後遺障害と損害賠償請求の関係は?|慰謝料・逸失利益の弁護士基準の相場
この記事のポイントは以下の点です
- 後遺障害が認定されると、損害賠償金として等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益などを受け取れる
- 後遺障害の14級が認定されると、損害賠償金として、弁護士基準なら110万円の後遺障害慰謝料、労働能力喪失率を5%で計算した逸失利益を受け取れる
- 勤務中・通勤中の交通事故なら、自賠責からだけでなく労災からも後遺障害に関する損害賠償金を受け取れる場合がある
後遺障害と損害賠償金の関係、等級や基準毎の慰謝料相場や逸失利益の計算、労災の後遺障害の損害賠償金等を知りたい方はぜひご一読下さい。
交通事故にあわれた方は、後遺障害や損害賠償金という言葉自体は耳にされたことがあるかと思います。
もっとも、両者の関係についてまでは、詳しくご存知でないという方も多いのではないでしょうか?
そこで、まずは交通事故における後遺障害と損害賠償金の関係についてお伝えしていきたいと思います!
後遺障害と損害賠償金の関係
後遺障害が認定された場合の損害賠償金の内訳
後遺障害とは?
交通事故により怪我をした場合、治療を行ったものの、痛みや症状などの「後遺症」が残ってしまうことがあります。
事故の後遺症で以前のようにうまくいかない長女についても、毎日できるだけ前進面を捉えて、喜び、励ましていますが、どうしても辛く悲しく、胸が苦しくなる時もあります。交通事故の被害というのは、本当に辛いものです。
— IIDA SHOGO (@GamadasSince79) April 16, 2018
そのような交通事故による後遺症が残った場合には、当然それに対する損害賠償金が問題になってきます。
しかし、交通事故の被害者の方は多かれ少なかれ何らかの後遺症が残ってしまうことがほとんどですが、その症状や苦痛の程度は様々です。
それを日々大量に発生する個々の交通事故の後遺症ごとに全て個別に検討して損害賠償金を計算することになると、
- 迅速な解決が図れない
- 事案ごとにばらつきが大きくなり公平性を欠く
ことになります。
そこで、交通事故では、後遺症のうち、自賠責や労災で以下のように定義される後遺障害だけを損害賠償金の支払い対象に原則しています。
自賠責・労災の後遺障害の定義
- 症状固定時に残存する精神的又は身体的な障害が
- 交通事故と相当因果関係を有し
- 将来においても回復が困難と見込まれるものであって
- その存在が医学的に認められ
- 労働能力の喪失を伴うもので
- その程度が自賠法施行令(労働者災害補償保険法施行規則)の等級に該当するもの
上記の定義のとおり、交通事故の後遺障害は、「症状固定」時の痛みや症状が認定の対象となります。
そのため、交通事故の後遺障害の損害賠償金において、症状固定は非常に重要な意味を持ちます。
症状固定については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
また、後遺障害として、損害賠償金の支払いの対象とすべき症状の中でも、その程度は様々です。
にもかかわらず、それらを全て個別に検討して慰謝料を計算することになると、結局
- 迅速な解決が図れない
- 事案ごとにばらつきが大きくなり公平性を欠く
ことになります。
そこで、上記の後遺障害の定義にもあるとおり、自賠法施行令や労災補償保険法施行規則では、
後遺障害の程度に応じて等級を定め、その等級に応じて損害賠償金の計算方法を定める
ことにしました。
なお、自賠責や労災では、後遺障害について等級表を定め、等級ごとに認定基準を作成しています。
具体的な後遺障害の等級別の認定基準については、以下のリンク先もぜひご覧になってみて下さい。
1級 | 2級 | 3級 |
4級 | 5級 | 6級 |
7級 | 8級 | 9級 |
10級 | 11級 | 12級 |
13級 | 14級 |
後遺障害による損害賠償金の内訳
そして、自賠責では、後遺障害による損害賠償金の支払基準の中で、以下のような記載があります。
