交通事故の同意書とは|保険会社が送付する理由及び提出する際の注意点
この記事のポイント
- 交通事故の同意書とは、主に加害者側保険会社が被害者の治療や怪我に関する個人情報を取得するために必要となる書類を指す
- 任意保険会社は、医療機関への治療費の直接支払いや医師に医療照会をするために同意書を送ってくる
- 交通事故の同意書は、サインをして提出すべきだが、医療照会の同意書は提出時に対策を検討する必要がある
交通事故被害者の方で、保険会社から同意書の書類が届き、書き方や対応にお困りの人は、必見の記事です。
目次
交通事故被害者になると、相手方の保険会社からも自分の保険会社からも大量の書類が送られてきます。
交通事故が起きると猛烈な数の書類が送られてくる。
相手保険会社・自身の保険会社から、個人情報の同意書・支払先金融機関情報書面・事故状況を説明する際の書類・医療機関と個人・医療情報を共有する事の同意書などなど。
弁護士を立てる際には更に上記分と委任契約書が追加される。— 新大阪 (@WestJapan_Osaka) 2019年3月12日
その書類の中に、同意書というものがあり、保険会社からは
「サインして提出してください」
と言われますが、本当に出さないといけないのでしょうか?
何もわからない状況ですと、同意書にサインするのは、デメリットやリスクが気になって、判断がつかないという声も聞かれますが、
基本的にはサインをして提出すべき
といえます。
もっとも、提出する際には注意点もあります。
こちらの記事で、交通事故被害者の方が、同意書の内容を理解した上で、適切な対応ができるように解説していきたいと思います。
交通事故の同意書とは|基礎知識の解説
主に加害者側保険会社から届く書類
交通事故の手続きにおいて、同意書は様々な場面で問題となる書類ではありますが、最も多くの被害者の方に関係があるのは、
加害者側保険会社から被害者に送られてくる同意書
になります。
なお、上記以外の交通事故で問題となる同意書としては
- 整骨院・接骨院に通院(転院)する際の整形外科の同意書
- 鍼治療を行うことについての医師の同意書
- 損害保険リサーチが過失割合などの調査を行うに際しての同意書
などがあります。
この記事では、加害者側保険会社から被害者に送られてくる同意書について解説していきます。
被害者の個人情報取得のために必要
加害者側保険会社が同意書を送ってくる理由は
医療機関から被害者の治療や怪我の症状に関する個人情報を取得
するためです。
加害者側保険会社は、交通事故被害者に対する適切な対応や保険金支払いのため、被害者の治療に関する情報を知る必要があります。
しかし、病院などの医療機関は治療経過・治療費や怪我の症状などの患者の個人情報を同意なく第三者に伝えることはできません。
保険会社が、医療機関から上記のような個人情報を取得するには、患者本人の同意を得ていることを証明する必要があります。
その患者本人の同意を得ていることを医療機関に示すために必要となるのが、同意書という書類です。
このように、加害者側保険会社から届く同意書は、保険会社が医療機関に提示する書類のため、
書式が医療機関宛となっている
ケースが多いですが、そういったケースでも、提出先は保険会社になるので、間違えないように注意しましょう。
同意書を出さない場合のデメリット
被害者の方の中には、加害者側保険会社に個人情報を知られるのに抵抗を感じて、同意書を出したくないという方もいると思います。
同意書にサインして提出するのは、あくまで任意なので、拒否することも出来ますが、出さないことによるデメリットもあります。
被害者にとって一番大きなデメリットは、治療費をいったん自分で負担しなければならないということです。
その理由は後ほど詳しく紹介します。
自分で負担した治療費は、後々加害者側に請求できますが、治療費の金額次第では、立替自体が大きな負担になる可能性があります。
3つの同意書の送付理由及びタイミング
①治療費の直接支払い(一括対応)
怪我の治療は、医療機関と患者である被害者との間の契約のため、治療費の支払い義務があるのはあくまで患者である被害者です。
そのため、交通事故被害者は、治療費を医療機関の窓口で支払い、その後で負担した金額を加害者側に請求するのが本来の形です。
しかし、任意保険会社は、被害者の負担を軽減するため、治療費を直接医療機関に支払うというサービスを行っています。
このサービスのことを一括対応(一括払い)といいます。
具体的には、医療機関から任意保険会社に診断書、診療報酬明細書が送られ、それに基づき、保険会社が治療費を直接支払います。
もっとも、病院が発行する診断書や診療報酬明細書には、治療内容や怪我の症状といった患者の個人情報が記載されています。
そこで、保険会社は被害者に同意書を送付してサインしてもらい、その同意書を提出して診断書・診療報酬明細書を受け取ります。
なお、病院が保険会社に治療費を直接請求する際に作成する自賠責保険の診断書の書式には、既往症の有無を記載する欄があります。
そのため、治療を受けた病院で過去の病歴を話している場合には、その範囲内で既往症が保険会社にわかってしまうことになります。
既往症の有無は、被害者が受け取れる損害賠償金額に影響してくる可能性があるので、注意が必要です。
このケースの同意書は、治療費の支払いが問題となる交通事故発生直後のタイミングで送られてきます。
治療費の窓口負担をできるだけ避けたい被害者の方は、すぐに提出するようにしましょう。
なお、同意書に有効期限があり、治療期間が長引いたケースでは、保険会社から再度同意書が送られてくる可能性があります。
②医師に対する医療照会・医療調査
保険会社は、保険金を適正に支払うため、被害者の治療内容や治療期間の妥当性などを判断する必要があります。
そして、治療内容や治療期間の妥当性は、診断書や診療報酬明細書だけでは判断できないケースも出てきます。
そういったケースでは、保険会社は医師に質問をしたり、診療記録を入手するなどして被害者の状態を確認しようと考えます。
