に保険会社が発行した保険証券に記載されています。
また、仮に保険証券を紛失等した場合であっても、本人確認事項を保険会社に伝えた上で問い合わせれば、すぐに確認してくれるでしょう。
まとめ表
弁護士特約とは | 保険会社が弁護士費用を肩代わりしてくれる特約 |
---|---|
弁護士特約加入率と利用率 | 加入率は70%以上 利用率は1%未満 |
弁護士特約の適用範囲 | 人身事故と物損事故 関連する弁護活動であれば全て |
弁護士特約の有無の調べ方 | 保険証券で確認 紛失したなら保険会社に問合せ |
弁護士特約を使う場合のポイント
- ・弁護士特約に加入しているけど、これどうやって使うの?
- ・弁護士特約を使う具体的なメリットってなに?
- ・弁護士特約を使うことで不利益はないの?
まだまだ認知度が低い弁護士特約を使うに当たって、使い方が分からない、もしかしたら不利益が生じるのではないかと、不安に感じるのも当然と言えるでしょう。
しかし、弁護士特約は簡単な手続きで使用できますし、メリットも極めて大きなものといえるため、心配は無用です。以下では、弁護士特約を使用するに当たってのポイントを紹介します。
弁護士特約の使い方・流れ
弁護士特約の使い方は、全く難しくありません。
まず、被害者から保険会社の担当者に対して、弁護士特約を使いたい旨を伝えます。そうすると、保険会社が必要な提出書類等、手続きの仕方を教えてくれます。
保険会社への申請が済んだ後、弁護士に依頼をします。そして、受任をした弁護士は、その契約書等のコピーを保険会社に送付し、その後の費用の請求等は弁護士が直接保険会社に対して行います。
要するに、被害者が弁護士特約を利用する場合、被害者がやるべきこととしては、保険会社に事前申請することと、弁護士に依頼をすることだけなのです。
被害者が弁護士特約を利用するメリット
交通事故の被害者が弁護士特約を利用するメリットとしては、弁護士費用の負担が無くなることで、弁護士費用を支払ったら相手方からお金を受け取っても結局手元に残らなかったという、いわゆる費用倒れを防ぐことができる点が大きいでしょう。
例えば、弁護士特約に加入していなかった場合、交通事故による症状固定や後遺障害等級認定が出ない前に弁護士に依頼することは、仮に症状が全快し後遺障害等級が認められず、わずかな賠償額が得られない可能性があることからすると、費用倒れになるリスクが高いと言えるでしょう。
しかし弁護士特約があれば、このような費用倒れの心配をする必要がないため、早い段階から弁護士に依頼し、賠償金獲得のために最善を尽くすことができます。
被害者が弁護士特約を利用するデメリット
あえてデメリットとしてあげるとすれば、当然ながら年間の保険料の金額が増えるということでしょう。たとえば、セゾン自動車火災保険で弁護士特約に加入した場合、年間の保険料は1200円ほど高くなります。
しかし、人生の一大事である交通事故の被害者になってしまう状況において、弁護士費用を気にせず弁護士に依頼することができるというメリットからすれば、年間1200円程度の負担というデメリットは極めて小さいものと言えるでしょう。
まとめ表
弁護士特約の使い方・流れ | 保険会社に事前申請し、弁護士に依頼をすれば、あとは弁護士と保険会社が手続きをしてくれる |
---|---|
弁護士特約を利用するメリット | 費用倒れを心配する必要がなく、賠償金獲得のために最善を尽くすことができる |
弁護士特約を利用するデメリット | 年間保険料が1200円程度上がるが、それほど大きなデメリットとは言えない |
弁護士特約を利用できるのはどんなとき?
- ・弁護士特約って、いくらまで肩代わりしてくれるの?
- ・父親の弁護士特約って使える?
- ・こちらにも少し過失があるって言われたんだけど、弁護士特約は使えないのかしら…?
弁護士特約は身近なものとはいえないため、疑問はまだまだあるでしょう。弁護士特約の内容は、結局は保険会社による部分もありますが、以下では一般的な弁護士特約に対する疑問点と回答について紹介します。
弁護士特約でカバーできる金額は?
弁護士特約がカバーしてくれる弁護士費用は、法律相談については10万円、具体的な弁護活動に対する費用については300万円までとしている保険会社が多いです。
そのため、300万円までの弁護士費用については、保険会社がカバーしてくれるのが原則です。
弁護士特約があれば自己負担は生じない?
被害者が弁護士特約を使用するにあたって注意しなければならない点は、弁護士特約がカバーしてくれる金額の範囲内であっても保険会社が支払ってくれない場合があるということです。
日本弁護士連合会は、LAC基準と呼ばれる弁護士費用の基準を作成し、弁護士費用の保険会社への請求は、おおよそその基準に従うこととされています。
そのため、この基準よりも大幅に高い弁護士費用を請求した場合等には、保険会社が弁護士費用の支払いを拒否することがあります。
被害者側に過失があっても利用できるのか
被害者側にも過失が認められる場合、弁護士特約は利用できないと考えている方は少なからずいらっしゃるようです。しかし、決してそんなことはありません。
多くの弁護士特約では、契約書に、「被保険者の故意または重大な過失による損害」については、弁護士特約の対象とならないという文言があります。すなわち、故意または重大な過失があると認められない場合には、被害者側に過失がなくとも弁護士特約が利用できる のです。
そして、故意または重大な過失は一般的に認められにくく、たとえ被害者側の過失割合の方が高くても、故意または重大な過失に当たらないとされる場合も多いです。
家族の弁護士特約を使えるか
家族が加入している弁護士特約を、加入していない他の家族の交通事故で使える場合があります。
一般的な弁護士特約では、配偶者及び同居の親族については、家族の弁護士特約を使えるとされていることが多です。
また、同居をしていなくても、未婚の子供は家族の弁護士特約を利用できるとされることが多いです。
自由に弁護士を選べるのか
弁護士特約を利用する場合でも、依頼をする弁護士は被害者が自由に選べることがほとんどです。
そのため、信頼ができる弁護士等がいる場合には、その弁護士に依頼することができます。
まとめ表
弁護士特約でカバーできる金額 | 法律相談については10万円、弁護活動については300万円が一般的 |
---|---|
弁護士特約がある場合の自己負担額 | LAC基準よりも異常に高額な場合には、支払いを拒否されることも |
被害者側に過失がある場合の利用の可否 | 被害者側に「故意または重大な過失」が認められない限り利用可 |
家族の弁護士特約の利用の可否 | 配偶者、未婚の子供及び同居の親族は利用可能 |
自由に弁護士を選ぶことの可否 | 可能 |
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いかがだったでしょうか?
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まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。