【注目】後遺障害の慰謝料の計算方法とは?14級と12級で相場はどれほど違う?
交通事故の被害に遭い、怪我をしてしまった場合…。
怪我が完治できれば良いですが、残念ながら後遺障害が残ってしまう可能性も考えられます。
後遺障害が残ってしまった場合、これまでと同じように生活ができなくなってしまうかもしれない…。
ずっと痛みと付き合っていかなければならないかもしれない…。
そのように、将来の不安がたくさん襲ってきますよね。
2年前に交通事故に遭いました。しかし保険会社は言葉巧みに事を運びます。現在も後遺症に苦しんで毎日を送っています。この先不安で本当に辛いです。痛みと闘いながら通院しています。保険会社は加害者の味方であっても、被害者の味方ではないのですね。とても残念で悔しくてなりません。
— 明日天気にな〜れ (@takapure) September 20, 2017
後遺障害が残ってしまったことに対しては、しっかりとした補償を受け取るべきです!
しかし、相手側の保険会社は必ずしも被害者の方の味方ではないかもしれないのです。
- 保険会社から提示された慰謝料の金額は適正なのだろうか?
- そもそも後遺障害慰謝料の計算方法や相場って?
- 後遺障害の等級が14級と12級の場合では、慰謝料はどれほど違うのだろうか?
- 後遺障害が非該当だと慰謝料がもらえないってホント!?そうならないための対策は?
など、わからないことだらけですよね。
そこで今回このページでは、交通事故による後遺障害慰謝料の計算方法や相場などについて、お悩みの皆さまと一緒に勉強していきたいと思います。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故により後遺障害が残ってしまった場合、ご本人はもちろん、ご家族の方への負担も非常に大きいものと考えられます。
さらに、後遺障害に対する補償を受け取るための保険会社との交渉でも、大きなストレスを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実際に、後遺障害の慰謝料に関してお悩みの方から多くの相談を受けてきました。
今回はその経験に基づき、具体例も交えながらわかりやすく解説していきたいと思います。
交通事故で怪我を負ってしまった場合には意外とお金がかかります。
後遺障害が原因で仕事を変えなければならなくなってしまえば、将来の収入が減ってしまう可能性もあります。
お金ですべてが解決できるわけではありませんが、そのような不安を少しでも軽減できるよう、適正な慰謝料を受け取るべきです!
とはいえ、適正な慰謝料とはどれくらいなのか…まずはそこから見ていきましょう。
後遺障害の慰謝料とは?その計算方法について解説
後遺障害慰謝料とは
交通事故の被害にあった場合、加害者や相手側の保険会社に対して損害賠償を請求することができます。
交通事故で受け取れる損害賠償(示談金)の内訳については、こちらの記事をご覧ください。
そして慰謝料とは、被害者の方の「精神的苦痛」に対する賠償として支払われるもので、示談金の中の1つなのです。
慰謝料には、入院・通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害(後遺症)慰謝料、死亡慰謝料の3種類が存在しています。
つまり後遺障害慰謝料とは、後遺障害を抱えて生きていくことに対する精神的苦痛に対して支払われるものということになります。
入通院慰謝料と死亡慰謝料についてはコチラの記事をご覧ください。
- 43146
また、後遺障害が残ってしまった場合、逸失利益という損害賠償を受け取ることもできます。
逸失利益については、こちらの記事を参考にしてみてください。
後遺障害慰謝料の計算方法
以上のような後遺障害慰謝料ですが、どのように計算されるのでしょうか?
後遺障害慰謝料の金額に関しては、計算方法があるのではなく、認定される後遺障害の等級に応じて慰謝料の基準額が設けられています。
計算方法があるというよりも、等級の認定結果に応じて相場が決まっているんですね。
つまり、後遺障害の等級が何級に認定されるかによって慰謝料の金額も変わってくるということですね。
では次から、認定等級によって相場がどれほど違うのか詳しく見ていきましょう。
後遺障害慰謝料の相場|14級と12級ではどれほど違う?
自分の症状は14級?12級?後遺障害等級の認定基準とは
先ほどから話にあがっている後遺障害の等級は、1級~14級に分けられているもので、それぞれ認定基準が設けられています。
そして、後遺障害の症状が重いほど低い数字の等級が認定されることになります。
それぞれの等級の認定基準を知りたい場合は、下の表の等級の数字をクリックしてみてください。
1級 | 2級 | 3級 |
4級 | 5級 | 6級 |
7級 | 8級 | 9級 |
10級 | 11級 | 12級 |
13級 | 14級 |
等級の併合とは
ところで、大きな交通事故に巻き込まれた場合など、1つの怪我だけで済まないこともありますよね…。
https://twitter.com/Kenshinchoco/status/735740231517765635
そうなると、2つ以上の後遺障害が残ってしまう可能性も十分に考えられます。
たとえば、12級と9級の後遺障害が認定された場合、単純に12級と9級に対する慰謝料を合計した金額がもらえるのですか?
