女の子の顔の傷に対する後遺症の等級や慰謝料の相場は男性と違う!?その他補償は同じ?

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女の子の顔の傷に対する後遺症の等級や慰謝料の相場は男性と違う!?その他補償は同じ?

交通事故の被害に遭い、顔面に怪我を負ってしまったとしたら…。

幸い一命は取り留めたとしても、顔傷が残ってしまう可能性も考えられます…!!

男性なら顔に傷が残っても良いということは全くありませんが、特に女性女の子では、顔に傷が残ってしまったときの精神的ショックは計り知れません…。

もしも交通事故で顔傷が残ってしまった場合、

  • 交通事故による後遺症として認定されるの?
  • 顔傷の後遺症の認定等級は男性・男の子と女性・女の子では異なる?
  • 顔傷に対する慰謝料など示談金の相場とは?

など、わからないことばかりのはずです。

そこで今回このページでは、特に女の子が交通事故で顔傷の後遺症が残ってしまった場合の慰謝料の相場などについて詳しく見ていきたいと思います!

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

さらに、女性の方で顔に傷が残ってしまった場合、ご本人への精神的負担は非常に大きいものと考えられます。

相手側の保険会社との交渉も非常にストレスに感じてしまうはずです。

今回は、そのようにお悩みの皆さまから相談を受けてきた経験を踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

交通事故で顔面に擦り傷すり傷や切り傷を負ってしまった場合、その程度によっては、一生傷あとが残ってしまうことも考えられます。

顔に傷が残ってしまえば、普段外出するのすら辛く感じてしまう方もいらっしゃるはずです…。

その分の補償をしっかりと受け取るためにも!!

顔の傷についての医学や法律的知識を少しでも知っておきたいところです。

女性・女の子の顔傷の後遺症に関する基礎知識

女性・女の子の顔傷の後遺症に関する基礎知識

2011年4月以前の顔傷に関する等級の男女の違い

まず初めに、女性・女の子と男性・男の子の場合では、交通事故で顔傷が残ってしまった場合の補償に違いがあるのでしょうか?

男女平等が叫ばれる今のご時世ですが、実際に、2011年以前には、男女の後遺症の認定において、大きな違いがあったそうなのです。

というのもやはり、女性・女の子の顔傷の方が、将来の結婚などを考えると不利になるという考えなどもあり、両者の取扱には差異が設けられていたそうです。

後ほど詳しく説明しますが、後遺症の認定を受ける際には、等級というものが認定されます。

その等級には、以下のような差がありました。

顔傷の後遺症等級についての男女の差(2011年4月以前)
外貌に著しい醜状を残すもの
女性・女の子 男性・男の子
7 12
外貌に醜状を残すもの
女性・女の子 男性・男の子
12 14

つまり、女性・女の子とまったく同じ顔傷が残っていたとしても、男性・男の子の場合はどんなにあがいても、7級の認定は受けられないというのが以前の状況だったようです。

しかし、2010年の5月に、京都地方裁判所がある判決が下されています。

具体的には、火傷のせいで顔を含む上半身に酷い後遺症(労災)が残った男性に対し、女性の場合よりも低い11級が認定されていたのですが、これを取り消すというものです。

事案の概要:本件は,業務上の災害によって火傷を負った原告が,原告の後遺障害について,A労働基準監督署長(処分行政庁)が労働者災害補償保険法施行規則別表第1に定める障害等級表(以下「障害等級表」という。)併合第11級に該当すると認定する旨の処分をしたことを不服として,同処分の取消しを求めた事案である。

判示事項の要旨:労働者災害補償保険法による障害補償給付の支給に関する処分が,障害等級表(労働者災害補償保険法施行規則別表第1)の憲法14条1項に違反する部分に基づいてされたことを理由に,違法であるとして取り消された事例

この判決に対し、国も控訴を断念し、「男女間で等級認定に差異を設けている状態」は違憲であると確定したのです。

5月27日の京都地方裁判所の判決への国の対応について

標記判決(外ぼうの醜状に係る労災の障害等級における男女差(5等級)を違憲としたもの。控訴期限は本日。)について、国としては、控訴を行わないこととしました。

違憲とされた障害等級表については、本判決の趣旨を踏まえ、見直すこととします。

今後、本年度内の同表の見直しを目指し、具体的な内容を検討してまいります。

この判決もあり、2011年4月以降は、顔傷に対する後遺症の等級認定は男女平等となっています。

そもそも「顔傷」が残ってしまう原因とは!?

