休業損害は有給休暇で会社を休んだ場合も支払われるの?
突然の交通事故に遭い、治療・療養のため休業を余儀なくされた・・・。
この場合、被害者の方が真っ先に不安になるのは、欠勤や遅刻・早退による給料の減額でしょう。
事故によるけがの治療だけでも大変なのに、仕事を休んだために、当面の生活費の心配まですることとなり、お困りの方もいるかと思います。
- 休業損害は何のことをいい、どういう計算方法で休業損害を請求すればいいのか?
- 会社員が有給を使用し現実の給料に減額がない場合には休業損害は認められない?
- 欠勤でも給料の減額がない場合は休業損害が認められない?
- 自分自身の交通事故による休業損害を手軽に計算してみたい・・・
などなど、休業損害に関するお悩みは数多いですよね。
このページでは、様々な休業損害のお悩みの中でも、疑問が多い会社員が休業した場合の有給との関係に焦点をあて、解説していきたいと思います。
専門的な話や実務的な話は岡野先生にお尋ねしていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
休業損害は、事故にあわれた被害者の当面の生活を補償する影響する重要なものです。
特に怪我の治療に専念する上でも、減少した収入を補うことは必要不可欠ですね。
会社員の方が事故による負傷で休業された場合に特に質問が多い有給との関係について詳しく解説します。
被害者の方にとって、少しでも参考になり疑問が晴れれば幸いです。
目次
交通事故により、会社を休業しなければならなくなった場合、休業による損害は当然賠償してもらえるはずですよね。
でも、交通事故の損害賠償では慰謝料という言葉をよく耳にしますが、休業損害は慰謝料とはまた別物なのでしょうか?
まずは、休業損害とは何なのか、基礎的な知識から学んでいきましょう!
基礎編!休業損害の意味と計算方法とは?
休業損害とは?
休業損害は財産的損害
はじめに、交通事故での休業損害とはどういった損害なのでしょう。
交通事故が発生した場合、様々な損害が発生しますが、損害は大きく
- 財産的損害
- 精神的損害
に分けられます。
財産的損害とは、簡単に言うとお金の面で生じた不利益のことをいいます。
これ対して精神的損害とは、お金の面ではなく、けがの痛みに耐えなければならなくなるなどの精神的な不利益のことをいいます。
財産的な損害は、さらに
- 積極損害
- 消極損害
に分類できます。
積極損害とは、ここでは事故による怪我で余計な出費が必要となった場合の増えてしまった支出部分のことをいいます。
消極損害とは、反対に事故による怪我で本来得られた利益が得られなくなった場合の減ってしまった収入部分のことです。
休業損害は、治癒あるいは症状固定までの期間働くことができずに収入が減少したことによる損害ですから財産的損害・消極損害に分類されます。
一方で、慰謝料は負傷したことが原因となり精神的な不利益を受けたことの損害ですから、精神的損害に分類されます。
このように、休業損害と慰謝料は損害の分類上も全くの別物ということが分かりますね!
積極損害 | 消極損害 | |
---|---|---|
財産的損害 | 治療費など | 休業損害など |
精神的損害 | 慰謝料など |
主婦・学生は?休業損害をもらえる職業もらえない職業
現実の収入がある会社員が、事故による負傷で休業した場合、休業損害をもらえるのは問題なさそうですよね。
一方で、交通事故がなくても元々収入のない方や事故によっても収入や利益の減少がない人は、休業損害はもらえなさそうですよね。
ここでちょっと脱線して、一般的に休業損害をもらえる人もらえない人について簡単にまとめてみたいと思います。
- 学生
- 年金受給者
- 生活保護受給者
- 不動産オーナー
の方などは基本的に休業損害をもらうことはできません。
前提ですが、休業損害を請求できるためには、事故での怪我で収入が減ったという関係が必要です。
そのため、このような因果関係が認められない上記の方や、減収等の損害が発生していない方には基本的に認められません。
一方で、主婦の場合に代表されるように例外があります。
しかし、主婦(家事従事者)の方は、事故により家事ができなくなった場合、休業損害をもらうことができます。
家事労働は、社会的に金銭的に評価できるものと考えられており、判例でも認められています。
また、学生でもアルバイトをしており、収入があった場合にはもちろん休業損害をもらうことができます。
その他、事故当時無職や学生であった場合でも、内定先が決まっている場合などには、休業損害が認められる可能性があります。
実際にお金が入ってこなくなるわけではないですが、休業損害は主婦も受け取れるので、忘れずに請求しましょう。
また、事故当時無職の方なども、事故がなければ、事故後収入が得られたはずであるかどうかという観点から検討する必要があります。
職業 | 休業損害 |
---|---|
会社員 | ○ |
個人事業主 | ○ |
主婦(家事従事者) | ○ |
学生(アルバイト) | ○ |
学生(無職) | △※ |
年金受給者 | × |
生活保護受給者 | × |
不動産オーナー | × |
※事故後就労していた蓋然性があれば○の可能性あり
そもそも有給ってなんだっけ?
