自損事故の保険金|受け取りまでの流れ・警察への届出の要否・金額・等級を紹介!

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自損事故の保険金|受け取りまでの流れ・警察への届出の要否・金額・等級を紹介!

自損事故を起こしてしまった場合の保険金受け取り流れがよくわからないけれど、警察への届出は必要なの?」

「自損事故を起こしてしまった場合に使える保険の種類や金額はどうなっているの?」

「自損事故を起こして保険を使った場合、等級はどうなるの?」

自損事故を起こしてしまった場合、保険金を受け取れる場合がありますが、その保険の種類・金額は事故状況や保険の加入内容により異なります。

そこで、このページでは、

  • 自損事故を起こしてしまった場合の保険金の受け取りまでの流れ
  • 自損事故を起こしてしまった場合に使える保険の種類・金額
  • 自損事故で保険を使用した場合の等級

についてご紹介していきたいと思います!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

車やバイクの運転に慣れている方であっても、自損事故を起こしてしまう可能性は否定できません。

自損事故でも、保険金を受け取れる場合がありますが、その流れを知っておき、適切な行動をとらないと、保険金がおりない可能性があります。

また、自損事故で受け取れる保険の種類や金額は、事故状況や保険の加入内容により異なるため、その点もしっかり理解しておく必要があります。

こちらで、自損事故により保険を使った場合の等級についても理解した上で、実際に保険を使うか使わないかを適切に判断できるようにしましょう。

自損事故は、減少傾向にあるものの、警察庁交通局の統計では、平成30年でも1万1286件も発生しており、いつ自分が起こしてしまうとも限りません。

自損事故とは、一般的に以下のように定義されます。

自損事故

運転者自身の過失のみが原因で、自ら怪我をしたり、怪我を負わせてしまう相手方のいない事故

通常の交通事故と異なり、自損事故は上記のとおり、相手方がいないため、相手方の保険から保険金を受け取ることはできません。

もっとも、自損事故の場合でも、運転者自身が加入する保険から保険金がおりる場合があります。

そこで、まずは、自損事故が発生した場合の保険金の受け取りまでの流れについて、ご紹介していきたいと思います!

自損事故での保険金の受け取りまでの流れ

自損事故での保険金の受け取りまでの流れ

自損事故の保険金の受け取りには警察へ要届出

まず、自損事故保険金を受け取るまでの流れで重要なのは、警察へ速やかに届出をすることです。

もしかすると、相手方のいない自損事故では、警察への届出は不要と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、道路交通法は、自損事故を含む交通事故全般において、警察への届出義務を定めています。

