交通事故の民事裁判の流れ|民事訴訟で簡易裁判所に管轄はある?控訴は可能?

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交通事故の民事裁判の流れ|民事訴訟で簡易裁判所に管轄はある?控訴は可能?

「はじめての交通事故裁判所民事裁判・訴訟を提起しようと思うのだけれど流れが全然わからない・・・」

多くの方にとって、交通事故の民事裁判・訴訟ははじめての経験でしょうから、どういう流れで進んでいくのか知らないのも当然のことかと思います。

このページでは、そんな方のために

  • 交通事故の民事裁判・訴訟提起までの流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟を提起する際の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟を提起した後の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟が終了する際の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟に敗訴するなど結果おかしいと感じた場合の流れ

といった疑問を解消すべく、徹底的に調査し、その結果を報告してまいります!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

よろしくお願いします。

交通事故の裁判の最初から最後までの流れを理解しておけば、その時々ですべき行動を予め把握でき、適切かつ余裕を持った行動が取れます。

反対に、交通事故の裁判の流れがわかっていないと、その後の見通しが立てられず、民事裁判・訴訟において適切な行動が取れない可能性もあります。

ここで交通事故の裁判の最初から最後までの正しい知識を学んで、交通事故の裁判となった場合にも、適切な行動が取れるようにしておきましょう。

交通事故が発生しても、すべてが民事裁判・訴訟になるわけではありません。

そこでまずは、交通事故において民事裁判・訴訟が提起されるまでの流れについて見ていきたいと思います!

交通事故の民事裁判・訴訟提起までの流れ

交通事故の民事裁判・訴訟提起までの流れ

示談がまとまらないと裁判所に損害賠償の訴訟

交通事故の場合、いきなり裁判を提起することはほとんどありません。

通常はまず加害者示談交渉をすることになります。

交通事故の場合、多くは示談により解決に至り、裁判にまではならないことがほとんどです。

もっとも、加害者と慰謝料の金額や過失割合などの点で、示談交渉の最後まで折り合いがつかず示談がまとまらない場合も存在します。

そのような場合にはじめて、交通事故の被害者が加害者を被告裁判所へ損害賠償の裁判・訴訟を提起するという流れになります。

ただし、示談がまとまらない場合、裁判を提起する前に調停という手続きを経る流れになることもあります。

交通事故の調停に関しては、以下のページに詳しく記載されていますので、興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

つまり、交通事故の裁判は当事者間での話し合いがまとまらない場合に、当事者間の紛争を最終的に解決するため提起されるという流れになります。

交通事故の損害賠償は民事裁判・訴訟で争いに

実は、交通事故裁判には大きく分けて

  • 民事裁判
  • 刑事裁判

という二種類のものが考えられます。

一般の方々が裁判と聞いてイメージされるものは刑事裁判の方の裁判だと思われますので、刑事裁判のほうからご説明していきたいと思います。

刑事裁判

交通事故の刑事裁判で争われる問題は加害者に刑罰を負わせるべきかどうか及び量刑になります。

そして、刑事裁判を提起できるのは検察官だけになります。

民事裁判

一方、交通事故の民事裁判で争われる問題は加害者の被害者に対する損害賠償義務の有無及び金額になります。

そして、民事裁判は誰でも提起することができる点で刑事裁判とは異なります。

つまり、交通事故の損害賠償の話し合いがまとまらない場合、被害者は加害者を被告に民事裁判を提起するという流れになります。

交通事故の民事裁判と刑事裁判の検証
民事裁判 刑事裁判
争われる問題 損害賠償義務の有無及び金額 刑罰を負わせるべきかどうか及び量刑
提起権者 誰でも 検察官のみ

交通事故の訴訟の件数が増加している理由は?

