交通事故の後遺障害等級とは何か?|もらえる金額及び等級認定の流れ

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この記事のポイントをまとめると
  • 交通事故の後遺障害等級とは、一定の条件を満たす後遺症である後遺障害を症状の程度に応じて1級~14級に分類したもの
  • 交通事故の損害賠償は、後遺障害が認定されるかどうかやその等級及び請求先や請求主体によってもらえる金額が大きく異なる
  • 後遺障害等級認定される手続として、診断書の保険会社への提出が必要であり、認定されなかった場合の手続も存在する

交通事故の後遺障害等級とは何かや認定のメリット・手続などを知りたい方は、ぜひ最後まで本記事をお読みください。

author okano
岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

【交通事故】後遺障害等級の基礎を解説

【交通事故】後遺障害等級の基礎を解説

交通事故にあわれた被害者の方の中には、以下のツイートをされている方と同じような気持ちの方もいるのではないでしょうか?

そこで、交通事故における後遺障害等級とは何かについて、まずお伝えしていきます。

後遺障害は一定の条件を満たす後遺症

交通事故による怪我の治療を行っていると、これ以上治療を続けても良くも悪くもならない状態に達する時がきます。

(このことを交通事故では症状固定と呼びます。)

このような治療をしたものの、残存してしまった症状は一般的に後遺症と呼ばれます。

しかし、交通事故における後遺障害は後遺症のうち、一定の条件を満たすものだけのことをいいます。

その一定の条件とは下記のものになります。

後遺障害と認められる条件
  1. ① 交通事故による傷病との間に相当因果関係(確かな関連性・整合性)を有する
  2. ② 将来においても回復が困難と見込まれる(永久残存性)
  3. ③ その障害の存在が医学的に認められる(証明・説明できる)もの
  4. ④ 労働能力の喪失を伴う
  5. ⑤ その程度が自賠責保険の等級に該当する

等級とは後遺障害の程度に応じた分類

上記の後遺障害と認められる条件の⑤に

その程度が自賠責保険の等級に該当する

というものがありました。

交通事故による後遺症の部位・症状や程度は被害者一人一人違いがあります。

そこで、交通事故における後遺障害は

  • 35の系列(部位・症状により分類)
  • 138の種類(症状・程度により分類)
  • 14の等級(程度により分類)

に分類して定め、定められた後遺障害に該当するかどうかという形で認定が行われます。

等級については、症状の程度が重いほど数字が小さい等級(1級が最も重い)が認定されます。

後遺障害等級を定める表

交通事故(自賠責保険)の後遺障害等級は、自賠法施行令の別表第一及び第二として定められています。

別表第一は「介護を要する」後遺障害を定めた表であり、等級は1級と2級の2種類です。

別表第二は別表第一以外の後遺障害を定めた表であり、等級は1級~14級の14種類です。

部位・症状(系列)ごとの後遺障害等級(一部抜粋)

後遺障害は、どの部位・症状でも1級~14級の全等級が認定されるわけではありません。

部位・症状(系列)ごとに認定可能性のある後遺障害等級には違いがあります。

具体的な系列ごとの後遺障害等級は以下の表のとおりです。

部位・症状(系列)ごとの後遺障害等級
部位・症状 後遺障害等級
眼の視力障害 1級~10級,13級
耳の聴力障害 4級,6級,7級,9級~11級,14級
上肢の機能障害 1級,5級,6級,8級,10級,12級
手指の機能障害 4級,7級,8級,9級,10級,12級~14級
下肢の機能障害 1級,5級,6級,8級,10級,12級
足指の機能障害 7級,9級,11級~14級

※一部抜粋

後遺障害等級の決まり方

より具体的にイメージできるよう、下記事例における後遺障害等級の決まり方をご紹介します。

  • 交通事故により右足半月板損傷
  • これにより、右膝関節の可動域制限の後遺症が残存

(右膝以外の右足関節の可動域制限はなし)

右膝関節の可動域制限は、自賠責保険の部位・症状の分類でいうと

下肢の機能障害

に該当します。

そして、右膝関節(のみ)の可動域制限の後遺障害等級は、その症状の程度により

8級,10級,12級

が認定される可能性があります。

後遺障害等級表上の障害の程度は以下の表のとおりです。

膝関節(のみ)の機能障害の後遺障害等級
等級 障害の程度
8級 1下肢の3大関節中の
1関節の用を廃したもの
10級 1下肢の3大関節中の
1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級 1下肢の3大関節中の
1関節の機能に障害を残すもの

