交通事故による失明|目の後遺障害等級、慰謝料ガイド
交通事故による後遺障害が眼に残ってしまうと、日常生活に大きな支障をきたしますね。特に、突然失明し眼が見えなくなってしまった方の精神的苦痛は、想像を絶するものだと思います。
このページでは、眼の後遺障害の基礎知識と、慰謝料の相場などについて、紹介していきます。適切な慰謝料獲得のための一助となれば幸いです。
目次
交通事故の眼の障害とは
眼の構造
眼は、この画像から分かる通り、とても複雑な構造をしています。
眼の構造で特に重要な部分が、虹彩、水晶体、網膜、視神経でしょう。
人間が物を見るとき、眼に入ってきた光を虹彩の働きにより絞り、水晶体がそれを屈折させて網膜で焦点を合わせ、その信号を視神経が脳に送る、といったことが行われています。
交通事故による眼の障害の特徴
交通事故による眼の障害の特徴には、大きく分けて2種類あります。
眼球や眼周辺部への外傷に起因
1つ目は、眼が直接的な衝撃を受けて、眼を構成する器官がダメージを受けることです。
たとえば、メガネをかけている運転手が事故に遭い、割れたメガネが眼球を傷つけることなどが考えられます。
脳への外傷に起因
2つ目は、脳が衝撃を受け、視覚をつかさどる視神経にダメージが生じ、視覚などに悪影響が出るものです。
このケースでは、眼に直接的な怪我がなくとも、視覚障害などが生じる可能性があります。
眼の障害の特徴 | 具体例 |
---|---|
眼を構成する器官にダメージ | 衝撃で破損したメガネの一部が眼球を傷つける |
視神経にダメージ | 頭を強く打ち、意識が戻るも目が見えにくい |
後遺障害認定される眼の障害とは?
眼球の障害
視力障害
視力障害は、文字通り事故により視力が落ちてしまう障害をいいます。以下の通り、事故後の視力の程度によって後遺障害等級の認定がなされます。
視力障害
等級 | 後遺障害 |
---|---|
1級1号 | 両眼が失明 |
2級1号 | 片方の眼が失明し、もう片方の眼の視力が0.02以下に低下 |
2級2号 | 両眼の視力が0.02以下に低下 |
3級1号 | 片方の眼が失明し、もう片方の眼の視力が0.06以下に低下 |
4級1号 | 両眼の視力が0.06に低下 |
5級1号 | 片方の眼が失明し、もう片方の眼の視力が0.1以下に低下 |
6級1号 | 両眼の視力が0.1以下に低下 |
7級1号 | 片方の眼が失明し、もう片方の眼の視力が0.6以下に低下 |
8級1号 | ・片方の眼が失明 ・片方の眼の視力が0.02以下に低下 |
9級1号 | 両眼の視力が0.6以下に低下 |
9級2号 | 片方の眼の視力が0.06以下に低下 |
10級1号 | 片方の眼の視力が0.1以下に低下 |
13級1号 | 片方の眼の視力が0.6以下に低下 |
視力障害の注意点としては、メガネやコンタクトでの矯正が可能な場合(視界が歪むなど、通常と異なる見え方にはならない場合)には、矯正後の視力を基準に判断するということです。
調節機能障害
調節機能障害とは、眼のピントが合わせにくいなど、見え方の調節に障害がでることをいいます。そして、以下のとおり、調節機能が2分の1以下に低下した場合に、後遺障害として認定されます。
調節機能障害
等級 | 後遺障害 |
---|---|
11級1号 | 両眼の調節機能が2分の1以下に低下 |
12級1号 | 片眼の調節機能が2分の1以下に低下 |
この調節機能の検査には、アコモドポリレコーダーという機器を用います。
アコモドポリレコーダーでは、遠くと近くのそれぞれのポイントにピントが合うまでの時間によって、調節機能を診断します。
運動機能障害
運動機能障害とは、文字通り眼球の動きに障害が出てしまうものをいいます。以下の通り、その障害の程度により、後遺障害等級認定がなされます。
運動機能障害
等級 | 後遺障害 |
---|---|
10級2号 | 正面を見た場合に物が二重に見える |
11級1号 | 両眼の注視野が2分の1以下に低下 |
12級1号 | 片眼の注視野が2分の1以下に低下 |
13級2号 | 正面以外を見た場合に物が二重に見える |
注視野とは、眼球を動かして見える範囲をいいます。
注視野の範囲は、ゴールドマン型視野計という検査機器が用いられます。通常の視野は、片眼だと50度、両眼だと45度程度とされています。
また、10級2号が認められるためには、ヘススクリーンテストという両眼の位置のずれを計測する検査方法による所見が必要です。自覚症状にとどまる場合は、13級2号が認定されるにとどまります。
視野障害
視野障害とは、1点を見つめたとき同時に見える範囲の広さが、正常な場合よりも狭まるものをいいます。以下の通り、通常の視野の60%以下に低下した場合に後遺障害認定がされます。
視野障害
等級 | 後遺障害 |
---|---|
9級3号 | 両眼の視野が通常時の60%以下に低下 |
13級2号 | 片眼の視野が通常時の60%以下に低下 |
視野の範囲は、ゴールドマン型視野計により判断されます。
まぶたの障害
欠損障害