残念ながら、そのような単純な計算にはなりません。
2つ以上の後遺障害が残った場合、併合して1~3等級繰り上げるというルールが存在しています。
たとえば、12級と10級の後遺障害を負った場合には、併合9級と認定されることになります。
単純に慰謝料が合計される訳ではないのですね。
とはいえ、併合9級となれば9級と同じ後遺障害慰謝料が支払われることになります。
詳しいルールは、以下のようになっているそうです。
例
等級併合のルール
ケース | 等級併合の方法 | 具体例 |
---|---|---|
13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺障害を1級繰り上げる | 11級と12級の後遺障害 ⇒併合10級 |
8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺障害を2級繰り上げる | 8級と7級の後遺障害 ⇒併合5級 |
5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺障害を3級繰り上げる | 5級と4級の後遺障害 ⇒併合1級 |
ちなみに、1つが14級の認定であった場合には、等級は繰り上がらず、重い方の等級のまま認定されるということです。
たとえば、14級と11級の後遺障害を負った場合には、併合11級の認定を受けることになります。
14級に該当する後遺障害が複数個残った場合には、併合14級ということになります。
以上のように等級が認定されれば、その等級に応じて後遺障害慰謝料が支払われることになります。
では、14級や12級など、認定される等級によって、慰謝料にはどれほどの差があるのでしょうか?
3つの慰謝料相場の基準~自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準~
その前に…。
等級による慰謝料の差の他に、後遺障害慰謝料の相場には3つの基準があるってご存知でしたか?
実は、後遺障害慰謝料の相場には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
適正な後遺障害慰謝料を受け取るためには、この基準の違いを理解しておくことも重要なようです。
ということで、それぞれについて詳しく見ていきますね。
「自賠責基準」の後遺障害慰謝料
自賠責基準の後遺障害慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法とは、交通事故の被害者の方が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は非常に低く設定されています。
「任意保険基準」の後遺障害慰謝料
続いて、任意保険基準による後遺障害慰謝料の相場も存在しています。
最低限の補償である自賠責基準よりは高い金額設定となっているものの、任意保険会社は営利企業です。
そのため、もちろん支払う金額は少なく済ませたいと考えているはずですよね。
よって、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
「弁護士基準」の後遺障害慰謝料
上記2つの保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、弁護士基準と呼ばれるものです。
これは、弁護士を付けて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のことになります。
裁判基準と呼ばれることもあるそうです。
弁護士基準(裁判基準)の相場は、弁護士が編集委員となり毎年改訂版が発行されている
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤本)
という本で公開されているそうです。
赤本の詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
この赤本(赤い本)に記載されている弁護士基準は、過去の裁判所の裁判例の慰謝料などの金額を調査・分析したうえでまとめられたものとなっています。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
もうおわかりかと思いますが、適正な慰謝料を獲得するためには、弁護士基準での慰謝料を獲得する必要があるんですね!
つまり、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことがベストということになるのです。
後遺障害慰謝料の相場|弁護士基準は保険会社の2倍以上!?
後遺障害の等級と、慰謝料の3つの基準がわかったところで、いよいよ後遺障害慰謝料の相場を見てみましょう。
後遺障害等級 | 自賠責基準※1 | 任意保険基準※2 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※2 旧任意保険支払基準による。
見れば一目瞭然。
しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
しかし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
むちうち(頚椎捻挫)で12級?14級?後遺障害等級による慰謝料の違い
また、相場の表を見ておわかりの通り、基準ごとに大きな差があるのはもちろん、等級が1つ違うだけでも慰謝料に非常に大きな差がありますね。
たとえば、交通事故で負うことが多いむちうち(頚椎捻挫)の場合を例に見てみましょう。
むちうち(頚椎捻挫)では、痛みなどの神経症状が残っている場合、14級9号が認定される可能性があります。
その痛みが医学的に証明できる場合には、12級13号認定の可能性もあります。
非常に重い症状の場合には、9級や7級が認定される可能性もあるそうです。
そして、どの等級に認定されるかによって、以下のような後遺障害慰謝料の差が出てくるんですね。
14級9号 |
---|
頚部や肩甲部の局部に痛みに加え、局部から手指にかけて、痺れや重だるさなどの神経症状を残す場合 【後遺障害慰謝料】 110万円 |
12級13号 |
局部に残存する神経症状が頑固なものと医学的に証明できる場合 【後遺障害慰謝料】 290万円 |
(9級10号) |
神経系統の機能または精神に障害を残し、その障害によって働くことができる仕事が相当限定されている場合 【後遺障害慰謝料】 690万円 |
(7級4号) |
神経系統の機能または精神に障害を残し、その障害によって働くことができる仕事が相当限定されている場合 【後遺障害慰謝料】 1000万円 |
※ 慰謝料は弁護士基準に基づく。
同じ怪我を負ったとしても、認定される後遺障害等級が12級か14級かによって、慰謝料に2倍以上の差があります。
やはり、自分の症状に見合った適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要となってきそうです。
(参考)適切な後遺障害慰謝料獲得に向けた等級認定のポイント
ポイント①後遺障害診断書の内容を弁護士に相談
では、適切な認定を得るために、何か気を付けるべきポイントはあるのでしょうか?
