遷延性意識障害で労働能力を全喪失、賠償額2億超

IT 2016年6月6日 | 遷延性意識障害
file 0828 22
認容額 2 億 4138万9988円
年齢 28歳
性別 男性
職業 会社員(事故当時)
傷病名

遷延性意識障害を伴う外傷性脳幹部損傷等

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 1級
判決日 平成24年10月17日
裁判所 東京地方裁判所

交通事故の概要

平成18年1月15日午後4時6分ころ、京都市中京区西ノ京中御門東町一〇六番地先の西大路太子道の交差点において、加害者は、加害会社所属のタクシー車両を運転して西大路通を南進して本件交差点に差し掛かり、対面信号機の赤色表示に従い交差点手前の停止線で一度停止し、その後、対面信号機が青色表示に変わったのに従い発進して交差点内に進入して旧二条通へ右折しようとした。その右折中に、対面信号機の青色表示に従い対向直進して本件交差点に進入してきた被害者が運転する自動二輪車と衝突した。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、本件事故により遷延性意識障害を伴う外傷性脳幹部損傷等の傷害を負った。被害者は、1972日間入院し治療を受けた後、平成23年6月9日に症状固定と診断された。なお、退院後は、自宅において介護を受け療養することになった。

後遺障害の内容

被害者には、失語、発語困難、四肢体幹不全麻痺、嚥下障害、精神症状(易興奮性等)等の後遺障害が残り、自賠責保険後遺障害等級認定は、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として、自賠法施行令二条別表第一の第1級1号該当とされた。

判決の概要

被害者と加害者との間の本件交通事故につき、被害者が加害者及びその使用者でありかつ加害者が運転する車両の保有者である加害会社に対し、連帯して人身損害賠償金を支払うことを求めた。併せて、被害者の父、及び母が、子である被害者が重大な後遺障害を負ったことなどにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料をそれぞれ加害者らに連帯して支払うことを求めた。
本件事故は、右折車である加害者の車と、直進車である被害者の車との衝突事故で、事故原因となる主たる過失は右折車側の右折に際しての安全確認義務違反、従たる過失が直進車側の前方安全確認及び回避義務違反と想定され、基本的過失割合は、被害者15対加害者85と解される。裁判所は、これに修正要素を加えて、過失相殺を認め、それぞれの過失割合を被害者1対加害者9とするのが相当であると判断した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 87万1023円
入院付添費 1274万4000円
入院雑費 295万8000円
将来介護費 1 億 1969万2006円
休業損害 1166万9917円
逸失利益 7669万2083円
慰謝料 3240万円
付添交通費 429万 1620円
付添宿泊費 209万 8275円
症状固定後、平成24年3月31日までの治療関係費 450万 7950円
家屋改造費等 1576万 8200円
成年後見人報酬 2100万円
損害のてん補及び自賠責保険金分の確定遅延損害金 - 4488万 3778円
被害者の父親固有の慰謝料等 495万円
被害者の母親固有の慰謝料等 495万円
修理費 5万円
過失相殺 - 2836万9308円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

遷延性意識障害の関連記事