後遺障害による損害は、逸失利益及び慰謝料等とし、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める等級に該当する場合に認める。
出典:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
つまり、後遺障害が認定された場合の損害賠償金の内訳は、大きく
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
に分けられることになります。
後遺障害慰謝料とは、交通事故による後遺障害が残存したことにより、生活上の不便を強いられるなどの精神的苦痛に対して支払われる金銭のことです。
「後遺障害」とつけているのは、後遺障害認定の有無にかかわらず、別途交通事故により怪我を負ったことによる「傷害」慰謝料が存在するからです。
一方、逸失利益とは、後遺障害による労働能力の喪失により将来得られるはずであった収入が得られなくなることに対する補填の金銭のことです。
つまり、交通事故では、後遺障害の認定により、損害賠償金として等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益等が受け取れるという関係にあるといえます。
重度の後遺障害の場合に請求できる損害賠償金
さらに、交通事故により重度(上位等級)の後遺障害が認定された場合には、以下の項目の損害賠償金も請求できる場合があります。
自賠責の初期費用
まず、先ほどご紹介した、自賠責の後遺障害による損害賠償金の支払基準には、「慰謝料『等』」と記載されていました。
その「等」に該当するものが、以下の初期費用等になります。
自動車損害賠償保障法施行令別表第1に該当する場合は、初期費用等として、第1級には500万円を、第2級には205万円を加算する。
出典:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
「自動車損害賠償保障法施行令別表第1に該当する場合」とは、「介護を要する後遺障害」として認定された場合のことをいいます。
将来の介護費用
お伝えしたとおり、上記の自賠責の初期費用等は、介護を要する後遺障害として認定された場合に支払われるものになります。
ということは、自賠責の初期費用等は、主に将来の介護費用として支払われていると考えられます。
そのため、交通事故により、介護を要する重度の後遺障害が残った場合には、損害賠償金として、将来の介護費用の支払いが受けられます。
将来の介護費用の相場は、介護の主体によっても違いがあり、具体的には以下の表のとおりです。
介護主体 | 金額 |
---|---|
家族 | 日額8000円※1 |
職業付添人 | 実費全額※2 |
※1 具体的看護の状況により増減
※2 日額1万5000円~2万円が多く、全額認められない場合もある
なお、自賠責で、「介護を要する後遺障害」として認定されていない後遺障害でも、障害の程度によっては、介護費用を請求できる余地があります。
介護費用の損害賠償金の請求の可否や金額は、介護の必要性・態様・期間等から判断されます。
交通事故の介護費用については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
家屋等の改造費
また、重度の後遺障害が残った場合、日常生活上生じる困難をできるだけ回避するため、家屋を改築したり車を障害者仕様にしたりすることがあります。
改造費も、介護を要する後遺障害の場合に認められることが多いですが、それ以外の後遺障害でも、障害の程度により、請求できる余地があります。
介護費用の損害賠償金の請求の可否や金額は、改造等の必要性・支出額の相当性・他の家族が改造による利益を得る程度等から判断されます。
重度の後遺障害の場合には、損害賠償金として、後遺障害慰謝料や逸失利益以外の項目も請求できる場合があるということを覚えておきましょう。
後遺障害による損害賠償金の時効の起算日は?