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。

この場合において、当該車両等の運転者(略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

上記の条文により、警察への届出が義務付けられている内容は、以下の3点になります。

  • 交通事故が発生した日時及び場所
  • 損害の内容や程度
  • 事故後に現場で取った措置の内容

また、法律上の義務というだけでなく、自損事故の保険金の受け取りの関係でも、以下の理由により、警察への届出が必要であるといえます。

居眠りや飲酒の疑いを未然に防ぐ

自損事故の保険金は、居眠り等の重過失がある場合や飲酒酒気帯び運転などの場合、保険適用外となり、支払いがなされません。

この点、速やかに警察へ届出をしておくことによって、保険会社から居眠りや飲酒運転の疑いを掛けられることを未然に防ぐことができます。

また、速やかに警察へ届出をしておかないと、警察も居眠りや飲酒運転の疑いをもち、自宅に連絡してくる可能性があるので、注意が必要です。

自損事故の発生を保険会社に証明

また、のちほどお伝えしますが、保険会社は自損事故について調査することになり、その調査対象には事故の発生自体も含まれます。

そして、自損事故の発生を保険会社に証明するに際して、警察の発行する交通事故証明書は有力な証拠となります。

そして、交通事故証明書を発行してもらうには、その前提として当然、自損事故の発生を警察に届出してあることが必要となります。

なお、上記の道路交通法は、公道ではない駐車場は本来適用外のため、法的には駐車場内の自損事故は必ずしも報告義務はありません。

もっとも、この場合も自損事故発生の証明のためには届出が必要であり、警察も公道とみなし、自損事故として受理してくれることがほとんどです。

縁石等の修理費の保険金の支払い

自損事故では、賠償義務が発生する人的損害は発生しませんが、物的損害は発生する可能性があり、その場合に保険金が支払われることがあります。

たとえば、自治体が所有・管理する縁石・ガードレール・電柱などを破損し、修理の必要性が生じたような場合です。

その場合に、保険金の支払いの相手方や対象物を特定するためにも、警察に届出をし、交通事故証明書を発行してもらう必要があります。

自損事故の保険金の受け取りの関係で警察への届出が必要な理由※
番号 理由 備考
居眠りや飲酒の疑い防ぐ 居眠りや飲酒の場合保険金おりない
自損事故の発生の証明 保険会社自損事故の発生自体調査する場合あり
縁石等の修理費の支払い 支払いの相手方や対象物を特定するため

※道路交通法上の報告義務があることが前提

自損事故を保険会社に報告|調査が入る場合も

自損事故保険金を受け取るまでの流れとして、次に必要な手続きは、自損事故の保険会社への報告になります。

自損事故の報告を受けた保険会社は、その報告にがないかなどの調査をする流れになります。

これは、相手方のいない自損事故の場合、基本的には請求者自身の自己申告しかない場合も多いからです。

実際、自損事故を装って、保険会社から、わざと廃車にして、新車買い替えるための保険金をだまし取るような詐欺もあるようです。

場合によっては、保険会社は調査会社リサーチを依頼するなど、入念な調査を行う場合もあるようです。

https://twitter.com/chimadari_nov/status/549482692312854528

また、自損事故の発生自体は争いがない場合でも、保険会社は、修理の内容や金額につき、修理先のディーラーを調査する場合があります。

調査の結果、自損事故と無関係の修理内容が含まれていたり、金額が不当に高額な場合は、修理費全額の保険金がおりない可能性もあります。

怪我をした場合は健康保険証を使い通院・入院

自損事故保険金支払いの対象には、むちうち骨折などの怪我に関する保険金が含まれる場合もあります。

そのため、自損事故で保険金を受け取るまでの流れとして、怪我をしている場合、病院整骨院通院入院することになります。

この時重要なのは、自損事故の場合、健康保険証を使って通院・入院するのが望ましいということです。

後ほど詳しくお伝えしますが、自損事故の場合、保険の内容により、保険金に傷害に関する治療費が含まれない場合があります。

その場合、傷害に関する治療費は全額自己負担になるため、負担額を抑えるために、健康保険証を使用するのが望ましいといえます。

また、保険金に傷害に関する治療費が含まれる場合であっても、保険会社から健康保険証を使用した場合の治療費しかおりない可能性もあります。

そのため、保険金に障害に関する治療費が含まれる場合であっても、健康保険証を使用するのが望ましいといえます。

保険金の請求の手続きの意思を保険会社に報告

自損事故による保険金受け取り可能金額の確定後、請求手続きの意思を保険会社報告する流れになります。

請求の手続きの意思を保険会社に報告する必要があるのは、後ほど詳しくお伝えしますが、保険使わない方がな場合もあるからです。

請求の手続きの意思を保険会社に報告すると、必要書類が送付され、それを署名・返送することにより保険金を受け取れるという流れになります。

なお、自損事故の保険金の請求の手続きは、時効が成立していない限りいつまでにしなければいけないというのは、法的にはありません。

ただし、保険会社としては、保険を使うかどうか未確定な状態が長期間継続することを好ましくは思わないようです。

まず、忘れてはいけないのが、自損事故であっても、必ず警察に届出をするという点です。

その上で、速やかに保険会社にも報告をし、保険会社からの調査依頼があった場合には素直に応じるということも保険金の受け取りの上で重要です。

また、自損事故の場合には、健康保険証を使って治療費の自己負担額を抑えるというのも大事なポイントになります。

そして、最終的に自損事故で保険を使うか使わないかは、後ほど詳しくお伝えするとおり、様々な事情を考慮して慎重に検討する必要があります。

自損事故で保険金がおりない事態を避けたい場合や、保険の使用による損得がわからない場合には、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