交通事故の発生は減少傾向にある

交通事故発生件数自体は減少傾向にあり、警察庁の発表によると平成30年の発生件数は以下の表のようになっています。

平成30年の交通事故の発生件数
発生件数 43万0601件
前年比 -4万1564件(-8.8%)
平成20年比 0.56

「平成30年中の交通事故発生状況」(警察庁交通局・平成31年2月28日)参照

昨年から8.8%減少し、10年前と比較すると6割以下まで減少しているんですね。

交通事故の訴訟の件数は増加傾向

それに対して、交通事故の訴訟の件数は増加傾向にあるようです。

2017年とその10年前の2007年の交通事故訴訟の新受件数を比較した表が以下のものになります。

交通事故訴訟の新受件数(地方・簡易裁判所合計)
2017年 38,716件
2007年 15,437件
増加割合 2.5

弁護士白書 2018年版 資料2-2-1-14参照

わずか10年ほどで2.5倍も増加しているんですね。

このように交通事故の訴訟の件数が増加傾向にある理由としては

  • 保険会社の保険金支払の査定が厳しくなったこと
  • インターネットの利用により被害者が交通事故の損害賠償に関する情報にアクセスしやすくなったこと
  • 自動車保険に弁護士費用補償特約がつくようになり、訴訟提起も容易になったこと
  • 高次脳機能障害など示談では容易に解決できない問題点を含む事件が増加していること

などが考えられます。

ご覧いただいたとおり、交通事故がすべて裁判になるわけではないですが、以前に比べ、裁判にまで至るケースは増加しています。

こういった事情からしても、裁判にまでなってしまった場合に備えて、交通事故の裁判の流れを把握しておくことは重要といえます。

それでは、ここからは交通事故被害者の方がもっとも気になっている実際の民事裁判・訴訟流れをお伝えしたいと思います。

交通事故の裁判の流れは大まかには以下の表のようになります。

交通事故の裁判の流れ

ここからは、大きく

  • 交通事故の民事裁判・訴訟を提起する際の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟を提起した後の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟が終了する際の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟の第一審終了後の流れ

にわけてそれぞれ説明していきたいと思います!

交通事故の裁判・訴訟を提起する際の流れ

交通事故の裁判・訴訟を提起する際の流れ

交通事故の裁判・訴訟の被告を誰にするか決定

交通事故損害賠償民事裁判・訴訟を提起する場合、まずは被告を誰にするかを決定する必要があります。

加害者以外が被告になることも!?

交通事故の損害賠償の民事裁判・訴訟の被告としてまず考えられるのは加害者である運転者本人であり、当然、加害者を被告とすることができます。

もっとも、交通事故の民事裁判・訴訟は加害者である運転者本人以外の者を被告として提起できる場合があります。

ここからは加害者である運転者本人以外の者を被告として提起できる場合を具体的にご紹介していきたいと思います。

運行供用者

自動車損害賠償保障法(自賠法)は、被害者保護のため

「自己のために自動車を運行の用に供するもの」(運行供用者

に対し、その者が自動車を自ら運転していたかどうかによらず、人損の賠償義務を負わせているため、運行供用者を被告として訴訟を提起できます。

自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。

ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと(略)を証明したときは、この限りでない。

自賠法上、運行供用者の定義はなく、一義的に誰が運行供用者といえるかははっきりしませんが、実務上は

  • 運行支配(社会通念上、自動車の運行に対し支配を及ぼすことのできる立場にあり、運行を支配制御すべき責任があると評価される場合)
  • 運行利益(客観的外形的に観察して運行による利益が帰属している場合)

があるかを判断材料にしているようです。

使用者

また、加害者が業務中の運転に交通事故を発生させたような場合、民法上の使用者責任を負う使用者を被告として訴訟を提起できる場合があります。

1 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

(以下略)

責任無能力者の監督義務者

交通事故は自転車が加害者となる自転車事故もあります。

そして、自転車は小学生などの子供も運転しており、子供が運転する自転車が加害者になってしまうこともあります。

加害者となった子供に民法上の責任能力がないと判断された場合、民法上、その責任無能力者の監督義務者が賠償責任を負うことになります。

1 (略)責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

訴訟の被告に保険会社は必要か?

加害者が任意保険会社に加入していた場合、裁判・訴訟前の示談交渉は加害者ではなく、任意保険会社の担当者と行うことが多くなります。

そういった場合に示談がまとまらず、裁判・訴訟を提起する場合、被告をどうすればいいかわからないという方も多いようです。

結論から申し上げますと、この場合通常は加害者のみを被告とすれば足り、保険会社を被告・相手方に加える必要はないことになります。

もっとも、例外的に保険会社を被告・相手方に加える必要がある場合もあります。

もっと知りたいという方は、以下のページに詳しく記載されていますので、興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

このように、民事裁判・訴訟の被告を誰にするかだけをとってみても、色々な問題があり、被害者の方だけで判断できないこともあるかと思います。

特に、運行供用者に該当するかどうかという問題は極めて判断が難しくなっています。

そのため、交通事故の民事裁判・訴訟においては、弁護士を代理人に選任する必要性が高いと考えられます。

簡易・地方裁判所に訴訟提起|管轄に要注意!