ところで、顔傷の後遺症が残ってしまうそもそもの原因は、交通事故などで顔に怪我を負うことです。

顔に怪我を負った場合、必ず病院で治療を行うはずですが、治療を行ったにもかかわらず、なぜ顔に傷あとが残ってしまうのでしょうか?

顔傷が残るメカニズム

顔の皮膚が損傷すると、損傷前の細胞とは別の皮膚細胞がその部分を埋めていきます。

しかし、新しい皮膚組織は、事故前の皮膚と完全には同化できず、いつまでも瘢痕組織として残ってしまいます。

よって、怪我が完治したとしても、新しい皮膚組織は事故前の皮膚と比べてコラーゲンの配列が不規則で、事故前とは違って見えてしまいます。

とはいえ、時間が経過すれば周りの古い皮膚にコラーゲンの配列や表面の見た目は近づいていきます。

ところが、顔の怪我の範囲や深さによっては、再生された細胞を事故前の細胞に近づけることは困難になります。

よって、事故後の皮膚と事故前の皮膚の違いがハッキリと区別され、傷あとが残っているように見えてしまうのです。

417 Tissue Repair

小さな擦り傷程度であれば、古い皮膚と新しい皮膚の見た目の違いはわからないようになるかもしれませんが…。

損傷が大きい場合には、皮膚が完全に再生するというワケにはいかないということなんですね。

傷あとにはどのようなものがある?顔傷の種類とは

では、新しい皮膚と古い皮膚の見た目の違いがわかってしまう場合、どのような傷あとが顔に残ってしまう可能性があるのでしょうか?

顔傷①線状痕

ガラスで皮膚を切ったような切り傷のあと、もしくは手術による痕のことです。

皆様が一番想像しやすいものではないかと思います。

顔傷②肥厚性瘢痕

怪我の部分を治そうと過剰に生成された線維組織が原因で、傷あとが盛り上がった状態になってしまうものです。

肥厚性瘢痕は、数ヶ月~数年経てば、自然に白く平らになっていくそうです。

しかし、新しくできた皮膚組織は事故前の皮膚とは異なるもの。

そのため、見た目が完全に元通りにならないことも多いということです…。

顔傷③ケロイド

肥厚性瘢痕が消えず、どんどん皮膚組織が無制限に増え、肥厚性瘢痕がさらに大きく目立つようになってしまうことがあります。

その状態をケロイドと言うそうです。

ケロイドの特徴
  • 治癒傾向がない
  • 怪我をしなくても自然にできることがある
  • 周りの健康な皮膚にも影響を及ぼす

顔傷に対する治療法とは!?

皮膚に傷あとが残ってしまった場合、腕や足ならともかく、顔は隠すことができません…。

どうにか治療する方法はないのでしょうか。

ということで、調べてみました。

治療法①傷跡修正手術

傷あとがケロイド化してしまったり、救急で急いで縫合したため、その部分が大きく目立つように残ってしまった場合に行う手術だということです。

しかも、この手術には保険が適用されるということです。

美容整形などでもよく行われているそうです。

治療法②スターラックス

専用の機械からのマイクロビームで皮膚の中に非常に小さな細かい穴をあけ、その穴の周りに生じた熱で皮膚が収縮し、皮膚が引き締められます。

また、開いた穴とその変性領域を治す中で皮膚の再生が起こり、新しい皮膚に生まれ変わることで傷あとを治すという療法です。

治療中にコラーゲンも生成されるため、ツヤとハリのある肌を持続できるという良い効果もあるそうです。

多少の痛みもあるようですが、傷あとが消えるなら耐えられるかもしれませんね。

治療法③ケロイド治療

ケロイド体質の方は、皮膚に傷ができた場合、その傷以上に赤く盛り上がってしまいます。

そのような場合、傷跡修正手術ができません。

よって、ケロイド部分にケナコルト注射を行い、盛り上がりを抑えることで治療するという方法です。

即効性があり、2週間ほどで効果があらわれることもあるそうです。

ただし、多少値が張るようです。

また、上記のような治療を行っても、残念ながら完全には元に戻らないこともあるかもしれません…。

そのような場合も含め、やはりしっかりと補償を受け取らなければなりません!!

【注目】女性・女の子の顔傷の後遺症の等級認定について弁護士が解説

【注目】女性・女の子の顔傷の後遺症の等級認定について弁護士が解説

自然治癒力や治療により、傷あとが綺麗に消えれば良いですが、残念ながら消えずにそのまま残ってしまうこともあり得ます。

では、女性・女の子の顔傷(現在は男性・男の子も同じ)が残ってしまった場合、後遺症としてどのような認定がなされるのでしょうか?