具体的な認定基準としては

  • 左膝の可動域の1/10以下に制限→8級
  • 左膝の可動域の1/2以下に制限→10級
  • 左膝の可動域の3/4以下に制限→12級

となり、通常半月板損傷では12級が認定されるかどうかが争いになります。

【参考】後遺障害等級の併合

なお、系列の異なる後遺障害が複数認定された場合には、

後遺障害等級の併合

により、等級が繰り上げられて認定される可能性があります。

後遺障害等級(1級~14級)別認定率

後遺障害は、等級により認定されている件数にかなりばらつきがあるところ、

神経症状を含む後遺障害等級である12級と14級で認定率(全体に占める認定件数の割合)の7割以上を占める

という統計データがあり、具体的な等級別認定率(認定件数)は以下の表のとおりです。

後遺障害等級別認定件数(2017年度)
等級 件数
(認定率)
等級 件数
(認定率)
1級
(別表第一)
856
(1.55%)
2級
(別表第一)
433
(0.78%)
1級 38
(0.07%)
2級 100
(0.18%)
3級 288
(0.52%)
4級 180
(0.33%)
5級 388
(0.70%)
6級 502
(0.91%)
7級 965
(1.75%)
8級 1,893
(3.43%)
9級 2,032
(3.68%)
10級 1,768
(3.20%)
11級 4,129
(7.48%)
12級 9,693
(17.55%)
13級 569
(1.03%)
14級 31,395
(56.85%)

※損害保険料率算出機構「2018年度 自動車保険の概況」参照

後遺障害等級ごとにもらえる金額を解説

後遺障害等級ごとにもらえる金額を解説

等級認定により請求できる損害がある

冒頭でお伝えしたとおり、交通事故では、後遺症と後遺障害が明確に区別されています。

それは、後遺障害認定されるかどうかで、請求できる損害賠償項目が変わるからです。

交通事故では、怪我の治療により入通院を余儀なくされたことに対する精神的苦痛に対し、入通院慰謝料を請求できます。

それとは別に、後遺障害認定されると、今後生活上の不便を強いられるなどの精神的苦痛に対し、後遺障害慰謝料を請求できます。

さらに、後遺障害認定されると、労働能力を失ったことによる将来の減収に対し、逸失利益という損害項目も請求が可能になります。

後遺障害認定された場合の損害
  • 後遺傷害慰謝料
  • 逸失利益

この後遺傷害慰謝料や逸失利益は、認定される等級によりもらえる金額に大きな差があります。

後遺障害等級・基準別慰謝料金額一覧

後遺傷害慰謝料は、等級により金額が決まっています。

さらに、同じ等級でも

  • 自賠責基準(自賠責保険に請求した際に用いられる基準)
  • 任意保険基準(任意保険会社が示談交渉の際に用いる基準)
  • 弁護士基準(弁護士が任意保険会社との示談交渉の際に用いる基準)

のうち、どの基準が用いられるかでも金額に大きな違いがあります。

公表されている、自賠責基準と弁護士基準の後遺障害等級別慰謝料金額の一覧表は以下のとおりです。

後遺障害等級・基準別慰謝料金額一覧表
等級 自賠責基準 弁護士基準
1級 1100万円
(1600万円)
2800万円
2級 958万円
(1163万円)
2370万円
3級 829万円 1990万円
4級 712万円 1670万円
5級 599万円 1400万円
6級 498万円 1180万円
7級 409万円 1000万円
8級 324万円 830万円
9級 245万円 690万円
10級 187万円 550万円
11級 135万円 420万円
12級 93万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

※( )の金額は別表第一の金額

任意保険基準の後遺傷害慰謝料は非公表ですが、自賠責基準から少し上乗せした金額と考えられています。

上記の一覧表を見てお分かりのとおり、同じ後遺障害等級でも、弁護士基準での金額の方がかなり高額になっています。

つまり、後遺障害慰謝料は弁護士に示談交渉を依頼するかどうかでもらえる金額が大きく変わることになります。

等級別労働能力喪失率・保険金額一覧

基本的な後遺障害逸失利益の計算方法は以下のとおりです。

後遺障害逸失利益の計算方法

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)