交通事故民事裁判・訴訟被告を誰にするか決定したら、次は裁判所訴状を提出する流れになります。

もっとも、どこの裁判所に提出してもいいというわけではなく、請求金額と場所により提出すべき裁判所は決まります。

簡易裁判所か地方裁判所かの区別

まず、交通事故の民事裁判・訴訟における損害賠償の請求額が140万円以下の場合には簡易裁判所に訴状を提出することになります。

簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。

一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)

一方で、損害賠償の請求額が140万円を超える場合には地方裁判所に訴状を提出することになります。

地方裁判所は、次の事項について裁判権を有する。

一 第三十三条第一項第一号の請求以外の請求に係る訴訟(以下略)

交通事故の裁判の提起先の裁判所
請求金額 裁判所
140万円以下 簡易裁判所
140万円を超える 地方裁判所

※当事者間の合意がある場合などの例外あり

土地管轄に注意

簡易裁判所も地方裁判所も全国各地にありますが、どこの裁判所でもいいというわけではありません。

交通事故の民事裁判・訴訟の場合には

  • 被害者の住所
  • 被告となる人の住所
  • 交通事故の発生場所

管轄するいずれかの裁判所に提出することになります。

どこの裁判所が土地管轄を有するかについては以下の裁判所のページで確認が可能です。

なお、当事者間の合意がある場合には、本来管轄のない裁判所に訴訟を提起できる場合があります。

訴状に記載すべき内容や提出すべき資料とは?

提出をする訴状に記載すべき内容

そして、交通事故民事裁判・訴訟において提出をする訴状には

  • 当事者の住所氏名
  • 請求の趣旨(請求する損害賠償の金額など)
  • 請求原因(事故の内容や請求金額の内訳など)

を記載する必要があります。

提出すべき資料

また、訴状と同時に可能な限り自身の主張の裏付けとなる証拠も併せて提出する必要があります。

そして、

  • 代理人を選定した場合には訴訟委任状
  • 当事者が法人の場合には資格証明書
  • 当事者が未成年や死亡している場合には戸籍謄本

といった書類も併せて提出が必要になります。

さらに、訴状を提出する際には、同時に所定の費用の印紙・郵便切手も提出する必要があります。

具体的な金額については、以下のページに詳しく記載されていますので、興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

