遷延性意識障害の被害者に有過失でも、賠償額1億超

IT 2016年6月8日 | 遷延性意識障害
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認容額 1 億 7008万6670円
年齢 23歳
性別 女性
職業 パチンコ店勤務(事故当時)
傷病名

急性硬膜下血腫(左)、脳挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血、脳血管攣縮・脳梗塞等

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 1級
判決日 平成22年3月15日
裁判所 大阪地方裁判所

交通事故の概要

平成18年7月22日午前3時10分ころ、大阪府高槻市南松原町二番一八号先の路上において、加害者Bが車を運転して、本件事故現場の国道一七〇号線(大阪外環状線)を北から南に向かって走行中、加害者Cとともに本件道路を東から西に向かって横断歩行中の被害者(女性、当時23歳)と衝突した。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、本件事故により、急性硬膜下血腫(左)、脳挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血、脳血管攣縮・脳梗塞等の傷害を負った。
被害者は、症状固定日(平成19年11月30日)までの間に、M救命救急センターに110日間、Y病院に230日間、K病院に157日間、入院して治療を受けた。
なお、症状固定後も平成21年8月27日までK病院に入院し、同日にI病院に転院し、本件裁判時においても同病院に入院中である。

後遺障害の内容

被害者は、平成19年11月30日に、K病院脳神経外科において、症状固定と診断されたが、遷延性意識障害、四肢・体幹運動障害(いわゆる植物状態)の後遺障害が残存し、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として、自動車損害賠償保障法施行令別表第一の第1級1号に該当するものと判断された。

判決の概要

本件交通事故は、加害者Bが運転する普通乗用自動車が、車道を歩行中の被害者と衝突して負傷させたものである。
被害者らが、本件事故は、加害者Bの前方不注視等の過失と、加害者Cが被害者の手を引いて強引に車道を横断させた過失との共同不法行為によるものであると主張して、加害者Bにつき民法709条又は自動車損害賠償保障法3条に基づき、加害者Cにつき民法709条に基づく損害賠償を求めた。
被害者においても、加害者Cに手を取られた時点で速やかに本件道路を横断して安全な場所に移動するなど回避行動をとることは可能であり、本件道路の車道上を横断歩行したために本件事故が発生したことについては、被害者にも一定の過失があるとして、それぞれの過失割合を加害者Bは55パーセント、加害者Cは30パーセント、及び被害者は15パーセントとして過失相殺を行いつつ、加害者らに対する被害者らの請求を一部認容した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 632万1962円
入院付添費 194万4000円
入院雑費 74万5500円
将来介護費 1 億 172万2653円
休業損害 493万737円
逸失利益 5272万8938円
慰謝料 3190万円
症状固定後のK病院入院中の入院費等及び近親者付添費 622万 2888円
症状固定後のI病院入院中の入院費等及び近親者付添費 223万 1239円
家屋改造費 205万 6750円
介護用品代 1135万 4910円
介護雑費 928万 9740円
損益相殺 - 4632万 1962円
確定遅延損害金 327万 6712円
被害者の父親固有の慰謝料等 220万円
被害者の母親固有の慰謝料等 220万円
弁護士費用 1200万円
過失相殺 - 3471万7397円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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