自損事故での保険金の受け取りまでの流れ
流れ 内容 理由
警察へ届出 ・道交法上の義務
・保険金の受け取りの上でも重要
保険会社に報告 ・保険会社の調査のため
・調査の結果保険金おりない場合も
怪我なら保険証使い通院 ・保険金に治療費含まれない場合も
・治療費の負担金額抑えるため
請求の手続きの意思を報告 ・使わない方が得な場合もあるから
・必要書類の記載により実際に受け取り

自損事故で使える保険の種類・金額|東京海上日動の場合

自損事故で使える保険の種類・金額|東京海上日動の場合

自損事故が発生した場合の保険金受け取りまでの流れは以上のようになります。

もっとも、実際に自損事故で使える保険の種類や金額は、事故状況や加入している保険の内容により異なることになります。

そこで、続いては、自損事故で使える保険の種類や金額についてご紹介していきたいと思います。

もっとも、保険の内容は、損保ジャパンソニー損保三井住友海上あいおい農協など各保険会社ごとに違いがあります。

ここでは、東京海上日動の保険の内容を前提にご紹介していきたいと思います。

バイクや車の修理は車両保険|免責金額に注意

まず、バイクについて、自損事故により損害が生じた場合は、車両保険から修理費等の支払いを受けることができます。

ただし、東京海上日動の車両保険には

  • 一般条件
  • エコノミー車両保険

という二つの補償の範囲があり、保険料の安いエコノミー車両保険では、自損事故による車両の損傷は補償されないので、その点は注意が必要です。

車両保険の補償対象(東京海上日動の場合)
一般条件 エコノミー車両保険
他車との衝突
落書き・いたずら
盗難※
飛来中・落下中の他物との衝突
台風・竜巻・洪水・高潮
火災・爆発
当て逃げ ×
自損事故 ×
地震・噴火・津波 × ×

