労災で後遺障害認定されない時は?後遺障害認定に向けてできること

Q1.労災での後遺障害認定は難しい?

後遺障害認定は申請すれば必ず認められるものではありません。

後遺障害認定の申請は労災保険に申請するケースと、相手方の自賠責保険に申請するケースの2つがあります。

申請内容を審査する機関のちがいだけでなく、審査方法も異なります。
具体的には
・労災保険は顧問医が直接被害者と面談
・自賠責保険は原則書面審査
という違いになります。

この審査方法の違いからか、実務上では労災保険のほうが後遺障害等級が認定されやすい傾向があります。
しかしながら、労災保険だと簡単に後遺障害認定されるということではありません。

以下に労災保険と自賠責保険への後遺障害認定申請の違いをまとめました。

<傾向>労災保険と自賠責保険の後遺障害認定のちがい
労災保険 自賠責保険
対象 業務災害・通勤災害 自動車との事故
後遺障害認定の
申請先
労働基準監督署* 相手方の
自賠責保険
審査機関 労働基準監督署* 損害保険料率算出機構
審査時の面談 顧問医による面談あり 原則面談なし
後遺障害認定 自賠責保険より
認定されやすい**
労災保険より
認定されづらい**

*所轄の労働基準監督署
**実務上の傾向

Q2.労災で後遺障害認定されない時は諦めるしかない?

初回の申請で認定されない場合、あと2回申請をやり直すことができます。

初回申請の結果に納得がいかない場合は審査請求が可能です。審査請求は、不支給決定の通知を受けた日から3ヶ月以内にかぎられます。

審査請求の結果にも不服である場合は再審査請求が可能です。
審査請求に対する決定から2ヶ月以内に、労働保険審査会に再審査請求をすることができます。

まとめ

労災保険への後遺障害認定申請は計3回まで可能。
1回目の審査結果に不満:審査請求(不支給決定通知から3ヶ月以内
2回目の申請結果に不満:再審査請求(審査請求への決定から2ヶ月以内

また、2回目の再審査請求の結果にも納得がいかない場合は、裁判所に対して「労災不認定処分の取消訴訟」が提起できます。再審査請求の決定通知から6ヶ月以内におこないましょう。

Q3.どうすれば労災で後遺障害認定される?

申請書類や検査結果に不足がないかを確認してみましょう。

後遺障害認定されるには一定の基準があります。
まず被害者自身の後遺症が、等級認定基準を満たすものかを見直してください。

後遺障害等級とは?

後遺症が残った身体の部位や、症状の程度に応じて、1級から14級までの後遺障害等級が定められています。
後遺障害等級に応じて受けられる補償額が変わります。
数字が小さいほど後遺障害の程度が重いものです。

後遺症の内容に応じて何級に該当するかは決まります。
たとえば「失明・視力低下」という状態は、どちらの目に障害が残ったか/視力がどれくらい下がったかという観点から後遺障害等級が定められています。

労災基準の後遺障害等級(失明や視力低下に関するもの)
障害等級 身体障害
1 両眼が失明
2 1眼が失明、他眼視力0.02以下
3 1眼が失明、他眼視力0.06以下
(略) (略)
10 1眼の視力が0.1以下
13 1眼の視力が0.6以下

※一部省略

基準を満たしていることを書面や面談で証明できているか振り返ってみましょう。
文字として書くだけではなく、検査結果を添付したり、面談時に説明することが大事です。

Q4.後遺障害認定されても労災から慰謝料はもらえない?

労災保険からの給付内容には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などの慰謝料が含まれていません。

労災保険と自賠責保険・任意保険からの二重取りは禁止されていますが、重複していない補償内容、つまり慰謝料は、別途、相手方の自賠責保険・任意保険会社へ請求可能です。

誰に相談すべき?

一度認定されなかった結果をくつがえすことはむずかしいとされています。交通事故の後遺障害が認定されずにお困りの方には、弁護士からのアドバイスがお役にたつかもしれません。
また、自賠責保険・任意保険会社への慰謝料請求も、弁護士に任せることで増額が期待できます。
一度、お困りごとを相談してみませんか。

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この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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