顔の傷は、外貌の醜状障害と言って、交通事故の後遺症として認定されます。

  • 傷の範囲
  • 傷が治った後に皮膚上に残るあと(瘢痕)の大きさ

により、3つに区分されています。

3つの区分とは、以下の通りになるようです。

3つの外貌の醜状障害
  1. ① 外貌に著しい醜状を残すもの
  2. ② 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  3. ③ 外貌に醜状を残すもの

しかし、あまり聞きなれない言葉かと思いますので、ここから一緒に詳しく見ていきましょう。

①外貌に著しい醜状を残すもの

まず、顔傷における著しい醜状とはどのようなものなのでしょうか。

調べてみたところ、以下のいずれかに該当する場合ということです。

  • 頭部では手のひら大以上の瘢痕や頭蓋骨の欠損、顔面部では鶏卵大以上の瘢痕や10円硬貨大のくぼみが残った場合
  • 頸部では手のひら大以上の瘢痕が残った場合

たとえば、交通事故により顔面の左半部全体を損傷し、ケロイド化してしまったとします。

その場合は、「外貌に著しい醜状を残すもの」として、後遺症の等級7級12号の認定を受けることが可能です。

ところで、顔面に瘢痕やくぼみなどの傷あとが残る以外に、耳や鼻、眼球を失ってしまった場合も、著しい醜状と言えそうですが…。

その場合も、同じように等級認定されるのですか?

  • 耳の軟骨の1/2以上の欠損
  • 鼻の軟骨の全部、または大部分を欠損

した場合にも「著しい醜状」に該当します。

上記の欠損は欠損障害としても捉えることが可能なため、外貌の醜状障害と比較して等級の高い方が認定されることになります。

例えば、左右どちらかの耳たぶを1/2以上を失った場合、12級4号に認定されます。

外貌に著しい醜状を残す場合は7級12号が認定されるため、等級の高い7級12号が最終的な後遺症の等級として認定されるということですね。

一方、眼球を失うことは醜状障害にはあたらないとされているそうです。

しかし、眼球を失う原因となった怪我により、眼の周りに傷あとが残っていれば、それは醜状障害として認定される可能性があるのだそうです。

外傷により眼球を失い、眼部周囲及び顔面の組織陥没、瘢痕などを生じた場合は、眼球亡失に係る等級と瘢痕などの醜状障害に係る等級を併合して等級が認定されます。

今度は、高い方の等級が認定されるのではなく、等級が併合されるのですね。

等級併合のルールは以下のようになっているそうです。

等級併合のルール

ケース 等級併合の方法 具体例
13級以上の後遺症が2つ以上ある場合 重い方の後遺症を1級繰り上げる 11級と12級の後遺症
⇒併合10
8級以上の後遺症が2つ以上ある場合 重い方の後遺症を2級繰り上げる 8級と7級の後遺症
⇒併合5
5級以上の後遺症が2つ以上ある場合 重い方の後遺症を3級繰り上げる 5級と4級の後遺症
⇒併合1

ちなみに、1つが14級の認定であった場合には、等級は繰り上がらず、重い方の等級のまま認定されるということです。

たとえば、14級11級の後遺症を負った場合には、併合11級の認定を受けることになります。

②外貌に相当程度の醜状を残すもの

続いて、相当程度の醜状についても具体的に見てみましょう。

原則としては、

顔面部に5cm以上の線状痕が残った場合

のことを言うそうです。

たとえば、交通事故で頬に切り傷を負い、治療をしたにも関わらずその場所に長さ8cmの肥厚性瘢痕が残ってしまったとします。

その場合、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として、後遺症の等級9級16号の認定を受けることが可能です。

③外貌に醜状を残すもの

最後に、単なる醜状とはどのようなものなのでしょうか。

具体的には、以下のいずれかに該当する場合ということです。

  • 頭部では鶏卵大以上の瘢痕や頭蓋骨の欠損、顔面部では3cm以上の線状痕や10円硬貨大以上の瘢痕が残っている場合
  • 頸部では鶏卵大以上の瘢痕が残っている場合