一般的に休業損害をもらえる人もらえない人のイメージはつかめましたか?
この記事のテーマである会社員の休業損害と有給について解説する前に、有給の意味やその根拠について確認しておきましょう。
知っている方も多いでしょうからざっとみていきます。
有給は法律上認められている
本来働いてない部分は、給料が支払われませんよね(ノーワーク・ノーペイの原則ともいいます)。
しかし、ご存じのとおり、有給の場合、休みながらにして給料の減額がありませんよね。
このように、働かなくても給料が支払われるという点で財産的な意味も持ちますね。
有給は労働者の権利といえ、労働基準法上も最低限の付与要件、日数が定められています。
有給は、労基法上「年次有給休暇」といいます。
有給は、使用者との契約の内容いかんに関わらず、一定の要件を満たせば法律上当然に発生します。
反対に、同法よりも有給の発生要件やその日数を労働者に有利にする内容の契約をすることは自由です。
これらは、労働者が健康で文化的な生活をできるように認められた権利の一つといえますね。
以下では、フルタイム労働者の場合の有給について解説していきます。
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
出典:労働基準法第1条1項
有給を取得できるための要件は?
使用者とどのような労働契約をしていようと、最低でも同法に定められる条件で有給の権利が発生します。
その一定の要件とは、
- 6ヶ月以上の継続勤務
- 上記期間中、全労働日の8割以上出勤
上でも説明がありましたが、上記労基法の要件や有給日数よりも労働者に有利な条件を定めることは自由です。
ただし、以上の条件を満たす労働者については、労働基準法で規定する日数の有給を認めない場合、違法となります。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
会社員の有給日数とは
次に、所定の継続勤務で8割以上出勤した場合、具体的には何日有給の権利が発生するか、下の表にまとめました。
なお、下の表は、フルタイムで勤務する会社員に適用となるものです。
勤続年数が長くなれば、与えられる有給日数も増えていくのですね!
勤続年数に応じて有給日数が増えていくという扱いは、労働基準法第39条2項に定めがあります。
勤続期間 | 付与される日数 |
---|---|
6ヶ月 | 10日 |
1年6ヶ月 | 11日 |
2年6ヶ月 | 12日 |
3年6ヶ月 | 14日 |
4年6ヶ月 | 16日 |
5年6ヶ月 | 18日 |
6年6ヶ月以上 | 20日 |
会社員の休業損害の計算方法!有給を使用すると支払われない、はホント?
休業損害がどんな損害なのかやどういった人が休業損害をもらえるかについては分かりました。
では、実際に会社員が休業損害を請求する場合、どのように計算したらよいのでしょうか?
その計算方法をみていきましょう!
実は、休業損害の請求先によって、計算方法は違うようです。
それでは請求先ごとに見ていきましょう。
自賠責基準と任意保険・弁護士基準は計算方法が異なる!休業損害の計算とは
自賠責保険の場合
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下のとおりとなります。
5,700円×休業日数
基本的に休業損害の日額は固定なんですね!
ただし、1日の休業損害が5,700円を超えることを資料などで証明できれば19,000円までは日額の増額が認められています。
上限がある反面、日額が5,700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5,700円で計算されるので、収入の低い人にとり有利です。
2.休業損害
(1)休業損害は、休業による収入の減収があった場合・・・1日につき原則として5,700円とする。
(2)休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし・・・治療期間の範囲内とする。
(3)立証資料等により1日につき5,700円を超えることが明らかな場合は、自動車損害賠償保障法施行令第3条の2に定める金額を限度として、その実額とする。
出典:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
(略)政令で定める額は、一日につき一万九千円とする。
出典:自動車損害賠償保障法施行令第3条の2
任意保険・裁判の場合
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下のとおりとなります。
1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業によって若干異なります。
下の方で、会社員の基礎収入について詳しくご説明していますので、ぜひご覧になってください。
日額5,700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19,000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとり有利です。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5,700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5,700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や裁判基準が用いられることになります。
他の項目では任意保険基準や裁判基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いるといういいとこ取りはできないので注意が必要です。
自賠責保険 | 任意保険・裁判 | |
---|---|---|
原則 | 5,700円 | 1日あたりの 基礎収入 |
上限 | 19,000円 | |
どんな人が得 | 収入の低い人 | 収入の高い人 |
会社員の休業損害!有給(有給休暇)と欠勤の扱いは違う?