交通事故の裁判・訴訟は適切な被告を選択して提起しないと、被告から損害賠償金を回収できなくなってしまうおそれもあります。

また、提出すべき裁判所を間違えたり、訴状の記載内容や提出書類に不足していたりすると、解決までに余計な時間が掛かってしまいます。

そのような事態を防ぎ、迅速かつ適切な裁判を行いたいのであれば、専門家である弁護士に依頼するのが確実と考えられます。

交通事故の裁判・訴訟を提起した後の流れ

交通事故の裁判・訴訟を提起した後の流れ

第1回の裁判・訴訟期日に出廷するまでの流れ

交通事故訴状管轄のある裁判所に提出されると、1〜2ヶ月後に裁判所から第1回口頭弁論期日の呼び出しがあります。

被害者である原告は指定された期日に裁判所出廷する必要があります。

一方、被告は、第1回口頭弁論期日は、訴状に対する回答書面である答弁書を裁判所に提出しておけば、出廷する必要はありません。

被告が第1回口頭弁論期日までに争う意思を示さなかった場合、裁判は終了し、請求した内容どおりの判決が出される流れになります。

一方、被告が争う意思を示した場合には、次の手続きに進む流れになります。

その後は争点整理・証拠を提出する流れになる

その後は1月に1回くらいのペース裁判所での期日が開かれ、お互いが主張をし、何が争いになっているのかを整理していきます。

同時に、争いになっている部分を中心にお互いが自分の主張を裏付ける証拠を提出するという流れになります。

証拠の収集は当事者が行わなければ行けませんが、裁判の場合には

送付嘱託

などの方法により、裁判所を通じて

  • 検察庁などに刑事記録の送付を依頼
  • 病院にカルテ開示を依頼

することなどもあります。

なお、交通事故民事裁判の平均期日回数(第一審)は統計が出ており、以下の表のようになっています。

交通事故の民事裁判の平均期日回数(第一審)
口頭弁論期日 2.1回
争点整理期日 5.5回

裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回) 資料2-2-1参照

判決前には証人・本人尋問や陳述書提出の流れ

本人・証人尋問

交通事故民事裁判・訴訟は争点が整理され、主張・証拠が出そろった後、本人尋問を行い判決を下すという流れになっています。

尋問とは、簡単に言うと

法廷の場で、当事者や裁判官からの質問に回答する

ことをいいます。

また、交通事故の場合、本人尋問以外に、過失割合因果関係などに争いがある場合

  • 事故の目撃者
  • 医師

などに証人尋問をすることがあります。

本人・証人尋問に先立った陳述書

そして、裁判所は本人尋問や証人尋問に先立ち、陳述書の提出を各当事者に求めるという流れになります。

陳述書

訴訟当事者や証人予定者の言い分や見解を記載し、書証の形式で裁判所に提出する報告文書

こちらの陳述書は以下のような機能を有するものと考えられます。

証拠開示機能

本人・証人の供述・証言内容を事前に開示することで、反対尋問の準備が促進され、効果的な反対尋問が可能となり、証拠調べの充実化を図る

主尋問代用補完機能

性質上口頭での陳述に適さない細かな数値に関する事項や争いのない事項を陳述書で補完することで、争点に絞った主尋問を行うことを可能にする

証拠採否判断機能

証人の証言内容を事前に確認することで、証人尋問の申請を裁判所が採用すべきか判断し、必要な証人に絞った尋問を行うことを可能にする

上記の統計データのとおり、裁判を提起すると平均して7~8回程度裁判所に出廷する必要があります。

交通事故の裁判は平日日中にしか行われないので、お仕事をされている方などは7~8回も裁判所に出廷する時間を作るのは大変かと思います。

また、裁判所から見た場合,本人だけで作成した陳述書は,

感情論が先立って,整理がされておらず,争点とは無関係のことが多く記載される一方、肝心の争点に関して十分な記載がない

などの問題が生じることが多いと言われています。

出廷の負担を減らし、裁判所が望む適切な内容の陳述書を提出したいのであれば、専門家である弁護士に依頼するのが確実と考えられます。

交通事故の裁判・訴訟が終了する際の流れ

交通事故の裁判・訴訟が終了する際の流れ

本人尋問の前後で和解勧告がされることが多い

先ほどお伝えした本人尋問を実施する前には、裁判所和解案を提示し、和解勧告を行うという流れになることが多いです。

この和解案を元に当事者双方が和解できるかどうかを協議します。

訴訟上の和解が成立すれば、和解調書が作成され、民事裁判・訴訟終了という流れになります。

この時点で和解が成立しなければ、先ほどお伝えしたとおり、本人尋問・証人尋問を行う流れになります。

そして、本人尋問・証人尋問の手続きが行われた後、弁論終結前に再び和解勧告がなされ、和解での解決の可能性を探る流れになることも多いです。

交通事故の裁判は和解での終了が判決より多い

なお、交通事故民事裁判・訴訟は、民事訴訟一般と検証しても、和解での終了が判決よりも多くなっているのが特徴です。

具体的な民事訴訟一般と交通損害賠償訴訟との裁判・訴訟の終局事由統計は以下の表のようになっています。

民事訴訟一般と交通損害賠償訴訟との裁判終局事由
民事訴訟一般 交通損害賠償訴訟
判決率 41.4% 20.1%
和解率 37.1% 74.9%
取下げ率 14.3% 3.4%
それ以外 7.3% 1.6%

「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(第8回)(最高裁判所・令和元年7月19日)資料2-1-2参照

