駐車場の事故で警察を呼ばないとどうなる?報告義務違反に当たる?

Q1.駐車場の事故で警察を呼ばないとどうなる?

警察を呼ばなくても、個人宅の駐車場・月極駐車場といった道路交通法が適用されない「私有地」の場合は道路交通法の報告義務違反に当たらない可能性があります。もっとも、駐車場といってもショッピングセンターといった大型商業施設に設けられた駐車場は「道路」として認められることになるので、警察を呼ばないと報告義務違反に当たることになります。

道路にあたる駐車場か、私有地にあたる駐車場か、判断がむずかしい場合があるので、駐車場で起きた事故であっても交通事故が起きたら基本的には警察を呼ぶべきといえるでしょう。

また、警察に事故の届出をしていないと「交通事故証明書」を発行してもらえません。交通事故証明書は保険を利用する際に必要になるので、保険を利用できない可能性が出てしまいます。このような点からも、交通事故に巻き込まれたら警察に報告するようにしてください。

Q2.駐車場から出てきた車との事故は警察を呼ぶべき?

警察を呼ぶべきでしょう。駐車場から道路に進入してきた際の事故ということであれば、道路上の交通事故として扱われます。警察への連絡を怠ると、報告義務違反に当たることになります。

Q3.駐車場の事故で警察を呼ばずに示談してもいい?

示談自体は可能ですが、のちに起こりうるリスクを考えると警察を呼ばずにその場で示談するのは避けたほうがよいでしょう。

示談は口約束でも成立してしまう性質をもっています。その場で安易に示談に合意してしまうと、後遺症など新たな損害が出てきたとしても追加で損害賠償を請求することができなくなってしまいます。

また、警察を呼ばないと人身事故の場合は実況見分調書が作成されません。実況見分調書は、事故発生当時の状況を詳細に記録したもので、事故の事実関係を証明するために重要な資料となります。このような資料がないと、不当な過失割合を主張され、請求できる損害賠償の金額が減額となってしまう可能性があります。

Q4.駐車場の事故で保険は使える?

人身事故の場合、道路上の事故と同じように自賠責保険の対象となります。また、相手方が任意保険に加入している場合は保険の契約内容によっては補償の対象となるでしょう。

もっとも、私有地とされる駐車場内での事故は交通事故証明書が発行されないので、相手方の保険会社に対して「人身事故証明書入手不能理由書」を提出する必要があります。

物損事故の場合、自賠責保険の対象とはなりません。任意保険は契約の内容によって補償の対象となるかどうかは異なるので確認が必要です。

Q5.駐車場事故の過失割合は道路上の事故と異なる?

四輪車同士の駐車場事故では保険会社から5対5の過失割合を主張されることが多くあるようですが、道路上の事故と同じように事故の状況に応じて一定の過失割合が決められています。いくつか基本となる過失割合を紹介したいと思います。

5対5の過失割合
駐車場内の交差点内に進入してきたAとBが衝突した事故
A B
基本 50 50
修正要素
A狭路・B明らかに広い通路
B丁字路直進
10
一時停止・通行方向表示等違反 1520 1520
著しい過失 10 10
重過失 20 20
B狭路・A明らかに広い通路 10

参照:判例タイムズ38号【334】

7対3の過失割合
駐車場内の通路を進行するAと駐車区画から通路へ進入してきたBが衝突した事故
A B
基本 30 70
修正要素
著しい過失 10 10
重過失 20 20

参照:判例タイムズ38号【335】

駐車場事故の損害賠償問題についてお悩みなら

駐車場の事故でも、事故によって何らかの被害を受けたのであれば相手方に損害賠償請求することができます。事故にあったらまずは警察に報告することが大切ですが、損害賠償請求に関しては交通事故分野に注力する弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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