交通事故の示談が不成立…示談が難航した場合の対処法について弁護士が解説!
交通事故の被害にあわれた場合、相手側の保険会社と示談交渉を行うことになります。
しかし、示談交渉は大変だという話もよく聞きますよね。
今日は皆さんに最強に大変だと言われる示談交渉をしないとで、気が重い………
— さっちん (@nonbiri5) January 26, 2018
ただでさえ大変な示談交渉…。
お互いに納得のいく結果が得られれば良いですが、折り合いがつかず、示談が不成立となってしまうケースもあるそうです。
では、
交通事故の示談が不成立となってしまった場合の対応
はどうすれば良いのでしょうか。
交通事故による怪我の治療に加え、示談交渉でお悩みの方もたくさんいらっしゃるはずです。
今回は、そのようなお悩みを抱えている皆様と一緒に示談不成立の場合の対応について見ていきたいと思います。
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の被害にあっただけでも辛いところ、相手側と示談交渉も行わなければならず、大きなストレスを感じていらっしゃる方も多いはずです。
示談で折り合いがつかず、解決までに長期間かかってしまっているような場合はなおさらです。
そこで今回は、交通事故の示談が不成立となってしまった場合の対応について解説していきたいと思います。
目次
実際に、示談が不成立となり、その対応について困っている方がいらっしゃいます。
交通事故の慰謝料で示談不成立です。(略)
1年前に交通事故に遭いました。
私が赤信号停止中にノーブレーキで後ろから追突されたので、過失割合は10:0です。
首がずっと痛く1年間かけて通院し、ようやく通院を終えたので慰謝料の請求手続きをしました。
(略)
長く通院し、時間的にも精神的にも苦痛を伴ったので、90万円では絶対に示談したくありません。
(略)
私としては早く終わらせたいのと、あまりこの事で休日の時間を取られたくありません。
なので、示談不成立であれば簡易裁判に進んだ方がいいと思っていますが、示談不成立の場合はそのような進め方でいいのでしょうか。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1478901464
このような場合、どういった対応をすれば良いのか…ここから一緒に見ていきましょう。
示談不成立となってしまった場合の対処法は?
そもそも示談とは
ところで、示談という言葉は聞いたことはあるものの、正確にはどういったものなのでしょうか?
交通事故の示談とは一般的に、
裁判によらず、当事者間の話し合いにより、一定額の金銭を支払い、その後それ以上の損害賠償請求をしないと当事者間で合意し、紛争を解決すること
と定義付けられています。
交通事故の被害にあった場合、車の修理代や怪我をした場合の治療費、仕事を休んだ場合の休業損害、後遺症が残ったり、被害者の方が亡くなってしまった場合には将来の収入など、たくさんの損害が発生します。
それらの損害は、加害者側に損害賠償請求していくことになります。
そして、損害賠償の方法としては、基本的に金銭で行うことと定められています。
(損害賠償の方法)
第四一七条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
出典:民法第417条
よって、その損害賠償金の金額と支払い方法を相手側と話し合い決定する必要があり、その手続きが示談ということになるのですね。
示談が不成立となってしまうケースとは!?
示談についてはわかったところで…。
では一体どういった場合に、示談が不成立となってしまうのでしょうか?
①示談金の金額に納得できない
まずよくあるのが、「示談金の金額に納得できない」というケースということです。
その中でも特に多いのは、相手側の保険会社から提示される金額が適正ではないケースなのだそうです。
というのも、損害賠償の算出基準は一つではなく、いくつかの基準が存在しています。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
営利企業である保険会社は、儲けを出すために、少しでも支払う保険金の金額を少なくしたいと考えているはずです。
よって、保険会社の示談金の支払い基準は相場よりも低いものとなっているため、被害者の方が不満を持つのは当然です。
②過失割合に納得できない
次に、「過失割合に納得できない」というケースもあるそうです。
というのも、赤信号で停車中に後ろから追突された場合のように、相手側が100%悪いと明らかなケースを除いては、被害者の方にも過失割合が認められてしまうことがあります。
被害者側に過失がある場合には、その過失割合分は相手側に請求できる保険金から減額されてしまうことになります…。
逆にいうと、加害者側の過失が100%かそうではないかによって、加害者側が支払う損害賠償の金額も大きく変わってきます。
よって、お互い譲れないところもあり、過失割合について折り合いがつかず、示談が成立しないことも多いそうです。
③相手側の態度が悪い
また、「相手側の態度や対応の悪さ」などにより、示談交渉が難航してしまうこともあるそうです。
まだ示談に成らず、相手の正式な謝罪もありません。本当に面倒くさいやつなんです。"俺何か悪いことした?"