この手続きのことを医療照会(医療調査)といいます。
この医療照会では、患者である被害者のより詳しい個人情報を取得する形になるので、別途同意書が送られてくるケースが多いです。
この同意書は、保険会社が症状固定(詳細は後述)の時期が近いと判断したタイミングで送られてくるケースが多いです。
医療照会を拒否すると、保険会社は、治療の必要性、相当性が判断できないことを理由に一括対応を中止する可能性が高いです。
そのため、基本的に同意書は提出すべきですが、後ほど詳しく紹介する注意点には気をつけましょう。
③自賠責保険の後遺障害認定の調査
交通事故では、被害者に後遺症が残った場合、被害者請求(被害者自身で申請する方法)などにより、後遺障害認定の申請をします。
申請を受け付けた自賠責保険損害調査事務所は、後遺障害等級認定を行うための調査を行います。
この調査に当たって、提出された経過診断書や後遺障害診断書だけでは判断できないケースが出てきます。
その場合、自賠責損害調査事務所も医療照会の手続きを取ります。
もっとも、自賠責損害調査事務所は、任意保険会社とは別の機関になるので、同意書が別途送られてくることになります。
同意書が送られてくるタイミングは、後遺障害認定の申請後ということになります。
この同意書を出さないと、十分な調査が行われず、後遺障害等級が認定されなかったり、想定より低い等級になる可能性があります。
そのため、この同意書もすぐに提出するようにしましょう。
ここまでの内容を表にまとめると以下のとおりです。
理由 | タイミング※ | |
---|---|---|
① | 一括対応 | 交通事故直後 |
② | 医療照会 | 症状固定の時期 |
③ | 後遺障害認定 | 後遺障害認定の申請後 |
※ 一般的なタイミング
医療照会の同意書提出に際しての注意点
お伝えしたとおり、保険会社から送られてきた同意書は提出すべきですが、医療照会の同意書提出には以下の注意点があります。
医療照会は治療費支払いを左右する
保険会社が医療機関に治療費を直接支払い(一括対応)するのは、症状固定の時期までです。
症状固定
傷病に対して行われる医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
保険会社は、この症状固定の時期かどうかの判断のため、医療照会を行います。
医療照会の結果、医師が症状固定の時期と認めれば、それを理由に保険会社は治療費の直接支払い(一括対応)を打ち切りします。
つまり、医療照会の結果が、保険会社による治療費の直接支払いの期間を左右するといえるのです。
なお、一括対応終了後も被害者が治療を継続する際、治療費の自己負担額を減らすには、健康保険を利用するという方法があります。
詳しい方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
症状固定は慰謝料などにも影響する
また、症状固定の時期は、治療費だけでなく、慰謝料や休業損害といった損害賠償金額全体にも影響してきます。
その理由は
- 慰謝料金額は症状固定までの治療期間で相場が決められている
- 休業損害(仕事を休んだ分の補償)は最大で症状固定時まで
だからです。
このように、医療照会を行う理由である症状固定の時期の判断は、交通事故において非常に重要なものになります。
症状固定について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧下さい。
症状固定を争うための提出時の対策
同意書を提出して医療照会が行われると、保険会社はその医療照会の結果を理由に症状固定を主張してくるケースが多いです。
その主張を防いだり、主張に対して反論するためには、医療照会が適切に行われ、結果を把握できるようにしておく必要があります。
そのための具体的な対策としては、同意書を提出する際に
- 医師に面談する際には被害者側の人物も同席させる
- 医師に対する質問事項を被害者側が事前に確認する
- 医師の回答書の写しを被害者側に交付する
といった条件を付けることが考えられます。
同意書の提出前に弁護士相談をしよう!
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このように、同意書の提出には注意点が色々とあるので、提出前に専門家である弁護士に相談して疑問を解決しておくべきです。
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出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/bentoku.jpg
なお、弁護士費用特約のメリットは、以下の動画でも弁護士が解説をしているので、興味のある方はそちらもぜひご覧下さい。
最後に一言アドバイス
それでは、最後に、交通事故の同意書について、アドバイスを一言お願いします。
個人情報が保険会社に知られてしまう同意書の提出に抵抗を感じる方も多いと思いますが、基本的には提出すべきといえます。
もっとも、医療照会の同意書については、対策を検討することなく提出してしまうと不利益となる可能性もあります。
疑問点がある場合は、サインをして提出する前に一度専門家である弁護士に相談しておくべきでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 交通事故の同意書とはどんな書類か
- 同意書を保険会社が送付してくる理由やタイミング
- 同意書にサインをして保険会社に提出する際の注意点
などについて理解を深めていただけたのではないかと思います。
これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。
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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。