66歳高齢者・老人の交通事故の死亡慰謝料|5668万円の判例を弁護士が解説
このページでは、66歳男性の死亡事故の判例についてご紹介します。
交通事故によって、大切なご家族や身近な方を亡くすことは非常に耐えがたいものです。
ご家族としては、大きな精神的苦痛を受けられた分、納得のいく慰謝料を受け取るべきといえます。
ここでは、この判例ではどのようにして慰謝料の算定がなされたのか専門の先生に詳しく聞いてみましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
会社代表取締役(男・66歳)損害額5668万3764円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部の判決、平成20年(ワ)第10502号事件です。
この事故で被害者の男性は、頭蓋骨複雑骨折による脳挫傷により死亡しています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「信号のあるT字路交差点付近で、青信号に従って走行する加害者運転の普通乗用車が小走りで横断しようとした被害者に衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 高齢者 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 66歳 |
事故の内容 | 信号のあるT字路交差点付近で、青信号に従い時速45kmで走行する加害者運転の普通乗用車が小走りで横断しようとした被害者に衝突した。 |
傷害の内容 | 頭蓋骨複雑骨折、脳挫傷 |
入院 | 0日 |
被害者は、夜間に信号無視し、比較的交通が頻繁な国道を横断したことが大きな過失となっているようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 5668万3764円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2800万円 |
うち葬儀関係費 | 150万円 |
うち逸失利益 | 2718万3764円 |
損害総額は5668万3764円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額5668万3764円になりました。
- 慰謝料としては、亡くなったことに対する本人への慰謝料が2500万円、妻の慰謝料が150万円、子2人の慰謝料が各75万円認められました。
- 葬儀関係費は、150万円となりました。
- 逸失利益は、被害者は民間車検場を運営しており、役員報酬と年金を得ていたため、その合計を基礎収入とし、平均余命が17年なので8年にわたり就労し、17年にわたり年金を得られただろうとして、2718万3764円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの66歳の男性は会社の経営者だったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、被害者は民間車検場を妻・長男と従業員4名の計7名で運営し、会社代表者の立場にありました。
死亡事故では、逸失利益の計算において、死亡時以降の生活費節約分を控除する取り扱いがされています。
今回の被害者は、就労期間である8年間の生活費控除率を30%、その後9年間の生活費控除率を40%とされたことが特徴的です。
また、会社代表者として受け取っていた役員報酬について、同年代の平均賃金と検証して高額すぎる点はなかったため、全額を労働の対価とみて基礎収入に含める判断がなされました。
そのため、66歳と高齢であったにもかかわらず、賠償額は比較的高額な認定がなされたようです。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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高齢者・老人の死亡慰謝料計算の特徴は?
高齢者・老人の死亡慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
高齢者や老人と一口にいっても、それぞれのケースに応じて立場は異なります。
一人暮らしの高齢者の場合、裁判例の傾向としては2000万円~2200万円が慰謝料相場といえそうです。
一方、配偶者と一緒に暮らしていたり、他の家族の扶養や家事全般を担っていたりする場合には、相場水準は2500万円~2800万円という高い基準として判断されることになります。
結局、死亡慰謝料の金額は,被害者の年齢というよりは、家庭内で果たす役割によって慰謝料の計算方法は異なるということを理解しましょう。
また、逸失利益につき、年金を受給している場合には、受給している年金の内容によって、逸失利益として認められるかどうかが変わってくることにも注意が必要です。
さらに、被害者が亡くなられた場合の逸失利益を計算する場合には、生きていれば生活費として使われていたであろう割合が差し引かれますが、年金の場合は、差し引かれる割合を高くされる例が多いことにも注意が必要です。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、生活費として使われていたであろう割合は被害者の収入や貯金の状況によっても異なる等、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。