会社員の休業損害の計算方法とは
会社員(給与所得者)の場合、休業損害証明書に記載された事故前3ヶ月分の給与を90日で割り、1日あたりの基礎収入を算出することが多いです。
事情によっては、事故前1年分の給与をもとに基礎収入を計算することもあります。
また、休業日数についても、休業損害証明書に記載されるので、他の職業に比べ争いになる余地は少ないです。
ただし、
- 現実に給与の減少がない(有給の場合は後で解説)
- 休業の必要性・相当性という要件を満たしていない
場合には、休業をしていても、休業損害はもらえないので注意が必要です。
なお、休業の必要性とは交通事故の怪我が休業を必要とする程度のものであったこと、休業の相当性とは休業期間として相当なものであることです。
事故前3ヶ月の給与は、社会保険料や所得税控除前の金額を基礎とするのが実務上の取り扱いです。
また、休業日数については、休業初日から連続して休業している場合には、休日も休業日数に含まれ、休業期間で計算する点にも注意が必要です。
さらに、事故により仕事をやめてしまった場合でも、退職と事故との因果関係を証明できれば、現実に可動困難な期間の休業損害が請求できます。
なお、事故により賞与(ボーナス)の減額があった場合には、勤務先の方に賞与減額証明書という書類を別途記載してもらい、請求する形になります。
なお、主婦や自営業など休業損害の計算方法は仕事により違いがあるので、その点には注意が必要です。
有給を利用すると休業損害が支払われない?
交通事故により、お仕事を休んだ場合、休業損害が受け取れることがわかりました。
でも、お仕事を休んだにもかかわらず給料が減らない有給の場合、
- 給料が減らない以上、休業損害は受け取れないのではないか
- 休業損害を受け取ったら二重取りだとして後で返せと言われないか
ネット上での以下のような疑問をみつけました。
保険の休業損害の保障って有給で通院したらお金が入るのかな?それとも使った有給休暇が復活するのかな?
— なが とも (@Tomo_nb8008) October 3, 2016
(略)
事故後は有給休暇で会社を6日間休み、
通院も有給を使ってしてました。
その間の給与は全額もらっていましたが、
その場合も休業損害金は出るのでしょうか?
(略)
交通事故が発生した場合、給料が減らないために有給を使って治療や通院をされた方も多いと思います。
この場合、欠勤したもの、出勤したものと扱われ給料は減りませんよね?
このことから、給料の減額がないため、休業損害はもらえないと思ってしまいがちです。
しかし、交通事故により有給を使用した場合には、その期間の休業損害をもらうことができるようです。
有給を利用し給料の減額がない場合であっても、有給を利用した部分の休業損害は支払われます。
なぜなら、有給(年次有給休暇)とは、賃金を受け取りつつ休暇を取れる労働者の権利であり、財産的価値を有する権利といえます。
そして、交通事故により有給を使った場合、交通事故により、本来使う必要のなかった有給という財産的価値を有する権利を失ったといえるからです。
以下のように、自賠責の支払基準からも怪我の治療のための有給の利用は休業損害の対象となることが分かりますね。
休業損害は、・・・有給休暇を使用した場合に1日につき原則として5,700円とする。
出典:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
事故がなかったら、治療にあてた有給を自分の自由で使えたのですから、当然ですよね!
欠勤の場合も併せてチェック!
交通事故の際の休業ですが、有給と欠勤等で休業した場合、保険等で何か違いはありますか?
