事故車の見積もり後、修理しないで買い替えできる?修理代だけもらえる?

Q1.見積もりだけして修理しなくても修理代はもらえる?

実際に修理しなくても修理代はもらえます。修理の見積りをしたあと、実際に修理を行わなかったとしても、事故車両が損傷を受けている事実がある以上は事故による損害がすでに発生していると考えられます。

「走行に影響がないので修理するまでもないけど、修理代は受け取っておきたい。」と考えられることもあるでしょう。このような場合、実際に修理しないのに修理代をもらうことに問題はないのか?と不安に思われるかもしれませんが、受け取っても問題はないのでご安心ください。

事故の相手方が負う賠償義務は、修理することではなく修理に必要な費用を支払うことで果たされます。賠償金として受け取ったお金をどのような用途で使うかは受け取った側で自由に決められます。

ちなみに、修理工場によっては修理しないと見積りの作成料がかかることがあるので注意が必要です。また、過失がご自身にあった場合は過失割合に応じた金額の修理代しか支払われないという点にもご注意ください。

Q2.修理しない場合の消費税分はもらえる?

修理しなくても消費税相当額を含む修理代金の全額が賠償の対象となると考えるべきだとの裁判官の見解があります。「消費税は実際に修理した際にかかるものだから修理しないのなら消費税分は差し引く」と相手方から主張され、消費税の扱いに関して争いになることがあるようですが、弁護士がつくことで先のような裁判官の見解をもって消費税分も含まれるように相手方と交渉していくことができるでしょう。

Q3.見積もりで請求すると損することがある?

損する可能性があります。見積もりは修理に必要となる費用を修理前に概算しただけにすぎないので、実際に修理した後にかかった費用とくらべると差額が出る可能性があります。

見積もり時点では確認できなかった車体の裏側の凹み、追加の部品交換、想定より広範囲の塗装作業など、実際に修理作業に入らないと分からないことも多くあるようです。見積もり時点の修理代について、事故相手やその保険会社と金額に合意してしまった場合、追加で費用が発生してもそれ以上の請求ができなくなってしまいます。
このような点を理解したうえで見積もりの金額で納得できるというのなら示談してもいいでしょうが、納得できないのであればきちんと修理したうえで実際にかかった費用を請求するほうがいいでしょう。

Q4.修理せずに買い替えたい時はどうなる?

修理が不能だと認められれば、買い替え差額が補償として得られます。修理が不能な場合とは①物理的全損②経済的全損③社会的全損、これらのいずれかが認められる場合です。

①物理的全損
 物理的に修理ができないとき
②経済的全損
 [修理費用]よりも[事故当時の車両時価 + 買替諸費用]が高くなるとき
③社会的全損
 社会通念上、買い替えをすることが相当だと認められるとき

修理するよりも新しく買い替えたほうが妥当だと判断されると、買替差額が損害賠償として支払われることになるでしょう。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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