そもそも、後遺障害が認められるためには、事故との因果関係が認められる必要があります。
さらに、残っている症状にある程度の強さや継続性が認められて、はじめて認定されるものになります。
また、その症状を他覚的に証明できる必要があります。
そのためには、後遺障害診断書の内容が非常に重要となってきます。
後遺障害の認定は原則として書面審査となっています。
そのため、基本的には後遺障害診断書がどう記載されているかによって後遺障害の認定の可否や等級が決まってしまうんですね。
具体的には、仮に同じ症状でも、自覚症状が詳細に記載されているかどうかによって、認定結果が変わってくる可能性があります。
また、仮にある検査を行ったとしても、その検査結果が記載されていなければ、検査は行われていないものとして判断されてしまいます。
後遺障害診断書に関してより詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。
後遺障害診断書を作成するのは主治医になりますが、弁護士に相談すると内容についてアドバイスをもらえるそうです。
非常に重要な診断書となりますので、弁護士に相談してみてください!
ポイント②申請方法は「被害者請求」が望ましい
また、交通事故の場合、後遺障害の申請は原則として、自賠責保険に対して行うことになるそうです。
その後、自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構という第三者機関に後遺障害認定の等級を含む全ての損害調査を委託することになります。
事前認定
事前認定とは、簡単に言うと、
相手側の任意保険会社が窓口となって被害者の方の後遺障害の等級認定を事前に確認する
方法のことになります。
事前認定についてより詳しく知りたいという場合は、こちらの記事もご覧になってみてください。
被害者請求
一方の被害者請求とは、簡単に言うと、
被害者ご本人が直接相手の自賠責保険に後遺障害の等級認定を請求する
方法のことです。
被害者請求についてより詳しく知りたいという場合は、こちらの記事もご覧になってみてください。
以上のような2つの方法ですが、事前認定の場合、「手続きが不透明」というデメリットが挙げられるそうです。
つまり、保険会社が提出した書類の内容や時期を被害者が把握できないということです。
具体的には、事案によってですが、
後遺障害が認められにくい方向に働く内容の顧問医の意見書
を付けて被害者の後遺障害の等級の認定を損害保険料率算出機構に依頼することがあるようです。
また、保険会社の担当者は多くの案件を抱えているため、申請を後回しにされてしまうケースもあるようです。
事前認定の場合、相手側の任意保険会社は必要最低限の書類しか提出してくれません。
一方の被害者請求の場合、必要資料以外に認定に有利な医療関係の資料や意見書の添付も可能となっています。
そのため、後遺障害の等級認定に争いのあるケースでは、被害者請求の方が望ましいと言えます。
とは言っても、ご本人だけで被害者請求を行うことはなかなか難しいように感じます。
ここでも、弁護士に相談すれば、認定に有利となる医療関係の資料や意見書の収集やアドバイスを受けられるというメリットがあるそうです。
後遺障害の認定申請にあたっては、やはり弁護士に相談してみた方が良いかもしれません!
後遺障害慰謝料の計算機
ここまでお読みになって、自分やご家族の事故ではどれほどの示談金が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
そこでこのページでは、後遺障害慰謝料や逸失利益も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。
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後遺障害の等級に非該当だった場合は慰謝料がもらえない!?その場合の対応とは
認定結果に納得できない場合の対応は…
以上、後遺障害慰謝料の相場について見てきました。
ところで、最低でも14級の後遺障害の等級が認定されれば良いですが、認定されない=非該当となることもあるようです…。
事故の保険会社から封書が来てて後遺障害申請が非該当になりましたよ、って通知だった。事前認定だと大体は通らないとあったし想定内ではあったけどどうしたもんかなあ。弁護士入れるべきか諦めるべきか
— es (@es_atlf) December 13, 2015
後遺障害の等級に非該当となれば、後遺障害は残っていないものとみなされてしまうわけですから、後遺障害に対する損害賠償を受け取ることができないんですよね!?