ご覧のとおり、交通事故の裁判は、民事訴訟一般の倍以上の割合で和解により終了していることがわかります。

なお、訴訟上の和解に関しては、以下のページに詳しく記載されていますので、もっと詳しく知りたいという方はぜひご覧になってみて下さい。

裁判上の和解に至らなければ弁論が終結し判決

ここまでの手続き和解に至らなかった場合には弁論が終結し、1〜2ヶ月後に判決期日が言い渡されます。

そして、判決期日において判決が言い渡されますが、判決期日は当事者が出廷しなくてもよい事になっています。

判決内容に不服がある場合には、判決送達日(判決書を受け取った日)から2週間以内控訴状という書類を裁判所に提出する必要があります。

控訴状が提出された場合には、次の手続きに進む流れになります。

一方、2週間以内に控訴状が提出されない場合には判決が確定し、裁判は終了となります。

加害者が任意保険に加入していない場合、判決が確定しても、判決で定められた賠償額を支払ってこない可能性があります。

その場合には、判決に基づいた強制執行手続きに進み、賠償額の回収を目指す流れになります。

裁判に敗訴するなど結果がおかしいと感じた場合の流れ

裁判に敗訴するなど結果がおかしいと感じた場合の流れ

交通事故の第一審の裁判所に控訴状を提出する

交通事故民事裁判・訴訟において第一審の判決が出されたものの、敗訴など結果おかしいと感じる可能性も考えられます。

そのような場合、控訴という手続きをとる流れになります。

具体的には、判決送達日(判決書を受け取った日)から2週間以内に控訴状という書類を第一審の裁判所に提出する必要があります。

控訴状の書式に決まりはありませんが、仙台高等裁判所のホームページで下記のような記載例が紹介されています。

控訴状に記載すべき事項としては

  • 当事者の住所氏名
  • 第一審の裁判所、請求事件の名称、判決の日時、送達日
  • 原判決の表示(主文)
  • 控訴の趣旨(控訴人が求める判決主文)
  • 控訴の理由

を記載する必要があります。

ただし、控訴の理由の詳細は控訴理由書という書面に記載するので、控訴状には「追って、控訴理由書を提出する。」と記載すれば足ります。

その後50日以内に控訴理由書を提出する流れ

そして控訴提起後、50日以内に控訴理由書という書面を提出するという流れになります。

民事訴訟の場合、刑事訴訟とは異なり控訴理由は制限されていないですが、当然

控訴人の主張に即してなぜ第一審判決が誤りであるかということを具体的・説得的に論じる必要

があります。

その後の流れは、第一審と基本的には同様ですが、控訴審の口頭弁論は第一審の口頭弁論の続行として行われる、いわゆる

続審制

をとっていることから、通常何回も口頭弁論期日が開かれることはなく、控訴審の口頭弁論は1回で終結することが非常に多いようです。

さらに、制度上は控訴審での判決に不服がある場合、上告という不服申立制度がありますが、交通事故において上告が認められるのはまれなようです。

交通事故の控訴の書面の提出期限
控訴状 判決送達日から2週間以内
控訴理由書 控訴提起後50日以内

交通事故の民事裁判・訴訟の控訴の費用とは?

また、交通事故民事裁判・訴訟控訴を提起するには第一審とは別個に費用が掛かることになります。

そこで、最後に交通事故の民事裁判・訴訟の控訴に要する印紙・郵券の費用についてご紹介していきたいと思います。

印紙代について

まず、交通事故の民事裁判・訴訟の控訴を提起するには、第一審と同様に、そして第一審とは別個に裁判所に印紙費用を納める必要があります、

そして、その費用の金額が控訴審においていくら請求するかという訴額に応じて定まる点は一審と同様ですが、金額は一審とは異なります。

具体的には以下の表のとおり、第一審の1.5倍の金額になっています。

仮に控訴審において請求する訴額が1億だとすると印紙代(費用)だけで48万円も掛かることになります。

郵券代について

また、こちらも第一審同様、裁判所に郵券代(費用)を別途納める必要がありますが、その金額がいくらかは、裁判所によって異なります

例えば、東京高等裁判所の場合には、以下のように定められています。

交通事故の民事裁判の控訴は、控訴理由書において第一審判決の誤りを具体的・説得的に主張・立証しなければ、まず認められることはありません。

そして、第一審判決の誤りを具体的・説得的に主張・立証した控訴理由書を作成するには、知識と経験を有する専門家である弁護士でなければ困難です。

決して安くはない費用を費やして控訴をするのであれば、弁護士に依頼して行うのが確実といえるでしょう。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故の裁判の最初から最後までの流れをご説明してきましたがご理解頂けましたでしょうか。

これで交通事故の裁判となった場合の見通しが立てられるようになったかと思いますが、実際に被害者ご自身だけで裁判を行うのは非常に困難です。

実際に、統計上も、交通事故訴訟では弁護士などの訴訟代理人を選任して裁判を行っている事案がほとんどです。

迅速かつ適切な裁判を行いたいのであれば、専門家である弁護士への依頼のご検討をおすすめ致します。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 交通事故の民事裁判・訴訟提起までの流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟を提起する際の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟を提起した後の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟が終了する際の流れ
  • 交通事故の民事裁判・訴訟に敗訴するなど結果おかしいと感じた場合の流れ

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

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そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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