ここまで、交通事故において後遺障害が認定された場合、等級に応じた損害賠償金を請求できることをお伝えしてきました。
もっとも、後遺障害による損害賠償金の請求には、時効による期限がある点には注意が必要です。
そして、同じ交通事故の損害賠償請求権でも、傷害によるものと後遺障害によるものとでは時効の起算日に違いがあります。
具体的には、以下の表のとおりです。
損害内容 | 時効の起算日 |
---|---|
傷害による損害 | 事故の翌日から3年間 |
後遺障害による損害 | 症状固定日の翌日から3年間 |
(死亡による損害) | (死亡した翌日から3年間) |
上記の表のとおり、症状固定は、後遺障害による損害賠償金の時効の期限においても重要な意味を持つことになります。
後遺障害による損害賠償金の慰謝料相場・逸失利益の計算
後遺障害による損害賠償金の計算の基準は3つ
お伝えのとおり、交通事故では後遺障害が認定されると、損害賠償金として等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益などが受け取れます。
もっとも、具体的な後遺障害による損害賠償金の相場については、用いられる計算の基準によって違いがあります。
そして、後遺障害による損害賠償金の計算の基準は主に以下の3つになります。
①自賠責基準
自賠責基準とは、その名のとおり、加入が義務付けられている自賠責保険から支払われる保険金額を算出する際に用いる基準のことをいいます。
自賠責保険は、被害者の損害を最低限度保障する保険のため、自賠責基準で計算された後遺障害の慰謝料の相場は低額になっています。
自賠責基準では、後遺障害の等級ごとに慰謝料の金額と逸失利益の計算のための労働能力喪失率が定められています。
②任意保険基準
任意保険基準とは、その名のとおり、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償の金額の提示額を計算する際に用いる基準のことをいいます。
任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。
もっとも、かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。
旧統一任意保険基準では、自賠責基準で計算された金額よりも若干高い程度の相場になっていました。
旧統一任意保険基準でも、後遺障害の等級ごとに慰謝料の金額の相場が定められています。
③弁護士基準
弁護士基準とは、その名のとおり、交通事故の後遺障害の慰謝料などの計算において弁護士が用いる基準のことをいいます。
この弁護士基準は、通称赤い本(赤本)と呼ばれている本に掲載されています。
交通事故の赤本については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
弁護士基準は、裁判の場でも用いられているため、裁判基準とも呼ばれます。
弁護士基準は、3つの基準の中で慰謝料の金額の相場が最も高額になっています。
弁護士(裁判)基準でも、後遺障害の等級ごとに慰謝料の金額の相場が定められています。
このように、後遺障害による損害賠償金の相場は自賠責で認定される等級と計算に用いられる基準によって決まってきます。
そして、適切な後遺障害の等級の認定を受け、最も高額な弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るには弁護士への依頼が確実です。
後遺障害による損害賠償金について適切な金額を受け取りたいという方は、後遺障害の等級認定の申請前に弁護士に相談してみるのがよいでしょう。
基準 | いつ用いられるか | 金額 |
---|---|---|
自賠責基準 | 自賠責への請求 | 低い |
任意保険基準 | 任意保険の提示 | 自賠責基準よりは高い |
弁護士基準 (裁判基準) |
・弁護士の交渉 ・裁判 |
最も高い |
後遺障害による損害賠償金の基準別慰謝料相場
後遺障害による損害賠償金のうち、慰謝料はどの基準でも認定された等級ごとに金額の相場が定められているとお伝えしました。
では、後遺障害慰謝料の相場は、用いられる基準により、具体的にどれくらい違いがあるのでしょうか?
実際の各基準ごとの等級別後遺障害慰謝料を比較した表が以下のものになります。
等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
第1級(別表第1) | 1600万(1800万) | 1600万(1800万) | 2800万 |
第2級(別表第1) | 1163万(1333万) | 1163万(1333万) | 2370万 |
第1級(別表第2) | 1100万(1300万) | 1300万 | 2800万 |
第2級(別表第2) | 958万(1128万) | 1120万(1128万) | 2370万 |
第3級 | 829万(973万) | 950万(973万) | 1990万 |
第4級 | 712万 | 800万 | 1670万 |
第5級 | 599万 | 700万 | 1400万 |
第6級 | 498万 | 600万 | 1180万 |
第7級 | 409万 | 500万 | 1000万 |
第8級 | 324万 | 400万 | 830万 |
第9級 | 245万 | 300万 | 690万 |
第10級 | 187万 | 200万 | 550万 |
第11級 | 135万 | 150万 | 420万 |
第12級 | 93万 | 100万 | 290万 |
第13級 | 57万 | 60万 | 180万 |
第14級 | 32万 | 40万 | 110万 |
※( )内の金額は被害者に被扶養者がいる場合
最も高額な弁護士基準の後遺障害慰謝料は、ほとんどの等級で他の基準の倍以上、等級によっては3倍も金額に違いがあります。
後遺障害等級14級の慰謝料に至っては、自賠責基準の32万円の約3.5倍の110万円が弁護士基準での相場になっています。
ご覧頂いたとおり、後遺障害慰謝料は、弁護士基準を用いて計算することにより大幅な増額が見込めます。
後遺障害が認定されている場合、弁護士に依頼した方が、弁護士費用を差し引いても手元に残る損害賠償金が増えることがほとんどです。
そのため、後遺障害が認定されている場合には、弁護士費用特約の有無にかかわらず、弁護士に依頼するメリットが大きいといえます。
なお、後遺障害慰謝料を含む各基準ごとの慰謝料についてより詳しく知りたいという方は、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい!
