遷延性意識障害で後遺障害1級、毎月25万円の賠償

IT 2016年6月6日 | 遷延性意識障害
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認容額 5005万7579円
年齢 25歳
性別 男性
職業 会社員(事故当時)
傷病名

頚髄損傷、頭蓋頚椎脱臼、脳挫傷

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 1級
判決日 平成24年10月11日
裁判所 東京地方裁判所

交通事故の概要

平成20年5月19日午前7時20分ころ、神奈川県川崎市内の交差点において、被害者が所有し運転する自家用普通自動二輪車と、加害会社が使用し加害者が運転する事業用普通乗用自動車が出合い頭に衝突した。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、本件事故により、頚髄損傷、頭蓋頚椎脱臼、脳挫傷の傷害を負い、本件事故当日の平成20年5月19日から同年9月10日まで横浜市のY病院に、同日から平成22年11月17日まで東京都のS病院に、同日から千葉市のT療護センターに各入院した。本件裁判の時点において、同センターに入院し、治療を受けていた。

後遺障害の内容

被害者を治療した医師は、平成21年11月4日に症状固定した旨の自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書を作成した。
被害者は、平成22年2月24日までに、自賠責保険における後遺障害等級認定手続において、上記後遺障害診断書に、四肢の自動運動が不能とされ、高度の四肢麻痺が認められ、気管切開の上人工呼吸器を利用し、胃ろうによる経管栄養で、ベッド上寝たきりの状態であり、ADL(日常生活動作)全介助の状態にあるとされていることから、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として、自賠法施行令別表第一1級1号に該当する後遺障害があると判断された。

判決の概要

被害者が運転する自家用普通自動二輪車と、加害者が運転する事業用普通乗用自動車とが出合い頭に衝突した交通事故について、被害者が、加害会社と加害者に対し、人的損害等に係る損害賠償金等の支払を求めた。また、加害会社が、被害者に対し、物的損害等に係る損害賠償金等の支払を求めた。裁判所は、それぞれの事件について、請求を一部認容した。
なお、将来の介護費用の支払について、被害者(男・症状固定時25歳・会社員)は、事故から約4年以上、人工呼吸器を付けて生存しているものの、状態は決して安定しておらず、感染症罹患のリスクも相当高いから、その余命を含めて将来の状況を的確に予測することは困難である。そのような場合に、一般人の平均余命を前提として、将来の介護費用を算定して加害者側にその全部を一括して賠償を命じることは損害の公平な分担という損害賠償の理念に照らして適当ではなく、将来に著しい変動が生じた場合には変更判決の制度(民事訴訟法117条)によって対応を図るのが適当であり、保険会社による履行が確保できることをも考慮にいれ、被害者が死亡するまで毎月25万円を支払う、定期金賠償方式での支払いを認めた。

認容された損害額の内訳

治療関係費 925万8406円
入院雑費 228万4500円
休業損害 274万3405円
逸失利益 7376万2859円
慰謝料 2600万円
付添看護費用及び付添交通費 338万 1260円
介護器具等 41万 4500円
物的損害(車両損害) 26万円
既払金 - 1348万 6810円
自賠責保険金を遅延損害金に充当 - 3333万 4309円
将来の介護費用等(定期金賠償)月額25万円
被害者の家族固有の慰謝料等(2名分) 330万円
弁護士費用 500万円
過失相殺 - 2952万6232円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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