でも、確かに痛みなどの症状が残っているのであれば、今後の生活に影響があるのは確かです。
後遺障害に非該当だったり、思ったよりも低い等級が認定された場合など、認定結果に納得できない場合、どのような対応をすれば良いのでしょうか。
認定結果に納得がいかない場合には、
- 自賠責保険への異議申し立て
- 自賠責保険/共済紛争処理機構への紛争処理申請
- 裁判の提起
という3つのいずれかの方法により、認定結果を争う必要があります。
対応①自賠責保険への異議申し立て
まず一つ考えられるのが、相手側の加入する自賠責保険会社に異議申し立てをすることなのだそうです。
具体的には、異議申立書及び必要書類を提出することになります。
書類の提出を受けた自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構に書類を転送し、再度の判断を依頼することになります。
異議申し立ての場合は、外部の専門家も参加する自賠責保険審査会という機関によって判断されることになります。
費用は無料であり、原則として書面のみで判断され、当事者の出席は不要です。
また、異議申し立ては何度でも行うことが可能なのだそうです。
ただし、やはり初回の認定手続きが非常に重要視されてしまうため、前回の申請とは異なる新たな有力資料を提出しないと、何度申し立てても結果は変わらないことがほとんどなのだそうです。
よって、初回の後遺障害申請の段階で弁護士に相談して、確実に等級認定を受けられるのが望ましいです。
異議申し立てについて、より詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご覧になってみてください。
対応②自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請
もう一つ、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理申請を行うこともできるそうです。
具体的には、紛争処理申請書及び必要書類を提出することになります。
書類の提出を受けた自賠責保険・紛争処理機構は、
- 弁護士
- 医師
- 学識経験者
が紛争処理委員を務める紛争処理委員会が提出された書面などで審査を行い、調停結果を通知します。
費用は無料であり、原則として書面のみで判断され、当事者の出席は不要です。
ただし、異議申し立てと異なり、紛争処理申請は1度だけしか行えません。
また、紛争処理申請についても、認定結果が変わることはあまりないようです。
やはり、初回の認定手続きが重要視されることになります。
対応③裁判の提起
最後の手段としては、裁判を起こすことも考えられます。
具体的には、裁判所に訴状及び証拠を提出することになります。
訴状の提出を受けた裁判所は、自賠責保険の認定結果に拘束されず、判決などにおいて、後遺障害の判断をすることになります。
ただし、裁判所も自賠責保険の認定結果を重視していると考えられます。
この場合も、自賠責保険の申請時とは異なる新たな有力資料を提出しないと、自賠責保険の認定結果と変わらない認定になることがほとんどです。
ただし、裁判の場合には、後遺障害の等級は非該当のままでも、後遺障害慰謝料の支払いは認めた裁判例もあるようです。
裁判例
後遺障害の等級非該当に対する慰謝料
症状 | 慰謝料 |
---|---|
・頸椎捻挫 | 55万円 |
・頚部痛 ・頭痛 ・腰痛 ・指のしびれ |
100万円 |
・全身の鈍痛 ・首から腰の痛み ・気力喪失 ・顔面のしびれなど |
60万円 |
・右足の10×4cmの瘢痕など ・天候により疼痛あり |
30万円 |
・声が十分でない症状 | 50万円 |
とはいえ、裁判の費用は有料で、当事者の出席が必要となります。
また、1年程度の長い期間がかかってしまうことも考えられます。
そのうえ、等級認定や後遺障害慰謝料を受けられない可能性もあるという点もふまえ、弁護士と相談しながら、裁判の提起を検討してみてはいかがでしょうか。
事故の裁判に関しては、こちらの記事もご覧になってみてください。
以上、3つの方法を比較すると以下のようになります。
認定結果に納得できない場合には、弁護士に相談して、ご自身にあった方法で対応するようにしてください。
まとめ
後遺障害の認定結果に納得できない場合の対応
異議申立 | 紛争処理申請 | 裁判 | |
---|---|---|---|
判断権者 | 損害保険料率算出機構 | 紛争処理委員会 | 裁判所 |
費用 | 無料 | 有料 | |
当事者の出席 | 不要※ | 必要 | |
不服申立 | 何度でも可能 | 1度のみ可能 | 上訴可能 |
※ 醜状障害などでは面談行われる場合あり。
後遺障害の慰謝料はいつ支払われるの?支払いまでにかかる期間は…
ここまでで、後遺障害慰謝料について理解を深めていただけたでしょうか。
では最後に、この後遺障害慰謝料はいつ支払われるものなのでしょうか?