って態度です。— 桜ひとひら (@Toyota2jzIs) January 9, 2018
相手側の態度が悪ければ、被害者の方も感情的になってしまいがちです。
よって、感情的なやりとりで話が進まず、示談が不成立となってしまうことも多くあるそうです。
【注目】交通事故の示談が不成立となってしまった場合の対処法について解説
示談が不成立となってしまうケースが意外と多いことはわかりました。
では実際に、示談不成立となった場合にはどのような対応をすれば良いのでしょうか。
示談が成立しなければ、損害賠償を受け取ることもできません。
保険会社又は加害者本人と被害者の方全員が合意をしなければ、示談が成立することはありません。
そのままでは、被害者の方は交通事故の損害賠償を受け取ることができないため、被害者の方からアクションを起こすのが一般的です。
では具体的にはどのようなアクションを起こせば良いのでしょうか?
時間もお金もかかるイメージがありますが、裁判を起こすしかないのでしょうか…。
示談が不成立になったからと言って、いきなり裁判になるということではありません。
被害者の方からアクションを起こす方法としては、
- 示談斡旋
- 民事調停
といった方法も考えられます。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
対処法①弁護士に示談交渉を依頼
その前にまずは、「弁護士に示談交渉を依頼する」という方法があります。
既にお伝えした通り、損害賠償には3つの基準が存在していましたよね。
弁護士に示談交渉を依頼した場合、適正な相場である弁護士基準で算出されることになるため、示談金が増額されることがあります。
示談金の額に被害者の方が納得できれば、示談交渉も成立する方向に進むはずです。
また、過失割合についても、弁護士に依頼することで有利になることもあるそうです。
過失割合は別冊判例タイムズという本を元に決められていますが、全ての事故が別冊判例タイムズに掲載されているものと同じではありません。
その場合には別途、類似事案の裁判例を探し出し、示談交渉や裁判に挑む必要があります。
その際には、過失割合を覆すだけの適正な主張や立証も必要となってきます。
また、別冊判例タイムズに類似事案が見つかったとしても、事故がどのようなものであったかなど、事実自体に争いが生じることもよくあるそうです。
事実に争いがある場合には、こちらに有利な事故態様であったことを立証する必要があります。
そのためには、事故当初から様々な証拠の収集、選別などを行い、示談や裁判に備えることが必要となります。
弁護士に相談すれば、そのような負担も軽減できるかもしれません。
対処法②示談斡旋
とはいえ、弁護士に依頼する場合の弁護士費用が心配…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合には、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターといった団体に、示談斡旋を依頼することができます。
センターの場合、原則として無料で弁護士が対応してくれることになるので、まずは相談してみるのも良いかもしれません。
それぞれのセンターについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧になってみてください。
交通事故紛争処理センター
日弁連交通事故相談センター
対処法③民事調停
また、民事調停という方法も挙げられていました。
民事調停とは、裁判所で行われる話し合いのことです。
まずは、事故の相手側の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てを行うことになります。
簡易裁判所に申し立てを行うと、裁判官1名と弁護士などの調停委員2名が担当してくれるそうです。
調停は裁判とは異なるため、基本的に裁判官は調停に参加せず、普段の調停は調停委員が担当します。
事故の当事者双方から話を聞いた調停委員会から、最終的な調停案が示されます。
その調停案に双方が納得し調停成立すれば、調停証書が作られます。
この調停証書は裁判の判決と同じ効力があるため、加害者が示談金の支払いを拒んだ場合には、強制執行(相手の財産を差し押さえる)も可能となっています。
調停にかかる期間は3ヶ月程度で済むことも多いようなので、裁判よりは早期に解決が望めそうです。
ただし、調停の場合、費用は発生します。
調停の詳しい流れや、発生する費用については、こちらの記事をご覧ください。
対処法④民事裁判
以上ご紹介してきた方法は、第三者を入れて話し合いをするものなので、事故の当事者同士だけで交渉するよりも話がまとまりやすくなっています。
