20代で遷延性意識障害で後遺障害1級 賠償2億超

IT 2016年6月7日 | 遷延性意識障害
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認容額 2 億 5105万5404円
年齢 26歳
性別 男性
職業 自営業(事故当時)
傷病名

左急性硬膜下血腫、脳挫傷、右頭蓋骨骨折、骨盤骨折、頸椎挫傷、両膝関節打撲骨折

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 1級
判決日 平成24年3月16日
裁判所 名古屋地方裁判所

交通事故の概要

平成19年10月26日午後11時25分ころ、名古屋市中川区春田一丁目五番地先の交差点において、本件交通事故発生した。
加害者は、自家用普通乗用自動車を運転して本件事故現場の信号機によって交通整理のされている交差点を対面信号が青色を表示している下で富田町大字長須賀方面から服部一丁目方面に向かい右折進行するに当たり、対面直進車両の有無及びその安全を十分確認することなく漫然と時速20kmで右折進行したため、折から対向直進してきた被害者が運転する自家用普通自動二輪車に気付かず、加害車右前部を被害車右側部に衝突させて、被害車もろとも被害者を路上に転倒させ、傷害を負わせた。

被害者の入通院治療の経過

本件事故により、被害者は左急性硬膜下血腫、脳挫傷、右頭蓋骨骨折、左前腕骨折、骨盤骨折、頚椎挫傷、両膝関節打撲傷等の傷害を負った。被害者は、706日間入院して治療を受け、平成21年9月30日に症状固定と診断された。

後遺障害の内容

被害者は、生命維持に必要な身の回り処理の動作について常に他人の介護が必要な状況にあり、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として後遺障害等級第1級1号に該当する。
具体的な後遺障害の内容としては、頭部外傷後の症状は、頭部画像(X線、CT)上、左急性硬膜下血腫、脳挫傷が認められ、受傷当初から平成21年3月18日画像に至るまで上記外傷による遷延性意識障害の経時的推移が認められる。遷延性意識障害(外来的刺激に対して開眼みられるも、刺激方向への反応はない。発語、言語理解なく言語による意思疎通を図ることは不可能)、四肢運動障害(四肢体幹運動麻痺につき、自発運動はほとんどみられず、自力での寝返り不可能にて介助がなければ常に臥床状態にある)が認められ、左頭部外減圧術後状態として、上記障害により自力での移動、食事摂取、排泄不能につき終日全介護要状態にある。意識が全くなく、親の掛け声も理解不能で、何の表情もなく、すべてに介護を要する状態である。

判決の概要

本件交通事故は、加害者Aが加害者Bの保有する車両を運転していて、過失により発生させたものである。本件事故により、被害者に傷害を負わせるなどの人的損害、及びヘルメットの破損などの物的損害を負わせた、また、被害者の両親には、被害者の傷害による精神的苦痛を与える損害が生じた。よって、加害者Aに対しては民法709条の不法行為責任に基づき原告らに生じた全損害について、加害者Bに対しては自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任に基づき、被害者らに生じた人的損害について、損害賠償請求と損害金に対する遅延損害金から既払い金を控除した残額の支払を求めた。
双方の過失の内容からすれば、本件事故における過失割合は、被害者が15%、加害者が85%であると認めるのが相当であるとして、被害者らの請求を一部認容、一部棄却した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 1041万5177円
入院雑費 105万9000円
将来介護費 1 億 2325万4843円
休業損害 493万5486円
逸失利益 9657万879円
慰謝料 3200万円
装具代 1万 6000円
付添看護料 311万 2200円
介護住宅費用 1405万 616円
介護ベッド費用 218万 364円
車椅子費用 177万 4487円
介護リフト費用 201万 4410円
入浴設備費用 174万 123円
介護車両費用 640万 502円
医療機器費用 140万 3764円
将来雑費 918万 3820円
損害の填補 - 1824万 9935円
自賠責保険金による填補 - 1126万 3544円
被害者の物的損害 23万 3963円
被害者の父親固有の慰謝料等 187万円
被害者の母親固有の慰謝料等 187万円
弁護士費用 1300万円
過失相殺 - 4651万6751円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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