今後の生活に必要となってくるもののため、ちゃんと等級が認定されて、慰謝料が支払われるまで心配で落ち着けませんよね…。
交通事故後遺障害認定14級が確定しまして、5月上旬に加害者側の保険会社へ書類等を郵送済みなのですが今現在、慰謝料の金額がまだ確定されておりません。
6月中旬に保険会社へ連絡を入れてところ、上層部まで行っていているので、まだ時間がかかるとのこと。。。
加害者側の保険会社は払い渋りで有名な会社なのでいつになったら慰謝料決定・示談書が送られてくるのか不安です。
(略)
こちらは早く決着をつけたいのですが。。。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1389910768
症状固定までにかかる期間
事故日から後遺障害慰謝料が支払われるまでを考えると、まず、怪我の治療にかかる期間があります。
そして、後遺障害が残る=怪我は完治しないということになるので、どこかのタイミングで治療を打ち切ることになります。
それを、症状固定というそうです。
症状固定
医学上、一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
つまり、症状固定とは、痛みなどの症状がなくなった段階のことではないということなのですね。
そして、これ以上治療の効果が期待できないような症状が後遺障害として認定されることになります。
一般的には、事故後6ヶ月程度で症状固定に至ることが多いとされているようです。
症状固定について、より詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご覧になってみてください。
後遺障害の審査にかかる期間
そして、多くの場合、6ヶ月程度で症状固定をした後に、後遺障害の認定申請をすることになります。
後遺障害の申請方法には事前認定と被害者請求という2通りがあるということでした。
事前認定の場合、保険会社が申請を行ってくれるので、手続きが楽というメリットはあります。
しかし、保険会社の担当者のかかえる案件数や対応を怠っていることによって、調査事務所に申請する前の準備に長時間かかってしまうこともあるそうです。
被害者請求の場合には、被害者の方ご自身で資料を集める必要があり、手間どる可能性はありますが、準備の期間は自身で管理できます。
特に、弁護士に依頼いただければ、弁護士による資料収集や検討時間といった準備の時間が必要となるものの、よりスムーズに申請手続きを行うことが可能です。
そして、申請から認定結果が出るまでの審査期間は、多くは1ヶ月程度、場合によっては3ヶ月以上かかることもあるようです。
示談締結~支払いまでの期間
以上、どちらかの方法で後遺障害の申請をし、等級認定結果に納得できれば、そこから示談スタートとなります。
しかし、もしも認定結果に納得がいかない場合には、異議申立てや裁判が必要になることもあり、さらに時間がかかってしまうでしょう。
示談交渉が終わり、示談金の金額が確定してしまえば、支払いまでの期間は通常2~3営業日となるそうです。
場合によっては支払いまでに1~2週間かかることもあるようなので、2週間経っても振り込まれないようであれば保険会社に確認してみるのが良いでしょう。
まとめ
事故発生~後遺障害慰謝料支払いまでの期間の目安
後遺障害等級に争いが無い場合 |
---|
6ヶ月~1年+2~3営業日 |
後遺障害等級に争いがある場合 |
1年以上+2~3営業日 |
慰謝料が支払われるまでに1年以上かかると言われると、その間の生活費なども心配ですし、早く決着を付けてしまいたいという気持ちもわかります。
しかし、早く示談交渉を終わらせるために、保険会社の言い分だけを聞いて急いで示談を成立させるのは禁物です。
というのも、一度示談が成立してしまうと、後から慰謝料などの追加請求をすることは非常に困難となってしまうのです。
時間はかかっても、しっかりと納得のいくまで示談交渉をしてから、適正な金額の後遺障害慰謝料を受け取るようにしましょう!!
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、後遺障害の慰謝料に関してお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
まずは、医師の診断を受け、きちんと療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに後遺障害が残ってしまった場合や残ってしまいそうな場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、日常生活に支障が出るような後遺障害が残った場合には、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社の言われるままに示談してしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 後遺障害の慰謝料の計算方法や相場
- 後遺障害の等級による慰謝料相場の違い
- 後遺障害に非該当だった場合の対応
- 後遺障害慰謝料が支払われる時期
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。