職場から欠勤にしておいて補償してもらったほうがよいのではと言われて。
関係あるかわかりませんが、一応被害者です。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1185878856
有給を使っても休業損害を請求できるということは上で確認しましたね。
同じく欠勤扱いの場合も、基本的に休業損害が支払われます。
ただ当然ですが、欠勤したことで実際に給料が減額している必要はあります。
欠勤して、給料が減っていない場合に休業損害を受け取ることができては、これも二重取りですよね。
ここで注意点があって、有給を利用し給料の減額が無い場合に、誤って欠勤とされるとその休業損害は出ませんので注意が必要です。
会社員が休業損害を請求する際に必要な休業損害証明書には、欠勤か有給かを正確に記載してもらう!
特に、有給を利用した場合に、誤って欠勤と記載されると、その分の休業損害が出ない!
なお、休業損害証明書については下で解説します。
休業の分類 | 給料の減少 | 休業損害 |
---|---|---|
有給 | 減少なし | 支払われる |
欠勤 | 減少あり | 支払われる |
欠勤 | 減少なし | 支払われない |
いずれも治療等による休業の必要性・相当性が認められる場合
休業損害や示談金の計算機
こちらのサイトでは、休業損害のほか慰謝料や逸失利益を含めた示談金の目安がわかる計算機を掲載しています。
年収と実際の休業日数を入れるだけ、5秒あれば、休業損害の金額が計算できます。
もちろん有給を利用した日数も「休業日数」に加算してください。
面倒な会員登録や個人情報の入力などは不要。かんたんに使えるので是非ご利用ください!
かんたん1分!慰謝料計算機
通院期間などを入れるだけでかんたんに慰謝料の相場がわかる人気サービス!あなたが保険会社から提示されている慰謝料は正しいですか?
この計算機で計算できるのは、上記の裁判基準の休業損害です。
休業損害として、保険会社からはもっと低い金額を提示される場合があります。
計算機で出た金額と比べてみるといいでしょう。
交通事故での治療・療養で休業する場合の注意点
定期的に通院する
交通事故での怪我により有給、または欠勤して会社を休業する場合、休業損害の対象となるのは当然治療や療養に必要な範囲です。
そこで、休業した日に通院しなかったり、療養していない場合には、前後での通院頻度も考慮し休業損害が支払われないことがあります。
特に、会社を休んでもその日に通院をせず、その前後でも通院の頻度が著しく低いといった場合、保険会社からそもそも怪我の治療が不要と判断されてしまうかもしれません。
けがの内容にもよりますが、特に骨折のないむちうちのような場合には、治療中に会社を休む場合には、必要な頻度で通院もするようにする必要はあります。
なお、むちうちの場合、整骨院に通院することもあるかと思いますが、交通事故の治療を整骨院で行う際の注意点は色々とあるので、その点は覚えておきましょう。
事故で退職した場合でも休業損害が支払われることがある!
交通事故が退職理由の場合、退職後も休業損害を受け取れることがあります。
そのためには、事故による負傷・治療での欠勤や能力低下がなければ勤務継続できていたはずといえることが前提になります。
この場合、1日当たりの基礎収入は、事故前の現実の収入あるいは賃金センサスの平均賃金を使って求めることになります。
ただし、退職に至った主な理由が治療による欠勤以外と認められるような場合には、退職後の休業損害が受け取れないこともあります。
(被害者は、)本件事故に遭わなければ、(略)勤務を継続し一か月二二万円程度の収入を得ることができたものと認めるのが相当である。
そして、原告は、(略)同社を退職することを余儀なくされたものであるが、これは本件事故による欠勤を理由するものであり、
また、(略)受傷が治癒するまでの間に再就職をすることは困難であったと判断されることからすると、少なくとも、本件事故時から原告の受傷が治癒するまでの約四か月間については、同社休業損害と認めるのが相当である。(略)
そして、昨今の経済情勢、雇用情勢にかんがみると、(略)傷害が治癒したからといって直ちに再就職できるものではないと考えられるから、求職活動をし再就職をするのに必要やむを得ない期間については、同社からの得べかりし収入をもって損害と認めるのが相当である。
出典:東京地判平成14年5月28日・平成12年(ワ)第27913号
上の案件は、被害者が事故での負傷により長期欠勤し、それが原因となって会社を退職せざるをえなかったという事例です。
裁判例においては、会社を退職し無収入になった損害として、
- 被害者の退職後治療終了までの休業損害だけでなく
- 治療終了後、再就職するのに相当な期間についての減収分
も損害として認めている点が大きな特徴といえます。
あくまで本件の事情をもとにした判断ではありますが、相手にこれらの損害を請求できる場合があるということは押さえておきましょう。
休業損害っていつもらえる?請求方法や時期について解説!
