遷延性意識障害の被害者が転落死 遺族が賠償請求

IT 2016年6月8日 | 遷延性意識障害
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認容額 1506万8473円
年齢 64歳
性別 男性
職業 設備業(事故当時)
傷病名

下顎部挫創、両下腿擦過傷、右膝擦過傷、右手背擦過傷、右足関節擦過傷、右胸部打撲、脳挫傷及び急性硬膜下血腫等

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 2級
判決日 平成22年2月3日
裁判所 大阪地方裁判所

交通事故の概要

平成17年11月17日午前7時10分ころ、大阪府茨木市大同町七番二〇号の南北道路に西方道路が交差する三叉路交差点において、加害者の普通乗用自動車が西方道路を東進し、南北道路へ右折進行しようとした際、南北道路を北進してきた被害者の普通自動二輪車に衝突した。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、本件交通事故の結果、下顎部挫創、両下腿擦過傷、右膝擦過傷、右手背擦過傷、右足関節擦過傷、右胸部打撲、脳挫傷及び急性硬膜下血腫等の傷害を負い、平成17年11月17日から同月28日まで通院治療を受けた。
また、被害者は、脳挫傷、遷延性意識障害、慢性硬膜下血腫及びびまん性軸索損傷ないし頭部外傷後遺症により、平成17年11月29日から平成18年1月14日までK病院に、平成18年1月14日から同月17日までS病院に入院し、治療を受けた。
なお、被害者は、平成18年1月17日午前5時ころ、S病院において、シーツを裂いて作ったひもを伝い、四階病室のベランダから地上に降りようとして転落し、死亡した。

判決の概要

加害者が運転する普通乗用自動車が右折して進行しようとした際、被害者が運転する普通自動二輪車に衝突し、被害者が受傷した本件交通事故につき、被害者の妻子らが、加害者に対し、民法709条及び自動車損害賠償保障法3条に基づき、損害賠償を求めた。
被害者は、本件交通事故の結果、脳挫傷等の傷害を負い、びまん性軸索損傷を発症し、それによる見当識障害及び認知障害のため、本件転落事故を引き起こして死亡したというべきであり、本件交通事故がなければ本件転落事故が発生しなかったことは明らかであるから、本件交通事故と被害者の死亡との間には、事実的因果関係が認められるものの、相当因果関係は認められないとした。
被害者には、その症状が固定した後も、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要する後遺障害が残遺した蓋然性が認められるというべきである等として、被害者の妻子らの請求をそれぞれ一部認容した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 277万3072円
入院雑費 7万5000円
休業損害 54万6034円
逸失利益 2285万634円
慰謝料 2520万円
損害のてん補 - 3273万 1792円
弁護士費用 150万円
過失相殺 - 514万4474円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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