※契約車がバイクの場合は補償されない

車両保険から受け取り可能な金額

  • 修理費
  • 自損事故当時の車やバイクの価値額

のいずれか安い方の金額になります。

ただし、修理費の方が安い、いわゆる分損の場合には、免責金額が差し引かれることになる点にも注意が必要です。

なお、車両保険は契約の車に生じた「損害」に対して支払われる保険のため、修理しない場合にも受け取りは可能です。

ただし、実際に修理しない場合には、修理業者に支払う消費税が発生しないため、受け取り可能金額は消費税抜きの金額になります。

さらに、車両保険につき、東京海上日動の保険では、レンタカー費用補償特約を付けることができるようになっています。

この特約が付いていた場合には、自損事故であっても保険会社から代車の貸し出しを受けることができます。

ただし、レンタカーの日額については、保険証券記載の、日数については30日までの限度がある点には注意が必要です。

縁石などの修理は対物賠償保険

先ほどお伝えしたとおり、相手方のいない自損事故でも、物的損害の賠償義務は発生する可能性があり、それに備えた保険必要です。

具体的には、自治体が所有・管理する縁石・ガードレール・電柱などを破損し、修理の必要性が生じたような場合です。

この場合に使う保険が対物賠償責任保険になります。

ガードレールを破損した場合には、工事費用も含めると5~20万程度の賠償義務を負うことが多いようです。

また、電柱を破損した場合には、送電線や送電設備にまで損害が生じると、総額で25万円~50万円程度の賠償義務を負うことが多いようです。

さらに、店舗に突っ込んでしまった自損事故のケースでは、億単位の賠償請求がなされた事例も過去には存在します。

このように、自損事故の場合でも、高額な物的損害の賠償義務を負う可能性があり、その際には対物賠償責任保険を使うことになります。

傷害等を負った場合に使える保険の種類・金額

自損事故保険の中には、怪我死亡した場合に使うものが、保険の契約内容により複数考えられます。

人身傷害保険

東京海上日動の場合、車両保険等も含む総合自動車保険に契約すれば、原則として人身傷害保険が自動セットされます。

自損事故の場合でも、この人身傷害保険を使うことができます。

人身傷害保険とは、一般的に以下のように定義されています。

人身傷害保険

車の運行に起因する事故等により、契約車に乗車中の者が、怪我・死亡した場合や後遺障害が生じた場合に、過失割合にかかわらず保険金額を限度に、約款に従った保険金が支払われる保険

そして、人身傷害保険からは、東京海上日動の場合、主に以下の項目の金額受け取りが、保険金額を限度に可能となります。

傷害による損害

まず、傷害による損害については

  • 医療関係費
  • 休業補償
  • 慰謝料

についての保険金の受け取りが可能になります。

医療関係費の主な細目や金額は以下の表のとおりです。

医療関係費の細目及び金額
細目 金額
治療費 必要かつ妥当な実費
看護料 入院:日額4100
通院:日額2050円※
入院諸雑費 日額1100

※近親者付添の場合

そして、休業補償の金額は、基本的に以下の計算式で算出された金額になります。

休業補償の計算式

(5700円or実際の収入の日額のいずれか高い方)×対象休業日数

また、慰謝料の金額は、基本的に以下の計算式で算出された金額になります。

慰謝料の計算式

入院分:8400円×入院日数

通院分:4200円×(通院期間or実通院日数×2のいずれか短い方)

ただし、期間区分ごとの入通院対象日数に、それぞれ以下の割合を乗じて計算します。

慰謝料の金額の期間ごとの割合
期間 割合
事故日から3か月超6か月まで 75%
事故日から6か月超9か月まで 45%
事故日から9か月超13か月まで 25%
事故日から13か月超 15%

なお、事故により妊婦が胎児を死産又は流産した場合には、以下の金額が加算されます。

死産・流産した場合の加算金額
妊娠週数 金額
12週以内 30
13週~24 50
25週以上 80
後遺障害による損害

そして、後遺傷害による損害については

  • 逸失利益
  • 慰謝料
  • 将来介護費

についての保険金の受け取りが可能になります。

逸失利益の金額は、基本的に以下の計算式で算出された金額になります。

後遺障害逸失利益の計算式

収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は後遺障害の等級ごとに定められています。

そして、慰謝料の金額も後遺障害の等級ごとに定められています。

具体的な後遺障害の等級ごとの慰謝料の金額及び労働能力喪失率は、以下の表のとおりです。

等級毎の後遺障害慰謝料の金額及び労働能力喪失率
等級 慰謝料の金額 労働能力喪失率
1 1600
2000万※)
100%
2 1300
1500万※)
100%
3 1100
1250万※)
100%
4 900 92%
5 750 79%
6 600 67%
7 500 56%
8 400 45%
9 300 35%
10 200 27%
11 150 20%
12 100 14%
13 60 9%
14 40 5%