まぶたの欠損障害とは、まぶたの全部または一部がなくなってしまう障害をいいます。以下の通り、その欠損の程度により、後遺障害等級認定がなされます。
欠損障害
等級 | 後遺障害 |
---|---|
9級4号 | 両眼のまぶたが角膜を完全に覆うことができない状態 |
11級3号 | 片眼のまぶたが角膜を完全に覆うことができない状態 |
13級4号 | ・両眼のまぶたが白目部分を覆うことができない状態 ・両眼のまつげの2分の1以上はげてしまった状態 |
14級1号 | ・片眼のまぶたが白目部分を覆うことができない状態 ・片眼のまつげの2分の1以上はげてしまった状態 |
運動障害
まぶたの運動障害とは、文字通りまぶたの運動に障害がでてしまう障害をいいます。以下の通り、眼を開けた場合に瞳孔部分を完全に覆ってしまう場合又は眼を閉じた場合に角膜を完全に覆うことができない場合に、後遺障害として認定されます。
運動機能障害
等級 | 後遺障害 |
---|---|
11級2号 | ・両眼が、眼を開けた場合に瞳孔部分を完全に覆ってしまう場合 ・両眼が、眼を閉じた場合に角膜を完全に覆うことができない場合 |
12級2号 | ・片眼が、眼を開けた場合に瞳孔部分を完全に覆ってしまう場合 ・片眼が、眼を閉じた場合に角膜を完全に覆うことができない場合 |
眼の後遺障害等級と慰謝料の関係
等級別の後遺障害慰謝料の相場とは?
後遺障害慰謝料は、認定される後遺障害等級ごとに、一定の相場があります。
この相場は、法律雑誌である「赤い本」に記載されているもので、多くの裁判例はこの相場にのっとった判断をしています。
後遺障害慰謝料の相場
等級 | 後遺障害 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
相場以上の慰謝料を獲得するためには
以上でご紹介した後遺障害慰謝料の相場は、あくまで相場であるため、場合によっては慰謝料が増額されることもあります。
たとえば視力障害について、それまでに特に視力が重要な仕事に従事していた場合(スポーツ選手、精密機械関連業など)は、事故による精神的苦痛が大きいとして、慰謝料が増額されるケースがあります。
一方、等級が出ていても、それによる精神的苦痛が大きくないと判断されてしまうと、相場より低い慰謝料になってしまうかもしれません。
このように、適切な慰謝料を獲得するためには、交渉や裁判においての適切な主張が必要不可欠です。
交通事故に詳しい弁護士であれば、交通事故に関する知識やノウハウを有していることから、適切な慰謝料を獲得するための必要十分な主張をすることができます。
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いかがでしたか?
この記事をお読みの方には、「交通事故による失明|目の後遺障害等級、慰謝料ガイド」というテーマに関して、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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交通事故による目の後遺障害に関するQ&A
交通事故による目の障害の原因って?
交通事故による目の後遺障害の原因には、大きく分けて2種類あります。1つ目は、眼球や眼周辺部への外傷に起因するものです。例えば、メガネをかけている運転手が事故に遭い、割れたメガネが眼球を傷つけることで眼の後遺障害を引き起こします。2つ目は、脳の外傷に起因するものです。脳に衝撃を受け、視覚をつかさどる視神経にダメージが生じ、視覚に悪影響が出ます。眼に直接的な怪我がなくても、生じる可能性があります。 交通事故による目の障害の特徴
後遺障害認定される眼の障害って?
眼の後遺障害は2つに分けられます。1つ目は、眼球に関する障害です。眼球に関する障害には、事故により視力が落ちてしまう視力障害、眼のピントが合わせにくくなる調節機能障害、眼球の動きに障害が出る運動機能障害、視野の範囲が狭くなる視野障害があります。2つ目は、まぶたの障害です。まぶたに関する障害には、まぶたの全部または、一部がなくなる欠損障害とまぶたの運動に障害が生じる運動障害があります。 後遺障害認定される眼の障害について
眼の後遺障害の慰謝料を増額させるには?
後遺障害慰謝料は、等級ごとに一定の相場があります。しかし、場合によっては慰謝料が増額されることもあります。例えば視力障害について、特に視力が重要な仕事に従事していた場合(スポーツ選手、精密機械関連業など)は、事故による精神的苦痛が大きいとして、慰謝料が増額されるケースがあります。このように、適切な慰謝料を獲得するためには、適切な等級認定を受けること、交渉や裁判においての適切な主張が必要不可欠です。 眼の後遺障害等級と慰謝料の関係について
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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