たとえば、首に切り傷を負って縫合治療をしたところ、長さ6cm程度のケロイド痕が残ってしまったとします。

その場合、「外貌に醜状を残すもの」として、後遺症の等級12級14号の認定を受けることが可能です。

他にも、顔面神経麻痺により、笑顔の顔半面が引きつってしまうような場合も、「外貌に醜状を残すもの」に該当するということです。

他に、まぶたを失った場合も、外貌の醜状障害としても評価されます。

「まぶたの欠損障害」と「外貌の醜状障害」で、どちらか高い方の後遺症等級が認定されることになります。

また、

  • 耳の軟骨の一部(1/2未満)の欠損
  • 鼻軟骨部の一部または鼻翼を欠損

した場合も「外貌の醜状障害」に該当します。

たとえば、「まぶたの欠損障害」で9級4号、「外貌の醜状障害」で12級14号に該当する場合には、9級4号が認定等級となるということですね。

以上、顔傷に関わる後遺症の等級をまとめてみました。

重要

顔傷に関する後遺症等級

等級 内容
712 外貌に著しい醜状を残すもの
916 外貌に相当程度の醜状を残すもの
1214 外貌に醜状を残すもの
94 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
95 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
113 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
124 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
134 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
141 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

◆注目◆後遺症等級の認定を受けるためのポイントは?

顔傷が交通事故の後遺症として認定されるということと、その基準については理解できてきたかと思います。

では、後遺症の認定を申請するにあたって、適切な等級を受けるためのポイントはあるのでしょうか?

顔傷の後遺症認定等級は、醜状の程度によって大きく変わるということでしたが…。

後遺症の等級を受けるには、主治医による後遺障害診断書が必須です。

その診断書には、醜状障害という欄があります。

そこに、醜状の場所大きさ詳細を細かく記入してもらうようにしてください。

もしくは、どのような醜状なのか、別紙に図として描いてもらうのも有効です。

後遺症の等級を受けるには、主治医による後遺障害診断書が必須で、その内容が全てになります。

弁護士さんに依頼すれば、納得がいくまで診断書の作成をすることもでき、スムーズに申請を行うこともできるはずです。

診断書の記入や後遺症の申請についてお困りの際には、迷わず弁護士さんに相談してみてください!

知らないと損する①女性・女の子の顔傷の後遺症に対する慰謝料や示談金の相場

知らないと損する①女性・女の子の顔傷の後遺症に対する慰謝料や示談金の相場

以上、顔傷の後遺症等級認定について理解を深めていただけたでしょうか?

では、後遺症が残ってしまったことに対する補償や賠償はどのようになっているのでしょうか?

後遺症に対する「慰謝料」

まず、後遺症が残ってしまったことに対し、後遺症慰謝料を請求することができます。

顔傷の後遺症に対する等級はすでにお伝えしましたが、その等級に応じて、後遺症慰謝料の金額が決まっているそうなのです。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

女の子の顔傷に対する後遺症慰謝料※1
後遺症等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
7 409 500 1000
9 245 300 690
11 135 150 420
12 93 100 290
13 57 60 180
14 32 40 110

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということでした。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

失った将来の収入「逸失利益」

後遺症が残った場合、後遺症慰謝料以外にも、そのことによって失った給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるそうです。

それが、逸失利益となります。

逸失利益

後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、交通事故で顔に傷が残ったことが原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

知らないと損する②交通事故による怪我の治療に対する慰謝料や治療費

知らないと損する②交通事故による怪我の治療に対する慰謝料や治療費

以上、後遺症が残った場合についての補償を見てきました。

とはいえ、幸い後遺症が残らず、綺麗に顔の傷が消えることもあるはずです。

しかし、その場合であっても、交通事故で顔面に大きな傷を負ってしまった場合、長期間の治療が必要となるかもしれません。

その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

その間の補償はどのようになっているのでしょうか!?

「治療費」の支払いは誰が?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故による怪我の治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できる!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

https://twitter.com/Kagiroi21/status/948741605384642560

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが困難な場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

「入通院慰謝料」の相場

また、後遺症が残った場合と同じく、怪我の痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

よって、入通院慰謝料については元から男女平等ということになりますね。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を1ヶ月、通院を3ヶ月した場合には、115万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

ただし、入通院慰謝料についても、弁護士基準と任意保険基準では大きな差があるそうです。

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

入通院慰謝料に関しても弁護士基準でのものを獲得するべきですし、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

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治療中に失った収入「休業損害」

治療費や入通院慰謝料のほかに、治療により仕事を休んだことに対する補償も受け取れるそうです。

それが、休業損害です。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700 1日あたりの基礎収入
上限 19000

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

顔傷に対する慰謝料などに納得できない場合は…損害賠償請求の裁判を起こす

顔傷に対する慰謝料などに納得できない場合は…損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの比較
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 910割※1
弁護士をつけて裁判 10