※父母、配偶者、子のいずれかがいる場合

また、重い後遺障害が残った場合、将来介護費として、症状の程度に応じて月額16万円又は8万円が平均余命の期間支払われます。

ただし、一時金による支払いの場合には、介護期間に対応するライプニッツ係数を乗じた金額になります。

なお、上記以外の後遺障害による損害についても、社会通念上必要かつ妥当な実費については、500万円を限度に支払の対象になります。

死亡による損害

そして、死亡による損害については

  • 葬儀費
  • 逸失利益
  • 慰謝料

についての保険金の受け取りが可能になります。

まず、葬儀費の金額は、原則60万円になります。

ただし、立証資料により60万円を超えることが明らかな場合には、100万円を限度に支払いの対象になります。

そして、逸失利益の金額は、基本的に以下の計算式で算出された金額になります。

死亡逸失利益の計算式

(収入額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

生活費は、被扶養者の人数に応じて収入額に対する以下の表の割合の額になります。

生活費の金額を算出する割合
被扶養者の人数 割合
0 50%
1 40%
2 35%
3 30%

また、慰謝料の金額は、死亡した人の属性に応じて、以下の表のとおりになります。

死産慰謝料の金額
死亡者の属性 金額
一家の支柱 2000
65歳未満の一家の支柱以外 1600
65歳以上の一家の支柱以外 1500
傷害一時金条項

さらに、人身傷害保険について、東京海上日動の場合は、別途傷害一時金という見舞金のようなものが受け取り可能になります。

受け取りの条件は、怪我をして通院・入院をした日数が5日以上となった場合です。

金額は基本的に10万円ですが、傷害一時費用保険金倍額払特約の契約をしていた場合には20万円になります。

搭乗者傷害特約

また、自損事故をされた方が加入している保険に搭乗者傷害特約が付いている場合には、その保険も使うことができます。

搭乗者傷害特約とは、一般的に以下のように定義されています。

搭乗者傷害特約

契約車の事故により、契約車に乗車中の者が、契約車に乗車中の者が、怪我・死亡した場合や後遺障害が生じた場合に、あらかじめ設定された額の保険金が支払われる保険

ただし、東京海上日動の場合は、人身傷害保険に入ってない場合にのみ、搭乗者傷害特約を契約することができます。

そのため、自損事故で東京海上日動の搭乗者傷害保険が問題になるのは、法人が契約している社用車運転中のような、限定的な場合のみになります。

そして、搭乗者傷害特約からは、東京海上日動の場合、主に以下の項目の保険金の金額の受け取りが可能となります。

傷害保険金

東京海上日動の場合、搭乗者傷害特約には、一時金払と日数払の二種類があり、それぞれ傷害保険金の金額や支払い条件が違います。

一時金払では、入院・通院日数が通算して4日以内の場合、治療給付金として1万円が受け取り可能になります。

そして、入院・通院日数が通算して5日以上の場合、傷害の内容に応じて、以下の表の金額の入通院給付金が受け取り可能になります。

搭乗者傷害特約の入通院給付金の金額(一時金払)
傷害の内容 金額
下記以外の傷害 10
・手指・足指を除く部位の骨折・脱臼・神経損傷・神経断裂
・上肢・下肢(手指・足指除く)の腱・筋・靭帯の損傷・断裂
30
・上肢・下肢(手指・足指除く)の欠損・切断
・眼球の内出血・血腫・破裂
50
・脳挫傷・脳挫創等の脳損傷
・頭蓋内血腫・出血
・頚髄損傷
・脊髄損傷
・胸腹部臓器等の破裂・損傷
100

ただし、搭乗者傷害特約(一時金払)の傷害保険金倍額払特約を契約していた場合には、上記の金額がすべて倍額になります。

一方、日数払では、契約時に定めた入院・通院保険金日額に、医師等が治療を必要と認める治療日数を乗じた金額が傷害保険金として支払われます。

ただし、治療日数は、180日(通院の場合は90日)が限度になります。

後遺障害保険金

後遺障害保険金は、契約時に定めた保険金額に等級ごとに定められた保険金支払い割合を乗じた金額が受け取り可能になります。

具体的な等級ごとの保険金支払い割合は以下の表のとおりです。

後遺障害保険金の保険金支払割合
等級 保険金支払割合
1 100%
2 89%
3 78%
4 69%
5 59%
6 50%
7 42%
8 34%
9 26%
10 20%
11 15%
12 10%
13 7%
14 4%

なお、重度の後遺障害が残った場合には、別途特別保険金介護費用保険金が受け取り可能になるようです。

死亡保険金

死亡保険金は、事故発生日から180日以内に死亡した場合に、契約時に定めた保険金の全額が受け取り可能になります。

自損事故傷害特約

ここまでお伝えしてきた保険は、賠償に備える対人賠償責任保険とは別個に契約する必要のある自身の補償に備えた保険になります。

では、自損事故発生時に上記のような自身の補償に備えた保険に未加入の場合に使える保険はないのでしょうか?