会社員が請求するには休業損害証明書が必要?
休業損害の計算方法や請求先によって計算方法が変わってくることはわかりました。
でも、実際に休業損害を請求するにはどうすればいいのかやどんな書類が必要になってくるのかはまだわかりませんよね。
休業損害証明書わからん_:(´ཀ`」 ∠):
— マヨナカテレビ (@SagaTosu9) April 18, 2017
休業損害証明書書けなくて詰んだwww
— つばさたそ (@283_1400) May 26, 2017
休業損害証明書という書類があるようですが、書き方がわからずお困りの方も多いようです。
そもそも、休業損害証明書という書類は絶対に必要なのでしょうか?
それでは、今回は会社員の場合の休業損害の申請に必要な書類を詳しく調査していきましょう!
休業損害証明書
給与所得者(サラリーマン)の場合は、勤務先の方に休業損害証明書という書類を書いてもらう必要があります。
その書類に
- 休業により給料がいくら減らされたか
- 何日仕事を休んだり、有給を使ったり、遅刻・早退をしたか
- 事故前3ヶ月の給与
などが記載されます。
休業損害証明書の雛形は通常、相手方保険会社から送られてきますが、以下のサイトでも雛形が確認できますので、参考にしてみてください。
事故前年の源泉徴収票
さらに、事故前年の源泉徴収票の提出も要求されます。
これは、被害者の方と勤務先の方が協力して高額な休業損害の請求をする不正を防ぐためです。
あとで詳しく説明しますが、基礎収入は休業損害証明書に記載される事故前3ヶ月の給与をもとに計算されます。
つまり、事故前3ヶ月の給与が高く記載されていれば、もらえる休業損害の額も高くなります。
そのため、被害者の方と勤務先の方が協力して実際よりも高い給与を記載するという不正を働く可能性があります。
交通事故で仕事ができなくなったと偽り、保険会社から休業損害補償金をだまし取ろうとしたとして、大阪府警警備部は27日、詐欺未遂容疑で、政治団体元代表の男(30)=大阪府羽曳野市=と飲食店経営の男(31)=同=の2人を逮捕した。
(略)
逮捕容疑は、政治団体元代表の男が平成27年9月に人身事故で軽傷を負ったことを悪用。
休業損害補償金をだまし取ろうと同12月、飲食店経営の男が営む店の店長として月100万円の収入があったとする虚偽の関係書類を損保会社に提出したとしている。
府警によると、損保会社が依頼した調査員が不審な点に気付き、発覚した。
出典:産経新聞電子版 2017/7/27 17:11
実際、上のニュースのように休業損害をだまし取ろうとして、逮捕されたケースもあるようです・・・。
そこで、税務署に提出する源泉徴収票記載の給与額と休業損害証明書記載の給与額とを検証して、実際よりも高い給与の額が記載されてないか確認します。
もっとも、事故当年からその勤務先に働き始めた方の場合には、検証の対象となる事故前年の源泉徴収票がありません。
そういった場合には
- 賃金台帳
- 給与が振り込まれた通帳の写し
- 給与明細
などの提出が要求されることがあります。
休業損害はいつもらえるの?
お仕事を休んで収入がなくなってしまうと、当面の生活にも困ってしまいますよね。
実際、休業損害がいつもらえるかわからず、ご不安やお怒りの気持ちを持たれる方も多いようです。
そこで、実際に休業損害がいつもらえるのか?職業別に調査してきました!