弁護士費用の1割前後※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、女性・女の子の顔傷に関する損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

女の子顔傷の後遺症に関する過去の裁判例
ケース①
職業:高校3年生(18歳女の子)
傷害:多発性外傷、頭部打撲、前額部切創その他
後遺症:左眉部に5cmの縫合創痕(712号)その他併合6
《損害賠償》
入通院慰謝料:250万円
後遺症慰謝料:1220万円
逸失利益:13358041
付添看護費:225000
ケース②
職業:高校3年生(17歳女の子)
傷害:顔面裂創、顎部挫創その他
後遺症:顔面の左眉の周辺に幅約23mm、長さ約9.5cmのかぎ型の線状痕および下顎部に長さ約3cm瘢痕(712号)その他併合6
《損害賠償》
傷害慰謝料:150万円
後遺症慰謝料:920万円※1
休業損害:103970
逸失利益:7026837
ケース③
職業:小学5年生(10歳女の子)
傷害:顔面挫めつ創、右上顎洞及び鼻骨骨折その他
後遺症:顔面の各線状痕ないし陥没痕(12級)
《損害賠償》
入通院慰謝料:75万円
後遺症慰謝料350万円※2
逸失利益:3163848
付添看護費:165980

※1 併合6級に該当するものとしては比較的軽度のものであるとはいえ、事故当時の年齢にも鑑みると、顔面の外貌醜状が残存した事実などが、原告に与えた精神的苦痛が小さなものでないことは想像するに難くなく、その学業や交友等の対外的活動に向けた意欲に影響した可能性も否定できない。

※2 当時習っていたピアノの発表会等で人前に出る機会に醜状痕を気にしなければならない精神的苦痛、将来における不利益の蓋然性などを考慮。

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

また、付添看護費などが認められているケースもありますね。

個別の事情にもよりますが、休業損害や逸失利益も認められています。

また、被害者の個別事情をくみ取り、認定された後遺症の等級に対する慰謝料の相場よりも増額された後遺症慰謝料が認められているケースもあります。

裁判官の判断にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、個別の事情をくみ取ってもらえる可能性もあるのです。

他にも、慰謝料の増額理由について知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。

しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。

賠償金や保険金について、何か困っていることがあれば、ぜひ弁護士に相談してください!

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以上、女性・女の子に顔傷が残ってしまった場合の等級認定や慰謝料などについて理解を深めていただけたでしょうか。

しっかりとした補償を受け取るため、今すぐ弁護士に相談したい!と思われた方もいらっしゃるはずです。

しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、顔の傷に対する慰謝料などについてお悩みの方に、一言アドバイスをお願いします!

交通事故で顔に怪我を負われた場合、まずは医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに顔傷の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 交通事故による顔傷に関する女性・女の子と男性・男の子の後遺症認定の違い
  • 顔傷の後遺症が残った場合の等級認定基準
  • 顔傷の後遺症に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、顔傷の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

女の子の顔の傷跡に関するQ&A

顔の傷の後遺障害等級は男女で違う?

以前は、顔の傷に対する後遺障害等級認定において、男女で大きな違いがありましたが、現在では性別で等級が異なることはありません。2010年5月に「男女間で等級認定に差異を設けている状態」は違憲であると判決が出たことで、2011年4月以降は、顔傷に対する後遺症の等級認定は男女平等となっています。 顔傷に関する等級の男女間の違いについて

顔の傷は後遺障害等級認定される?

顔の傷は、外貌の醜状障害と言って、交通事故の後遺症として認定されます。傷の範囲・傷が治った後に皮膚上に残るあと(瘢痕)の大きさに基づき、①7級12号:外貌に著しい醜状を残すもの②9級16号:外貌に相当程度の醜状を残すもの③12級14号:外貌に醜状を残すもの、の3つに区分されています。 外貌の醜状障害の3つの区分の詳細

後遺症に対する慰謝料の3つの基準とは?

慰謝料には、①自賠責保険に請求する場合、②任意保険会社が提示する場合、③弁護士が相手側や保険会社に請求する場合、の3つの金額基準が存在しています。①自賠責保険に請求する場合は、賠償額が低く設定されています。②任意保険会社が提示する場合は、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いです。③弁護士が相手側や保険会社に請求する場合は保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっています。 3つの慰謝料相場の基準

交通事故の治療費の支払いは誰が行う?

交通事故による怪我の治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあります。よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用すれば、損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できます。 交通事故の治療費の支払方法について

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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後遺障害/慰謝料のまとめ