実は、上記のような自身の補償に備えた保険に未加入でも、対人賠償責任保険に自動付帯される自損事故傷害特約という保険を使うことができます。

なお、東京海上日動の場合、対人賠償責任保険を契約し、かつ、人身傷害保険に入ってない場合に自損事故傷害特約が自動付帯されます。

自損事故傷害特約は、一般的に以下のように定義されています。

自損事故傷害特約

契約車に乗車中の者が、自損事故(相手方がなく電柱に衝突等)や前の車に追突してしまった事故等により怪我・死亡した場合や後遺障害が生じた場合で、自賠責保険等の請求権が発生しないときに、あらかじめ設定された金額の保険金が支払われる保険

そして、自損事故傷害特約からは、東京海上日動の場合、主に以下の項目の保険金の金額の受け取りが可能となります。

傷害保険金

まず、傷害保険金は、日数に応じて

  • 入院の場合日額6000円
  • 通院の場合日額4000円

の受け取りが可能になります。

ただし、100万円という限度額が存在します。

後遺障害保険金

また、後遺障害保険金は、等級ごとに以下の表の金額の受け取りが可能になります。

後遺障害保険金の等級ごとの金額
等級 金額
1 1500
2000万※)
2 1295
1500万※)
3 1110
4 960
5 825
6 700
7 585
8 470
9 365
10 280
11 210
12 145
13 95
14 50

※介護を要する場合

なお、介護を要する重度の後遺障害に対しては、一定の条件の下、介護費用保険金として200万円が受け取り可能になります。

死亡保険金

死亡保険金は、1名ごとに1500万円の受け取りが可能になります。

自損事故傷害特約は、自賠責保険の対象とならない事故も一定程度保護するための保険なので、保険の限度額は自賠責保険より低額になっています。

また、自損事故傷害特約や搭乗者傷害特約では、治療費が実費として受け取れず、自己負担となる点には注意が必要です。

自損事故で使える保険の種類や金額は様々ですが、保険内容はわかりにくい部分も多いので、不明点があれば、保険会社によく確認をしましょう。

自損事故に使える保険として労災がある場合も

なお、自損事故を起こしてしまった場合に使える可能性のある保険は、事故を起こされた方の自動車保険だけではありません。

その自損事故が勤務中や通勤中であった場合、労災使うことができる可能性もあります。

先ほどお伝えしたような、自動車保険から治療費が支払われない場合など、労災を使う方がなことも多いので、こちらもよく確認をしましょう!

自損事故で保険を使うと等級はどうなる?

自損事故で保険を使うと等級はどうなる?

自損事故を起こした場合に使える保険が色々とあることはおわかりいただけたかと思います。

もっとも、実際に自損事故を起こした場合に保険を使う使わないかは慎重に検討する必要があります。

自損事故で保険を使うと、保険の等級に影響を及ぼし、翌年以降の保険料が値上がりする場合があります。

その結果、自損事故で保険を使うことにより、金額的にかえって損をしてしまう場合もあるからです。

そこで、最後に自損事故における保険のする使い方をお伝えしていきたいと思います!

車両保険を使うと3等級下がる

交通事故が発生した場合、自動車保険は、保険契約者から支払わる保険料を基に保険金を支払っていきます。

そこで、自動車保険では、交通事故を発生させるリスクの指標となる事故歴に応じて保険料を割引・割増するための等級制度を定めています。

等級は1等級~20等級まであり、等級が高い(数字が大きい)ほど割引率が大きく、数字が小さいほど割引率が小さくなります。

なお、1~3等級は割増になります。

通常、6等級からはじまり、保険期間1年間で保険を使った事故がなければ次年度に等級が1つ上がります

では、自損事故保険を使った場合、等級はどうなるのでしょうか?