各基準ごとの慰謝料のより詳しい情報はコチラ!
後遺障害による損害賠償金の逸失利益計算方法
そして、後遺障害による損害賠償金のうち慰謝料に並ぶ大きな損害項目である逸失利益の計算方法は、原則以下のようになります。
後遺障害逸失利益の計算方法
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
また、逸失利益の計算方法の各項目の簡単な意味は以下の表のとおりです。
項目 | 意味 | |
---|---|---|
① | 基礎収入 | 後遺障害が残らなければ、得られていたであろう収入 |
② | 労働能力喪失率 | 後遺障害が残ったことによる減収の割合 |
③ | 労働能力喪失期間 | 後遺障害によって減収が発生する期間 |
④ | ライプニッツ係数 | 逸失利益を症状固定時の金額にするための係数 |
そして、自賠責では、等級ごとに明確に労働能力喪失率が定められており、具体的には以下の表のとおりです。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
第1級 | 100% |
第2級 | |
第3級 | |
第4級 | 92% |
第5級 | 79% |
第6級 | 67% |
第7級 | 56% |
第8級 | 45% |
第9級 | 35% |
第10級 | 27% |
第11級 | 20% |
第12級 | 14% |
第13級 | 9% |
第14級 | 5% |
また、労働能力喪失期間は症状固定時の年齢から一般的な就労可能な年齢の終期である67歳までの期間で計算するのが原則です。
この後遺障害の逸失利益の計算方法や労働能力喪失率、労働能力喪失期間、労働能力喪失期間は、基本的にはどの基準でも同じになります。
もっとも、後遺障害の逸失利益の計算には、各基準ごとに注意すべき点があります。
①自賠責基準
まず、自賠責から、後遺障害認定された場合に支払いを受けられる損害賠償金は、上記の基準で計算した慰謝料と逸失利益の合計とは限りません。
自賠責から支払いを受けられる保険金(損害賠償金)の金額には、等級に応じた限度額が法令上定められているからです。
責任保険の保険金額は、政令で定める。
出典:自動車損害賠償保障法第13条1項
法第十三条第一項の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、次のとおりとする。
(略)
三 傷害を受けた者(略)
ヘ 別表第二に定める等級に該当する後遺障害が存する場合(略)における当該後遺障害による損害につき
当該後遺障害の該当する等級に応ずる同表に定める金額
出典:自動車損害賠償保障法施行令第2条3号
そして、具体的な自賠責から支払いを受けられる等級に応じた保険金(損害賠償金)の限度額は、以下の表のとおりです。
等級 | 保険金限度額 |
---|---|
第1級(別表第1) | 4000万 |
第2級(別表第1) | 3000万 |
第1級(別表第2) | 3000万 |
第2級(別表第2) | 2590万 |
第3級 | 2219万 |
第4級 | 1889万 |
第5級 | 1574万 |
第6級 | 1296万 |
第7級 | 1051万 |
第8級 | 819万 |
第9級 | 616万 |
第10級 | 461万 |
第11級 | 331万 |
第12級 | 224万 |
第13級 | 139万 |
第14級 | 75万 |
この限度額があることにより、自賠責から支払いを受けられる後遺障害の逸失利益は、計算上どんなに大きくなっても
各等級の限度額と後遺障害慰謝料の差額
までとなります。
例えば、後遺障害等級14級の場合に自賠責から支払いを受けられる後遺障害の逸失利益は、75万円-32万円=43万円までです。
年収や年齢にもよりますが、後遺障害による損害賠償金を自賠責基準で計算した金額は、自賠責保険の限度額を超えることが多いといえます。
②任意保険基準
任意保険会社は、後遺障害逸失利益を計算するための各項目の数値を抑えることで、逸失利益の金額を減らそうとしてくる点に注意が必要です。
具体例としては、後遺障害14級9号の神経症状の場合には、労働能力喪失期間を2~3年程度に制限してくる場合があります。
さらに、後遺障害14級4・5号等の醜状障害の場合、労働能力喪失率が0であるとして、逸失利益の損害賠償金自体を否定してくる場合もあります。
③弁護士基準
弁護士基準の場合、反対に後遺障害逸失利益を計算するための各項目の数値を上げることで、逸失利益を増額できる可能性があります。