給与所得者(サラリーマン)の休業損害振込み時期
先ほどお伝えした、休業損害証明書や源泉徴収票を保険会社に提出し、保険会社が内容を確認後、問題がなければ振込手続きが取られます。
しかし、通常月締めで書類を作成し、保険会社の確認や振込手続きがあるため、実際の給料日よりも支払いが遅れることが多いので注意が必要です。
また
- 勤務先の方が休業損害証明書の書き方がわからない
- 休業損害証明書の作成や源泉徴収票の発行の手続が面倒
といった理由で、勤務先が書類の作成を拒否したり、中々書類を提出してくれないことも残念ながら多いようです・・・。
職場で休業損害証明書貰う手続き面倒すぎて暗に上司に辞退するように圧力かけられたので諦めざるを得なかったんだけど軽くパワハラでは?!有給でも貰えるものだし、できれば貰いたいと思ってたんだがなぁ。貰える額が半日分だからまぁ折れたけど…うーん…
— 🦕セリア🐈 (@estrelaseria) April 12, 2017
数千円でも貰えるものは貰いたいですが、それで会社の上司と面倒なことになるのであれば、請求を断念しても仕方がないところもありますよね・・・
https://twitter.com/kokopellipo49E/status/798173246277324800
また、中々勤務先の方に作成を依頼しにくいという被害者の方も多いようです。
個人的に、会社に休業損害証明書とかゆーのんを書いてもらうのが一番憂鬱。担当者としゃべりたくねーんだよ糞
— イルカワ (@manako05301) October 23, 2016
そういった場合、弁護士に依頼すれば、弁護士から勤務先の方に書類の書き方を伝えてもらったり、書類の作成を依頼してもらうことができます!
このように、休業損害の支払いについて問題が生じたときは、弁護士に相談・依頼するタイミングの一つといえます。
休業損害証明書の作成でお困りの方は、まず以下の弁護士への無料相談を利用してみてはいかがでしょうか?
ご自身では直接話しにくいことを代わりに言ってもらえるのも、弁護士に依頼するメリットの一つといえますね!
必要書類 | 受領時期 | |
---|---|---|
給与所得者 アルバイト |
休業損害証明書 源泉徴収票 (賃金台帳等) |
必要書類提出後 |
※例外あり
交通事故の休業損害は弁護士に無料相談を!
お手元のスマホで無料相談するなら
ここまで、交通事故の休業損害についてご説明してきましたが、読んだだけではわからない疑問が浮かんできた人もいるのではないでしょうか?
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
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最後に一言アドバイス
では、岡野先生、最後にまとめの一言をお願いします。
交通事故の負傷で収入が低下してしまった場合、当面の生活のため休業損害はできる限り早く受け取る必要があります。
治療中は、給料の減額を避けるため、有給を利用する会社員の方も多いでしょう。
有給を利用した分も休業損害として支払いを受けることができると知っていれば、有給を利用するかどうか悩まずにすみます。
また、会社員の場合、休業損害の計算はある程度分かりやすい部分もありますが、細かく見ていくと妥当かどうか判断が難しいと思います。
事故後の生活のお金の不安をなくし、治療に専念できる状況を生み出せるようにするためにも、弁護士への相談をおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
このページを最後までご覧になってくださった方は
- どういう計算方法で会社員の休業損害を請求すればいいのか
- 有給が認められる法定の要件と日数
- 有給を使用した場合でも休業損害を受け取れる
- 有給と欠勤について休業損害証明書への記載をチェックすべき理由
について、理解が深まったのではないかと思います。
このページだけではわからなかったことがあるという方は
も利用してみてください。
このページが交通事故に遭われた方の少しでもお役に立てれば何よりです。
休業補償における有給についてのQ&A
有給で休んだ日も休業損害の対象になる?
交通事故にあい、治療などで有給休暇を使った場合、それも休業損害の対象となります。有給休暇を使った場合、実際には収入は減っていません。しかし、有給は賃金を得つつ休暇をとれるという財産的価値のあるもので、それを交通事故のために使わざるを得なかったということは被害者の損害になると考えられるからです。なお、欠勤扱いなのに減収がなかった場合には、休業損害の対象にはなりません。 休業損害の計算|有給・欠勤の扱い
会社員の休業損害申請で必要な書類は?
会社員の方が休業損害を申請する場合は、休業損害証明書、事故前年の源泉徴収票が必要です。休業損害証明書は、勤め先に作成してもらいます。事故前年から今の勤務先で働き始め、前年の源泉徴収票がない場合は、賃金台帳、給与が振り込まれた通帳の写し、給与明細などが必要です。 休業損害申請時の必要書類
会社員の休業損害はいつ振り込まれる?
休業損害は、必要書類を加害者側任意保険会社に提出し、その内容に問題がなければ振り込まれます。しかし、保険会社の確認や振込手続きがあるため、実際の給料日よりも支払いが遅れることが多い点は注意が必要です。また、書類を用意する段階で、勤め先が休業損害証明書の作成方法を把握していなかったり、証明書の作成を渋ったりしてなかなか申請できず、休業損害の受け取りが遅れるということもあるようです。 休業損害の振込タイミング
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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