とはいえ、やはり話し合いで解決する必要があるため、どちらかが反対すれば解決には至りません。
どうしても成立しない場合には、やはり民事裁判も免れません。
交通事故の場合には「損害賠償請求訴訟」という名称の裁判になります。
裁判では、当事者が自分の希望する内容を認めてもらうための主張や立証を行う必要があります。
その内容を受けて、裁判所の裁判官により判決が下されます。
被害者の方の主張が認められれば、納得のできる判決となり、相手に示談金の支払い命令が下されます。
ただし、もちろん被害者の方の主張が認められないケースもあります。
交通事故の裁判の流れや、かかる期間、費用などについて知りたい場合は、こちらの記事もご覧になってみてください。
裁判になれば、時間もお金もかかりますが、明確な主張や立証を行えば、納得できる結果を得られる可能性も高まるかもしれません。
しかし、被害者の方やそのご家族だけで裁判を起こすのは、非常にハードルが高いと思います。
裁判を起こす場合には、ぜひ弁護士に相談してみてくださいね!
① | 弁護士に依頼する |
---|---|
② | 示談斡旋を依頼する |
③ | 民事調停を起こす |
④ | 民事裁判を起こす |
交通事故の示談が不成立となってしまった場合に弁護士に無料相談したい方はコチラ!
以上、交通事故の示談が不成立となってしまった場合の対処法について理解を深めていただけたでしょうか。
不成立となったからといって、いきなり裁判になることはありません。
まずは、弁護士に相談してみると、様々なアドバイスをもらえるはずです。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、交通事故の示談が成立せず、お悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
交通事故の示談においては、不成立となるケースも多く発生しています。
しかし、このページでお伝えしてきた通り、不成立となった場合にもできる対応は多く存在しています。
示談がなかなか成立せず、長期間を要している場合には、妥協して示談書にサインしてしまいたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
よって、納得できない場合には、安易に示談に合意せず、まずは弁護士に相談してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
交通事故の示談が不成立となってしまった場合の対応
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、不成立となった場合の対応について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
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また、このホームページでは、交通事故の示談に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
示談が難航した場合の対処法についてのQ&A
示談が成立しないケースは何?
主に3つ、示談が不成立になってしまう理由があります。①「示談金の金額に納得できない」です。営利目的である保険会社の示談金基準は、相場よりも低いものが多く、被害者側との合意に到れない場合があります。②「過失割合に納得できない」です。交通事故では被害者の方にも過失割合が認められてしまうことがあり、そこが争点となりがちです。③「相手側の態度が悪いケース」です。 示談不成立となるケース
示談が不成立になったらすぐに裁判になる?
いきなり裁判となるわけではありません。示談が不成立になってしまった場合、被害者の方からアクションを起こす方法は二つあります。①交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターに示談斡旋を依頼する②民事調停をするため、簡易裁判所に申し立てを行う、の2つです。ですが①・②を行う前に弁護士に示談交渉を依頼することもおすすめします。 示談が不成立となってしまった場合の対処法
示談交渉が不成立で民事裁判はあり得る?
ありえます。裁判を利用しない民事調停や示談斡旋などの方法もありますが、どうしても成立しない場合には民事裁判も免れません。交通事故の裁判では、当事者が自分の希望する損害賠償額などの内容を認めてもらうため、主張や立証を行う必要があります。 示談不成立の場合の民事裁判
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。