2歳幼児が遷延性意識障害で後遺障害1級認定

IT 2016年6月8日 | 遷延性意識障害
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認容額 1 億 6965万2768円
年齢 2歳
性別 男性
職業 無職
傷病名

外傷性窒息、頭部挫創、背部熱傷、右肩・顔面・左下腿擦過傷

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 1級
判決日 平成21年1月28日
裁判所 大阪地方裁判所

交通事故の概要

平成16年10月14日午後4時42分ころ、大阪府高槻市内の路上において、加害者が、南北道路(幅員4.8メートル)の被害者ら肩書住所地前に車両を南向きに停車して、加害者の長女を降車させた後、前方にいた被害者に気づかず、時速約10キロメートルで発進させたため、車両の前部を被害者に接触させて転倒させ、車両底部に巻き込んで負傷させた。

被害者の入通院治療の経過

被害者(事故当時2歳)は、本件事故により、M救急センターに緊急搬送されたが、外傷性窒息、頭部挫創、背部熱傷、右肩・顔面・左下腿擦過傷の傷害を負い、来院時は心肺停止の状態であった。
被害者は、本件事故当日から平成16年12月13日までM救急センターに入院し、同日から平成18年9月1日までT病院に入院して、治療を受けた。

後遺障害の内容

被害者は、平成17年12月1日に症状固定と診断された。被害者は、低酸素性脳症、外傷性てんかん、背部熱傷、鉄欠乏性貧血の傷害を負っており、意識回復の見込みはほとんどなく、意譜障害の程度は痛み刺激により四肢を少し動かす程度で、意思疎通は不可能で、植物状態であると診断された。
被害者は、自賠責において、自賠等級1級1号に該当するものと認定された。

判決の概要

進路前方にいた被害者に気づかず、加害者D所有の車両を前進運転させた加害者Eが、加害者に同車両を衝突させて、意識障害を残す重篤な傷害を負わせた。本件事故につき、被害者らが加害者Eに対しては民法709条、加害者Dに対しては自動車損害賠償保障法3条に基づき、損害賠償を求めた。
加害者Eが一旦停車させていた車両を左前方の確認が不十分なまま発進させたため、被告車両の左前方で遊んでいた幼児である被害者を車両の下部に巻き込んだものであり、加害者Eには重大な過失が認められる。一方、被害者の母親にも指導監督上の義務を怠った過失があるとして、その過失割合を5パーセントとして過失相殺を認めた。また、逸失利益の算定に当たり、被害者が現に生存して生活を続けていく以上、一般的な生活費に加え、健常者よりも多額の生活費を要する可能性もあるから生活費控除をすることは相当ではないとして、被害者らの請求を一部認容した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 1554万1454円
入院付添費 248万4000円
入院雑費 53万8200円
将来介護費 7610万4581円
逸失利益 4742万8724円
慰謝料 3270万円
将来の介護雑費 711万 2025円
将来の介護備品 1525万 7140円
未払医療費 2万 2110円
訪問看護及び訪問リハビリ費用 701万 4600円
自宅改築費用 808万 918円
損益相殺 - 5504万 1454円
確定遅延損害金 302万 4658円
被害者の父親固有の慰謝料等 275万円
被害者の父親固有の慰謝料等 275万円
弁護士費用 1500万円
過失相殺 - 1111万4188円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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