自賠責の等級ごとの労働能力喪失率は、弁護士基準ではあくまで参考にしているにすぎず、自賠責基準とは違いそれに拘束されるわけではありません。
また、原則67歳までという労働能力喪失期間も68歳以降の就労見込みの高さを主張・立証することで、期間を延ばせる可能性があります。
このように、弁護士基準での後遺障害の逸失利益は、依頼者の具体的な事情を考慮した形で計算し、請求することが可能です。
なお、より詳しい後遺障害の逸失利益の計算方法は以下の記事に記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
後遺障害の逸失利益の計算方法は、どの基準でも原則同じですが、具体的な金額はどの基準で計算するかにより違いが出てくる場合があります。
交通事故に強い弁護士であれば、任意保険からの主張に適切な反論をし、具体的な事情を考慮した形で、後遺障害の逸失利益を請求することができます。
適切な後遺障害による逸失利益を受け取る可能性を高めるには、交通事故に強い弁護士に依頼するのが有効な方法といえます。
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労災と自賠責との後遺障害による損害賠償金の違いとは?
勤務中や通勤中の交通事故の場合、自賠責だけでなく労災にも後遺障害の申請をすることができます。
そして、労災でも後遺障害が認定された場合には、等級に応じた保険金(損害賠償金)を受け取ることができます。
しかし、労災と自賠責とでは、後遺障害が認定された場合に受け取れる損害賠償金に以下のような違いがあります。
労災の後遺障害の損害賠償金は慰謝料含まない
まず、労災と自賠責の後遺障害が認定された場合に受け取れる損害賠償金には、慰謝料を含むか含まないかという違いがあります。
労災保険では、交通事故により被害者に精神的苦痛を与えた加害者の存在を必ずしも前提としていないため、自賠責と違い、慰謝料は含まれません。
一方、労災でも後遺障害が認定された場合に受け取れる損害賠償金(保険金)の一部には、逸失利益と性質を同じくするものが含まれます。
労災の後遺障害の損害賠償金は年金払の場合も
また、労災と自賠責の後遺障害の損害賠償金は、認定された等級によっては、支払いの方法に違いがある場合があります。
具体的には、労災保険からの後遺障害の損害賠償金は、認定された等級が7級以上の場合には、支払いの方法が一部年金払いになります。
一方、自賠責保険からの後遺障害の損害賠償金は、認定された等級が何級であっても、支払いの方法は常に一時金払いになります。
さらに、労災と自賠責の後遺障害による損害賠償金には、請求先や、損害賠償請求権の時効の期間等にも違いがあります。
これらの労災と自賠責との後遺障害の損害賠償金の違いをまとめたものが、以下の表になります。
労災 | 自賠責 | |
---|---|---|
慰謝料 | 含まれない | 含まれる |
支払方法 | 7級以上は年金払い含む | 常に一時金 |
請求先 | 労働基準監督署 | 相手方自賠責保険会社※ |
時効 | 症状固定日の翌日から5年 | 症状固定日の翌日から3年 |
※被害者請求の方法の申請の場合
労災と自賠責との後遺障害の賠償金の支給調整
お伝えのとおり、勤務中や通勤中の交通事故の場合、労災・自賠責双方から後遺障害の損害賠償金がもらえることがあります。
もっとも、あくまで対象は一つの交通事故のため、公平の観点から、いわゆる二重取りがなされないようにする必要があります。
そこで、労災と自賠責の後遺障害の認定により受給できる損害賠償金の調整をする必要が出てきます。
このことは実務上支給調整と呼ばれています。
もっとも、二重取りを防ぐためには、労災と自賠責から支払われる金額のうち、同一の性質を有するものだけ支給調整すれば足りることになります。
そして、労災保険と自賠責保険から支払われる後遺障害の損害賠償金の項目のうち、同一の性質を有するのは
労災保険の障害(補償)給付と自賠責保険の逸失利益のみ
ということになります。
労災の障害特別(支給)金の支給は、労働福祉事業の一環であり、労働者の損害を填補する性質のものではないからです。
したがって、支給調整されるのは労災保険の障害(補償)給付の金額と自賠責保険の逸失利益の金額だけということになります。
つまり、労災から先行して後遺障害の損害賠償金を受給していたとしても、その金額を自賠責の慰謝料から控除することはできないことになります。
また、労災の障害特別金や障害特別支給金は、自賠責の逸失利益の控除の対象とはならないことになるので、その点注意が必要です。