上記の計算項目の一つである「労働能力喪失率」は、自賠責保険の支払基準で後遺障害等級別に定められています。

また、自賠法施行令の後遺障害等級表には、等級別の保険金額が定められています。

この保険金額は、自賠責保険からもらえる後遺傷害慰謝料と逸失利益の上限額になります。

等級別労働能力喪失率・保険金額一覧表
等級 労働能力喪失率 保険金額
1級 100% 3000万円
(4000万円)
2級 100% 2590万円
(3000万円)
3級 100% 2219万円
4級 92% 1889万円
5級 79% 1574万円
6級 67% 1296万円
7級 56% 1051万円
8級 45% 819万円
9級 35% 616万円
10級 27% 461万円
11級 20% 331万円
12級 14% 224万円
13級 9% 139万円
14級 5% 75万円

※( )の金額は別表第一の金額

上記の保険金額を超える部分については、任意保険会社と示談交渉をする必要があります。

後遺障害等級認定の流れを弁護士が解説

後遺障害等級認定の流れを弁護士が解説

後遺障害等級認定されるまでの流れは、大まかに以下の図のようになります。

後遺障害等級認定の流れ

この流れの一つ一つについて、弁護士と一緒に解説していきます。

①後遺障害診断書の作成を医師に頼む

交通事故による怪我の治療が進み、症状固定の段階に達したら

後遺障害診断書の作成を医師に頼む

必要があります。

この後遺障害診断書の書き方のポイントをおさえることにより、適切な後遺障害等級認定がされる確率を高めることができます。

②後遺障害認定の申請(方法は二つ)

後遺障害認定の申請には

という二つの方法があります。

両者は、医師に作成してもらった診断書を提出する保険会社に違いがあります。

事前認定の方法の場合

事前認定の場合、被害者は診断書を任意保険会社に提出することになります。

事前認定の流れ

被害者請求の方法の場合

被害者請求の場合、被害者は診断書を自賠責保険会社に提出することになります。

被害者請求の流れ

これは、両者の診断書以外の必要資料の準備を保険会社が行うか被害者が行うかという違いによるものです。

資料収集の手間が省けるという意味では、事前認定にメリットがあります。

一方、適切な後遺障害等級認定に有利に働く資料を添付できるのが被害者請求のメリットです。

この点、弁護士に依頼すれば、両方のメリットが得られることになります。

③等級認定の基準に該当するかの審査

後遺障害認定の申請がされると、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という機関が等級認定の審査を行います。

この審査は、労災の後遺障害等級認定の基準に準じて行われます。

認定までの期間は事案や症状によっても異なりますが、早い場合で1ヶ月、遅い場合で2~3ヶ月程度掛かることが多いです。

この認定基準を把握しているかどうかで、適切な後遺障害等級認定の確率を高める

  • 後遺障害診断書の書き方
  • 資料の提出

ができるかどうかが変わってきます。

後遺障害の申請を弁護士に頼むメリットはこの点にもあります。

後遺障害等級が認定されなかった場合

審査が終了すると、後遺障害の認定結果が通知されます。

適切な等級が認定されなかった場合には、異議申立などの手続により、認定結果を争う方法もあります。

その場合の流れは以下の図のとおりです。

後遺障害の認定結果通知後の流れ

後遺障害の異議申立は書類の書き方で認容の確率が変わってくることになります。

異議申立などの方法で等級認定の結果を争う場合、初回の申請以上に認められる確率は低くなります。

そのため、弁護士に依頼する必要性は初回の申請以上に高いといえます。

後遺障害等級の問題は弁護士相談しよう

後遺障害等級の問題は弁護士相談しよう

後遺障害等級の問題は、弁護士への相談や依頼を検討されることをおすすめします。

弁護士に相談・依頼するメリットは?

後遺障害等級の問題を弁護士に相談・依頼するメリットは

  • 相談により認定された後遺障害等級が適切かどうかを確認できる
  • 依頼すれば、後遺障害等級認定の申請の際、手続の手間が省ける
  • 依頼すれば、適切な後遺障害等級認定の確率を高める事ができる
  • 依頼すれば、保険会社との示談交渉でもらえる金額を増額できる

など様々です。

なお、弁護士に依頼した場合にもらえる金額の相場については、以下の慰謝料計算機で簡単に確認できます。

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弁護士費用特約については、以下の動画で弁護士が分かりやすく解説しています。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、後遺障害等級についてお困りの方に一言アドバイスをお願いします。

適切な後遺障害等級が認定されるかどうかはもらえる金額を大きく左右します。

もっとも、適切な後遺障害等級が何級かや適切な等級認定を受ける方法がよくわからない方も多いかと思います。

ご自身の適切な後遺障害等級がわからない方は、お気軽に弁護士に相談だけでもしてみて下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 後遺障害等級とはに何か
  • 後遺障害等級ごとにもらえる金額
  • 後遺障害等級が認定されるまでの流れ

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

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