20代女性が遷延性意識障害で後遺障害1級

IT 2016年6月15日 | 遷延性意識障害
arrest 0828 1
認容額 1 億 8770万536円
年齢 20歳
性別 女性
職業 大学生
傷病名

脳挫傷、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、頭蓋底骨折、右鎖骨骨折、重症頭部外傷後遷延性意識障害

障害名 遷延性意識障害
後遺障害等級 1級
判決日 平成19年2月21日
裁判所 大阪地方裁判所

交通事故の概要

平成13年7月15日午前3時50分ころ、大阪市淀川区東三国三丁目一二番一二号先の路上において、交通事故が発生した。
国道423号線(新御堂筋)の南行片側二車線の道路に吹田市内からの上り勾配の一車線道路が合流した後の片側三車線道路(各車線(車両通行帯)を進行方向に向かって左から順に以下「第一車線」「第二車線」「第三車線」とそれぞれいう。)において、第一車線を走行し、第二車線に進路変更した、加害者の車両の右前部と、第三車線を走行し、第二車線に進路変更した、加害者の車両の左後部が衝突した。両車両とも南東に向けて逸走し、被害者の車両は、第一車線東側の導流帯に停止していた車両の荷台後部に衝突し、その下に潜り込む形で停止し、加害者の車両は、導流帯の東側の側壁に衝突して停止した。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、本件事故後、搬送されたS救命救急センターにおいて、平成13年8月7日、脳挫傷、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、頭蓋底骨折、右鎖骨骨折との診断を受けた。また、同月13日、O脳神経外科病院において、重症頭部外傷後遷延性意識障害との診断を受けた。
被害者は約1年7ヶ月入院し、治療を受けた。

後遺障害の内容

被害者は、平成14年12月27日、A病院において、症状固定したとの診断を受けた。
傷病名:脳挫傷、遷延性意識障害
自覚症状:意識障害、四肢麻痺
他覚症状:脳性の不完全四肢麻痺を認める。四肢腱反射が亢進し、不完全拘縮を認める。CT、MRI上、脳挫傷(脳幹を含む)を認める。
耳介の損:二分の一未満
醜状障害:頭部に外減圧骨欠損及び耳介損傷があり、頸部に気管切開痕がある。
関節機能障害:肩、肘、手、股、膝、足各関節に認められる。
障害内容の見通し:今後、頭蓋骨形成術をはじめ、右耳介、胃ろう痕の形成術を予定している。

被害者の後遺障害は、平成15年3月20日、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の事前認定手続において、平成一三年政令第四一九号による改正前の自賠法施行令別表1級3号(以下、等級は同改正前のもの)に該当すると認定された。
〔1〕脳挫傷、遷延性意識障害による神経系統の機能または精神の障害については、現在寝たきり状態、常に失禁失便状態にあり、常に他人の介護が必要な状態にあることから「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として1級3号に該当する。
〔2〕耳介の醜状並びに頭部及び頸部の醜状については、医証上、数値等の記載はなく、認定は困難である。

判決の概要

被害者が運転する普通乗用自動車と加害者が運転する普通乗用自動車が衝突した事故につき、被害者並びにその両親が、加害者に対し、民法709条等に基づき、損害賠償を求めた。
過失相殺にあたって、本件事故現場付近に違法に車両を駐車していた被害者の親の寄与度も過失割合の算定に加えて、加害者に75パーセント、被害者に20パーセント、被害者の親に5パーセントの過失があることを認定した。損害額のうち、将来介護費としては、自宅介護開始時から被害者の親が67歳に達するまでは日額15000円、それ以後は日額18000円を認めるのが相当であるとし、また両親の固有の慰謝料を認めるのが相当であるとして、被害者らの請求を一部認容した。

認容された損害額の内訳

治療関係費 1198万812円
入院付添費 371万7000円
入院雑費 69万300円
通院交通費 6080円
将来介護費 1 億 953万8008円
逸失利益 7351万5032円
慰謝料 3100万円
文書費、通信費 2万 7805円
消耗品費等(紙おむつ代等) 531万 6940円
自動車購入費 97万 4384円
介護器具購入費 760万 5113円
家屋改造費 572万 7955円
損害のてん補 - 3237万 9007円
被害者の両親固有の慰謝料等(2名分) 700万円
弁護士費用 1300万円
過失相殺 - 5001万9886円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

遷延性意識障害の関連記事