さらに、お伝えしたとおり、労災の損害賠償金には慰謝料が含まれないため、労災を利用しても、慰謝料は別途自賠責等に請求する必要があります。
最後に、労災と自賠責の後遺障害の損害賠償金の項目のうち、支給調整の対象となる項目を表にまとめましたので、よろしければ参考にしてみて下さい。
労災\自賠責 | 慰謝料 | 逸失利益 |
---|---|---|
障害(補償)給付 | × | 〇 |
障害特別金 | × | |
障害特別支給金 | × |
なお、労災の後遺障害については、以下の記事により詳しく記載されています。
特に、お伝えしたとおり、労災で後遺障害の7級以上が認定された場合には、一部年金の形式で支払われるため、より支給調整が複雑になります。
そのような、労災から年金の形式で受給している場合の支給調整についての記載もありますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
後遺障害の損害賠償金について弁護士に相談したい方へ
ここまで、後遺障害の損害賠償金についてお伝えをしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、後遺障害の損害賠償金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
まず、交通事故では、後遺障害の認定により、損害賠償金として等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益などが受け取れるという関係にあります。
そして、後遺障害の損害賠償金の金額は用いられる基準で大きく違い、適切な損害賠償金を受け取るには、弁護士への依頼が有効な手段となります。
さらに、勤務中・通勤中の交通事故なら、自賠責のみでなく労災からも後遺障害に関する損害賠償金を受け取れる場合がある点は覚えておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
交通事故の後遺障害の損害賠償金
について理解を深めていただけたのではないかと思います。
これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。
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また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!
皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
後遺障害に対する損害賠償のQ&A
後遺障害認定された場合の損害賠償金の内訳は?
①後遺障害慰謝料②逸失利益の大きく2つです。後遺障害慰謝料とは交通事故による後遺障害が身体に残ったことで被害者が受ける精神的苦痛に対して支払われる金銭です。逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が低下・喪失し、将来得られるはずだった収入が得られなくなることへの補償です。 後遺障害慰謝料と逸失利益を簡単に解説
後遺障害に対する損害賠償請求に時効はある?
時効があります。ただし、同じ交通事故であっても「傷害」と「後遺障害」による損害で起算日が違います。傷害による損害の時効は交通事故の翌日から3年、後遺障害による損害は症状固定の翌日から3年です。損害賠償請求権の時効には注意が必要です。 損害賠償請求の時効は必ずおさえておこう
後遺障害の損害賠償金はどう計算しますか?
まず、後遺障害慰謝料には算定方法が3つあります。①自賠責基準②任意保険基準③弁護士基準です。後遺障害等級ごとに慰謝料には目安となる金額が設定されていますが、3基準のどの方法で算定するかで金額は大きく変わります。後遺障害等級が認定されれば、該当する等級の後遺障害慰謝料表から確認します。 後遺障害慰謝料の金額を一覧で確認したい
後遺障害が原因の減収は補償されますか?
補償されます。後遺障害認定されていれば逸失利益が損害賠償金に含まれます。逸失利益は、後遺障害が残らなければ得られていたと思われる将来的な収入や、後遺障害によって減収が発生する年数などを元に計算します。慰謝料に並ぶ大きな損害項目とされています。 逸失利益の計算方法をチェック
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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