自損事故で使う保険として最も多いのは、バイク修理のための車両保険かと思われます。

この車両保険を使うと、3等級下がることになります。

それだけではなく、さらに、その後3年間は、保険料算定にあたって「事故有係数」というものが適用されることになります。

その結果、同じ20等級であっても、保険料に差が出る場合もあります。

保険を複数使っても3等級までしか下がらない

その他、自損事故で対物賠償責任保険や自損事故傷害特約を使う場合にも、3等級下がることになります。

ここで注意が必要なのは、一つの自損事故について、何種類の保険を使うことになっても、等級は3等級までしか下がらないということです。

例えば、自損事故を起こした場合、自分の車のみならず、縁石や電柱などの修理も必要になることがあると思います。

そんな時、使う可能性のある保険は、車両保険と対物賠償責任保険になりますが、その両方を使用しても、等級は3等級までしか下がりません

対物保険だけ使い、車両保険を使わない場合と保険料の上がり幅は変わらないので、保険を使うのであれば、両方使用する方がといえます。

保険の種類によっては等級が下がらないものも

また、自損事故保険使うことになっても、等級が下がらないものもあります。

具体的には、人身傷害保険や搭乗者傷害保険を使うような場合です。

これらは契約車の過失の有無にかかわらず支払われる保険のため、交通事故を発生させるリスクの指標にならないからです。

そのため、自損事故が発生した場合、人身傷害保険や搭乗者傷害保険は、使う方がといえます。

ただし、等級が下がらないのは、上記の保険「だけ」を使う場合であり、同時に車両保険も使う場合には当然3等級下がるので、注意が必要です。

保険を使うことによる等級の変化
保険の種類 等級
車両保険 3等級下がる
対物賠償保険 3等級下がる
人身傷害保険 等級変化なし
搭乗者傷害 等級変化なし
自損事故特約 3等級下がる

自損事故で保険を使うか使わないかの判断基準

以上のとおり、自損事故保険使う使わないかは

  • 等級が下がることによる保険料の値上がり金額
  • 受け取り可能な保険金の金額

のどちらが安いかを比較し、損得をよく考えて決める必要があります。

この際、保険料の値上がりの金額は等級だけでなく、「事故有係数」も考慮に入れる必要があります。

なお、以下のソニー損保のホームページでは、保険を使った場合に値上がりする保険料の概算を計算できるようになっています。

そして、受け取り可能な保険金の金額は、使う保険が複数ある場合には、その合計の金額と比較する必要がある点には注意が必要です。

保険を使用することにより値上がりする保険料の計算は複雑でご自身ではなかなか分かりにくいと思います。

保険会社の担当者にお願いすれば、通常、値上がり保険料の見積もりを出した上で、保険を使うのと使わないのとでどちらが得か教えてくれます。

自損事故で保険を使うか使わないかはまず、ご自身の保険会社の担当者の方に相談してみてから判断しましょう。

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何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。

最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

自損事故で、保険金を受け取るには、その流れを把握し、何より警察への届出を忘れず速やかに行うことが重要です。

そして、自損事故で保険を使うか否かは、使える保険の種類・金額を理解し、等級変更による保険料の値上がりと比較した上で判断する必要があります。

自損事故で、保険を使うのと使わないのとどちらが得かよくわからない場合には、詳しい保険会社の担当者や弁護士に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 自損事故を起こしてしまった場合の保険金の受け取りまでの流れ
  • 自損事故を起こしてしまった場合に使える保険の種類・金額
  • 自損事故で保険を使用した場合の等級

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

自宅から弁護士と相談したい場合には、スマホで無料相談の機能を利用してみて下さい!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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